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情事の後は

「白哉、暇だ構ってくれ」

朽木家の屋敷で、浮竹は広い畳の上をごろごろと転がっていた。

「兄に、構う暇などない」

6番隊の執務室は別にあるが、白哉は自分の屋敷にも執務室を持っており、そっちで仕事することのほうが多かった。

尸魂界に、一護が来ていた。

ルキアに会いにきたのだ。屋敷までくるのを案内した形で、朽木家の屋敷にきた浮竹は、当主の白哉に構ってもらおうと執務室まできたのだ。

いつもなら構ってくれる日番谷は、今は現世でいない。

京楽を取り除くと、残されたのは白哉。わかめ大使をもらいに、よく朽木家を訪れるので、その広い屋敷でも迷子になることはなかった。

「これでも食していろ」

新発売の、わかめ大使・・・・その名も「わかめちゃん」・・・・最近、白哉が生み出した、わかめ大使の妹だ。
中身は白あんこで、このわかめちゃんは浮竹のお気に入りだった。

それをぽいぽい渡されて、浮竹は嬉し気に食べていく。

「お茶がほしい・・・・・」

「恋次」

「はい」

恋次が、浮竹にお茶をだす。

「阿散井副隊長は、けっこう白哉にこき使われているんだな」

その言葉に、ピクリと刺青をいれた恋次の眉が動く。

「こき使われるんじゃありません。ただ仕事の合間に接客してるだけです」

恋次も、白哉と同じように書類の仕事に追われていた。

「うーーーー暇だーーーーーー」

浮竹は、何故か長い白髪を三つ編みにしていた。

一護がしてくれたのだ。

「一護君に会いにいこう」

ふと思い立って、浮竹は立ち上がった。

「ああでも、朽木と付き合ってるらしいからなぁ・・・・仲を引き裂くような真似はなぁ・・・」

ゴロゴロゴロゴロ。

畳の上を転がっていく。

「隊長、あのかわいい生物、なんとかならないっすか」

「兄にできぬなら、私にも何もできぬ」

ゴロゴロゴロゴロ。

転がっていると、誰かの足とぶつかった。

「浮竹ぇ~」

「京楽?」

京楽の髪は、ちりちりになっていた。浮竹が放った鬼道が、京楽にぶつかったのだ。

昼前、臥せっているせいで、あまり使うことのない鬼道の練習をしていた。けっこう腕がなまっていた。

遊びにきた京楽に白雷があたって、京楽は焦げてちりちりになり、意識を失った。

浮竹は、怒られるのが怖くて逃げだした。

いつものように日番谷のところに遊びにいくと、日番谷と松本は現世だと言われた。

そこに一護が現れて、浮竹は人生が薔薇色になって、京楽のことを忘れた。

「ああ、忘れていた。俺の鬼道のせいでちりちりに・・・・・けっこう、似合っているぞ?」

額に血管マークを浮かべながら、京楽は浮竹を抱き上げた。

「君ねぇ。せっかく人が遊びにきてやったのに、いきなり鬼道でちりちりにされて、おまけに放置されて、犯人の君は朽木隊長のところで僕の存在を忘れて、暇ひまと連呼して・・・覚悟は、できてるんだろうねぇ?」

「あ、白哉~~~助けてくれ~~~」

「兄の自業自得であろう。知らぬ」

「殺生な・・・・」

「無断で屋敷に入って悪かったね。暇人の浮竹は、持って帰るから」

三つ編みが揺れた。

「いいんですか隊長・・・・」

恋次が、白哉を見るが、白哉は首を振る。

「あれは、兄の関わることではない。浮竹と京楽の問題だ」



「また、かわいい恰好してるね」

三つ編みのことを言われて、京楽に抱き上げられたままの浮竹が、嬉しそうに話す。

「一護君がしてくれたんだ」

「そう、一護君がね・・・・・」

また、額に血管マークが一つ浮かんだ。

「京楽、怒っているのか?」

「これが怒っていないように、見える?」

にこにこしているが、血管マークがいっぱい浮かんでいた。

浮竹は、これはまずいと思って、京楽の首に手をまわす。

そして、耳元で囁いて、耳をかんだ。

「2回までなら、好きにして構わない・・・・」

甘い花の香にくらくらきて、京楽は雨乾堂につくと、浮竹を押し倒した。

「まて、畳の上は・・・・せめて、布団の上で」

「好きにしていいって言ったのは、君だよ」

「それはそうだが・・・・・・あああっ」

襲ってきた快楽の波にさらわれて、浮竹の思考も鈍化していく。

2回までといったのに、結局3回まで好きに抱かれて、浮竹は意識を失った。

「ちょっとやりすぎたかな・・・・・」

三つ編みにされた髪を手に取って、口づける。

「おーい、浮竹さん」

現れた一護は、真っ赤になった。

浮竹は仰向けに布団の上で意識を失い、死覇装をかぶせられている。京楽は、乱れた衣服のまま、煙管煙草に火をつけて、浮竹の頭を撫でていた。

「なんだい、一護君」

「すすすすす、すんません、なんでもないです」

まさに、情事の後。

真っ赤になった一護は、何か浮竹に用があったのだろうが、走り去ってしまった。

「お子様には、刺激が強すぎたかな?」

「ん・・・・・・・・」

浮竹が身動ぎする。

「君は、誰にも渡さない・・・・・・・・」

浮竹の唇に唇を重ねて、紫煙をあげる。

浮竹の心の色を、僕でいっぱいにできたらいいのにね?

そう思いながら、いつまでも浮竹の髪を撫でる京楽であった。


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