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教師と式22

鬼の浮竹と鬼神の京楽は元に戻り、浮竹の屋敷から自分たちのマンションへ帰っていった。

浮竹は心配で、鬼の浮竹と鬼神の京楽の住んでいるマンションを、京楽と白哉を連れて訪れる。

「元気にしているか?」

「やぁ、元気?」

「主が心配しておられる」

三人の言葉に、鬼の浮竹と鬼神の京楽ははもって。

『『元気』』

と答えるのであった。

その日は、浮竹は日曜だったので学校は休みだった。

『ナポリタン作るんだけど、食べてく?』

「ああ、そういえば昼食を食べていなかったな。ご馳走になろう」

浮竹も京楽も白哉も、食べていくらしかった。

『ちょっと待っててね。その間、浮竹と話でもしてて』

『しばらく怪異の探偵を休業していたんだが、依頼がたまっていてな。何件か、そっちにまわしたいのだが、いいか?』

「いいぞ」

浮竹は出された紅茶を飲みながら、快諾する。

『水絡みの事件が多くてな。特に河童の事件が多い』

「河童なら、俺も何件か対処してきた。任せてくれ」

『じゃあ、頼もうか』

『ナポリタンスパゲッティできたよ』

鬼神の京楽に言われて、席について昼食としていただく。

白哉は京楽に自分の多い分を無理やり食べさせた。

「白哉くん、ちゃんと食べなきゃ。それでなくても細いのに」

「椿の花神は、それほど食べぬ。少量でいいのだ」

「いつもより少なくないか?」

浮竹が心配するが、白哉はやや顔を赤くして小さい声で呟く。

「恋次から、生気を直接わけてもらったゆえ」

「そうか、恋次くんか。白哉、隠さなくても恥じなくてもいいんだぞ?」

同じ椿の花鬼である恋次という青年と、白哉ができているのは浮竹も京楽も知っていた。

「恋次くんから直接生気をもらったのか」

「やるねぇ、白哉くん」

白哉は余計に頬を赤らめた。

「知らぬ」

呪符に戻ってしまった。



昼食を食べ終わり、河童が出るという川に着く。

なんでも、近くにいる人を川の中に引きずりこんで溺死させようとするのだという。一般的な河童の度をすぎた悪戯方法であった。

「河童、いるなら出てこい」

河童は出てこなくて、かわりに魚人が出てきた。

「河童の亜空(あくう)様の手下、うおうおだ。げぎゃぎゃぎゃ、川に引きずり込んで食べてやる」

「白哉、いけ」

「分かった、主」

白哉は雷を使って、うおうおという魚人を感電させて地面に転がす。

「ぬおおお、亜空さまあああ」

「なんだ、騒々しい」

出てきた亜空という名の河童は、普通の河童の五倍はある巨大な河童だった。

「人間風情が。この河童王の亜空様を退治にきたのか?」

「ああ、そうだ」

「けきゃきゃきゃ、面白い!水で溺死させてやる!」

亜空は、川の水を操って、浮竹たちを飲み込もうとするが、浮竹は結界をはってそれをやり過ごす。

「少しはできるようだな。では、これではどうだ?」

亜空は、川の水の刃を飛ばせてくる。

数が多くて、結界の一部が破れて、そこから入ってきた水の刃が浮竹の肩をかすった。

ぽたぽたと、血が流れ出る。

「よくも浮竹に傷を‥‥」

ゆらりと、京楽が桜の花びらをまとわせて、亜空に近づく。

「桜の花神!上級妖怪が、なぜ人ごときの式になっている!」

「そりゃ、浮竹が好きだからだよ」

「人などもろい。俺と同盟を組もう」

「死んでもごめんだね」

京楽は、抜き放っていた桜の刀を鞘におさめた。

居合いで、亜空の体は真っ二つにされていた。

「ぐおおおお。痛い、痛い」

「あれ、まだ死なないの。頑丈だねぇ」

「ここは、私に任せよ。雷よ」

白哉が雷をおこして、亜空に浴びせる。

「ぐぎいいいい、これしきに雷で」

「俺が雷を落とす」

「わお。雷神の雷はすごいよ?」

京楽の台詞に、胴を真っ二つにされた亜空が青ざめる。

「人と思っていたが、まさか雷神お雷虎か!?」

「そうだ。愚かなあやかしよ。くらえ」

「ぎゃああああああああああ」

雷神の雷を受けて、亜空は塵も残さずに黒焦げとなって消えていった。

「他に、河童の件は‥‥」

「隣町の池と、琥珀川だね。そう遠くないし、ついでだから退治しちゃおう」

「ああ。今年は猛暑で河童たちの気性が荒くなっている。祓うしかないな」

「主、さっきの傷は大丈夫か?」

心配気な白哉に、京楽が笑う。

「傷なら、ボクの生気を分けて治しておいたよ」

「エロ桜め」

「何を!?」

京楽と白哉は、ぎゃあぎゃあと言い争いをはじめる。

それを、浮竹はため息をついてなだめるのであった。




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