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小説掲載プログ
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日常Ⅲ

ジワジワと、アスファルトを照らす太陽が煌いている。
朝方はそれなりに涼しくとも、真昼になれば誰もが涼を求める。
夏休みも終わり、学校がはじまったからといって夏の暑さが過ぎたわけではない。
10月の半ばまでは冷房もいるだろう。

ルキアが尸魂界から、冬獅朗、乱菊、恋次、一角、弓親と一緒にやってきたのはつい最近のことだ。
他の死神メンバーは黒崎家に居候というわけにもいかず、ルキアのみが嘘の泣き落としで黒崎家に居候することになった。
以前は一護の押入れで寝泊りしていたが、さすがに体裁が悪いということで改造グッズをもちだしてきたのも空しく、妹たちの 部屋を宛がわれている。

そして、困ったことが訪れた。
学校へ行くには制服があるからいいのだ。
しかし、以前のように妹たちの服を勝手に拝借して着るわけにもいかない。
なぜならば客人ではなく、公然と黒崎家の一員として迎えられ、一護の父親には娘が増えたとまで言われる始末。

着るものも食べるもののなく、と泣き落としたのはいいが、実際に着るものに困っていた。
制服姿で一日中いるわけにもいかず、外に出るにもいつ虚が出るかもわからない。まして深夜などに出歩くこととなり、 そのまま制服で戦闘に突入すれば着替えようとあわせて2着しかない制服がっ。
以前、現世を去る前に制服姿で深夜に出歩いたことがあったが、警察官というものに捕まり、お説教をくらったことがある。
妹たちの服を借りようにも、本人のいるところで借りて着るというのもどうも心地がよくない。

着るものがない。
困った。
上記の理由からルキアは一護を(無理やり)伴って買い物に出かけることにしたのであった。


「服買うつったってよー。どこまでいくんだよ」

せっかくの休日で、今日は家でゴロゴロしようと決めていた一護は眉間に皺を寄せながら、ルキアの後をついていく。

「馬鹿者!買い物といえば場所はいろいろに決まっておろう!現世には死神衣装と違っていろいろとデザインというものがあるのだ。買うならば 気に入った物を探して買うのが当たり前であろうが」

ルキアが、尸魂界で石田雨竜からもらったワンピースを風に翻しながら振り返る。
着るものがないので、とりあえず貰ったものだし着ている現状だが、他に服がないのはルキアからしてみればかなり苦しい状況だった。

暑い中、汗をかいて服が汚れようがワンピース1枚。
どこの貧乏人だ。

ましてや4大貴族の姫と呼ばれても仕方のない身分にいるルキアには、着替えがないという状況は我慢できるものではなかった。
いざとなれば、一護の服を借りようと思っていたのだが、以前それをして後からかなり怒られた。





黒崎家に迎えられたルキアは、その日汗を流すために風呂にはいった。しかし、下着はあるものの着替えがない。困ったルキアは 、風呂上りにバスタオルを巻いただけという姿で一護の部屋を訪れた。

「着るものがない。服を貸せ」

そういって無断で部屋の扉をあけたとき、一護はベッドで寝転びながら勉強をしている最中だった。

「@★〇#$!!!」

言葉にならない悲鳴をあげて、飛び跳ねたかと思うと、顔を真っ赤にして視線をあわせようとせずに叫んだ。

「なんつーかっこしてやがんだ!」

「だから、服がないと言っている」

「そこのクローゼットに俺のがあるからとっとと何か着ろ!!」

一護の顔からは湯気が立ち上っている。
ルキアはクローゼットをのぞいて一護のTシャツを着たのだが(下着は着ていた)、あまりにぶかぶかでこれだけでもいいかと判断し、

「終わったぞ」

そう無造作に言い放った。
一護の視線がルキアに戻ると、一護は再び顔を赤くしながら

「何アニメかドラマみたいなベタな服の着かたをしてやがるーーーー!」

そう叫ぶので、ルキアはうるさいと肘鉄をかましたら、一護はベッドに沈没した。

なんでもこういうのは男を萌えさせるものの一つらしいと知ったのは、後で松本にこの話をしてからのこと。

「全く、たかが服1枚でそうぞうしい男だ。にしても、流石に大きいな」

ぶかぶかのTシャツのあまった部分をビローンと伸ばしながらつぶやいていると、コンコンと窓の外がノックされる。

一護は肘鉄が見事に顎にきまって伸びたままだ。
窓からノックとは、自分と同じ死神以外にはいないだろうと。ルキアは窓を開け放った。
スルリと音もたてずに入ってきたのは恋次だった。

「一護、すまねーなこんな時間に、ちょっと用が・・・・・ってブッ!」

恋次がみたものは、未だに髪から水を滴らせた、男物の大きなTシャツを着て、胸元とか太ももとかが露出しているルキアと、鼻血(肘鉄をくたっら衝撃で出た)を ドクドク流しながらベットにつっぷしている一護の姿だった。

ご丁寧に、シーツに血文字でルキアと犯人の名前を書いている・・・・。

恋次は、赤くなったかと思うと次に青くなって何故か黄色くなって(お前は信号か)、それからまた赤くなった。

「ルルルルルル、ルキア、ち、違うぞ、俺はのぞきにきたわけじゃねえ!」

「何がだ。見てのとおり一護は伸びているぞ。たたき起こそうか」

「っていうか何だこのシチュエーション!?は、まさか一護の野郎ルキアを襲ったのか!?」

錯乱している恋次の頭では、そういったことしか思い浮かばない。
そして、次の一言に恋次は心臓に刃をつきたてられた心境になった。

「違う。襲ったのは私だ(肘鉄をな←無論声にださずに)」

あんぐり。
恋次は固まった。

ツンツン。

一護のシャーペンでルキアがつつくも固まったままだ。

「だめだ、酒のみすぎたみてぇだ。これは幻覚だ。帰るか」

石から元に戻った恋次はやけに爽やかな笑顔をルキアにむけると、自分がきていた上着をルキアに羽織らせて、そのまま帰っていった。

幻覚でもルキアが一護の服一枚というのは納得がいかないし、まるで彼氏彼女のようで気分が悪い。自分の上着を羽織らせたのは半ば無意識だった。

「妙にリアルな幻覚だ・・・・。ちくしょう、一護にルキアはやらねーぞ」

屋根から屋根をつたいながら渡っていく恋次の独り言が、夜の闇に溶けていく。

「なんなのだ、全く」

全ては自分が元凶とは露知らず、ルキアは伸びている一護を放置で(ひでぇ)部屋を後にした。




そんなことがあって、次の日は休日ということもありルキアは一護を伴って買い物にでかけることにした。
当分の服を買うのだから、自分だけではもちきれない。荷物もちに一護は必要だ。

「一護、まずはあの店からだ!」

笑って、ルキアは一護の手をとって駆け出す。

「ってえええええランジェリーショップ!?!?待てルキア、俺は店の外でまっ・・・・」

「うるさい、黙っていついてこい」

足蹴りされながら、有無をいわせず店の中にひきこまれる。
当然、店内の客や店員の視線が一護に集中する。

「簡便してくれえええええええ」

さっそく女性ものの下着をルキアから手渡された(荷物もち係りに)一護は、ルキアがいない間の寂しさはどこへやら、今すぐ尸魂界にルキアを送り返したいとか 思いながら、天井を仰いでいた。

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