奴隷竜とSランク冒険者46
「魔族の知り合い?」
「そう。ボクの生まれた故郷の近くに、魔族の村があったんだよね。お互い不干渉を決めて、うまくやっていってたんだ」
「それで、その魔族たちはどうなったんだ?」
「魔大戦が終わって数百年たった後だったから、別に、普通だよ。迫害することもなく、迫害されることもなく」
「ふーん」
浮竹は、興味なさげに返事をした。
「その魔族の知り合いの女の子のフローラちゃんから、便りがきてね。藍染のところで侍女としてはたかされていたので、モレ草を藍染に盛って、隙をついて魔王城から逃げ出して、今この王都に滞在しているらしい」
「ふーん。お前、子供もの頃からたらしなんだな」
「ち、違うよ。フローラちゃんとはそんな関係じゃないよ!」
「どーだか。まぁ、魔族というだけで無視するのはかわいそうだな」
「でしょ。だから、故郷の村に戻してあげたいんだ。一緒にきてくれる?」
「気に食わんが、まぁいいだろう」
「ありがとう、浮竹!」
京楽は、浮竹に抱き着いてキスをした。
「んっ」
「はぁ・・・今すぐ、食べちゃいたい」
「昨日したばかりだろうが!」
「そりゃ、そうなんだけど」
京楽が、残念そうに浮竹から離れる。
「そのフローラちゃんって子が潜伏してる場所に急ぐぞ。他に人間に見つかったら、今は魔王の藍染が人間と敵対関係にあるから、どういう目にあうか分からない」
「そ、そうだね」
急いで、フローラが潜伏している、罪人などがたむろする酒場にやってきた。
浮竹の容姿は美しく人目をひくので、目深にフードを被っていた。
「あ、京楽君!」
「やあ、フローラちゃん。元気にしてた?」
「うん。ここなら、魔族でも受け入れてくれるから・・・・・」
「侍女っていうから、女の子と思ったけど男の子だったのか」
浮竹は、筋肉ムキムキのフローラを見て、髪も短かったので、男だと思った。
「やだぁ、浮竹さんだっけ?京楽さんの便りから知ったけど、あたし女よ?見た目はこうだから、よく男に間違われるけど。ちなみに、藍染から夜を共に過ごそうとか言われたわ。モレ草盛って、逃げてきちゃたけど」
「藍染のストライクゾーンが謎だ・・・・・・」
浮竹は、真剣に悩んでいた。
「じゃあ、ここを出て、ボクの故郷の村までいこう。護衛はボクらがするから。ワープポータルで一気に飛ぶから、しっかりついてきてね」
浮竹と京楽は、酒場を出ると裏路地に入り、ワープポータルの魔法で京楽の故郷の村にきていた。
「ここが、京楽の故郷か」
人がたくさんいて、どうやら収穫祭のようだった。
「あちゃー、よりによって収穫祭かい。親とかにいるのばれたら連れ戻されるから、急いで村をでて、魔族の村に行こう」
フローラは、魔族独特の褐色の肌に、尖った耳をもち、一見するとダークエルフに間違われそうだが、額にはえた角が魔族の証拠であった。
「みんな、元気にしてるかな」
「今は、藍染がいるからね。不干渉を貫いていたけど、どうなっていることやら」
フローラの住んでいた村までくると、厳しい警備があった。
「止まれ!人間が、魔族の村に何の用だ!」
「この子、フローラちゃんを保護したから、つれてきたんだよ」
「フローラ!お前、無事だったのか!藍染の手下の者に連れていかれた時は、もう死んだも同然と思っていたのに」
魔族の衛兵は、無事で元気そうなフローラを見て、魔族の村に浮竹と京楽を入れてくれた。
「今、この村でも収穫祭をしているんだ。人間との間には、協定同盟を結んで、仲良くしているが、念のために見張りはおいている。備蓄の麦を盗もうとするう輩がいるから、警戒を厳重にしているんだ」
「ああ、それでこんな大がかりな警備を・・・・・」
浮竹と京楽は、魔族の村で歓迎された。
収穫祭の時期ともあって、ワインと食べ物をごちそうになった。
「君は、京楽君だったかな。エートだよ。忘れたかな?」
「ああ、思い出した。魔族の村で一番足の速い、あのエートかい」
「そうだ。お前は不干渉を貫いていたこの魔族の村にもよく遊びにきていたからな。他の魔族も、お前とお前の連れなら安心だと思っている」
「そうだね。ボクは争いにきたんじゃないし」
「京楽、このワインうまいぞ。おかわりもらえるか」
浮竹は、ちゃっかり収穫祭を楽しんでいた。
「藍染なんかが登場して、俺たち魔族は身を寄せ合って暮らしている。魔族退治だと、なんの罪もない魔族が冒険者に殺される事件も起きている」
「そこらへんは、ギルドで意味のない魔族殺しは刑罰の対象となっているから、少ないと思うよ」
「そうだな。人間と魔族は今敵対しているが、魔族が人間を襲うこともあるが、逆に人間が魔族を襲うこともある。嫌な時代だ。魔大戦を思い出させる」
魔大戦。
かつて数百年前、魔族の王ルシドラとその配下の魔族たちが人間に戦争をけしかけて、10年に渡り争いは続き、勇者ヒムレムに魔王が倒されるまでの、渾沌の時代であった。
「魔大戦がまた起きそうな気配はしてるけどね。今はまだ大丈夫かな」
「京楽、Sランク冒険者になったんだったな。出世したな」
「うん。ああ、紹介してなかったね。こっちが浮竹っていって、ボクのパーティーメンバーで相方で恋人だよ」
浮竹は、ワインを飲みまくり、酔っていた。
「アイシクルブレス・・・・」
「わあああ、浮竹、やめなさい!!!」
「驚いたな。ドラゴン族か。これまた、珍しい種族をたらしこんだな」
「もう、みんななんでボクがたらしこむとか言うのかな」
京楽は、不満そうであった。
「だって、子供の頃のお前は人間、魔族、亜人種関係なく、綺麗なお姉さんお兄さんを見たら声かけまくっていただろう」
「そうなのか、京楽。浮気は許さんぞ」
「浮竹は飲みすぎ。もうワイン飲んじゃだめ!」
「京楽の浮気者おおおお」
「ああもう、酒にのまれて・・・」
京楽は、完全に酔いつぶれた浮竹を抱えて、村の一軒屋を貸してもらい、1日だけ滞在することにした。
「星が回ってる~~~」
「だから、飲みすぎだよ浮竹」
「もっと食えるぞおおお」
「あんだけ食べておきながら、まだ食べたりないの!?」
「ふにゃあああ」
「はぁ。だめだこりゃ」
浮竹と京楽は、次の日京楽の村の様子を見てから、ワープポータルで帰ろうとした。
「春水!春水じゃないのか!」
「げ、やば、兄さんだ!いくよ、浮竹」
「え、あいさつとかしなくていいのか京楽」
「ボクの家、一応上流貴族なんだよね。捕まったら、貴族としての生き方を強いられる」
「じゃあ、戻ろう。俺たちの宿屋へ」
「うん」
「春水、待ちなさい!」
「ばいばい、兄さん。父さんと母さんには、元気でやってるって言っておいて」
京楽はそれだけを言い残すと、浮竹と一緒に王都の宿屋前にワープポータルの魔法で移動した。
「お前には、親兄弟がいるのが羨ましい」
「そういう浮竹にも、マザードラゴンやサンシャインドラゴン、インフェルノドラゴンといった母や兄弟がいるじゃない」
「俺は、もっと普通の兄弟が欲しかった。多分、人間に憧れていたんだろうな」
「奴隷にされていたのに?」
「それでも。人間が、羨ましかった」
感傷にひたりそうな中、浮竹のお腹が盛大になった。
「朝飯、食ってなかったな」
「待ってて。今何か買ってくるから」
「そうだな。たまにはお前の手料理以外の飯も食いたい」
「5人前で足りる?」
「7人前で」
「ほんと、君はよく食べるねぇ」
「うるさい、ほっとけ」
「まぁ、好き嫌いがないだけましかな」
魔族は魔王藍染を中心に、ゆっくりと世界を蝕み、魔大戦のような世界になろうと動き出していた。
「そう。ボクの生まれた故郷の近くに、魔族の村があったんだよね。お互い不干渉を決めて、うまくやっていってたんだ」
「それで、その魔族たちはどうなったんだ?」
「魔大戦が終わって数百年たった後だったから、別に、普通だよ。迫害することもなく、迫害されることもなく」
「ふーん」
浮竹は、興味なさげに返事をした。
「その魔族の知り合いの女の子のフローラちゃんから、便りがきてね。藍染のところで侍女としてはたかされていたので、モレ草を藍染に盛って、隙をついて魔王城から逃げ出して、今この王都に滞在しているらしい」
「ふーん。お前、子供もの頃からたらしなんだな」
「ち、違うよ。フローラちゃんとはそんな関係じゃないよ!」
「どーだか。まぁ、魔族というだけで無視するのはかわいそうだな」
「でしょ。だから、故郷の村に戻してあげたいんだ。一緒にきてくれる?」
「気に食わんが、まぁいいだろう」
「ありがとう、浮竹!」
京楽は、浮竹に抱き着いてキスをした。
「んっ」
「はぁ・・・今すぐ、食べちゃいたい」
「昨日したばかりだろうが!」
「そりゃ、そうなんだけど」
京楽が、残念そうに浮竹から離れる。
「そのフローラちゃんって子が潜伏してる場所に急ぐぞ。他に人間に見つかったら、今は魔王の藍染が人間と敵対関係にあるから、どういう目にあうか分からない」
「そ、そうだね」
急いで、フローラが潜伏している、罪人などがたむろする酒場にやってきた。
浮竹の容姿は美しく人目をひくので、目深にフードを被っていた。
「あ、京楽君!」
「やあ、フローラちゃん。元気にしてた?」
「うん。ここなら、魔族でも受け入れてくれるから・・・・・」
「侍女っていうから、女の子と思ったけど男の子だったのか」
浮竹は、筋肉ムキムキのフローラを見て、髪も短かったので、男だと思った。
「やだぁ、浮竹さんだっけ?京楽さんの便りから知ったけど、あたし女よ?見た目はこうだから、よく男に間違われるけど。ちなみに、藍染から夜を共に過ごそうとか言われたわ。モレ草盛って、逃げてきちゃたけど」
「藍染のストライクゾーンが謎だ・・・・・・」
浮竹は、真剣に悩んでいた。
「じゃあ、ここを出て、ボクの故郷の村までいこう。護衛はボクらがするから。ワープポータルで一気に飛ぶから、しっかりついてきてね」
浮竹と京楽は、酒場を出ると裏路地に入り、ワープポータルの魔法で京楽の故郷の村にきていた。
「ここが、京楽の故郷か」
人がたくさんいて、どうやら収穫祭のようだった。
「あちゃー、よりによって収穫祭かい。親とかにいるのばれたら連れ戻されるから、急いで村をでて、魔族の村に行こう」
フローラは、魔族独特の褐色の肌に、尖った耳をもち、一見するとダークエルフに間違われそうだが、額にはえた角が魔族の証拠であった。
「みんな、元気にしてるかな」
「今は、藍染がいるからね。不干渉を貫いていたけど、どうなっていることやら」
フローラの住んでいた村までくると、厳しい警備があった。
「止まれ!人間が、魔族の村に何の用だ!」
「この子、フローラちゃんを保護したから、つれてきたんだよ」
「フローラ!お前、無事だったのか!藍染の手下の者に連れていかれた時は、もう死んだも同然と思っていたのに」
魔族の衛兵は、無事で元気そうなフローラを見て、魔族の村に浮竹と京楽を入れてくれた。
「今、この村でも収穫祭をしているんだ。人間との間には、協定同盟を結んで、仲良くしているが、念のために見張りはおいている。備蓄の麦を盗もうとするう輩がいるから、警戒を厳重にしているんだ」
「ああ、それでこんな大がかりな警備を・・・・・」
浮竹と京楽は、魔族の村で歓迎された。
収穫祭の時期ともあって、ワインと食べ物をごちそうになった。
「君は、京楽君だったかな。エートだよ。忘れたかな?」
「ああ、思い出した。魔族の村で一番足の速い、あのエートかい」
「そうだ。お前は不干渉を貫いていたこの魔族の村にもよく遊びにきていたからな。他の魔族も、お前とお前の連れなら安心だと思っている」
「そうだね。ボクは争いにきたんじゃないし」
「京楽、このワインうまいぞ。おかわりもらえるか」
浮竹は、ちゃっかり収穫祭を楽しんでいた。
「藍染なんかが登場して、俺たち魔族は身を寄せ合って暮らしている。魔族退治だと、なんの罪もない魔族が冒険者に殺される事件も起きている」
「そこらへんは、ギルドで意味のない魔族殺しは刑罰の対象となっているから、少ないと思うよ」
「そうだな。人間と魔族は今敵対しているが、魔族が人間を襲うこともあるが、逆に人間が魔族を襲うこともある。嫌な時代だ。魔大戦を思い出させる」
魔大戦。
かつて数百年前、魔族の王ルシドラとその配下の魔族たちが人間に戦争をけしかけて、10年に渡り争いは続き、勇者ヒムレムに魔王が倒されるまでの、渾沌の時代であった。
「魔大戦がまた起きそうな気配はしてるけどね。今はまだ大丈夫かな」
「京楽、Sランク冒険者になったんだったな。出世したな」
「うん。ああ、紹介してなかったね。こっちが浮竹っていって、ボクのパーティーメンバーで相方で恋人だよ」
浮竹は、ワインを飲みまくり、酔っていた。
「アイシクルブレス・・・・」
「わあああ、浮竹、やめなさい!!!」
「驚いたな。ドラゴン族か。これまた、珍しい種族をたらしこんだな」
「もう、みんななんでボクがたらしこむとか言うのかな」
京楽は、不満そうであった。
「だって、子供の頃のお前は人間、魔族、亜人種関係なく、綺麗なお姉さんお兄さんを見たら声かけまくっていただろう」
「そうなのか、京楽。浮気は許さんぞ」
「浮竹は飲みすぎ。もうワイン飲んじゃだめ!」
「京楽の浮気者おおおお」
「ああもう、酒にのまれて・・・」
京楽は、完全に酔いつぶれた浮竹を抱えて、村の一軒屋を貸してもらい、1日だけ滞在することにした。
「星が回ってる~~~」
「だから、飲みすぎだよ浮竹」
「もっと食えるぞおおお」
「あんだけ食べておきながら、まだ食べたりないの!?」
「ふにゃあああ」
「はぁ。だめだこりゃ」
浮竹と京楽は、次の日京楽の村の様子を見てから、ワープポータルで帰ろうとした。
「春水!春水じゃないのか!」
「げ、やば、兄さんだ!いくよ、浮竹」
「え、あいさつとかしなくていいのか京楽」
「ボクの家、一応上流貴族なんだよね。捕まったら、貴族としての生き方を強いられる」
「じゃあ、戻ろう。俺たちの宿屋へ」
「うん」
「春水、待ちなさい!」
「ばいばい、兄さん。父さんと母さんには、元気でやってるって言っておいて」
京楽はそれだけを言い残すと、浮竹と一緒に王都の宿屋前にワープポータルの魔法で移動した。
「お前には、親兄弟がいるのが羨ましい」
「そういう浮竹にも、マザードラゴンやサンシャインドラゴン、インフェルノドラゴンといった母や兄弟がいるじゃない」
「俺は、もっと普通の兄弟が欲しかった。多分、人間に憧れていたんだろうな」
「奴隷にされていたのに?」
「それでも。人間が、羨ましかった」
感傷にひたりそうな中、浮竹のお腹が盛大になった。
「朝飯、食ってなかったな」
「待ってて。今何か買ってくるから」
「そうだな。たまにはお前の手料理以外の飯も食いたい」
「5人前で足りる?」
「7人前で」
「ほんと、君はよく食べるねぇ」
「うるさい、ほっとけ」
「まぁ、好き嫌いがないだけましかな」
魔族は魔王藍染を中心に、ゆっくりと世界を蝕み、魔大戦のような世界になろうと動き出していた。
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