柚子風呂
「やぁ、きもちいいね」
湯殿を借り切って、柚子風呂にしてみた。
浮竹も京楽も、バスタオルを腰にまいたまま、風呂に浸かった。
浮竹は、髪が長いので結い上げて、翡翠の髪飾りで留めていた。京楽はというと、一つにくくっただけで長めの髪を結ってはいなかった。
「はー。落ち着くなぁ」
この時間、湯殿はいつも死神たちが利用していて、浮竹と京楽は、雨乾堂の近くに建てられた小さな風呂にいつも入るのだが、広い湯殿に入るのも好きだった。
いわゆる公共浴場だ、今の場所は。
それを、隊長権限で貸し切りにした。隊舎内には、他にも風呂が設置されているので、文句をいってくる死神はいなかった。
「柚子風呂なんて、思い切った真似をしたな」
いくら柚子が手に入る季節とはいえ、この広さの湯を柚子風呂にするくらいの柚子を買ったのだ。それなりの金はかかっているだろう。
「七緒ちゃんからもらった、バスグッズに、柚子の元っていう入浴剤があってねぇ。香がよかったから、いっそ本物の柚子風呂に入ろうと思ってね」
是非、浮竹にも味わってもらいたいのだと、広めの湯殿を貸し切って、柚子を浮かべてみた。
ぷかぷかと湯を漂う柚子を沈めたり浮かべたりして、京楽は遊んでいた。
浮竹は、赤子の頃に花の神に捧げられたせいで、肌や髪から甘い花の香がする。でも、ちゃんとシャンプーや石鹸の匂いだってした。
泳げるくらいの広さの柚子風呂に、肩まで浸かる。
湯船からでると、互いの長い髪を洗いあった。
浮竹の髪は特に長いので、洗うのに時間がかかる。いつもはシャンプーだけなのだが、今日は京楽がバスグッズをもってきているせいで、リンスにトリートメントまでされた。
「京楽、シャンプーだけで十分だろ」
「だめだめ!君のサラサラの髪をもっとサラサラのつやつやにするんだよ!」
そうしたところで、喜ぶのが京楽一人なのだが。
「浮竹、また痩せたかい?」
背中を洗ってくれている京楽が、ふと浮竹のわき腹を撫でる。肋骨が浮かんでいるような酷いものではないが、さわると肋骨の位置が分かった。
「ちゃんと食べてるぞ」
「もっと筋肉がつくように、よく食べて運動しないとね」
浮竹の食の細さは知っていた。
だから、甘味ものを与えて少し太らせようとするのだが、甘味ものをいくら食っても太らないのだ、浮竹は。
女性死神の敵だなと思いつつ、背中に湯をかけてやった。
「今度は、俺がお前の背中を流そう」
京楽を座らせて、石鹸で泡立てたスポンジで京楽の背中を洗っていく。京楽は毛深いので、背中まで毛が生えていた。
「浮竹はすべすべだねぇ」
「そういうお前はもじゃもじゃだな」
二人して、また柚子風呂に入る。洗った髪をまとめいた髪飾りをとられて、浮竹の長い白い髪が湯の中を泳いだ。
「おい、京楽」
「僕たち以外誰もいないんだから、いいじゃない」
「しかし・・・・・」
次に入る者がいて、もしも長い髪が漂っていては気持ち悪いだろうと思った。
「ああ、この後湯をぬいて風呂掃除してもらうから。心配はいらないよ」
「そうか?」
「浮竹、浮竹!」
名を呼ばれてはっとする。
いつの間にか、浴衣姿になっていた。
「どうしたんだ、俺は?」
「湯あたりしてのぼせて倒れたんだよ」
「・・・・長いこと湯に浸かっていたからな」
京楽がでても、まだ湯に浸かっていた。柚子の香が気に入って。
「ほら、氷水」
受け取って、飲んでいくと火照った体も冷えていく気がした。
「柚子風呂・・・・・今度は、雨乾堂の風呂で入るか」
狭くも広くもない、雨乾堂の備え付けの湯船は、温泉の元を少し多めにいれたらいいだろう。柚子を浮かべてまた柚子湯に入るのも悪くない。
「何してるんだ京楽?」
浮竹の髪をすんすんとかいでいる、京楽の頭をどけようとする。
「ちゃんと、柚子の匂いもする。君の香の上から上書きされたみたいに、柚子の香が匂い立って・・・・・なんか、湯上りのせいもあるのかもしれないけど、すごいエロいね」
「お前の頭はそういうことしか考えないのか!」
京楽の脛を蹴ると、京楽が覆いかぶさってきた。
「柚子の匂いがするね」
「それはお前もだろう」
触れるままに口付けを交わす。
京楽の柚子の匂いに、浮竹はクラリときた。
京楽の肩にかみつくと、京楽は笑って浮竹を抱き上げて、雨乾堂の布団の上に横たえた。
「夜はこれからだよ?」
「・・・・加減しろよ」
浴衣を脱いでいく京楽の肩に、浮竹はもう一度噛みついた。
湯殿を借り切って、柚子風呂にしてみた。
浮竹も京楽も、バスタオルを腰にまいたまま、風呂に浸かった。
浮竹は、髪が長いので結い上げて、翡翠の髪飾りで留めていた。京楽はというと、一つにくくっただけで長めの髪を結ってはいなかった。
「はー。落ち着くなぁ」
この時間、湯殿はいつも死神たちが利用していて、浮竹と京楽は、雨乾堂の近くに建てられた小さな風呂にいつも入るのだが、広い湯殿に入るのも好きだった。
いわゆる公共浴場だ、今の場所は。
それを、隊長権限で貸し切りにした。隊舎内には、他にも風呂が設置されているので、文句をいってくる死神はいなかった。
「柚子風呂なんて、思い切った真似をしたな」
いくら柚子が手に入る季節とはいえ、この広さの湯を柚子風呂にするくらいの柚子を買ったのだ。それなりの金はかかっているだろう。
「七緒ちゃんからもらった、バスグッズに、柚子の元っていう入浴剤があってねぇ。香がよかったから、いっそ本物の柚子風呂に入ろうと思ってね」
是非、浮竹にも味わってもらいたいのだと、広めの湯殿を貸し切って、柚子を浮かべてみた。
ぷかぷかと湯を漂う柚子を沈めたり浮かべたりして、京楽は遊んでいた。
浮竹は、赤子の頃に花の神に捧げられたせいで、肌や髪から甘い花の香がする。でも、ちゃんとシャンプーや石鹸の匂いだってした。
泳げるくらいの広さの柚子風呂に、肩まで浸かる。
湯船からでると、互いの長い髪を洗いあった。
浮竹の髪は特に長いので、洗うのに時間がかかる。いつもはシャンプーだけなのだが、今日は京楽がバスグッズをもってきているせいで、リンスにトリートメントまでされた。
「京楽、シャンプーだけで十分だろ」
「だめだめ!君のサラサラの髪をもっとサラサラのつやつやにするんだよ!」
そうしたところで、喜ぶのが京楽一人なのだが。
「浮竹、また痩せたかい?」
背中を洗ってくれている京楽が、ふと浮竹のわき腹を撫でる。肋骨が浮かんでいるような酷いものではないが、さわると肋骨の位置が分かった。
「ちゃんと食べてるぞ」
「もっと筋肉がつくように、よく食べて運動しないとね」
浮竹の食の細さは知っていた。
だから、甘味ものを与えて少し太らせようとするのだが、甘味ものをいくら食っても太らないのだ、浮竹は。
女性死神の敵だなと思いつつ、背中に湯をかけてやった。
「今度は、俺がお前の背中を流そう」
京楽を座らせて、石鹸で泡立てたスポンジで京楽の背中を洗っていく。京楽は毛深いので、背中まで毛が生えていた。
「浮竹はすべすべだねぇ」
「そういうお前はもじゃもじゃだな」
二人して、また柚子風呂に入る。洗った髪をまとめいた髪飾りをとられて、浮竹の長い白い髪が湯の中を泳いだ。
「おい、京楽」
「僕たち以外誰もいないんだから、いいじゃない」
「しかし・・・・・」
次に入る者がいて、もしも長い髪が漂っていては気持ち悪いだろうと思った。
「ああ、この後湯をぬいて風呂掃除してもらうから。心配はいらないよ」
「そうか?」
「浮竹、浮竹!」
名を呼ばれてはっとする。
いつの間にか、浴衣姿になっていた。
「どうしたんだ、俺は?」
「湯あたりしてのぼせて倒れたんだよ」
「・・・・長いこと湯に浸かっていたからな」
京楽がでても、まだ湯に浸かっていた。柚子の香が気に入って。
「ほら、氷水」
受け取って、飲んでいくと火照った体も冷えていく気がした。
「柚子風呂・・・・・今度は、雨乾堂の風呂で入るか」
狭くも広くもない、雨乾堂の備え付けの湯船は、温泉の元を少し多めにいれたらいいだろう。柚子を浮かべてまた柚子湯に入るのも悪くない。
「何してるんだ京楽?」
浮竹の髪をすんすんとかいでいる、京楽の頭をどけようとする。
「ちゃんと、柚子の匂いもする。君の香の上から上書きされたみたいに、柚子の香が匂い立って・・・・・なんか、湯上りのせいもあるのかもしれないけど、すごいエロいね」
「お前の頭はそういうことしか考えないのか!」
京楽の脛を蹴ると、京楽が覆いかぶさってきた。
「柚子の匂いがするね」
「それはお前もだろう」
触れるままに口付けを交わす。
京楽の柚子の匂いに、浮竹はクラリときた。
京楽の肩にかみつくと、京楽は笑って浮竹を抱き上げて、雨乾堂の布団の上に横たえた。
「夜はこれからだよ?」
「・・・・加減しろよ」
浴衣を脱いでいく京楽の肩に、浮竹はもう一度噛みついた。
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