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梅雨

「梅雨か」

しとしとと降る雨の音に耳を傾ける。

「(*´Д`)ハァハァ」

隣のベッドで一人喘いでいる変態は無視する。

「浮竹~構ってよ~~」

京楽は、浮竹に無視され続けたことで機嫌を損ねていた。

しかし、浮竹にとってはそんな京楽のことなんてどうでもいい。明日の座学の提出用の課題をすることのほうが重要だった。

「ねー浮竹ってば」

「うるさい」

げしっと、その脛を蹴り上げてやると、京楽は痛みにのたうち回りながらも息を荒くしていた。

「(*´Д`)ハァハァ・・・・梅雨の浮竹。雨に濡れて体のラインが・・・・・・」

変態なことを想像しはじめる京楽の頭を、辞書の角で殴ると、京楽は何も言わなくなった。

15分ほどの沈黙。

課題は終わってしまった。

やっと意識の戻った京楽は、浮竹に抱き着いた。

「最近浮竹成分が足りない!補充!」

ハグをしてくる京楽を背負い投げして、ベッドに放り投げた。

「ああもう、むし暑くてただでさえイライラするんだ!ひっつくな!」

「( ゚Д゚)ひどい!僕とのことは遊びだったのね!」

「ああそうだ、全部遊びだ。遊びだ」

遊ぶも何も、京楽が浮竹に一歩的に懸想していて、変態になってしまっているのだが。

浮竹命になっている京楽は、浮竹のパンツを盗んだり、盗み撮りをしたり、お風呂をのぞいたり、とにかくろくなことをしない。

恋人同士ではない。されと友人とカテゴライズするには、あまりにも親密すぎる。

キスとハグまでは、浮竹は許していた。

京楽は、浮竹の背後から抱き着いた。

「ああもう、暑苦し・・・・・んんっ」

唇に唇を重ねる。

最初は触れるだけ。

やがて舌を絡ませあって、京楽は浮竹を自分のベッドに押し倒していた。

「んんっ」

咥内を、舌で蹂躙する。

歯茎に沿って舌を這わせて、あふれ出した唾液を飲み込んで、3分ほどずっとディープキスをしていた。

そのまま、京楽の手が浮竹の服の裾から入ってくる。

「だから、俺は、その気はないと、いつも言っている」

京楽の股間を蹴り上げて、浮竹は乱れた衣服を整えた。

しとしとと、雨の音が聞こえる。

梅雨に入っても、京楽は京楽のままで、浮竹は浮竹のままだ。

キスとハグまではOK。それ以上はNG。

「のああああああ」

股間を蹴られて、のたうちまわっている京楽を蹴り転がして、浮竹は夕食をとりに学院の食堂まで出かけた。

途中、いつも隣にへばりついている京楽がいないので、他の友人たちと夕食を食べた。

食堂から帰ってくると、京楽はベランダにいた。

雨のせいでかわいていない浮竹のパンツをもって、スーハースーハーと匂いをかいでいた。

「死ね」

頭突きを食らわせて、パンツを奪い取って干しなおすと、京楽をす巻きにして京楽のベッドの上に転がしておいた。

「おなか減ったよ・・・・」

す巻きにされて、でも京楽は喜んでいた。

「ごはん、食べさせてー」

浮竹はす巻きの京楽の前に、持ち帰ってきた食堂のお弁当を出してやった。

変態京楽であるが、一応は友人だ。

ご飯を食べそこねるのはかわいそうだと、一応買ってきておいたのだ。

京楽はす巻きになったまま犬食いした。

浮竹の前では、プライドも何もない。

「お前、本当に上流貴族か?」

浮竹の最もな質問に、京楽が答える。

「んー、多分そう」

「そうか。まぁ変態だしな」

「うん。浮竹のことになると変態になるんだ」

自分で変態と認めているのだから、手の施しようがない。

しとしと。

雨はやまない。

梅雨はじめじめして嫌いだと、浮竹は思った。

京楽は、じめじめしていようが浮竹がいればそれでいいので、季節なんて関係ない。

梅雨入りしはじめたばかりの季節。

今日も浮竹と京楽は、友人以上恋人未満の関係で、それでもって京楽をす巻きにしたりして自己防衛をしているのだった。



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