比翼の鳥Ⅱ
「好きだよ。愛している」
そう言われて、2年が過ぎた。
浮竹の髪は、京楽が伸ばせといったまま、もう肩の位置まで伸びてしまった。
ぬるま湯のような関係は、破局の冷水にならずに、想いの通じ会う熱湯になった。
京楽の想いを受け入れて、熱湯になった。
浮竹は、かくも儚く、白い髪に、白い肌、翡翠の瞳に、鍛錬をつんであるわりにはあまり筋肉がついていなかった。
そんな浮竹を、京楽は美しいと思った。
秀麗な容姿のせいで、浮竹は女にもてた。女好きの京楽ほどではないが、もてた。
京楽の想いを知っているのか知っていないのか、今はそんなことを考えれないからと、告白してきた女生徒を振ったのは、半年前のこと。
この前も告白されたが、好きな人がいると、はっきりと断った。
浮竹は、かくも儚い。
真っ白になった髪は、肺の病のせいだ。
今でも、血を吐いて倒れる。
そのたびに、京楽の世話になった。
そんな京楽の想いに、気づいたのは院生になって2年目の夏だった。
今までにない、大きな吐血をして、生死の境を彷徨った。京楽は泊まりこみで浮竹の面倒をみて、命が儚くなっていく浮竹に、憔悴しきった表情で、戻って来いと囁いた。
京楽の想いが通じたのか、浮竹は一命を取り留めた。山本元柳斎重國が、死神の救護施設である4番隊の隊長を呼んでくれたお陰だった。
山じいも、たまにはいいことするね。
京楽は、そう山本元柳斎重國に礼をして、浮竹の元に戻った。
悲しいほどに、体重が落ちて痩せてしまった。
数週間も寝込み、意識を取り戻した浮竹は、自分が生きているのが不思議なくらいだと思った。
点滴の管をつながれた腕は、自分が覚えている腕より細くなっていた。
「愛してるよ、浮竹」
憔悴しきった京楽の言葉に、浮竹は自然と答えていた。
「俺も、愛して・・・る・・・・・・」
「本当に?」
京楽の瞳が、一気に輝きを戻した。憔悴しきっていた表情は、歓喜で笑みが刻まれていた。
「その言葉、信じてもいいんだね?」
「ああ・・・・・・・」
まだ弱弱しい浮竹を気遣い、京楽はその手を握るのが精いっぱいだった。
それから、半月が経った。
病は大分いえ、学業にも復帰した。遅れを取り戻そうと躍起な浮竹の傍に、京楽は常に傍にいた。
比翼の鳥は、愛を覚えた。
意識を取り戻して、元気になって半月。
はじめての、意識がある浮竹とのキスは、甘すぎた。
「も、やぁっ」
何度も、深く口づけられた。いやになるほどに。
「まだ、先があるんだよ?今日はここで我慢するけど」
潤んだ翡翠の瞳に浮かんだ涙を吸い取って、京楽は悲愴的になりそうなほど痩せていた浮竹の、少し肉がついてきた体をかき抱いた。
自分の想いをぶつけるには、まだ浮竹はうぶすぎる。
少しずつ、教えていけばいい。どれだけ、狂おしいほどに、京楽が浮竹を愛しているのかを。
「本当に、いいのかい?」
「ん・・・・」
大分肉がついて・・・・・それでもまだ細かったが、病的にやせていた頃に比べれば随分とましになった。
「僕は、君が愛しくて愛しくて、でも壊してしまうかもしれないよ?」
「大丈夫、だから・・・」
もう、覚悟は決めていた。
京楽の愛に答えたことで、肉体関係を持つことは避けれないものだと。お互い、まだ若すぎる。京楽は、女を買うことをやめ、浮竹だけを愛するようになった。浮竹だけを求めていた。
浮竹は、京楽に我慢をずっと強いていた。少しずつ、大人の関係を覚えていった。
7月の京楽の誕生日に、浮竹はプレゼントを用意しなかった。
ただ、代わりに、俺の全てをやると言われて、京楽は天を仰いだ。ようやく、浮竹の全てを手に入れられるのだ。
2年と半年かかった。
「嫌がっても、やめてあげない」
比翼の鳥たちは、欲望を覚えた。
「あっ、やっ・・・・」
薄い胸の先端を何度もつまみあげられ、かじられる。輪郭全部を愛部する手が、白い頬にあてられた。
「愛してるよ、浮竹」
浮竹は、こくりとうなずいて、体から力を抜いた。
「痛いかい?」
「んっ・・・・大丈夫・・・」
潤滑油で濡らされた指が、意思をもって浮竹の内部をせめる。蕾に三本も指をくわえて、浮竹は翻弄される熱の行き場を求めて、京楽の背に爪をたてた。
「あっ・・・・・・・・」
前立腺を刺激されて、浮竹は唇をかんだ。血がにじむ。
「だめだよ浮竹。ちゃんと、声聞かせて?」
血の出た唇を舐められ、深く口づけされる。浮竹は、京楽のキスが好きだった。何度もせがむ。
「あっ」
挿入された瞬間、衝撃で意識が飛びそうになった。性急ではなく、緩慢な、浮竹の体を気遣った行為であったが、それでも浮竹の負担は大きかった。
何せ、がたいのいい京楽のことだ。それをくわえこむ浮竹の内部を侵す熱は、相当のものだ。
「んっ・・・・・動いて、いいぞ」
時間をかけて、質量に慣らしていると、浮竹の了承がおりた。
「あ、あ!」
前立腺を突き上げてくる、少し乱暴な動きに、浮竹は涙を浮かべた。
「ごめん、もっと優しくするね」
きついのは京楽も同じだ。吸い付いてくる浮竹の内部を思いっきり犯して、熱を放ってやりたいが、初めてなのだ。優しく、優しくしてやるべきだ。
緩慢な動作で、挿入と抜くことを繰り返されて、浮竹は後ろで快楽を覚えられるのだと初めて知った。
「十四郎!」
何度も前立腺をこすりあげられて、浮竹のほうが最初に熱を放った。
真っ白になっていく世界。
それから、最奥を貫かれて、意識が飛びそうになる。
「愛してる・・・・・・・」:
じんわりと、腹の奥で放たれた熱を感じて、浮竹は瞼を閉じた。
瞼をあけると、京楽と視線があった。
お互い、少し恥ずかしそうに。
「春水・・・・・・・・もう、俺のものだ」
京楽は、浮竹の全てを手に入れたと思っていた。だが、それは浮竹も同じだった。
「あっ、あっ、もうやぁっ」
足首を捕まえられて、逃げることもできない。もう何度犯されたのか、覚えていない。最初は優しかったが、京楽が壊してしまうという台詞通りになっている状況。
結合部が、お互いの体液でぐちゃぐちゃだ。
浮竹の花茎を手でしごき、無理やり性を放たせると、浮竹が軽い悲鳴をあげた。
「春水っ!」
「十四郎。もう僕のものだ。絶対、誰にも渡さないよ」
欲望のこもった熱い瞳に射抜かれる。
浮竹の翡翠の瞳は、涙を浮かべて与えられる快楽という行為を受け止めていた。
「あっ。あーーーーーーーーー・・・・・・」
もう、性を放てない。でも、頭は真っ白になっている。初めてのオーガズムを経験して、浮竹の足が痙攣した。
「十四郎・・・・」
最後の熱を、浮竹の最奥にたたきつけて、京楽も果てた。もう、これ以上は交われない。
「気持ちよかった?」
逡巡気味にきくと、こくりと浮竹は頷いた。
手練手管で、浮竹を落とした。
もう、俺だけのものだ。
比翼の鳥は、交じりあうことを覚えた。
欲望を、お互いにぶつけあうことを覚えた。
もう、ただの比翼の鳥ではない。
「キス、して・・・・・」
浮竹の甘い声に、京楽は答る。浮竹はキスが好きだ。
舌をからめあう。
「痛いとこ、ない?」
「んー。腰が重い」
二人で、寮の個室備え付けの、狭い浴槽に入っていた。京楽の放った体液をかき出されて、その感覚にまたドライでいきそうになったが、浮竹はかろうじで我慢した。
体を洗われて、髪も洗われた。熱いシャワーを浴びて、お互いに身を清めた。
「また、今度も抱いていいかい?」
京楽も浮竹も若い。欲望は、すぐに出るだろう。
「もう少し、回数を制限するなら。月に2回くらいまでなら、OKだ」
「んーそう言わずに。1週間に1回にしようよ」
「無理!」
「そう言わずに」
比翼の鳥は、飛び立つことを覚え、お互いを支えながら愛を語る。
比翼の鳥は、愛を囁きながら、翼を羽ばたかす。
そして、数百年の時を刻むのだ。
そう言われて、2年が過ぎた。
浮竹の髪は、京楽が伸ばせといったまま、もう肩の位置まで伸びてしまった。
ぬるま湯のような関係は、破局の冷水にならずに、想いの通じ会う熱湯になった。
京楽の想いを受け入れて、熱湯になった。
浮竹は、かくも儚く、白い髪に、白い肌、翡翠の瞳に、鍛錬をつんであるわりにはあまり筋肉がついていなかった。
そんな浮竹を、京楽は美しいと思った。
秀麗な容姿のせいで、浮竹は女にもてた。女好きの京楽ほどではないが、もてた。
京楽の想いを知っているのか知っていないのか、今はそんなことを考えれないからと、告白してきた女生徒を振ったのは、半年前のこと。
この前も告白されたが、好きな人がいると、はっきりと断った。
浮竹は、かくも儚い。
真っ白になった髪は、肺の病のせいだ。
今でも、血を吐いて倒れる。
そのたびに、京楽の世話になった。
そんな京楽の想いに、気づいたのは院生になって2年目の夏だった。
今までにない、大きな吐血をして、生死の境を彷徨った。京楽は泊まりこみで浮竹の面倒をみて、命が儚くなっていく浮竹に、憔悴しきった表情で、戻って来いと囁いた。
京楽の想いが通じたのか、浮竹は一命を取り留めた。山本元柳斎重國が、死神の救護施設である4番隊の隊長を呼んでくれたお陰だった。
山じいも、たまにはいいことするね。
京楽は、そう山本元柳斎重國に礼をして、浮竹の元に戻った。
悲しいほどに、体重が落ちて痩せてしまった。
数週間も寝込み、意識を取り戻した浮竹は、自分が生きているのが不思議なくらいだと思った。
点滴の管をつながれた腕は、自分が覚えている腕より細くなっていた。
「愛してるよ、浮竹」
憔悴しきった京楽の言葉に、浮竹は自然と答えていた。
「俺も、愛して・・・る・・・・・・」
「本当に?」
京楽の瞳が、一気に輝きを戻した。憔悴しきっていた表情は、歓喜で笑みが刻まれていた。
「その言葉、信じてもいいんだね?」
「ああ・・・・・・・」
まだ弱弱しい浮竹を気遣い、京楽はその手を握るのが精いっぱいだった。
それから、半月が経った。
病は大分いえ、学業にも復帰した。遅れを取り戻そうと躍起な浮竹の傍に、京楽は常に傍にいた。
比翼の鳥は、愛を覚えた。
意識を取り戻して、元気になって半月。
はじめての、意識がある浮竹とのキスは、甘すぎた。
「も、やぁっ」
何度も、深く口づけられた。いやになるほどに。
「まだ、先があるんだよ?今日はここで我慢するけど」
潤んだ翡翠の瞳に浮かんだ涙を吸い取って、京楽は悲愴的になりそうなほど痩せていた浮竹の、少し肉がついてきた体をかき抱いた。
自分の想いをぶつけるには、まだ浮竹はうぶすぎる。
少しずつ、教えていけばいい。どれだけ、狂おしいほどに、京楽が浮竹を愛しているのかを。
「本当に、いいのかい?」
「ん・・・・」
大分肉がついて・・・・・それでもまだ細かったが、病的にやせていた頃に比べれば随分とましになった。
「僕は、君が愛しくて愛しくて、でも壊してしまうかもしれないよ?」
「大丈夫、だから・・・」
もう、覚悟は決めていた。
京楽の愛に答えたことで、肉体関係を持つことは避けれないものだと。お互い、まだ若すぎる。京楽は、女を買うことをやめ、浮竹だけを愛するようになった。浮竹だけを求めていた。
浮竹は、京楽に我慢をずっと強いていた。少しずつ、大人の関係を覚えていった。
7月の京楽の誕生日に、浮竹はプレゼントを用意しなかった。
ただ、代わりに、俺の全てをやると言われて、京楽は天を仰いだ。ようやく、浮竹の全てを手に入れられるのだ。
2年と半年かかった。
「嫌がっても、やめてあげない」
比翼の鳥たちは、欲望を覚えた。
「あっ、やっ・・・・」
薄い胸の先端を何度もつまみあげられ、かじられる。輪郭全部を愛部する手が、白い頬にあてられた。
「愛してるよ、浮竹」
浮竹は、こくりとうなずいて、体から力を抜いた。
「痛いかい?」
「んっ・・・・大丈夫・・・」
潤滑油で濡らされた指が、意思をもって浮竹の内部をせめる。蕾に三本も指をくわえて、浮竹は翻弄される熱の行き場を求めて、京楽の背に爪をたてた。
「あっ・・・・・・・・」
前立腺を刺激されて、浮竹は唇をかんだ。血がにじむ。
「だめだよ浮竹。ちゃんと、声聞かせて?」
血の出た唇を舐められ、深く口づけされる。浮竹は、京楽のキスが好きだった。何度もせがむ。
「あっ」
挿入された瞬間、衝撃で意識が飛びそうになった。性急ではなく、緩慢な、浮竹の体を気遣った行為であったが、それでも浮竹の負担は大きかった。
何せ、がたいのいい京楽のことだ。それをくわえこむ浮竹の内部を侵す熱は、相当のものだ。
「んっ・・・・・動いて、いいぞ」
時間をかけて、質量に慣らしていると、浮竹の了承がおりた。
「あ、あ!」
前立腺を突き上げてくる、少し乱暴な動きに、浮竹は涙を浮かべた。
「ごめん、もっと優しくするね」
きついのは京楽も同じだ。吸い付いてくる浮竹の内部を思いっきり犯して、熱を放ってやりたいが、初めてなのだ。優しく、優しくしてやるべきだ。
緩慢な動作で、挿入と抜くことを繰り返されて、浮竹は後ろで快楽を覚えられるのだと初めて知った。
「十四郎!」
何度も前立腺をこすりあげられて、浮竹のほうが最初に熱を放った。
真っ白になっていく世界。
それから、最奥を貫かれて、意識が飛びそうになる。
「愛してる・・・・・・・」:
じんわりと、腹の奥で放たれた熱を感じて、浮竹は瞼を閉じた。
瞼をあけると、京楽と視線があった。
お互い、少し恥ずかしそうに。
「春水・・・・・・・・もう、俺のものだ」
京楽は、浮竹の全てを手に入れたと思っていた。だが、それは浮竹も同じだった。
「あっ、あっ、もうやぁっ」
足首を捕まえられて、逃げることもできない。もう何度犯されたのか、覚えていない。最初は優しかったが、京楽が壊してしまうという台詞通りになっている状況。
結合部が、お互いの体液でぐちゃぐちゃだ。
浮竹の花茎を手でしごき、無理やり性を放たせると、浮竹が軽い悲鳴をあげた。
「春水っ!」
「十四郎。もう僕のものだ。絶対、誰にも渡さないよ」
欲望のこもった熱い瞳に射抜かれる。
浮竹の翡翠の瞳は、涙を浮かべて与えられる快楽という行為を受け止めていた。
「あっ。あーーーーーーーーー・・・・・・」
もう、性を放てない。でも、頭は真っ白になっている。初めてのオーガズムを経験して、浮竹の足が痙攣した。
「十四郎・・・・」
最後の熱を、浮竹の最奥にたたきつけて、京楽も果てた。もう、これ以上は交われない。
「気持ちよかった?」
逡巡気味にきくと、こくりと浮竹は頷いた。
手練手管で、浮竹を落とした。
もう、俺だけのものだ。
比翼の鳥は、交じりあうことを覚えた。
欲望を、お互いにぶつけあうことを覚えた。
もう、ただの比翼の鳥ではない。
「キス、して・・・・・」
浮竹の甘い声に、京楽は答る。浮竹はキスが好きだ。
舌をからめあう。
「痛いとこ、ない?」
「んー。腰が重い」
二人で、寮の個室備え付けの、狭い浴槽に入っていた。京楽の放った体液をかき出されて、その感覚にまたドライでいきそうになったが、浮竹はかろうじで我慢した。
体を洗われて、髪も洗われた。熱いシャワーを浴びて、お互いに身を清めた。
「また、今度も抱いていいかい?」
京楽も浮竹も若い。欲望は、すぐに出るだろう。
「もう少し、回数を制限するなら。月に2回くらいまでなら、OKだ」
「んーそう言わずに。1週間に1回にしようよ」
「無理!」
「そう言わずに」
比翼の鳥は、飛び立つことを覚え、お互いを支えながら愛を語る。
比翼の鳥は、愛を囁きながら、翼を羽ばたかす。
そして、数百年の時を刻むのだ。
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