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小説掲載プログ
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院生時代の部屋 夕日に照らされて

その日、浮竹は熱を出した。

京楽は学院から帰ってくると、つきっきりで看病した。

「何か食べたいものある?」

「柘榴が・・・・食べたい」

「ええ!季節じゃないから、売ってないよ」

「じゃあ、桃」

「それも無理」

「じゃあ、京楽」

「はーい('ω')ノ」

京楽はばっと脱ぎだすと、浮竹の傍にぴったりとくっついた。ぱんつははいていた。

「冗談だ・・・りんごでいい」

「りんごね。買ってくるよ」

パンツ一丁だったので、服をきて下町の市にやってきた。

「りんごりんご・・・お、まじ。柘榴売ってるじゃない」

京楽は、りんごを2つと柘榴を3つ買った。

「浮竹、起きてるかい!」

浮竹は、眠っていた。

「よく眠ってる・・・・」

ごそごそと、浮竹の隣に寝転んで、京楽も眠りだした。

「起きろ、おい、起きろ!」

揺さぶられて、京楽は目を開けた。

「浮竹!熱は下がったかい!」

「まだだ。あんまり近くに寄るな。起きたらお前の顔が隣にあって、びっくりした。俺は今風邪なんだ。あんまり近くにいられたら、うつしてしまう」

「僕なら大丈夫。かかってもすぐに薬飲めば治るほうだから」

「お前はいいな・・・・」

浮竹は、心底京楽を羨ましがった。風邪をひいて重症になって寝込む自分とは大違いだと。

「そうそう、りんごと柘榴買ってきたよ」

「柘榴?季節じゃないんじゃなかったのか?」

「そうなんだけど、たまたま売ってたんだ。食べるかい?」

「食べる」

適当にカットして、爪楊枝をつけた。

「はい、あーん」

「自分で食える」

「だめだめ。まだ熱があるからね。はいあーん」

仕方なしに口をあけると、柘榴の味が甘く口の中に浸透していった。

1個分食べ終わると、夕食を食べていなかったので、もう1個食べたいというと、まだあるのか、またカットしたものを口のまえにもってこられた。

それを口にして、腹が減ったと訴えた。

すでに置いてあった、少し冷めた卵粥を渡されて、それをできるだけ食べた。

お腹が減った感触はあるが、食欲はあまりなくて、半分も食べれなかった。

「もういい・・・・」

「味付けが悪かった?うちの料理人に作らせたんだけど」

「味はおいしかった。ただ、食欲がないんだ。腹はへっていたが、食欲がわかない。今はもう腹は減っていないから、もういい。薬を飲むから、とってきてくれ」

下町にある病院で処方された、風邪薬と解熱剤を飲んで、横になる。

「今日はすまないな・・・・柘榴、わざわざ買ってきてくれたんだな。嬉しかった」

「浮竹、大好きだよ!」

唇にはキスできないから、頬や額に口づけて、抱き締めた。

「ばか、あんまり寄るな。風邪がうつる」

「だから、僕は大丈夫だってば。真冬でぱんつ一丁でも風邪ひかない体質だし」

よく、冬なのに、パンツ一丁で踊っていたなと、思い出す。

もうすぐ春だ。

春になれば、4回生になる。

「京楽・・・・今日は、俺のベッドで寝ていいぞ」

「え、まじで。いいのかい」

「ただし、変なことはするなよ」

「うん」

その言葉を最後に、浮竹はまた眠ってしまった。

京楽は、パンツ一丁になって、浮竹に添い寝した。

朝起きると、ほぼ全裸の京楽がいて、浮竹は思わず蹴り飛ばした。

「何、勝手に人のベッドで寝てやがる!」

「酷い!一緒に寝ようと言ったのは、浮竹だよ!」

「ん?ん~?そうだったかな?だからって、なんでぱんつ一丁なんだ!」

「君の温もりを全身で受け止めるためだよ!」

「この変態!」

「そうだよ!僕は変態さ!変態に変態は、もはや褒め言葉だよ!」

「重症だ・・・・・だめだこりゃ」

京楽は脱ぎ散らかしていた服をきた。

「それより、熱は下がった?」

浮竹の額に手を当てる。

「うん、下がってるね。でも、念のため今日も休んどこうか」

「補習が増える。授業を受ける」

「え、でも病み上がりだよ」

「3日も欠席したんだ。遅れを取り戻したい」

仕方なしに、具合が悪くなったら早退するという約束で、授業に出た。

3日分の遅れを取り戻そうと、浮竹は必死だった。放課後、補習を受けた。その必要もないのに、京楽も補習に出た。

「では、これにて終了です」

浮竹のために特別に行われた補習のお陰で、3日分の遅れを浮竹は取り戻した。

寮への帰り道、浮竹は夕日に染まりながら、微笑んだ。

「京楽のお陰で、補習も無事受けれて、遅れを取り戻せた。ありがとう」

その笑顔が、その白い髪が、夕日色に染まっていて、とても綺麗だった。

浮竹を、胸に抱き寄せて、キスをした。

浮竹は、抗議するわけでもなく、それに応えた。

「んあ・・・・」

舌が絡まるキスを繰り返す。

すっと、浮竹は何もなかったように離れていく。

「浮竹・・・好きだよ」

幸せすぎて、なぜか涙が出そうだった。

「俺も、好きだ」

「え・・・」

「友人としてな!」

浮竹の笑顔はとても綺麗で。涙が、零れた。







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