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院生時代の部屋27

「それじゃあ、この前現世に行った時にとった写真、配るぞ」

虚退治ではなく、観光にいったのだ。

島国で、治安がいいとか悪いとかじゃなしに、人がいなかった。無人島だったのだ。

海の幸は豊富で、魚介類を現地調達して、キャンプをした。二泊三日の旅行。浮竹は、体調の問題もあり休もうと思っていたが、たくさんの友人に誘われて、やや微熱気味であったが参加した。

露店風呂が近くにあり、無人島ではあったがそれなりに楽しめた。

その時の写真ができあがったという。

「ひいいいいい、呪われてる!」

友人の一人が、写真を見てそういった。

何か影が映り込んでいた。浮竹のいる写真には、幽霊のように・・・・・京楽が、必ず映っていた。

誰か友人と一緒に映っていると、ねたましい嫉妬の顔で。浮竹が一人で笑っていると、にこにこと背後から。

ほぼ全員が集まった写真には、浮竹の隣をゲットして映っていた。

数人の友達と、浮竹の写真。影のように、憤怒の顔の京楽が。

「ひい、これにも映っている!」

知り合いの一人が、写真を投げ捨てた。

それは、隠し撮りの写真であった。露店風呂に入っている、浮竹を盗み撮りした写真であった。
それの全部に、京楽が映っていた。

「これじゃあ、売り物にならない・・・・・」

浮竹は、その容貌のせいもあり、下級生にも上級生にも、女性だけでなく男性からももてた。

隠し撮りされることは多々あったが、いつも京楽が退治してくれるので、安心していた。というか、その京楽自身が隠し撮りをするのだが。

「君の写真には、全部僕が映ってるからね。それでも売りたければ、売るといいよ。なお、今後このような行為をした場合、相応の処置が待っているからね」

退学は覚悟しておけと最後に呟いて、京楽は浮竹の盗み撮りの写真をかき集めた。

「コレクションが増えた\(゜ロ\)(/ロ゜)/」

「お前な・・・・・」

浮竹は、怒るのと呆れるのと同時で、どう感情表現すればいいのか悩んでいた。

「隠し撮りにきづいたのなら、まず止めろ!それから、普通の写真に幽霊のように映り込むな!」

ゴンと、喜んでいる京楽の頭を、拳骨で殴った。

「痛い!痛いけどコレクションが増えたのでうれしい!」

「俺が映っているどの写真も心霊写真状態だな・・・・・すまない、みんな」

浮竹が映っている写真には、100%京楽が映っていた。普通に映っていたのなら文句はないが、大抵が憤怒か嫉妬の表情な上に、影のように映り込んでいたる、体の一部だけだったりで、どう見ても心霊写真だった。

「これはこれで売れるかも・・・・・・」

二泊三日のキャンプを提案したリーダーが、言いだす。

「恐怖、京楽の愛憎嫉妬写真!浮竹は呪われている―———」

「おい」

「うん、悪くないな」

そうして、次の旅行の企画を立て始めた。今度は特進クラスだけでいくららしく、写真の売り上げはその一部に使わるのだという。

浮竹がよせといったのに、その写真は心霊写真として堂々と売り出され、学年も関係なくよく売れた。

「はぁ・・・・」

ほくほく顔のリーダーに、もうやめろといっても通じないだろう。

「あ、あの子よ。浮竹君。かわいいー」

「隣にいるのは、例の幽霊京楽ね。あの写真では分からなかったけど、本物かっこいいじゃない」

院生の中でも、かなりの有名人になってしまった二人。

すれ違うたびに、「浮竹だ」「京楽だ」と言われて、辟易した。

まぁ、それも1週間ばかりの我慢であったが。

「次の旅行にも、浮竹と京楽も来てくれ。今度はもっとすごい心霊写真をとるぞ!」

「行くわけがない」

「浮竹が行かないなら僕もいかない」

「そんなぁ」

リーダーの悲しい声を無視して、食堂で昼飯を食べていた。

「隣いいかい?俺、那由他っていうんだ」

「ああ、別に構わないが」

カッ。

正面に座っていた京楽が、般若になった。

「君のこと、ずっと見てたんだ。なぁ、付き合ってくれないか」

カッ。

般若をこえて破壊神となった京楽がいた。

「ああ・・・もう、俺はこいつと付き合ってるんだ」

京楽を指さす。

「ええっ、やっぱりできてたのか。それでもいいや、付き合ってよ」

「浮竹、行くよ」

京楽が、浮竹の手を取り去ろうとする。

その反対側を那由他と名乗った男にとられた。

「その様子じゃ、始めてもまだなんだろ?俺に任せろよ。京楽なんかよりもっともっとよくして、色子みたいにしてやれるぞ」

「・・・・殺すよ?」

京楽が。後に自分の斬魄刀となるべき刀をひきぬいて、那由他の首元にあてる。頸動脈を切ろうとする動きに、那由他が縮こまった。

「やめろ京楽。この程度のことで」

「こいつ、君を侮辱してるよ」

「それでもだ。刀はしまえ。頭にくるなら殴れ」

殴れという前に、すでに京楽は殴っていた。

「いってぇ・・・・覚えてろよこの野郎!」

「京楽の名ににおいて、院生でいられなくしてやろうか」

「ちっ・・・・・」

走り出す背中を、京楽が睨みつける。

そんな二人のやりとりを、周囲が見ていた。

「やっぱできてたんだ」

「やーん、浮竹君京楽君のものなのね」

「もう二人は禁断の関係を!?」

いろいろ好き勝手にいわれる。

「はぁ・・・・もういい、否定するのもめんどくさい。しばらく、お前とできてるってことで話を合わせてくれ」

「僕はいつでも歓迎だよ!」

両手を広げてくる京楽を無視して、その足を踏んでから、浮竹は食堂を出た。

残してしまったが、食べ終えて片付けもすませた。

次の授業まで、10分を切っていた。

食堂にいた人数も、時間のせいかいつもより少なかった。

京楽と浮竹ができている。その噂は1日で院生中に知れ渡り、友人たちに呼ばれて祝杯をあげられそうになり、事実を話すと、つまらないと言われた。

浮竹としては、髪も切ったし、心機一転、変態の京楽も惑わされることもなくと思ったのだが、そうは問屋が卸さないようだ。

幽霊写真の件も京楽と浮竹ができているという噂がおさまるのに、そう時間はかからなかった。

みんな、娯楽に飢えている。いつまでも同じネタで盛り上がるわけではない。

「俺とお前の件、友人にも真相を話したし、他の生徒ももう騒がなくなって助かった」

「僕はもっと騒いで、本当に付き合わなきゃいけないように、してほしかったけどねぇ」

京楽は相変わらずのんびりと、愛を囁いてくる。

「好きだよ」

「知ってる。俺も友人としては好きだ」

「そこは俺も愛してる好きだ京楽っていってくれなくちゃ」

「誰がいうかこのバカ!調子に乗るな!」

京楽の脛を蹴って、教室を移動する。

「愛が痛い!」

京楽は、蹴られた足をおさえながら、こりずに浮竹にまた愛を囁くのだった。







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