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院生時代の部屋34

「うふふふ、浮竹!」

パンツ一丁の姿のまま、京楽は浮竹の抱き枕にダイブした。

「好きだよ愛してるよ。そうかい、君も僕のことが好きなのか。いいんだよ、何も言わなくても。君の気持ちは知ってるから」

「そうか・・・・・なら、何も言わないでおく」

扉の隙間から、その京楽の一部始終を見てしまった浮竹は、何も言わずに扉を閉めた。

「ああっ、浮竹、これは違うんだ!」

京楽が、扉をあけて浮竹の足にしがみつく。

「どうでもいいから、服を着ろ!」

もじゃもじゃの恰好のパンツ一枚は、かなりきつい。なんとか院生に服を着こんだ京楽は、浮竹に謝りまくった。

「すみません、やり過ぎました。もうしませんから、許して~」

「許すも何も、お前の変態は変らないから、どうでもいい」

浮竹は、あまりショックを受けたわけでもなく、いつもの京楽の変態具合が今日はちょっときつめかなぁと思ったくらいだった。

あれで裸だったら、股間を蹴ってしばらく起き上がれない目に合わせいたのは間違いない。

「俺も大分慣れたな・・・・・・・」

京楽が、浮竹を襲ってくるようなことはない。

変態であるが、そのあたりはちゃんとわきまえている。

京楽から、浮竹の写真がプリントアウトされた、抱き枕を没収することもなかった。あの抱き枕が、京楽にとっては情事の時の浮竹なのだ。取り上げたら、きっと京楽は泣き出す。

「はぁ・・・・」

俺も、大分京楽の変態に甘くなったなぁと溜息を零しながら、その日も一日が終わっていった。

朝起きると、もじゃもじゃだった。否、服をだらしなく脱いだかんじの京楽のベッドの上で、寝ていた。
見ると、自分もパンツ一丁だった。

何処も痛くないし、痕もない。とりあえず、浮竹は京楽にビンタをかまして起こした。

「これはどういうことだ」

「え、覚えてないの」

「?」

「昨日、君と僕は酒盛りしたでしょ。止めたのに、僕のお酒飲んで酔っ払って、君は服を脱いで僕のベッドで眠ってしまったんだよ」

断片的ではあるが、思い出した。

思いっきり、酔っぱらっていた。

「よく、手を出さなかったな」

「僕は、君が僕を受け入れてくれるまで、キスとハグ以上はしないよ」

たまに、それ以上する時もあるが、基本は手を出してこない。

それが浮竹とうまく付き合うコツでもあった。

ぱんつ一丁はさすがに寒いので、脱ぎ散らかした院生の服を着る。

「はっくしょん」

「一緒に眠ったけど、やっぱり風邪ひいちゃったかな?」

「うーん。まぁ、この場合俺の自業自得になるから仕方ない。はっくしょん」

毛布にくるまるが、寒気がしてきた。数時間後には、熱を出した。幸いなことに休日だったが、明日は学校がある。
このままだと、休むことになるなと思いつつも、自業自得なので仕方ないと思った。

「浮竹、大丈夫?」

京楽が、ずっと傍にいてくれた。熱を出した後は、タオルを水でしぼって、額にあててくれた。

「慣れてるから、平気だ」

熱はそれほど高くない。喉の痛みを覚えて、風邪薬を飲んだ。解熱剤も飲んだので、だんだん眠くなってきた。

「少し、眠る・・・・」

次に起きると、目の前に京楽の顔があった。

少し驚いて起きると、同じベッドで眠っていたらしかった。とりあえず、眠ったままの京楽を自分のベッドで寝かせたままにして、空いている京楽のベッドで横になる。、

「京楽の匂いがする・・・・・・・」

柑橘系の香水の香りと、紫煙の香り、後は酒の香り。

もう一度風邪薬と解熱剤をのんで、また眠ってしまった。

次に起きると、朝になっていた。

熱は下がっていたし、風邪の症状もなかった。ただ、完全に遅刻だった。

「どうして起こしてくれなかった」

まだ登校していなかった京楽に声をかけると、京楽は困ったような表情を浮かべた。

「だって、あんまりにも気持ちよさそうに眠っていたし、風邪ひいてたから」

「もう治った」

「午後から、学校にいこうよ」

時計をみると、10時半だった。

2時間目の授業に、今からでは間に合わない。溜息をついて、まずは昨日湯あみをしていなかったので湯あみをすませて、新しい下着と院生の服に着替えた。

京楽は、脱いだ浮竹の院生の服をスーハースーハーしていたので、とりあえず蹴りを入れておいた。

「ああ、愛が激しい!」

洗濯をするものの籠に、没収した院生の服とかを入れた。

後で、手で洗わなければいけない。この時代、まだ洗濯機は普及していなかったので、服は全部手洗いだった。

3日に一度、まとまった洗濯物を手洗いするのだが、浮竹と京楽で、交互で互いの服も含めて手洗いしていた。

京楽が浮竹の分も、浮竹が京楽の分も洗う。

もっとも、京楽に洗濯させるとよく下着がなくなった。首を絞めると、返してくれるので、よく首を絞めた。

その日は、午後から学校にいった。昼休みになる前に食堂にいくと、がらんとしていた。

お腹が減っていたので、いつもはよく残すのだが、今日は全部平らげた。

「ああっ、浮竹の食べ残しがない。仕方ない、スプーンを・・・・」

浮竹が使っていたスプーンを舐める京楽を無視して、浮竹は次の授業の部屋で移動する。それに気づいた京楽が追いかけてきた。

「僕を置いていかないでマイスウィートハニー」

「放置プレイが好きだろ」

「そんなことないよ!」

なんだかんだいって、仲のいい二人。

まだまだ、くっつきそうになかった。


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