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魔王と勇者 11

「呪いの手紙。出さないと呪われる。どんな呪いかというと、金欠になる呪い・・・何て恐ろしいんだ!」

浮竹は、その呪いの手紙をもらって、不安に押しつぶされそうになっていた。

何せ、今まで京楽と再び出会う前は、極貧だったのだ。

パイプ椅子(中古)が玉座であるくらいに。

「浮竹、そんなの迷信だよ。信じなくていいよ」

「いや、俺は出すぞ。呪いの手紙を100通、新勇者に!」

「新勇者ならいいか」

京楽は、けろりとした声で、新勇者にふりかかる災難を良しとした。

ちなみに、新勇者は宿をとっていたのだが、魔王である浮竹の討伐にずっと失敗ばかりして、魔王領土に一軒家を買って住んでいる。

パーティーメンバーと一緒に住んでいるらしいのだが、なんでもかなりこき使われれているそうで、魔王討伐と銘打って遊びにきては、愚痴を零していた。

そんなこんなで、今日は珍しく、新勇者一人で魔王城にまで新勇者は来ていた。

「どうしたんだ。噂ではまた一人だけ宿に戻ったらしいな。ローンはないと言ってただろう。一括で一軒家を買ったと言って喜んでたじゃないか」

浮竹がそう話すと、新勇者は地面を見つめながら口を開いた。

「・・・・・なんだよ」

「声が小さくて聞き取りにくいよ」

京楽が、もっと大きな声を出せと求める。

「あいつら、何もかも俺に押し付けるんだよ!家事全部!掃除に洗濯、料理に買い出し・・・もうやだ!宿に泊まっていても、引きずり戻されるし・・・・・もうやだ、魔王城に家出してやる!」

「いや、それはこっちが嫌なんだが。一応魔王だし。新勇者を泊めるとか・・・・まぁ、新勇者って名乗ってるだけで、実際新勇者扱いしてるのはお前のパーティーメンバーと王様くらいだから、大丈夫といえば大丈夫か」

浮竹は、ぽりぽりと頭をかいた。

「一括の支払いだって、俺の貯蓄から出したんだ。なのに、あいつら俺の家を自分の家のように・・・・あげくに俺を家政婦と思ってやがる!」

「ふむ。呪いの手紙をお前あてに100枚書いたんだが、いるか?」

「そんなものいらんわぼけ!」

「エアリアルエッジ」

大気の精霊に命令して、浮竹は真空の刃を新勇者に向けて放ち、フルチンにした。

「きゃあああああ!えっち!」

新勇者は、フルチンのまま人造聖剣エクスカリバーで局部を隠した。

「新勇者ぁ~~。家に帰りましょう~~~」

女僧侶が、どこからともなく現れて、フルチンの新勇者を見て、股間を蹴りあげた。

「きゃああああああ!なんて汚いもの見せるのよ!この変態!」

「ぬおおおおおおおおお!!!」

新勇者は転げまわった。

京楽が、せめてもと、局部を隠す葉っぱでできた腰のみをくれたので、新勇者はそれを着た。

「これでも、まだ魔王城に泊まりたいか?」

「泊まりたい!だって、家事全部魔王がしてくれるんだろ!魔王と勇者京楽が!」

「はぁ。何を言っても無駄みたいだよ、浮竹」

「ふむ・・・・・新勇者を辞めて、魔王の幹部になるなら、泊めてやる」

「それは・・・・それだけはだめだ!俺は新勇者なんだ!敵に寝返ることはない!」

「だったら、敵の本拠地に泊まるとかいいだすな」

浮竹がハリセンですっぱーんと、新勇者の頭を殴った。

今日は縦巻きロールでなく、アフロでもなく、ウェーブのかかった茶色のロングヘアだった。顔立ちは整っているので、遠くから見れば女の子に見えなくはない。

「ファイアー」

ウェーブのかつらを、浮竹はいつものように魔法で燃やした。

「ああ、女僧侶のかつらが!」

「自分のじゃなかったのかい」

京楽が突っ込みを入れるが、新勇者は切れた女僧侶にボコボコにされていた。

「く、こうなればいつものかつらを・・・・・・」

銀髪の縦巻きロールのかつらをかぶった、葉っぱの腰のみとエクスカリバーだけを持った、謎な姿の新勇者は、女僧侶を突き飛ばした。

「いいか、女僧侶!俺を奴隷のように、家政婦として扱うなら、俺もお前の恥ずかしい写真を市場で売ってやる!」

「な!」

女僧侶は、固まった。

「じゃ、じゃあこっちもお前のけつ穴にきゅうりつっこんだり、乳首にクリップつけたりして、もだえていた変態写真をばらまいてやる!」

「な、なんだと!いつの間に盗撮していたんだ!俺の隠された性癖がばれてしまう!」

すでに浮竹と京楽は引いていた。

「新勇者・・・・変態なんだ・・・・・・」

「うわー、一人で・・・変態だー・・・・・・」

「な、お前たちだってできてるだろう!」

「それとこれとは話が別だろう。俺と京楽は愛し合っているからいいんだ。お前はきゅうりとクリップを相手に、愛し合っているのか?」

「そうだ!きゅうりとクリップを愛している!」

「重傷だねぇ」

京楽は、紅茶をすすって、椅子に座った。

浮竹も、紅茶を淹れてから、クッキーを食べだした。

「そんなあなたに朗報です。どんな性癖も治る「ナオールクン」金貨100枚」

「買った!」

女僧侶が、浮竹から「ナオールクン」を買いあげて、その場で新勇者に馬乗りになって無理やり飲ませた。

「あれ。俺は何を愛していたんだ?」

「魔王よ。魔王を愛していたの」

冗談のつもりで言ったのだが、新勇者は真に受けた。

「魔王浮竹、結婚してくれ!むちゅーーー」

「ぎゃあああああああああ」

「僕の浮竹に何するの!ああもう、近づかないでよ!」

「勇者京楽も、あなたは愛していたのよ!」

「このナオールクン、自己暗示能力が高すぎるのが欠点だね。うわ、こっちこないでよ」

「魔王浮竹に勇者京楽、どっちも好きだあああ!結婚して俺と家庭をもってくれええええ」

「ウォーターボール!」

「アイスウィンド!」

水攻めに氷ついた風を受けて、新勇者は我に返った。

「あれ?なんか魔王と勇者が恋しい気が・・・・・・」

「俺には京楽がいる」

「僕にも、浮竹がいるから」

「あら新勇者、ふられちゃったわね」

「ふられた・・・・?よくわからないが・・・・・・」

ガコン。

浮竹は、いつものように白い紐をひっぱった。

「ぎゃああああああああ」

「のあああああああああ」

落とし穴に、二人は消えていった。

「ぷぎーーーーー!」

「いやああああああ!豚の糞尿まみれえええ!」

「くせええええ!!!」

ガコン。

また音がして、豚はその場に残り、新勇者と女僧侶だけが石の手につまみあげられて、魔王城から放り出された。

新勇者はそっち系の変態であると、知った浮竹と京楽だった。











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