院生時代の部屋 あけましておめでとう
「あけましておめでとう」
「あけまして・・・・服を着ろ、服を!」
浮竹は、パンツ一丁で、頭に浮竹のパンツを被った京楽に、院生の服を放り投げた。
「いやん」
「きもい」
「このパンツは僕のもの。スーハースーハー」
昨日着ていた、洗濯済みの浮竹の黒いパンツを、京楽は宝物のように臭いをかいで、いそいそと自分のタンスにしまいこんだ。
洗濯前を持ち出さないだけ、まだましである。
今のところ、洗濯前を漁るほどの変態には至っていないので、浮竹もパンツを盗む京楽に、難儀はしているものの、変態度があがらないだけましかと、自分に言い聞かせていた。
「またパンツ通販で買わないと・・・・・・」
通販で買ったパンツのほとんどが、京楽のコレクションとしてもっていかれる。
でも代金は京楽もちなので、文句はいいつつも、許容してしまう。
「寒いよー。浮竹の胸で温めて!」
「だから、服を着ろ、服を!服を着ないと、今日はキスもハグもさせないぞ」
「京楽春水、今すぐ院生服を着ます!」
ぱぱっと、院生の服を身に着ける京楽。
浮竹は、大きなため息をついた。
年末年始の冬休みに入った。
年もあけたことだし、初詣に行くことにした。
院生服の上から、上着をはおり、マフラーと手袋、さらに浮竹は耳当てもして、完全防寒対策をして神社に京楽と一緒に出掛けた。
神社につくと、人がいっぱいだった。
100環の小銭を投げ入れて、今年の自分の無病息災を願う。あと、親友であり、恋人未満な京楽の変態が治るようにと、ほぼ諦めている願いを願う。
京楽はというと、上流貴族だけあって、札束を投げ入れていた。
よくそんな金を無造作に使うものだと、浮竹は呆れ返る。
「おみくじしていこうか」
「いらない」
「いいじゃない。僕が君の分も引いてあげる」
「勝手にしろ」
京楽は、浮竹の分までおみくじをひいた。
京楽の分は吉で、浮竹の分は大凶が出た。
「こ、こんなの所詮占いなんだから気にすることないよ!なんなら2回目ひこうか?」
「時間の無駄だ。寒いし、早く帰ろう。今日はお前の屋敷に泊まるんだろう?」
浮竹を、自分の屋敷に誘うことに見事に成功した京楽は、浮竹の手をとって、歩いていく。
「ここからだとちょっと遠いから、瞬歩でいこう」
浮竹は、まだ京楽ほど瞬歩が得意ではないので、京楽に手をとられて、瞬歩を共にする。
やがて、大きな屋敷が見えてきた。
これで別邸というのだから、大貴族というものは本当に金持ちばかりだ。
下級貴族の浮竹の場合、家は一軒だけで、広かったが家族が多かったせいで、一人部屋はなんとかもてたが、寮の入るのにすぐ慣れるくらいには、部屋の狭さには慣れていた。
上流貴族の京楽は、寮の部屋の狭さに初め文句を垂れ流していたが。
「今日はこの屋敷で泊まろう。姫はじめとか・・・・・おぶっ」
鳩尾に蹴りを入れられて、京楽は悶えた。
「じょ、冗談だから!去らないで!」
帰ろうとする浮竹を後ろから抱きしめる。
浮竹は身を固くした。
「寒い?こたつがあるんだ。出してるから、温まろう」
浮竹の肩を抱いて、京楽はこたつのある部屋に浮竹を案内した。
そのまま、二人でこたつに入って、他愛ない話をして、時間をつぶした。ついでのように、みかんを食べる。
緑茶を飲んで、せんべえをかじって、心はなんか老後ってかんじだった。
「いつか、こうやって老後も君と冬をずっと過ごしたいね」
「俺は、老後は実家に戻るんだ。京楽は結婚して子供や孫に囲まれているんだろう?」
「そんなことないよ!僕が愛して結婚したいのは浮竹だけだよ!」
「人生長いからな。分かったもんじゃない。そもそも男同士は結婚できないだろ」
「僕が、いつかすごく偉くなって、法律を変えてみせるよ」
「さいですか」
浮竹は、興味もなさそうに、新しいみかんの皮をむき始める。
「あんまり食べると、夕飯食べれなくなるよ」
「まぁ、お前の家の飯は美味いから残さないさ」
やがて夕方になり、こたつの上に夕飯が並んだ。
こちらでは珍しい、海の幸を使った鍋だった。カニやエビをふんだんに使った、海鮮鍋だった。
ほたてを食べながら、海のない尸魂界では海の幸は高いと思う。
上流貴族は食べるものも豪華だと、浮竹はため息を零す。
こんなものを毎日食べていたら、味覚が麻痺してしまいそうだ。今日と明日だけ、京楽の別邸に泊まって、後は寮で過ごすつもりだった。
「これ」
「何?」
京楽がさしだしてきたものを、浮竹は首を傾げながら受け取った。
「お年玉」
「ありがたくもらっておく」
金はあることに困ることはない。
肺の病で金欠になりがちな浮竹を、金銭面で支えてくれているのは京楽だ。
いつか、死神になって金が貯まったら、少しづつでいいから返済していこうと思っている。
「ああ。今年もまた新しい年がやってきたね。今年もよろしくね、浮竹」
「ああ、よろしく」
消灯時間になって、互いに布団を同じ部屋でしいて、寝ることになった。
「だから、姫はじめを・・・・・」
バキッ。
綺麗に顎にアッパーが決まって、京楽は布団の上で気絶したまま寝てしまった。
浮竹は、揃ってしかれていた布団を、京楽の近くから離して、念のため京楽を毛布で簀巻きにしてから就寝した。
「今年もよろしくな、京楽」
夢の世界に一足先に旅立ってしまった親友と自分自身の安息を祈りつつ、眠りにつくのであった。
「あけまして・・・・服を着ろ、服を!」
浮竹は、パンツ一丁で、頭に浮竹のパンツを被った京楽に、院生の服を放り投げた。
「いやん」
「きもい」
「このパンツは僕のもの。スーハースーハー」
昨日着ていた、洗濯済みの浮竹の黒いパンツを、京楽は宝物のように臭いをかいで、いそいそと自分のタンスにしまいこんだ。
洗濯前を持ち出さないだけ、まだましである。
今のところ、洗濯前を漁るほどの変態には至っていないので、浮竹もパンツを盗む京楽に、難儀はしているものの、変態度があがらないだけましかと、自分に言い聞かせていた。
「またパンツ通販で買わないと・・・・・・」
通販で買ったパンツのほとんどが、京楽のコレクションとしてもっていかれる。
でも代金は京楽もちなので、文句はいいつつも、許容してしまう。
「寒いよー。浮竹の胸で温めて!」
「だから、服を着ろ、服を!服を着ないと、今日はキスもハグもさせないぞ」
「京楽春水、今すぐ院生服を着ます!」
ぱぱっと、院生の服を身に着ける京楽。
浮竹は、大きなため息をついた。
年末年始の冬休みに入った。
年もあけたことだし、初詣に行くことにした。
院生服の上から、上着をはおり、マフラーと手袋、さらに浮竹は耳当てもして、完全防寒対策をして神社に京楽と一緒に出掛けた。
神社につくと、人がいっぱいだった。
100環の小銭を投げ入れて、今年の自分の無病息災を願う。あと、親友であり、恋人未満な京楽の変態が治るようにと、ほぼ諦めている願いを願う。
京楽はというと、上流貴族だけあって、札束を投げ入れていた。
よくそんな金を無造作に使うものだと、浮竹は呆れ返る。
「おみくじしていこうか」
「いらない」
「いいじゃない。僕が君の分も引いてあげる」
「勝手にしろ」
京楽は、浮竹の分までおみくじをひいた。
京楽の分は吉で、浮竹の分は大凶が出た。
「こ、こんなの所詮占いなんだから気にすることないよ!なんなら2回目ひこうか?」
「時間の無駄だ。寒いし、早く帰ろう。今日はお前の屋敷に泊まるんだろう?」
浮竹を、自分の屋敷に誘うことに見事に成功した京楽は、浮竹の手をとって、歩いていく。
「ここからだとちょっと遠いから、瞬歩でいこう」
浮竹は、まだ京楽ほど瞬歩が得意ではないので、京楽に手をとられて、瞬歩を共にする。
やがて、大きな屋敷が見えてきた。
これで別邸というのだから、大貴族というものは本当に金持ちばかりだ。
下級貴族の浮竹の場合、家は一軒だけで、広かったが家族が多かったせいで、一人部屋はなんとかもてたが、寮の入るのにすぐ慣れるくらいには、部屋の狭さには慣れていた。
上流貴族の京楽は、寮の部屋の狭さに初め文句を垂れ流していたが。
「今日はこの屋敷で泊まろう。姫はじめとか・・・・・おぶっ」
鳩尾に蹴りを入れられて、京楽は悶えた。
「じょ、冗談だから!去らないで!」
帰ろうとする浮竹を後ろから抱きしめる。
浮竹は身を固くした。
「寒い?こたつがあるんだ。出してるから、温まろう」
浮竹の肩を抱いて、京楽はこたつのある部屋に浮竹を案内した。
そのまま、二人でこたつに入って、他愛ない話をして、時間をつぶした。ついでのように、みかんを食べる。
緑茶を飲んで、せんべえをかじって、心はなんか老後ってかんじだった。
「いつか、こうやって老後も君と冬をずっと過ごしたいね」
「俺は、老後は実家に戻るんだ。京楽は結婚して子供や孫に囲まれているんだろう?」
「そんなことないよ!僕が愛して結婚したいのは浮竹だけだよ!」
「人生長いからな。分かったもんじゃない。そもそも男同士は結婚できないだろ」
「僕が、いつかすごく偉くなって、法律を変えてみせるよ」
「さいですか」
浮竹は、興味もなさそうに、新しいみかんの皮をむき始める。
「あんまり食べると、夕飯食べれなくなるよ」
「まぁ、お前の家の飯は美味いから残さないさ」
やがて夕方になり、こたつの上に夕飯が並んだ。
こちらでは珍しい、海の幸を使った鍋だった。カニやエビをふんだんに使った、海鮮鍋だった。
ほたてを食べながら、海のない尸魂界では海の幸は高いと思う。
上流貴族は食べるものも豪華だと、浮竹はため息を零す。
こんなものを毎日食べていたら、味覚が麻痺してしまいそうだ。今日と明日だけ、京楽の別邸に泊まって、後は寮で過ごすつもりだった。
「これ」
「何?」
京楽がさしだしてきたものを、浮竹は首を傾げながら受け取った。
「お年玉」
「ありがたくもらっておく」
金はあることに困ることはない。
肺の病で金欠になりがちな浮竹を、金銭面で支えてくれているのは京楽だ。
いつか、死神になって金が貯まったら、少しづつでいいから返済していこうと思っている。
「ああ。今年もまた新しい年がやってきたね。今年もよろしくね、浮竹」
「ああ、よろしく」
消灯時間になって、互いに布団を同じ部屋でしいて、寝ることになった。
「だから、姫はじめを・・・・・」
バキッ。
綺麗に顎にアッパーが決まって、京楽は布団の上で気絶したまま寝てしまった。
浮竹は、揃ってしかれていた布団を、京楽の近くから離して、念のため京楽を毛布で簀巻きにしてから就寝した。
「今年もよろしくな、京楽」
夢の世界に一足先に旅立ってしまった親友と自分自身の安息を祈りつつ、眠りにつくのであった。
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