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黒猫の皇妃3

ルキアは、相変わらず一護に寵愛されていた。

だが、閨を共にすることはなく、ただ夜は一緒に眠るだけだった。

細く華奢なルキアを胸の中に抱いて、一護は眠る。

ルキアは、それだけでも幸せを感じていた。性的な関係はなかったが、一護に愛されていることを感じれた。

「ルキア」

「なんだ」

「好きだぜ」

「知っている」

「なんで、お前は黒猫の亜人なんだろな?普通の人間なら、よかったのに」

「そう言われても、私は黒猫の亜人として生を受けたのだ。今更どうにもならぬ」

一護は、ルキアを抱き寄せる。

「家臣たちがな、黒猫の皇妃って、侮辱を含めた意味でお前を呼んでいるんだ」

「そうか。私も、後宮で他の寵姫たちにそう呼ばれている」

「辛くないか?後宮は、女だけの園だ。不自由はないか?」

「毎日後宮にいるわけでもないし、一護、貴様の元にいる時が多いから、不自由はしておらぬ」

「そうか。ならいいんだ。井上は後宮で嫌がらせを受けていたと言っていたから、離れに移した」

ズキンと、ルキアの胸が痛む。

「井上は、俺の子を身籠っているからな。万が一にでも毒でも盛られた日には、犯人は極刑だ」

井上に毒。

考えたこともなかったし、しようとも思わない。

ただ、お腹の子が生まれてこなければいいのにと、醜い気持ちがルキアの中で生まれていた。

ルキアはそれに目を背けて、一護と井上に接する。

「一護、今日は井上と一緒にいてやれ。最近ずっと私ばかりと寝ていて、井上と会っていないであろう。井上がかわいそうだ」

「あー。やっぱ、会ったほうがいいか。俺は、ルキアがいればそれでいいんだけどな」

ならば、なぜ井上を寵姫として傍におき、抱いたのだと責めたかった。

「ルキア、好きだ」

「私も、一護、貴様が好きだ」

「そっか。じゃあ、今夜は井上と寝るけど、また明日一緒に過ごそう」

「ああ、分かった」

一護の寵姫でいられるだけで十分なのだ。

妃の座など、望んではいけない。けれど、欲しい。

皇妃になれば、追放されることもない。寵姫という立場よりも強固に、一護と繋がっていられる。

「黒猫の皇妃か‥‥‥」

ルキアは、久しぶりに一人で寝た。

一護の温もりがないのが、とても寂しい夜だった。



一護は、ある日夕食の席にルキアだけでなく井上も呼んだ。

一護が離籍している間に、ルキアは井上と他愛もない会話をしていた。飲み物を井上が望んだので、とってきて飲ませてやると、腹痛を訴えたのでルキアは慌てて一護を呼んだ。

井上は、毒を盛られていた。

命に関わるものではなかったが、宿っていた腹の子を流すには十分な量の堕胎の毒が含まれていて、ルキアが疑われた。

「私ではない!私は、毒など盛っておらぬ!」

「ルキアちゃんからもらった飲み物を飲んだら‥‥‥」

「井上、私を疑うのか!」

「だって、私に一護様の子が宿っているの、一番嫌がっていたのはルキアちゃんでしょ!」

「違う!私は、そんなこと思っておらぬ!」

ルキアは、必死で弁明した。

一護は、ルキアを疑わなかった。調べると、毒をもったのは他の寵姫だと分かり、その寵姫は首をはねられて、極刑にされた。

「ルキア、ごめんな。みんなお前を疑ってた。もちろん、俺はルキアがそんなことするはずないって、信じてた」

「一護‥‥‥私以外を、抱くな。私を、一人にするな」

その日の夜、ルキアは一護に抱かれた。

子のできない体で。



「あ‥‥‥」

あまり膨らみをもたぬ胸をもまれて、ルキアは甘い声をあげる。

一護は、鍛え抜かれた裸身をさらして、ルキアの衣服を脱がしていく。

「怖いか?」

「少し」

「嫌なら、止める」

「いい。このまま、私を抱け」

灼熱に貫かれて、濡れていたとはいえ、指とは比べ物にならない質感に、ルキアは痛みに涙を零す。

秘所から、血があふれた。

「血が‥‥…」

「処女膜が破れたんだ。大丈夫、病気とかじゃない」

「そうか‥‥‥」

一護は、愛しそうにルキアを抱き、ルキアもまたそれにこたえた。

朝になり、ルキアは目を覚ます。隣には、一護がいて、お互い裸だった。

ついに、一線を超えてしまった。

けれど、その次の日からも一護は、ルキアと何もなかったかのようにふるまうし、ルキアもそれに文句を言わず、普通に接した。

夜は一緒に寝るし、食事をするのも一緒で、遊ぶのも一緒だった。

子を失った井上は、ショックから立ち直れず、生まれ故郷に戻された。

一護がルキア以外の寵姫を愛することはなかった。

ある日、ルキアは一護から美しい羽と囀りをもつ小鳥をもらった。ルキアは名をつけてかわいがった。

だが、ルキアが留守の間に小鳥は殺されてしまった。

ルキアは泣いて、犯人であろう寵姫を殴りまくった。

「ルキア、落ち着け!」

「できぬ!この女は、瑠璃を殺したのだ!」

小鳥の名前だった。

「また同じ鳥を贈ってやるから」

「そんなの意味がない。瑠璃がよかったのだ。あの子は特別だったのだ」

女の鼻血で汚れた手を、一護が掴んで止める。

「辛かったな。でも、これ以上殴ってはだめだ。相手が死んでしまう」

「一護‥‥‥‥うわあああああ」

ルキアは泣いた。

寵姫の嫌がらせで泣いたことはなかったが、大切にしていた小さな命を奪われて、泣いた。

一護は、いつまでもルキアを抱きしめていた。




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