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黒猫の皇妃4

「ボクは京楽春水。一護くんの剣の師匠だよ」

「俺の名は浮竹十四郎。同じく、一護くんの剣の師匠だ」

ルキアが、剣を習いたいと言い出すと、一護は自分の剣の師匠を紹介してくれた。

京楽はエルフで、浮竹は黒猫の次に珍しい白猫の亜人だった。

「もともと、俺は奴隷でな。一護くんに救われたんだ」

浮竹は、元奴隷であった。

白猫の亜人も珍しいので、高値で売買される。

剣の師匠なのに、奴隷だったということは、何か卑怯な手段で自由を奪われて奴隷にされたのだろう。

「一護くんには、返しても返しきれない恩があるからな。ルキアちゃん、君を強い剣士として育てよう」

ルキアは飲み込みが早く、今まで自分のを身を守る術をもたないと思っていたのだが、浮竹と京楽に剣を習うと、嘘のように剣の腕は上達した。

今まで教えてきた相手が悪かったのか、ルキアは剣の腕はからっきしだったのに、みるみる強くなっていった。

「私は強くなったであろうか。剣の腕で、一護を守りたい。自分の身も守りたい」

「うん、ルキアちゃんは飲み込みが早いからね。今まで、剣の腕はなかったんじゃない?」

「なぜ分かる?」

「なんていうか、でたらめな剣の腕をしていたよ。強いのに、外に力を出せないような。多分、君を思う誰かが、剣の腕を封印していたんだろうね。無益な殺生に巻き込まれないように」

ルキアが思い当たるのは、兄である白哉だった。

「兄様が‥‥‥」

兄の白哉は、ルキアにいつも護衛をつけていた。

ルキアに剣を握るような人生を歩んでほしくないから、剣の腕を封印したのだろう。しかし、結果的に護衛を倒されて、ルキアは攫わて奴隷に落ちた。

今は解放されているが。

「ルキアちゃん、強くなろう」

「ああ。もっと、強くなりたい」

「ルキアちゃん、一護くんの剣の腕は国でも並ぶ者がいないほどだ。その一護くんを守りたいなら、もっと修行して強くならないとな」

「うむ」

ルキアは、一護と過ごしながら、剣の稽古の時間をもらって、修行を続けた。

ルキアは細身の体をいかした敏捷性の高い剣の動きを身に着けた。

ある日、一護の命が狙われた。

刺客を放ったのは、敵国の隣国であった。一護は自分の剣を抜く前に、ルキアが剣を抜いて刺客を倒してしまった。

「ルキア、お前強くなったな」

「ふふふ、剣の師匠である浮竹殿と京楽殿に毎日剣の稽古をつけてもらっているからな。一護、貴様の身は私が守る。だから、貴様は私を守ってくれ」

「分かった」

ルキアは、寵姫であるが帯剣を許されて、騎士の称号を授与された。

もう、ただの寵姫で黒猫の亜人だからと泣いているルキアの姿はなかった。

「浮竹さんと京楽さんは教え方がうまいからな。でも、ルキアがここまで強くなるなんて思わなかった」

「私は自分の身を守るようになりたかった」

「ああ」

「もう、私は昔の私ではない」

「頼りになりそうだな。俺の背中は任せたぞ、ルキア」

「ああ、任せろ」

それからも、時おり一護は命を狙われた。一護自身が倒したり、ルキアが倒したりしていた。

「一護は、なぜ命を狙われているのだ?」

「ああ。隣国に、俺と同じ血筋をひく皇族がいてな。俺を亡き者にして、皇帝の座を奪おうとしているんだ」

「なんだと!そんな不届き者、殺してしまえばいい」

「隣国と戦争になっちまう。戦争になれば大きな戦になる。無駄な血が流れる。民が犠牲になる。戦争だけは、しちゃいけないんだ」

「一護‥‥‥」

ルキアは、一護に抱きついた。

「貴様は私が守ってやる」

「頼もしいな」

「もし、私の身に何か起きても、戦争はするなよ」

「ああ、分かっている」

ルキアは、一護と出会って変わった。

最初はただの寵姫の奴隷だった。今では、騎士の称号をもつ。

「浮竹さんと京楽さん呼んで、お礼の席をもうけようか」

「お、いい考えだな。あのお方たちには、とても世話になっている」

浮竹と京楽は、宴に招かれて、一護たちと一緒に酒を飲み、語り合う。

「ルキアちゃんは強くなったね。元々素質があったんだろうけど。黒猫の亜人はか弱い子が多いから、強くなってくれるのは嬉しいね」

「俺も、白猫の亜人だからルキアちゃんが奴隷として売られていた時の気持ちは分かる。一護君に買われなければ、今頃俺は性奴隷にされていたかもしれない。一護くんには、感謝をしてもしきれない」

「よしてください、浮竹さん。俺たちは対等な立場だ」

「皇帝が、そう言ってくれるのは嬉しいな」

ルキアも一護も酒を飲んだが、京楽はかなりの酒豪で、次々に酒のたるを開けてしまう。

「京楽、飲みすぎないようにな」

「浮竹、いいじゃない。君ももっと飲みなよ」

京楽にすすめられて、浮竹も飲むが、あまり酒に強くないのか酔って眠ってしまった。

「宴はお開きにするか」

「そうだね。浮竹寝ちゃったし」

京楽は、浮竹をおんぶする。

「ボクは、浮竹の恋人なんだよ」

突然の爆弾告白に、ルキアが真っ赤になる。一護は知っているのか、普通だった。

「じゃあ、浮竹連れて部屋に戻るから」

「は、はい‥‥‥‥」

ルキアは、去っていった浮竹と京楽の関係を、赤くなって見送った。

「ルキア」

「なんだ、一護」

「故郷に帰りたいか?」

「それは、そう言われればそうだが」

「ソサエティ王国の四大貴族、朽木白哉はお前の兄だろう?」

「兄様が、どうかしたのか?」

ルキアが、心配そうな顔になる。

「お前を返せと、このソウル帝国に滞在している」

「兄様が、この帝国に!」

ルキアは、一護に案内されて白哉が泊っている高級宿までやってきた。

「つもる話もあるだろうから、俺は外で待っておく。でも、これだけは言っておく。俺はお前を手放す気はない。ルキア、俺はお前を愛してる。奪われたら、奪い返す」

「一護‥‥‥‥」

ルキアは、兄である白哉のいる部屋に入る。

「ルキア!」

「兄様!」

その日、ルキアは実に半年ぶりに白哉と会った。白哉の胸に飛び込んで、ルキアは感動のあまり涙を流した。

「奴隷にされたと聞いてずっと探していたのだ。ソウル帝国の皇帝の寵姫にされたと知ったのはつい最近だ。ルキア、共にソサエティ王国に戻ろう」

「兄様、それはできません」

「なにゆえだ、ルキア」

「私は、この国の皇帝黒崎一護を愛しております。一護も、私を愛してくれています」

「真か」

「はい」

「無理やり連れ帰れば、飛び出しかねんか。分かった、ルキアそなたの意思を尊重しよう。自由を与える。好きに生きよ」

「すみません、兄様。ご心配ばかりおかけして」

「辛くなったら、いつでも帰ってくるとよい。皇帝の黒崎一護には、そう約束をとりつけた」

「はい、兄様。でも、私はきっと戻りません。不出来な妹を、お許しください」

「ルキア、幸せになれ」

「はい。兄様」

白哉は、1週間ほどソウル帝国に滞在して、故郷のソサエティ王国へと戻っていった。


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