ムキムキがムチムチ
「とにかく、1日でいいんだ。ムキムキになってみたい。そんな薬を作れないだろうか」
浮竹が珍しく12番隊隊舎を訪れていた。浮竹にお茶をだした涅ネムは、浮竹の言葉をめもする。
浮竹は、いくら鍛錬しても筋肉ムキムキの体になれないことを気にしていた。
薄い筋肉はつくが、熱を出したりして寝こむとでその筋肉も落ちてしまう。いつも京楽から細いだの軽いだのいわれて、コンプレックスになっていた。
1日でいいから筋肉むっきむきになってみたい。
そこで浮竹が訪れたのは12番隊だった。技術開発局を兼ね揃えているこの場所なら、そんな薬を開発するのもたやすいだろう。
そう思っての、行動だったのだが。
涅マユリにはあったが、
「私は忙しいんダヨ」
と一蹴されてしまった。
代わりに、副官である涅ネムに話を聞いてもらっていた。
「分かりました。マユリ様に、伝えておきます。ムチムチですね?」
「すまないね、涅副隊長。よろしく頼む。あ、あとムチムチじゃなくってムキムキだから」
「承知しました」
メモ用紙に、ムチムチとネムは書きこんだ。
そんなことがあった数週間後。浮竹は、自分が言い出したことをもう忘れていた。
1週間たっても音沙汰がない時点で、取り合ってもらえなかったのだろうと諦めていた。
13番隊隊舎に、涅マユリからの届け物が届いていた。
「お、作ってもらえたのか」
錠剤タイプで、飲めば1日はもつと書いてあった。ただし、1錠しかなかった。
「よし、早速ムキムキに・・・・・・」
水の入ったコップを手に、錠剤を握りしめる。
「何が、ムキムキなんだい?」
「京楽!」
時すでに遅し。浮竹は、筋肉ムキムキになれる錠剤をのんでしまっていた。
「?・・・・・・あつっ」
体が燃えるように熱くなって、浮竹の体が傾ぐ。それをいつものように京楽が抱き留めた。
「何か変なものでも飲んだのかい?」
「それが・・・・・・・」
京楽に話をすると、京楽は筋肉ムキムキになるはずの浮竹の体をみた。だが、何かおかしい。全然なんの変化もおきない。でも、体は熱い。その熱さが終わる頃には、浮竹の体は確かに変わっていた。
「あれ?ムキムキじゃない・・・・?」
声のトーンが高かった。
ないはずのところに、ふくらみがあった。
「あれ?あれ???」
浮竹は、急いで届け物にかかれてあったメモを読む。
「一日ムチムチになりたい薬。効き目は1日。女体化。ただし交わるとかの無理は禁物ダヨ。ホルモンバランスが崩れて、元に戻れない可能性もあるからネ。その時は責任とれないヨ」
「ムキムキが・・・・・ムチムチ!?」
あわわわ。
慌てても遅い。背後をみると、やけににやにやした京楽と視線がかみ合う。
「浮竹、女の子になりたかったの?僕に、抱かれるために?」
ぶんぶんと首をふる。
浮竹はムチムチした自分の体をみる。いや、ムチムチまではいっていないが、あるはずのない胸があったりで、女体化しているのは明らかだった。
どちらかというと白く細い体に、少し大きめの胸。腕とか足とか、折れそうなくらいに細い。
涅ネムが、ムキムキという部分を聞き間違えてムチムチにしたらしい。
こんなことってあっていいのか。とりあえず、今は狼の京楽から逃げ出すのが先決だ。
「京楽!冗談なしに、エッチはだめだぞ、最後まではだめだからな!」
「最後までじゃなかったら、手を出してもいいってことかな?」
涅マユリ手書きの使用書を読む京楽は、にやにやしていた。もう、さっきから鼻の下が伸びっぱなしだ。
長い白髪は、床にふれんばかりに伸びている。ぶかぶかになった死覇装や隊長羽織が、心もとない。
浮竹は、狼から逃げようとするが、性別が逆転してしまったせいで、腕力までなくしてしまったのか、京楽の手から逃れられない。
「やっ・・・・・・」
死覇装の上から胸をもまれて、浮竹は甘ったるくなった自分の声のトーンに吃驚する。
貪るように、口づけされる。柔らかな女の体を楽しむように、京楽は浮竹を抱きしめた。
「京楽、やっぱり女がいいのか」
「違う。浮竹なら、なんでもいいんだよ。男でも女でも。性別なんて関係ない」
ちゅっと、音が鳴るくらいのキスをされて、浮竹は真っ赤になった。半分はだけた死覇装から見える肩にキスをして、京楽は浮竹を抱き締める。
「体を重ねるようなことはしないから。怖がらないでよ。そばにいて?」
やけに甘ったるい気分にさせる言葉だった。
「浮竹は甘いね・・・・・」
全身にキスの雨を降らせていく京楽。
浮竹は、それを感じるのに男も女もないのだと悟った。
「春水・・・・・・」
自分からも求めるように口づけをせがむと、京楽は舌が絡み合う深い口づけをしてくれた。
最後までできないのが、ちょっと残念だと京楽は思ったが、浮竹に無理をさせるわけにはいかない。女の浮竹は儚くかわいいが、男の浮竹も同じくらい儚くかわいいのだ。
優越をつけがたい。
京楽は、キスや手で浮竹を翻弄させる。
「ああっ」
オーガズムでいくことを覚えた体は、女になっても変わらない。
呼吸を乱しつつ、浮竹は交われないもどかしさに、早く薬の効果が切れてしまえばいいのにと願った。
「汗かいちゃったね。一緒にお風呂、入ろうか?もう何もしないからさ」
せっかく女のなったのだから、それを楽しむのもありだが、最後まですると元に戻れないので、中途半端になった。
「なんか・・・・・女になった俺が相手でも、京楽はいつもと変わらないな」
それが、嬉しくもあった。
「ムキムキに、まだなりたい?」
「いや・・・・・またムチムチになりたいんだろうと、薬を渡されそうでもういい」
「浮竹は、元のままが一番いいんだよ。細いけれど、しなやかな筋肉がついてるし。確かについている筋肉は薄いし細いけど、筋肉がないわけじゃあないし」
それにね、と、付け加えられる。
「君がそんな姿をずっととっていたら、ライバルがたくさん出てきそうだしね。君を手に入れるために、血が流れそうだ」
「そうか?そこまで、見た目はいいのか?」
手鏡で、自分の姿を見たわけではない浮竹に、京楽は教えた。どれだけ可憐な美女になっているのかを。
浮竹はほぼのろけ話になっている京楽の言葉に、顔を赤くした。
湯あみを済ませて、京楽の腕の中で、浮竹はまどろんでいた。
京楽は、すでに眠ってしまっている。
女のなった姿を例え清音と仙太郎にも見せようとしないだろう、京楽は。京楽は、独占欲が強い。浮竹を手放すどころか、女になってしまった浮竹を誰の目にも触れさせないだろう。
浮竹もまた、眠りの海に沈んでいく。
朝起きると、まだ女の体のままだった。
京楽が、13番隊隊舎にいって、朝餉をもってきてくれた。あと、薬も。
食事を終えて、薬を口にすると白湯を渡された。それを飲みほして、今日は一日どうしようかと浮竹は迷う。
「外に出るのはだめだよな?」
「当たり前でしょ。浮竹のそんな美女姿、僕以外の誰にも見せたくない」
結局、浮竹は男に戻るまで、京楽の腕の中にいた。
男に戻っても、京楽は落胆しない。
「おかえり」
「ああ・・・・ただいま。少し変なかんじだが」
元に戻るのに、体が熱くなったりはしなかった。ただ、倦怠感を覚えた。
「もぅこりごりだ」
「まぁ、涅マユリって人物は、あまり信用しないほうがいいよ」
かつて、金をかけて涅マユリに食べると猫耳と尻尾が生えてしまうにゃんにゃんキャンディーなるものを作らせた京楽であるが。
涅マユリが、ただで薬を作ってくれることは、ほとんどない。今回も、モルモットに実験をするようなものなのだろう。
何はともあれ、元に戻ってよかったと思う浮竹と、交われないなんて勿体ないなぁと思う京楽があったとさ。
浮竹が珍しく12番隊隊舎を訪れていた。浮竹にお茶をだした涅ネムは、浮竹の言葉をめもする。
浮竹は、いくら鍛錬しても筋肉ムキムキの体になれないことを気にしていた。
薄い筋肉はつくが、熱を出したりして寝こむとでその筋肉も落ちてしまう。いつも京楽から細いだの軽いだのいわれて、コンプレックスになっていた。
1日でいいから筋肉むっきむきになってみたい。
そこで浮竹が訪れたのは12番隊だった。技術開発局を兼ね揃えているこの場所なら、そんな薬を開発するのもたやすいだろう。
そう思っての、行動だったのだが。
涅マユリにはあったが、
「私は忙しいんダヨ」
と一蹴されてしまった。
代わりに、副官である涅ネムに話を聞いてもらっていた。
「分かりました。マユリ様に、伝えておきます。ムチムチですね?」
「すまないね、涅副隊長。よろしく頼む。あ、あとムチムチじゃなくってムキムキだから」
「承知しました」
メモ用紙に、ムチムチとネムは書きこんだ。
そんなことがあった数週間後。浮竹は、自分が言い出したことをもう忘れていた。
1週間たっても音沙汰がない時点で、取り合ってもらえなかったのだろうと諦めていた。
13番隊隊舎に、涅マユリからの届け物が届いていた。
「お、作ってもらえたのか」
錠剤タイプで、飲めば1日はもつと書いてあった。ただし、1錠しかなかった。
「よし、早速ムキムキに・・・・・・」
水の入ったコップを手に、錠剤を握りしめる。
「何が、ムキムキなんだい?」
「京楽!」
時すでに遅し。浮竹は、筋肉ムキムキになれる錠剤をのんでしまっていた。
「?・・・・・・あつっ」
体が燃えるように熱くなって、浮竹の体が傾ぐ。それをいつものように京楽が抱き留めた。
「何か変なものでも飲んだのかい?」
「それが・・・・・・・」
京楽に話をすると、京楽は筋肉ムキムキになるはずの浮竹の体をみた。だが、何かおかしい。全然なんの変化もおきない。でも、体は熱い。その熱さが終わる頃には、浮竹の体は確かに変わっていた。
「あれ?ムキムキじゃない・・・・?」
声のトーンが高かった。
ないはずのところに、ふくらみがあった。
「あれ?あれ???」
浮竹は、急いで届け物にかかれてあったメモを読む。
「一日ムチムチになりたい薬。効き目は1日。女体化。ただし交わるとかの無理は禁物ダヨ。ホルモンバランスが崩れて、元に戻れない可能性もあるからネ。その時は責任とれないヨ」
「ムキムキが・・・・・ムチムチ!?」
あわわわ。
慌てても遅い。背後をみると、やけににやにやした京楽と視線がかみ合う。
「浮竹、女の子になりたかったの?僕に、抱かれるために?」
ぶんぶんと首をふる。
浮竹はムチムチした自分の体をみる。いや、ムチムチまではいっていないが、あるはずのない胸があったりで、女体化しているのは明らかだった。
どちらかというと白く細い体に、少し大きめの胸。腕とか足とか、折れそうなくらいに細い。
涅ネムが、ムキムキという部分を聞き間違えてムチムチにしたらしい。
こんなことってあっていいのか。とりあえず、今は狼の京楽から逃げ出すのが先決だ。
「京楽!冗談なしに、エッチはだめだぞ、最後まではだめだからな!」
「最後までじゃなかったら、手を出してもいいってことかな?」
涅マユリ手書きの使用書を読む京楽は、にやにやしていた。もう、さっきから鼻の下が伸びっぱなしだ。
長い白髪は、床にふれんばかりに伸びている。ぶかぶかになった死覇装や隊長羽織が、心もとない。
浮竹は、狼から逃げようとするが、性別が逆転してしまったせいで、腕力までなくしてしまったのか、京楽の手から逃れられない。
「やっ・・・・・・」
死覇装の上から胸をもまれて、浮竹は甘ったるくなった自分の声のトーンに吃驚する。
貪るように、口づけされる。柔らかな女の体を楽しむように、京楽は浮竹を抱きしめた。
「京楽、やっぱり女がいいのか」
「違う。浮竹なら、なんでもいいんだよ。男でも女でも。性別なんて関係ない」
ちゅっと、音が鳴るくらいのキスをされて、浮竹は真っ赤になった。半分はだけた死覇装から見える肩にキスをして、京楽は浮竹を抱き締める。
「体を重ねるようなことはしないから。怖がらないでよ。そばにいて?」
やけに甘ったるい気分にさせる言葉だった。
「浮竹は甘いね・・・・・」
全身にキスの雨を降らせていく京楽。
浮竹は、それを感じるのに男も女もないのだと悟った。
「春水・・・・・・」
自分からも求めるように口づけをせがむと、京楽は舌が絡み合う深い口づけをしてくれた。
最後までできないのが、ちょっと残念だと京楽は思ったが、浮竹に無理をさせるわけにはいかない。女の浮竹は儚くかわいいが、男の浮竹も同じくらい儚くかわいいのだ。
優越をつけがたい。
京楽は、キスや手で浮竹を翻弄させる。
「ああっ」
オーガズムでいくことを覚えた体は、女になっても変わらない。
呼吸を乱しつつ、浮竹は交われないもどかしさに、早く薬の効果が切れてしまえばいいのにと願った。
「汗かいちゃったね。一緒にお風呂、入ろうか?もう何もしないからさ」
せっかく女のなったのだから、それを楽しむのもありだが、最後まですると元に戻れないので、中途半端になった。
「なんか・・・・・女になった俺が相手でも、京楽はいつもと変わらないな」
それが、嬉しくもあった。
「ムキムキに、まだなりたい?」
「いや・・・・・またムチムチになりたいんだろうと、薬を渡されそうでもういい」
「浮竹は、元のままが一番いいんだよ。細いけれど、しなやかな筋肉がついてるし。確かについている筋肉は薄いし細いけど、筋肉がないわけじゃあないし」
それにね、と、付け加えられる。
「君がそんな姿をずっととっていたら、ライバルがたくさん出てきそうだしね。君を手に入れるために、血が流れそうだ」
「そうか?そこまで、見た目はいいのか?」
手鏡で、自分の姿を見たわけではない浮竹に、京楽は教えた。どれだけ可憐な美女になっているのかを。
浮竹はほぼのろけ話になっている京楽の言葉に、顔を赤くした。
湯あみを済ませて、京楽の腕の中で、浮竹はまどろんでいた。
京楽は、すでに眠ってしまっている。
女のなった姿を例え清音と仙太郎にも見せようとしないだろう、京楽は。京楽は、独占欲が強い。浮竹を手放すどころか、女になってしまった浮竹を誰の目にも触れさせないだろう。
浮竹もまた、眠りの海に沈んでいく。
朝起きると、まだ女の体のままだった。
京楽が、13番隊隊舎にいって、朝餉をもってきてくれた。あと、薬も。
食事を終えて、薬を口にすると白湯を渡された。それを飲みほして、今日は一日どうしようかと浮竹は迷う。
「外に出るのはだめだよな?」
「当たり前でしょ。浮竹のそんな美女姿、僕以外の誰にも見せたくない」
結局、浮竹は男に戻るまで、京楽の腕の中にいた。
男に戻っても、京楽は落胆しない。
「おかえり」
「ああ・・・・ただいま。少し変なかんじだが」
元に戻るのに、体が熱くなったりはしなかった。ただ、倦怠感を覚えた。
「もぅこりごりだ」
「まぁ、涅マユリって人物は、あまり信用しないほうがいいよ」
かつて、金をかけて涅マユリに食べると猫耳と尻尾が生えてしまうにゃんにゃんキャンディーなるものを作らせた京楽であるが。
涅マユリが、ただで薬を作ってくれることは、ほとんどない。今回も、モルモットに実験をするようなものなのだろう。
何はともあれ、元に戻ってよかったと思う浮竹と、交われないなんて勿体ないなぁと思う京楽があったとさ。
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