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いちご、すきだ

「いちご、好きだ」

「え、ルキア?」

「何を惚けておる。苺が好きなのだと言っている。貴様の苺をよこせ」

ルキアは今、一護の家に居候している。

夕飯の席でのいきなりの「好きだ」発言に、みんな「ええ!?」っていう顔になったが、デザートで出された苺が甘くておいしくて、ルキアは気に入って、一護の分まで食べた。

「はぁ。ドキッとして損した。俺の青春を返せ」

「はぁ?何を惚けたことを言っている」

すでに余所行きの口調は疲れるし、いつまでも騙せないので、いつものルキアのふるまいで一護の家族とも接していた。

「貴様の名も一護だったな。ふふ、私が貴様を好きだといったと勘違いしたのであろう」

「うっせ。風呂入ってくる」

一護は、自分の分の苺を全部ルキアにとられて、もうどうでもいいようなかんじで、風呂に行ってしまった。

「変な奴だ」

ルキアは、2階の一護の寝室のベッドに寝転がる。

目を閉じると、急激な眠気が襲ってきて、ルキアは眠ってしまった。

「おい、ルキア、風呂入れって親父が・・・・・寝てんのか?」




「一護、好きだ・・・一護・・・・・」

「はぁ、また苺かよ」

ルキアのふっくらとした唇に、指で触れる。

一護は、ルキアが寝ているのをいいことに、キスをした。

その瞬間ルキアの目が開いて、ゴンと、二人は額をぶつけあう。

「な、き、貴様、今、私に何をした!?」

「何って、ただのキス。俺はルキアのこと好きだから。好きな子が自分の部屋にいるんだ。少しくらいちょっかいかけても、かまわねぇだろ?」

「な!」

ルキアがボンと音をたてて真っ赤になった。

「貴様、私のことを好いているというのか」

「そうだぜ。好きだって、いつも常日頃から言ってるだろ」

「友情や家族の好きだと思っていた・・・・・・」

「ひでぇ」

「わ、私も・・・・・・」

一護は首を傾げる。

「私も?その続きは?」

「私も・・・・・一護のことが、好きだ!」

押し入れからコンを取り出して、好きだといいながら、コンを一護の顔に押し付けた。

「姉さん、ひでぇ!」

「おいルキア、コンを使うな」

かあああと、真っ赤になったルキアはかわいかった。

いつもかわいし、可憐な容姿をしているが、今は特別かわいく見えた。

「俺たち、両想いなんだな。じゃあ、付き合うか」

「つ、付き合う!?」

「なんだ、嫌なのか?」

「私は死神で、貴様は人間だぞ」

「愛に、種族も性別もかんけぇねえ」

「そのような言葉だと、私が男だったとしても好きだと言っているように聞こえる」

「ルキアは女の子だろ。例えで話しただけで、俺は女の子しか好きじゃねぇ」

「い、井上がいるであろうが!」

つい先日、井上が一護に告白しのをルキアは知っていた。

それを断ったことまでは知らなかった。

「ああ、井上の告白なら断った。ルキアのことが好きだからって」

「なななな、な!」

ルキアは真っ赤になって、ぼふんと音を立てて倒れた。

「おい、ルキア!?」

のそりと立ち上がり、お風呂セットを手に、部屋の扉をあける。

「風呂に入ってくる・・・少し、頭を冷やしてくる・・・・」

逃げるように、ルキアは一護の前から去った。

ルキアが風呂からあがり、一護の部屋の前で入るのを躊躇っていると、一護が扉をあけてルキアを抱きしめた。

「な、一護!?」

「好きだって言ったよな。お前も俺のこと好きだって。今日もいつもみたいに、一緒に寝ようぜ」

一護は、ルキアを腕の中に抱いて眠る。

今まで恥ずかしくもなかった行為なのだが、好きで好きだと言われて、すごく恥ずかしく思えた。

「わ、私は押入れで寝る・・・・・」

「何もしやしねぇよ。押し入れなんかで寝るなよ。一緒に寝ようぜ」

「しかし・・・・」

「ほら、明日も学校があるんだ。早めに寝ようぜ?」

ルキアを抱きしめて、一護は電気を消すと、すーすーとすぐに眠ってしまった。

「ううう・・・近すぎる。緊張して眠れぬ」

一護の腰にまわされた手を握り返しながらいろいろ考えていると、そのうち睡魔が襲ってきて眠ってしまった。

「ルキア、朝だぜ、起きろ」

「うーん、あと10分・・・・・」

「昨日なかなか寝付けなかったのか?」

「誰かのせいでな!」

ルキアは悪態をつくが、一護は嬉しそうにしていた。

「俺のこと、意識してくれたのか。ルキア、すっげぇかわいい」

「な!」

朝ごはんに呼ばれて、顔が赤いままトーストとサラダを食べて、そのまま登校する。

「手、繋ごうぜ」

「た、たわけ!誰かが見ていたらどうするのだ」

「ああ、今日の朝のうちに、スマホで井上とチャドと石田に、ルキアと付き合うことになったってメッセージ送っておいた」

「ななななな!!!」

ルキアは、これはもう観念するいしかないと思った。

「一護、手を繋ぐぞ。こうなればやけだ。貴様との交際を兄様にも認めてもらう」

「白哉、許してくれるかな?」

「兄様は、私の幸せを一番に考えてくれる。反対はすまい。ただし、浮気などしたら兄様の千本桜で塵一つこの世からなくなると思え」

「うわ、こえー。でも、ルキア以外に興味ねーよ。好きだぜ、ルキア」

「わ・・・・・私も貴様のことが好きだ、一護」

初々しく、手を繋ぎながら登校する。

学校では、ルキアと一護が付きあいだしたと、大騒ぎであった。

一応、水色と啓吾にも報告したのがいけなかったらしい。

「よ、ご両人、お揃いで」

「一護の裏切者おおおお」

朝からハイテンションな水色と啓吾と適当に会話して、一護とルキアは今週の日曜に初デートする約束をするのであった。



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