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え、生きてる?7

「体が熱い・・・・・・」

「どうしたの、浮竹」

「京楽・・・・だめだ、俺に触るな!」

浮竹は、心配のあまり熱があるのじゃないかと額に手を当ててきた京楽の手を、振りほどいた。

「どうしたの」

「霊王の残滓が・・・・くそ、コントロールできない」

浮竹の意識は、霊王の残滓が混じりあって、歪なものになっていた。

「行かなくては・・・・・俺は霊王」

「何言ってるの浮竹!」

「邪魔だ、どけ!」

突き飛ばされて、京楽は信じられないものを見る表情で、浮竹を見上げた。

床に転がって、京楽はただ浮竹を見上げた。

「違う、そうじゃないんだ。あああ、うるさい!俺は霊王になんてまたなりたくない・・・・俺は、俺こそが真の霊王だ」

浮竹は、霊王の意識に体を乗っ取られかけていた。

「だめだよ、行かせない」

京楽は立ち上がり、浮竹を抱きしめた。

「もう、霊王はいるんだ。君がまた霊王になる必要なんてないんだよ」

「死んだのだ。その霊王であった幼子が、霊王の力の負荷に耐え切れず。だから、俺が再び霊王となり、尸魂界を守るのだ」

「ユーハバッハの遺骸があるじゃない!」

「それだけでは足りない。だから、俺が霊王になった」

京楽の腕の中で、浮竹は涙を流していた。

「京楽・・・・俺が俺でなくなったら、俺を殺してくれ」

「そんなこと、できるわけないじゃない!」

京楽は浮竹に口づけた。

浮竹は、京楽の唇をかみ切った。

「いたっ」

「霊王に気安く触れるな」

「浮竹?」

「俺は・・・・私はミミハギ様と呼ばれる存在。霊王の残滓にして、右腕」

「浮竹、元に戻って!!」

滴り落ちる血をぬぐいもせずに、京楽は浮竹を行かせないように鬼道を使おうとした。

「無駄だ。私はもう霊王だ。俺はもう霊王だ」

京楽が放った鬼道は、浮竹を束縛できなかった。



「お待ち申し上げておりました、先先代の霊王様。あなた様のお力が、再び必要になりました。自害なされたと思っておりましたが、こうして生きて霊王の残滓を宿したまま生きていてくださり、大変助かります」

零番隊のリーダーであった女性が、連れの者とどこからか現れて、浮竹の傍に膝まづく。

「霊王宮まで、案内せよ」

「はっ」

「待ってよ、浮竹!!浮竹!!」

「見苦しいぞ、総隊長京楽春水。今の浮竹十四郎様は、再び霊王になられるために蘇ったのだ。残滓が残っていてよかった。霊王様に再びなられたことで、また世界は、尸魂界は平和でいられる」

「浮竹!」

霊王宮に続く長い白い階段を、浮竹は歩いていく。

それを、京楽が阻止しようとする。

「霊王様の邪魔はさせぬぞ」

「浮竹、ボクを思い出して!浮竹!!」

「京楽・・・・すまない、少し霊王になってくる。会えるように取り計らうから、どうかしばらくの間辛抱してくれ・・・・・くっ、いまだに意思が残るのか、この体は」

霊王の残滓であるミミハギ様の意識が混ざった浮竹は、白い階段をのぼっていく。

「浮竹ーーーー!!!」

「信じていてくれ、京楽。俺は、必ずお前とまた出会う」

その言葉を残して、浮竹は京楽の屋敷から、零番隊のメンバーと共に姿を消してしまった。



「浮竹・・・・嘘でしょ?霊王をやめれたのに、また霊王になるとか・・・ボクの元から去っていくなんて」

地獄蝶が、ふわふわと飛んできた。

(京楽、しばらくの間霊王宮にいる。召喚儀式を絶対に行わせるから、それまで待っていてくれ)

「浮竹?」

霊王の霊子でできた地獄蝶は、浮竹の言葉を伝えるとふわりと消えてしまった。

「地獄蝶よ・・・・絶対に会いにいくと、伝えてほしい」

京楽も、霊王宮に向けて地獄蝶を飛ばす。

「信じてるよ、浮竹。霊王にたとえまたなったとしても、また会えるって」

京楽は、絶望から希望を見出す。

浮竹は、霊王の残滓が残っているせいで、それはミミハギ様だった。

神掛を行い、ミミハギ様を手放したはずなのに、ミミハギ様は霊王の残滓として浮竹の体の中でずっと眠っていた。

先代の霊王・・・・流魂街から、霊王として即位した幼子は、霊王の器としては未熟すぎて、1年もたたずに死んでしまった。

そして、次に霊王に、霊王をやめたはずの浮竹がまた選ばれた。

なんとかして、浮竹の中から霊王の残滓を取り出せないか、涅マユリに聞いてみようと思う京楽であった。


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「霊王様。どうか、今度は逃げださないように」

霊子でできた首輪をつけられた。

「なんの真似だ、これは」

「以前の霊王様は、自害したふりをしてまでして、霊王という地位から逃げ出しました。今度は、そうできないようにするための処置です。連れ出されたら、即座に零番隊のメンバーの元に知らせが届きます。京楽春水のことは、諦めてください」

「俺は・・・霊王になんて、なりたくない」

「でも、もう今のあなた様は霊王です」

「京楽・・・・・」

「あの者のことは、お忘れください」

ふわりと、地獄蝶がやってくる。

浮竹にしか聞こえない声で、浮竹にしゃべりかけて、溶けて消えてしまった。

「いいだろう。俺は霊王になる。ただし、条件がある・・・・・・」


京楽春水を、月に2回以上、霊王宮に入れること。

それが、浮竹が霊王として即位するための条件であった。





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