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お茶が不味い

「まずい」

だーっと、恋次はお茶を吹き出した。

白哉が、お茶を入れるというので、嬉しくそれを受け取って飲んだのだ。

玉露の最高級の茶葉で入れたお茶が、どうすればこんなに苦く不味くななるのかが知りたくて、白哉のお茶を入れる手順を見せてもらった。

まず、急須に茶葉を入れる。そこの熱湯を注ぐ。そこまではいい。そこから変な実やら薬らしきものまで、ぽいぽいと急須に入れるのだ。

「何、茶葉以外に入れてるんですか!」

「プロテイン、ビタミン剤、栄養のつくという木の実、その他いろいろだ」

「そんなもの、お茶にいれるなーーー!!!」

恋次は、お茶の入れ方というものを白哉に教えた。

「普通に茶葉をいれて、熱湯じゃなしに適温のお湯を注いで茶葉から香りと茶の色がでてきたら、それを注ぐ。簡単でしょう?」

「プロテインにビタミン剤に木の実は?」

「そんなもの入れません!」

しゅんと、白哉はしおれた。

多分、恋次のためを思って茶を入れてくれたのだろう。

その思いは嬉しいが、流石にあんな不味い茶を飲めるほど、鈍感にはできていなかった。

恋次の言う通りに急須に茶葉をいれて、適温の湯をいれて、2~3分経ってから、湯のみに茶を注いだ。

「うん、今度は美味しい。やればできるじゃないっすか隊長」

「ルキアは、私の入れた今までのやり方の茶を美味いといってくれる。なのに恋次は不味いという。どちからが本当であるのであろう?」

「あー。ルキアはあんたのことめっちゃ愛してるから、たとえ不味くても美味しいっていうに決まってます」

「そうか。最近、朽木一護になったあの者にも、同じ茶を飲ませたが、失神しおった」

どんだけ不味い茶を飲ませたんだ、あんた。

めっちゃつっこみをいれたくなったが、かわいらしく首を傾げるそのあどけない表情に釘付けになった。

めっちゃ、かわいい。

執務室でなかったら、襲ってしまいたい。

なんとか理性と戦いながら、まともな入れ方を身に着けた白哉の入れてくれた茶を飲んで、茶菓子を出した。

茶菓子は、わかめ大使であった。

白哉用のものは、中に辛子が入っていて、めちゃ辛い。

一度間違えて食べて、凄い目にあったので、辛子の入ったわかめ大使の袋には、辛子入りと書かれるようになった。

「わかめ大使・・・高級なあんこ使ってるだけあって、美味しいのに売れませんね」

「下々の者は、見る目がないのだ」

いや、完全にあんたのデザインのせいだ。

そうつっこみたかったが、無駄なことで怒らせたくないので、口を閉じた。

高級和菓子店とかに、何気に置かれているわかめ大使。

でも、売れたという報告はたまにしか入ってこなかった。

「この辛いわかめ大使も、和菓子店に置いたほうがいいいのであろうか」

「いや、止めてください!いいですか、絶対に止めてくださいよ!辛いわかめ大使、ピリ辛の域超えてますからね!?普通のキムチより辛いですからね!?」

「ルキアは、泣きながら食してくれるぞ」

おいあんた、何義妹に涙を流させてまで食べさせてるんだ。

っていうかルキアすげーな。

義兄の愛だけで、あの辛過ぎるわかめ大使を、たとえ涙を零しながらでも食うなんて。

「一護には、食べさせたんすか?」

「まだだ」

「じゃあ、今日あたりに食べさせてやってください」

にやりと、恋次は笑んだ。

白哉の近くにいつもいれる、一護が妬ましかった。

恋次は、白哉の恋人とはいえ、同じ屋根の下で暮らしていない。

「ふむ・・・ルキアが涙するほどのものなのだ。あの者も、涙を流しながら感動して食べるに違いない」

その日の夜、白哉は一護に、辛いわかめ大使を食べさせた。

一護は気絶した。

気絶するほどにうまいのかと思いながら、白哉は玉露で入れた茶をすする。

「兄様、今後、一護には辛いほうのわかめ大使を与えないでください。こやつは味音痴なので、兄様の作品のよさが分からぬのです」

「そうか」

必死のルキアのフォローを真に受ける白哉。

ルキアは出された辛いわかめ大使を、1つだけ涙を流しながら食べた。

辛い。泣き出したい・・・いや、すでに泣いている。

ここでくそ不味い、食べられたものでないと訴えると、兄様が酷く傷つく。

その思いだけを胸に、ルキアは食し終わると、今まので不味さとは比較にならない美味しい茶を飲んだ。

「兄様、兄様が入れたお茶ですよね?入れ方変えました?」

「ああ、恋次に不味いと言われて、入れ方を変えてみた」

「このお茶、凄く美味しいです!」

「そうか」

白哉は薄く微笑んだ。

ちなみに、一護は明け方になるまで気絶していた。




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