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さくらさくら

「ん・・・・・・」

寒さもなくなり、暖かな日が多くなってきていた。

夜遅くまで、書物を読みふけってしまった白哉は、執務室でうたた寝をしてしまっていた。こういう時に恋次に起こせと言っているのだが、恋次は起こさない。

「・・・・・早咲きの桜、か」

ふと気づくと、テーブルの上に桜の花を活けた花瓶があった。

その柔らかな色彩に、目覚めたばかりの白哉の思考溶けていく。

ああ。

雪解け水のように、春の日差しに溶けていきたい。

もうすぐ、白哉の好きな桜が満開になる季節だ。今はまだ早咲きの桜と少し遅咲きの梅が一緒に見れる、微妙な季節だ。

梅を見ようにも散りかけていて、桜を見ようにも少ししか咲いていない。

「この桜の枝は、どこで見つけたのだ、恋次」

隊首室の方で様子を伺っていたことにばれた恋次は、頭をかきながら流石は白哉だと思った。

「6番隊にくる途中の、河川敷の桜です」

「そうか。あの河川敷は早咲きだからな・・・・」

もう、桜の花が咲いていることに喜びを感じ、同時に散ってしまう季節を感じると悲しみを少しだけ覚えた。

自分の斬魄刀を千本桜にしてしまうほど、桜を愛していた。梅の花も、緋真が好きだったために愛していたが。

「昨日は、少しばかり夜更かしをしすぎたな・・・・・執務室で寝てしまうなど」

「隊長、春だし最近仕事づくめだったし、少し休んだほうがいいですよ」

「そうだな・・・・今日の仕事はもう終わってしまったようだ」

仕事の途中で寝てしまうと隊長失格と思うが、終わってしまっているのなら、少しばかりのうたた寝くらいは大丈夫だろう。

そもそも、白哉は時間や規則に厳格だ。

それも緩んでしまうくらい、春の日差しが窓の外から入ってきていた。

「隊長・・・・・」

恋次が、仕事が終わってもう、帰宅するだけになってしまった白哉の名を呼んで、引き留める。

「恋次?」

「隊長、桜が満開になったら、花見に行きましょう」

「ああ、そうだな」

抱き締められて、キスをされた。

「ん・・・」

応えていると、口づけが激しくなる。

「んん・・・・」

ピチャリと、舌と舌が絡み合うキスを繰り返していると、最近睦み合っていないので、どちらが先なのか分からぬが、スイッチが入ってしまった。

恋次が寝泊まりしている隊首室の、ベッドに押し倒されていた。

「あ、恋次・・・・・」

「好きです、隊長」

「いい加減、もう少し片付かないのかこの部屋は」

「そんなに酷く散らかってはいませんよ」

確かに、昔に比べれば綺麗になっている。掃除も行き届いていて、隊首室は意外にきちんとされれていたが、白哉から見ればまだ物がおおい部屋だった。

「恋次・・・・来い」

貴族の証も奪い取り、隊長羽織を脱がせて、死覇装を脱がせていく。

真っ白な肌に、自分のものだというキスマークを残していった。

「恋次・・・・・」

「隊長・・・・」

体の輪郭全部を愛撫して、胸の先端をひっかき、弄り回していると、白哉がぴくんと反応した。

「あ・・・・・」

ゆるゆると反応している花茎に手をかけて、いじられるとそれだけで何も考えられなくなる。

「恋次!」

白哉のものは色が薄く、恋次のそれより淡かった。

「んっ」

花茎をしごかれて、先端に爪を立てられると、あっけなく白哉はいってしまった。

「ああ!」

「ん・・・・隊長、俺のも」

「ん・・・」

恋次のものを、白哉は手でしごく。

ぴりゃりと舌を這わせて、口に含めない部分は指で扱っていると、恋次はびゅるびゅると濃い精子を、白哉の口の中に吐きだした。

「げほっげほっ」

むせてしまったが、ほとんどを嚥下した。

「指、入れますよ」

潤滑油で濡らした指が体内に入ってくる。

「ん・・・・・ああ・・・・あ」

くちゅりと、音をたてて前立腺を刺激しながら、解していく。

「ああ・・・あ・・・」

3本の指を飲み込む頃には、後ろも潤滑油のせいで濡れてぬるぬるになっていた。

そこに、そそり立ったものを宛がう。

「いきますよ、隊長」

「んっ!」

ずちゅっと、音がして侵入してくる恋次の熱は緩やかだった。

「息はいて・・・・ゆっくり・・・痛くないですか?」

「大丈夫だ」

その言葉を受けて、奥まで突き入れると、揺さぶった。

「ああ!」

「すみません、久し振りなのでちょっとがっついてます」

ぐちゅぐちゅと音をたてて、内部を犯された。

「ひああああ!」

前立腺をすりあげられて、白哉のものが透明な先走りの蜜を零す。

ぐちゃっと音が立つほどに抉られて、白哉は精を放っていた。

「ああああ!」

締め付けがきつくなり、恋次も白哉の腹の奥に熱を放つ。

「んう」

何度もキスをしあった。

「恋次、愛している」

「俺も愛してます、隊長」

内部を犯す熱は硬度を保ったままで、そのまま背後から犯された。

「あああ・・・ひあう」

恋次の激しい動きに、白哉の体と髪が揺れる。

白哉の黒髪が宙を舞う。

結合部は泡立ち、白哉は途中で意識を失いそうになった。

「あ!」

最奥まで抉られて、ふっと意識が戻る。

「ああ!」

最奥でまるで子供を孕ますように、びゅるびゅると熱い精子を叩きつけられて、恋次は満足したのか動かなくなった。

「すんません、タオル用意してなかった」

「お前の死覇装でふけ」

「うー・・・・」

仕方なく、恋次は自分の死覇装で、抜き取ってこぽりと逆流してくる自分の精液をふきとった。

白哉は自分の死覇装を体の上にかける。

その間に、恋次はタオルを蒸したものをもってきて、白哉の体を清めて、中に出したものをかきだした。

蒸したタオルで情欲の痕を消し去るが、白哉はいつも行為後に風呂に入るので、とりあえず死覇装を着て、隊長羽織はもったまま、真新しい死覇装を着た恋次を連れて、朽木邸にまで瞬歩で戻った。

すぐに湯殿にいき、清家に着換えを頼み、恋次と一緒に風呂に入った。

お互いの髪を洗いあい、体を洗った。

「隊首室ですると、後始末に困るな」

「そうですね」

「だからといって、大浴場はさすがに・・・・・」

貸し切りにするにも、迷惑をかける。

だから、睦み合う時はいつも決められた館を使っていた。

「まぁ、たまには隊首室でもいいじゃないですか」

「ふむ・・・・」

どうせ、すぐ朽木邸にまで戻り、風呂に入るのだからと、恋次が言う。

湯船は、桜色で、桃の香がした。

「うわーまた贅沢な・・・・」

特別な入浴剤だ。香りもよい。

白哉と恋次は湯船に浸かりながら、触れあうだけのキスをした。

「もう、盛るなよ」

「盛れますけど、お仕置きが怖いのでやめておきます」

湯からあがると、二人分の着物と下着が置いてあった。

それに着替えて、白哉は恋次の手をとる。

「今日は、泊まっていけ」

「隊長?」

「答えは?」

「あ、はい、泊まっていきます!」

夕食を朽木家でとり、そのまま泊まった。

恋次は、白哉の寝室で寝た。

白哉のあどけない寝顔をずっと見ていたが、いつの間にか寝落ちして眠ってしまっていた。

「ああ、もう朝か・・・・・・」

恋次はまだ眠っている白哉に口づけて、瞬歩で隊首室までいって、昨日の逢瀬に使った汚れ物を洗濯した。

そのまままた朽木邸に戻ると、白哉が起きていた。

「忙しい奴だな」

「すみません。でも、仕事時間前に片付けるのもあれだし・・・・・」

館を使う時は、汚れ物は家人が洗濯してくれる。

「しばらくは、隊首室ではしない」

「あ、はい」

もっともだった。

朝食をとり、2人で6番隊の執務室に向かう。

同じ匂いをさせていることで、関係はばれているのだが、それを口にする猛者は6番隊にはいなかった。

執務室のテーブルの花瓶には、桜の枝が増えていた。

「恋次か?」

「ああ、河川敷の桜綺麗だったんで、追加で飾っときました」

「もう春か・・・・・」

恋次を愛していると確信し、愛を告げて2年が経とうとしていた。お互いの関係は、逢瀬の時が増えたくらいで、これといった進展はない。

だが、別れもない。

エンゲージリングは指にはまったままだし、お互いを愛し合っていることは、呼吸をすることのように自然だった。

はらりと、花瓶の桜の花びらが一枚散る。

それを受け止めて、白哉は恋次に命令する。

「永遠に、私を愛し抜け」

「隊長・・・・当たり前です。あんたは俺のもんだ。離せっていっても、離しません」

背後から抱き寄せられる。

「永遠の愛を、あんたに」

「ふ・・・・」

触れるだけの口づけを交わして、いつも通りの日常に戻っていく。

桜は、ひらひらと、ただ散っていくのだった。








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