浮竹と京楽と海燕と アイス
「起きろおおおおおおおおおお」
「起きてる」
ずさぁあああああ。海燕は畳の上を滑った。
いつものように、起きない浮竹を無理やり起こすために、布団をはごうとしていたのだ。
「ほんとだ・・・・起きてる」
海燕は、きちんと畳まれて押し入れにいれられた布団を見て、まずは浮竹の額に手を当てた。
「熱く・・・ない。どうしたんですか隊長、何か悪い物でも食べたんですか。拾い食いとか。4番隊に行きますか?」
たまにきちんとした生活をしようとしたらこれなので、浮竹も額に血管マークを浮かべた。
「たまに早起きするのが、そんなに悪いことなのか。拾い食いってなんだ」
「だって、隊長が規則正しい生活をするなんて・・・こんな朝早くから起きるなんて、明日雪が降る」
まだ2月だ。火鉢もなおしていない。
寒波は大分和らいできたが、それでも朝は0℃に近い気温になる。
「まったく、朝早くに普通に起きただけなのに、扱いが酷い。明日は思いっきり寝てやろう。昼頃まで・・・・・」
「いやいや隊長、言いすぎました!是非ともこの生活習慣を身に着けてください!」
海燕は、是非是非と、勧めてくる。
浮竹が起きたのは朝の8時だ。そう特別早い時間でもないが、いつも10時、11時まで寝ている浮竹からしてみればかなりの早起きだった。
朝食をすませて、9時の死神の業務時間の始まりだ。
すると、京楽が入ってきた。
「ほら浮竹、いい加減に起きて。もう9時だよ?・・・ってあれ?起きてる?」
「なんだ、京楽」
文机に向かった浮竹が、京楽のつま先から頭のてっぺんまで見た。
「いや、海燕君に最近寝坊が酷いから、起こしてくれと頼まれてきたんだけど・・・今日は寝坊しなかったんだ。珍しいねぇ。明日雪でも降るんじゃないかなぁ」
「お前もか。俺が早起きすると何故雪が降るんだ」
「いやあ、まぁ揶揄だよ。気にしないで」
京楽は、片手に仕事であろう書類をもってきていた。今日も雨乾堂で浮竹と一緒に仕事をするつもりなのだろう。
副隊長になったばかりの七緒には、それは嬉しいことであった。いつも限界まで仕事をためこむ京楽が、どんな形であれ仕事をしてくれるなら、たとえ恋人のところにいこうが、喜んで見送ってくれる。
海燕も、何も言わない。
べたつきあうなら止めるが、仕事はきちんとするタイプの二人なので、京楽が仕事をもってきても別にどっちでもよかった。
仕事中に遊びにこられても、浮竹はとりあず仕事が終わるまでは京楽にあまり構わない。
なので、最近の京楽も学習したのか、仕事をもってきて終わってから浮竹に構ってもらっていた。
「甘味屋で、新しい味のアイスが発売されてるらしいよ。仕事が終わったら、食べに行こうか」
「いいな。よし、仕事を片付けるぞ」
京楽用に用意されてある黒檀の文机に、京楽が向かって一緒に書類の仕事を始めた。浮竹のすぐ隣に黒檀の文机はあり、最近購入されたもので、京楽が仕事をもってきてやりやすいようにと、浮竹が珍しく自分の懐から出して買ったものだ。
まぁ、京楽から小遣いをもらっているので、元を正せば京楽の金なのだが。
昼になり、昼食をとって30分はかり休憩をした後、1時からまた仕事を始めた。
4時には二人ともその日の仕事を終えて、海燕の許可をもらってから、甘味屋に出かけた。
「抹茶アイスにバニラアイスもいいが、苺アイスか。けっこううまいな。甘い」
まだ寒い季節だが、室内は大分温度が高かったので、アイスを食べても寒くはなかった。牧で燃えるタイプのストーブがあった。
「あのストーブいいな」
「大きな店舗用だよ。牧たくさんいるし、下手したら火事になるから、雨乾堂では火鉢で我慢なさい」
苺味のアイスを食べながら、浮竹はバニラ味のアイスを頼んで、あと持ち帰り用に30個のおはぎを頼んだ。
「30個って、ちょっと多くない?」
「海燕とお前の分も含めての2日分だ。少し足りないくらいだ」
浮竹は甘味物ならたくさん食べる。多分、1日10個が浮竹のもので、残り5つを海燕と京楽でわけろというところだろうか。
「せっかくだし、アイスも買って帰ってやるか」
「溶けちゃうよ」
「重い荷物もあるんだ。瞬歩で帰る」
カップにアイスをいれてもらい、それとおはぎ30個を買って、甘味屋を出た。
京楽は支払いのために少し遅れたが、瞬歩で雨乾堂に帰還した。
「海燕、苺味のアイスだ。食え」
「え。隊長が俺に甘味物をもってくるなんて・・・・・やっぱり明日は雪だ」
「食べないなら俺が食うぞ」
「あ、食べます!食べますから!」
苺味のアイスは美味しくて、海燕は感動した。
「今のアイスってこんなフルーツの味のもあるんですね」
「他にもメロン、オレンジ、ブドウとか・・・・いろんな味があるぞ」
「へー。今度都も連れてってやろう」
「ああ、そうしろ。女性にも人気だ」
「都ちゃん、久しくみてないねぇ。元気にしてる?かわいいんだよねぇ」
京楽の言葉に、浮竹が京楽の足を踏みつける。
「浮気は許さんぞ」
「もう、違うよ浮竹~。僕が好きで愛してるのは浮竹だけだよ」
キスされた。
苺の味がした。
「京楽隊長、今日は泊まっていくんですか」
「うん、そうする予定」
「じゃあ、明日も寝坊は回避できますね」
「そうだねぇ。まぁ僕まで寝坊することもあるけど」
「8時に起こしにきますから、起きていてくださいね」
「分かったよ」
その日はもうすることがないので、夕飯を食べて一緒に風呂に入った。そしてそのまま一組の布団で寝て、8時に起きた。
寒いと思うと、外を見ると雪が降っていた。
昨日、あれだけ雪が降ると言われて現実になってしまい、浮竹は複雑な気持ちになるのであった。
「起きてる」
ずさぁあああああ。海燕は畳の上を滑った。
いつものように、起きない浮竹を無理やり起こすために、布団をはごうとしていたのだ。
「ほんとだ・・・・起きてる」
海燕は、きちんと畳まれて押し入れにいれられた布団を見て、まずは浮竹の額に手を当てた。
「熱く・・・ない。どうしたんですか隊長、何か悪い物でも食べたんですか。拾い食いとか。4番隊に行きますか?」
たまにきちんとした生活をしようとしたらこれなので、浮竹も額に血管マークを浮かべた。
「たまに早起きするのが、そんなに悪いことなのか。拾い食いってなんだ」
「だって、隊長が規則正しい生活をするなんて・・・こんな朝早くから起きるなんて、明日雪が降る」
まだ2月だ。火鉢もなおしていない。
寒波は大分和らいできたが、それでも朝は0℃に近い気温になる。
「まったく、朝早くに普通に起きただけなのに、扱いが酷い。明日は思いっきり寝てやろう。昼頃まで・・・・・」
「いやいや隊長、言いすぎました!是非ともこの生活習慣を身に着けてください!」
海燕は、是非是非と、勧めてくる。
浮竹が起きたのは朝の8時だ。そう特別早い時間でもないが、いつも10時、11時まで寝ている浮竹からしてみればかなりの早起きだった。
朝食をすませて、9時の死神の業務時間の始まりだ。
すると、京楽が入ってきた。
「ほら浮竹、いい加減に起きて。もう9時だよ?・・・ってあれ?起きてる?」
「なんだ、京楽」
文机に向かった浮竹が、京楽のつま先から頭のてっぺんまで見た。
「いや、海燕君に最近寝坊が酷いから、起こしてくれと頼まれてきたんだけど・・・今日は寝坊しなかったんだ。珍しいねぇ。明日雪でも降るんじゃないかなぁ」
「お前もか。俺が早起きすると何故雪が降るんだ」
「いやあ、まぁ揶揄だよ。気にしないで」
京楽は、片手に仕事であろう書類をもってきていた。今日も雨乾堂で浮竹と一緒に仕事をするつもりなのだろう。
副隊長になったばかりの七緒には、それは嬉しいことであった。いつも限界まで仕事をためこむ京楽が、どんな形であれ仕事をしてくれるなら、たとえ恋人のところにいこうが、喜んで見送ってくれる。
海燕も、何も言わない。
べたつきあうなら止めるが、仕事はきちんとするタイプの二人なので、京楽が仕事をもってきても別にどっちでもよかった。
仕事中に遊びにこられても、浮竹はとりあず仕事が終わるまでは京楽にあまり構わない。
なので、最近の京楽も学習したのか、仕事をもってきて終わってから浮竹に構ってもらっていた。
「甘味屋で、新しい味のアイスが発売されてるらしいよ。仕事が終わったら、食べに行こうか」
「いいな。よし、仕事を片付けるぞ」
京楽用に用意されてある黒檀の文机に、京楽が向かって一緒に書類の仕事を始めた。浮竹のすぐ隣に黒檀の文机はあり、最近購入されたもので、京楽が仕事をもってきてやりやすいようにと、浮竹が珍しく自分の懐から出して買ったものだ。
まぁ、京楽から小遣いをもらっているので、元を正せば京楽の金なのだが。
昼になり、昼食をとって30分はかり休憩をした後、1時からまた仕事を始めた。
4時には二人ともその日の仕事を終えて、海燕の許可をもらってから、甘味屋に出かけた。
「抹茶アイスにバニラアイスもいいが、苺アイスか。けっこううまいな。甘い」
まだ寒い季節だが、室内は大分温度が高かったので、アイスを食べても寒くはなかった。牧で燃えるタイプのストーブがあった。
「あのストーブいいな」
「大きな店舗用だよ。牧たくさんいるし、下手したら火事になるから、雨乾堂では火鉢で我慢なさい」
苺味のアイスを食べながら、浮竹はバニラ味のアイスを頼んで、あと持ち帰り用に30個のおはぎを頼んだ。
「30個って、ちょっと多くない?」
「海燕とお前の分も含めての2日分だ。少し足りないくらいだ」
浮竹は甘味物ならたくさん食べる。多分、1日10個が浮竹のもので、残り5つを海燕と京楽でわけろというところだろうか。
「せっかくだし、アイスも買って帰ってやるか」
「溶けちゃうよ」
「重い荷物もあるんだ。瞬歩で帰る」
カップにアイスをいれてもらい、それとおはぎ30個を買って、甘味屋を出た。
京楽は支払いのために少し遅れたが、瞬歩で雨乾堂に帰還した。
「海燕、苺味のアイスだ。食え」
「え。隊長が俺に甘味物をもってくるなんて・・・・・やっぱり明日は雪だ」
「食べないなら俺が食うぞ」
「あ、食べます!食べますから!」
苺味のアイスは美味しくて、海燕は感動した。
「今のアイスってこんなフルーツの味のもあるんですね」
「他にもメロン、オレンジ、ブドウとか・・・・いろんな味があるぞ」
「へー。今度都も連れてってやろう」
「ああ、そうしろ。女性にも人気だ」
「都ちゃん、久しくみてないねぇ。元気にしてる?かわいいんだよねぇ」
京楽の言葉に、浮竹が京楽の足を踏みつける。
「浮気は許さんぞ」
「もう、違うよ浮竹~。僕が好きで愛してるのは浮竹だけだよ」
キスされた。
苺の味がした。
「京楽隊長、今日は泊まっていくんですか」
「うん、そうする予定」
「じゃあ、明日も寝坊は回避できますね」
「そうだねぇ。まぁ僕まで寝坊することもあるけど」
「8時に起こしにきますから、起きていてくださいね」
「分かったよ」
その日はもうすることがないので、夕飯を食べて一緒に風呂に入った。そしてそのまま一組の布団で寝て、8時に起きた。
寒いと思うと、外を見ると雪が降っていた。
昨日、あれだけ雪が降ると言われて現実になってしまい、浮竹は複雑な気持ちになるのであった。
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