好きなものは好き7
「ルキア?」
「ごほっごほっ」
ルキアは、春の日差しも見えてきた季節の変わり目に、風邪になってしまった。
「熱・・・少しあるな」
金曜の夜に現世に戻ってきた時も、咳をしていたけれど、酷くなっていた。
体温計で熱を測ると、38度4分あった。
とりあえず、石田のやっている病院に連れて行って、風邪薬を出してもらった。
「食事、卵粥作ったけれど食えそうか?」
「げほっげほっ・・・・咳も出るし、熱もあるが、案外元気だぞ。飯も普通に食えそうだ」
卵粥をべろりと平らげて、処方してもらった風邪薬を飲んで、解熱剤を飲ませた。
「とりあえず、月曜の朝までずっと寝てろ」
「寝ているだけでは暇だ」
「だからって、こじれたらどうする」
「うぬ・・・・・仕方ない、大人しくしておく。一護、好きだ。傍にいてくれ」
熱のせいか、いつもより甘えてくる。
「プリンが食べたい」
「ああ・・・買ってきてやるよ」
「嫌だ。私を置いていくな」
「そうは言われても、スーパーかコンビニにでもいかねーと売ってねーよ」
「私を一人にするな」
ルキアは、一護の腕にぎゅっとしがみついて離れなかった。
「ルキア、少し寝ろ」
「んー・・・・」
熱があがってきたらしい。
意識が朦朧としだして、ルキアは浅い眠りの中へ旅立ってしまった。
一護は、今のうちだと、近くのスーパーで今夜の夕食の材料とプリンを2つ買った。
あと、アイスも。
「いちご・・・・どこ?」
熱で朦朧とした意識の中、一護の姿を探すがいなくて、ルキアは泣き出した。
「いちご・・・いない・・・・」
「ただいま、ルキア」
「いちご?」
「うわ!」
ルキアは、ベッドから起き上がると一護に体当たりを食らわせる勢いで抱き着いてきた。
「貴様がいなくて、寂しかったのだ。とても、寂しかったのだ」
涙を滲ませるルキアを抱き上げて、ベッドに寝かせる。
「悪い、寝たと思って買い物行ってた」
「何処にも行かないでくれ・・・・」
「ああ、今日はもう何処にもいかねーよ」
数時間して、熱が下がってきたのか、ルキアは目を覚ました。
「プリンとアイスが食べたい」
「そういうと思って、買ってきてある」
まずはプリンを渡した。2個食べてしまった。
アイスは、普通のバニラアイスを買ってきたので、それを渡すと、ルキアはねだってきた。
「食べさせてくれ」
「一人で食べれるだろう」
「私は病人だ。貴様が面倒を見るのが当たり前なのだ」
「はいはい」
ルキアの小さな口に、スプーンですくったアイスを入れてやる。
「冷たくて甘くておいしい・・・・・・」
ルキアは上機嫌だった。
「ああ、こういうのもいいな・・・たまには、病気になってみるものだ。好きなだけ甘えられる」
「早く治せよ。甘えるくらい、いつだってできるだろ」
「普通の時は、恥ずかしさがあるのだ!」
「今は恥ずかしくないのか?」
「全然恥ずかしくない。風邪のせいだ」
まだ熱があったので、アイスを全部食べ負わせると、氷枕を作ってやった。
「ひんやりしている・・・・・」
「そりゃ、氷枕だからな・・・・」
「きもちいい・・・・」
ルキアは、一護の手を引いて、隣に寝かせた。
「貴様も一緒に寝ろ」
「風邪うつす気か」
「貴様が風邪になったら、私が責任をもって看病してやろう」
一護は溜息を小さく零して、ルキアの隣に寝そべって、その体を抱きしめた。
いつの間にか、一護も眠ってしまっていたらしく、時計を見ると7時になっていた。
ルキアを起こさないようにベッドから起き上がり、夕食の準備をする。
「ルキア、夕飯食えるか?」
「ん・・・今何時だ」
「夜の7時半だ」
「食べる。熱も大分下がったようだし」
「あんま無理すんなよ」
ルキアに、夕飯を食べさせてやった。
ひな鳥のように口をあけるルキアに、スプーンをつっこむ。親鳥になった気分だった。
「風呂は・・・今日は入れぬな」
「明日も無理だろうな。服脱げよ」
「き、貴様、病人を襲う気か!」
「ばか、ちげーよ。体を濡れたタオルでふくだけだ。汗かいてるだろうし、風呂入れなかったら気持ち悪いだろ」
「うむ、頼む」
ぽいぽいと服を脱いで、下着姿になったルキアの体を、蒸したタオルで丁寧にふいてやった。
新しいパジャマに着替えさせて、まだベッドに横になる。
「せっかくの土日なのに、私の看病で潰れてしまってすまぬな」
「別にいい。ルキアといれるなら」
ルキアは、赤くなった。
一護は、風邪がうつるかもしれないと分かりつつも、ルキアを抱き締めてその日は眠った。
日曜になると、ルキアはすっかり回復した。咳もあまりでず、とりあえずあと4日くらいは風邪薬を飲ませることにした。
することもなく、二人でだらだらとベッドの上で、抱き締めあいながら話をしていた。
「尸魂界に戻っても、風邪薬飲めよ?」
「分かっている。現世の医療は発達しているしな。まあ、4番隊にかかるほどのものでもない」
「最近、寝る時腹出してるだろ。気づくと直してるけど。多分原因はそれだと思う」
「貴様、私が腹を出して寝ているだと!?」
ルキアが噛みついてくる。
「これ、証拠写真」
スマホで、腹を出して寝ているルキアの写真を見せられて、ルキアは言葉に詰まった。
「た、たまたまだ」
「俺、今までに6回くらい直してるんだけどな」
「ええい、忘れろ!」
ルキアは、一護をベッドに押し倒して、上に乗っかった。
「ふふん」
「何がふふんだ」
尻を撫でられて、ルキアは真っ赤になった。
「貴様・・・・・」
「こういう姿勢、襲い受けっていうんだぜ。ま、風邪だし襲わねーけど」
ルキアをどけて、一護はルキアを抱き締めた。
「あー。ルキア成分補充」
「貴様、アホか」
「アホでもいい。月曜からまた別れると思うと、ルキアとは金曜まで会えないから、それまでのルキア不足を補っておくんだ」
けっこう頻繁に、メールでやりとりしてたりしているけど。
「あー。やっぱルキアといると落ち着くなー」
「それはこちらの台詞だ」
風邪がうつるといけないので、キスはしなかった。
月曜になり、体調も大分回復したルキアと別れる。
「じゃあ、今週の金曜な」
「ああ、それではな」
穿界門に消えていったルキアに向けて、メールを送る。
(風邪、うつったみたい)
熱はないが、咳が出た。
(たわけ)
(風邪薬早めに飲んだから、1~2日で治るけどな)
(次に会うまでに、治しておけ)
(大丈夫だ。いざとなったらルキアを抱いて元気吸い取るから)
(たたたたた、たわけ!)
きっと、伝令神機越しで真っ赤になっているだろう、ルキアにメッセージを送る。
(好きだぜ、ルキア。離れていても、心は一つだ)
(当たり前だ、たわけ)
一護は、大学に行く用意をする。
ルキアのいない、普通の大学生活の始まりだ。金曜の夜になれば、また会える。それまでは、メールでやりとりをする。
(じゃあ、大学行ってくる)
(私も、仕事にいく)
二人の心は、離れていても一つ。
好きなものは好きだから、仕方ないのだ。
「ごほっごほっ」
ルキアは、春の日差しも見えてきた季節の変わり目に、風邪になってしまった。
「熱・・・少しあるな」
金曜の夜に現世に戻ってきた時も、咳をしていたけれど、酷くなっていた。
体温計で熱を測ると、38度4分あった。
とりあえず、石田のやっている病院に連れて行って、風邪薬を出してもらった。
「食事、卵粥作ったけれど食えそうか?」
「げほっげほっ・・・・咳も出るし、熱もあるが、案外元気だぞ。飯も普通に食えそうだ」
卵粥をべろりと平らげて、処方してもらった風邪薬を飲んで、解熱剤を飲ませた。
「とりあえず、月曜の朝までずっと寝てろ」
「寝ているだけでは暇だ」
「だからって、こじれたらどうする」
「うぬ・・・・・仕方ない、大人しくしておく。一護、好きだ。傍にいてくれ」
熱のせいか、いつもより甘えてくる。
「プリンが食べたい」
「ああ・・・買ってきてやるよ」
「嫌だ。私を置いていくな」
「そうは言われても、スーパーかコンビニにでもいかねーと売ってねーよ」
「私を一人にするな」
ルキアは、一護の腕にぎゅっとしがみついて離れなかった。
「ルキア、少し寝ろ」
「んー・・・・」
熱があがってきたらしい。
意識が朦朧としだして、ルキアは浅い眠りの中へ旅立ってしまった。
一護は、今のうちだと、近くのスーパーで今夜の夕食の材料とプリンを2つ買った。
あと、アイスも。
「いちご・・・・どこ?」
熱で朦朧とした意識の中、一護の姿を探すがいなくて、ルキアは泣き出した。
「いちご・・・いない・・・・」
「ただいま、ルキア」
「いちご?」
「うわ!」
ルキアは、ベッドから起き上がると一護に体当たりを食らわせる勢いで抱き着いてきた。
「貴様がいなくて、寂しかったのだ。とても、寂しかったのだ」
涙を滲ませるルキアを抱き上げて、ベッドに寝かせる。
「悪い、寝たと思って買い物行ってた」
「何処にも行かないでくれ・・・・」
「ああ、今日はもう何処にもいかねーよ」
数時間して、熱が下がってきたのか、ルキアは目を覚ました。
「プリンとアイスが食べたい」
「そういうと思って、買ってきてある」
まずはプリンを渡した。2個食べてしまった。
アイスは、普通のバニラアイスを買ってきたので、それを渡すと、ルキアはねだってきた。
「食べさせてくれ」
「一人で食べれるだろう」
「私は病人だ。貴様が面倒を見るのが当たり前なのだ」
「はいはい」
ルキアの小さな口に、スプーンですくったアイスを入れてやる。
「冷たくて甘くておいしい・・・・・・」
ルキアは上機嫌だった。
「ああ、こういうのもいいな・・・たまには、病気になってみるものだ。好きなだけ甘えられる」
「早く治せよ。甘えるくらい、いつだってできるだろ」
「普通の時は、恥ずかしさがあるのだ!」
「今は恥ずかしくないのか?」
「全然恥ずかしくない。風邪のせいだ」
まだ熱があったので、アイスを全部食べ負わせると、氷枕を作ってやった。
「ひんやりしている・・・・・」
「そりゃ、氷枕だからな・・・・」
「きもちいい・・・・」
ルキアは、一護の手を引いて、隣に寝かせた。
「貴様も一緒に寝ろ」
「風邪うつす気か」
「貴様が風邪になったら、私が責任をもって看病してやろう」
一護は溜息を小さく零して、ルキアの隣に寝そべって、その体を抱きしめた。
いつの間にか、一護も眠ってしまっていたらしく、時計を見ると7時になっていた。
ルキアを起こさないようにベッドから起き上がり、夕食の準備をする。
「ルキア、夕飯食えるか?」
「ん・・・今何時だ」
「夜の7時半だ」
「食べる。熱も大分下がったようだし」
「あんま無理すんなよ」
ルキアに、夕飯を食べさせてやった。
ひな鳥のように口をあけるルキアに、スプーンをつっこむ。親鳥になった気分だった。
「風呂は・・・今日は入れぬな」
「明日も無理だろうな。服脱げよ」
「き、貴様、病人を襲う気か!」
「ばか、ちげーよ。体を濡れたタオルでふくだけだ。汗かいてるだろうし、風呂入れなかったら気持ち悪いだろ」
「うむ、頼む」
ぽいぽいと服を脱いで、下着姿になったルキアの体を、蒸したタオルで丁寧にふいてやった。
新しいパジャマに着替えさせて、まだベッドに横になる。
「せっかくの土日なのに、私の看病で潰れてしまってすまぬな」
「別にいい。ルキアといれるなら」
ルキアは、赤くなった。
一護は、風邪がうつるかもしれないと分かりつつも、ルキアを抱き締めてその日は眠った。
日曜になると、ルキアはすっかり回復した。咳もあまりでず、とりあえずあと4日くらいは風邪薬を飲ませることにした。
することもなく、二人でだらだらとベッドの上で、抱き締めあいながら話をしていた。
「尸魂界に戻っても、風邪薬飲めよ?」
「分かっている。現世の医療は発達しているしな。まあ、4番隊にかかるほどのものでもない」
「最近、寝る時腹出してるだろ。気づくと直してるけど。多分原因はそれだと思う」
「貴様、私が腹を出して寝ているだと!?」
ルキアが噛みついてくる。
「これ、証拠写真」
スマホで、腹を出して寝ているルキアの写真を見せられて、ルキアは言葉に詰まった。
「た、たまたまだ」
「俺、今までに6回くらい直してるんだけどな」
「ええい、忘れろ!」
ルキアは、一護をベッドに押し倒して、上に乗っかった。
「ふふん」
「何がふふんだ」
尻を撫でられて、ルキアは真っ赤になった。
「貴様・・・・・」
「こういう姿勢、襲い受けっていうんだぜ。ま、風邪だし襲わねーけど」
ルキアをどけて、一護はルキアを抱き締めた。
「あー。ルキア成分補充」
「貴様、アホか」
「アホでもいい。月曜からまた別れると思うと、ルキアとは金曜まで会えないから、それまでのルキア不足を補っておくんだ」
けっこう頻繁に、メールでやりとりしてたりしているけど。
「あー。やっぱルキアといると落ち着くなー」
「それはこちらの台詞だ」
風邪がうつるといけないので、キスはしなかった。
月曜になり、体調も大分回復したルキアと別れる。
「じゃあ、今週の金曜な」
「ああ、それではな」
穿界門に消えていったルキアに向けて、メールを送る。
(風邪、うつったみたい)
熱はないが、咳が出た。
(たわけ)
(風邪薬早めに飲んだから、1~2日で治るけどな)
(次に会うまでに、治しておけ)
(大丈夫だ。いざとなったらルキアを抱いて元気吸い取るから)
(たたたたた、たわけ!)
きっと、伝令神機越しで真っ赤になっているだろう、ルキアにメッセージを送る。
(好きだぜ、ルキア。離れていても、心は一つだ)
(当たり前だ、たわけ)
一護は、大学に行く用意をする。
ルキアのいない、普通の大学生活の始まりだ。金曜の夜になれば、また会える。それまでは、メールでやりとりをする。
(じゃあ、大学行ってくる)
(私も、仕事にいく)
二人の心は、離れていても一つ。
好きなものは好きだから、仕方ないのだ。
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