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さくらのかやかしと共に 外伝5

「どうしても欲しいなら、これをやる」

バレンタイン当日に、ツンデレ浮竹が降臨した。いつもはそんなにツンデレではないのだが、時折ツンデレになった。

京楽は、浮竹が用意したチョコを受け取った。

「100倍返しだぞ」

「普通、3倍返しじゃないの?」

「俺に、人間にまじってちょこ売り場まで行って買わせたんだ。100倍返しでも少ないほうだ」

「はいはい。何かみつくろっておくよ。ほしいものはある?」

「最近肩こりがひどい。マッサージチェアがほしい」

浮竹は、首を左右に動かしながら、少し自分の肩をもんだ。

「パソコンをいじってることが最近おおいからでしょ。適度に休憩とらなきゃだめだよ」

「分かってはいるんだが‥‥」

最近、浮竹はパソコンゲームにはまっていて、1日3時間くらい暇な時にゲームをしていた。

「浮竹、京楽、兄らにこのチョコをやろう」

珍しいことに、白哉がチョコを渡してきた。

「天変地異の前触れかな」

「明日槍がふる」

散々な言われように、白哉はため息をつく。

「ルキアからだ」

「なんだ、それなら先に言ってよ」

「ルキアちゃんも律儀だな」

「黒崎一護との結婚が控えているからな。のりのりでチョコを渡してきたぞ」

「ルキアちゃんも人妻か‥‥‥なんかいけない響きだね」

「いけないのはお前の脳みそだ」

浮竹が、ハリセンで京楽の頭を叩く。

「人妻の浮竹‥‥‥ゴクリ」

「ぎゃああああああ」

吸いついてくる京楽をハリセンでびしばし叩く。

「そのハリセンも、大分古くなってるね。新しいの買ってあげる」

「だめだ。これは夜刀神からもらったものだ。何百個目かは分からないが、夜刀神にハリセンを作らせると、右に出る者はいない」

「変なとこで役に立ってるね、彼も」

「浮竹が、そのハリセンを愛用しているからな。居楽、兄が新しいハリセンを買っても、きっと使わぬ」

白哉はそう言いながら、緑茶をすすり、あやしい形のお菓子を食べていた。

「白哉、何を食べているんだ?」

「私が考案した、わかめ大使だ」

「わかめ大使‥‥見た目はあれだけど、なんかおいしそうな予感がする。俺にもくれ」

「けっこう作らせたので食べるがよい」

「お、うまいな。誰に作らせたんだ?」

「小豆とぎだ。もらっていた給料の最高級小豆を3倍あげたら、喜んで作成してくれた。あやかしまんじゅうを置いてある店に、今度置くことになった」

「最近ちょこちょこ見かけないと思ったら、そんなことしてたんだね」

京楽も、わかめ大使を食べた。

「しつこくない甘さだね。上品な味がするよ」

「最高級小豆を使用しているからな」

白哉は自慢げに胸をはる。

「白哉さんいますかー?」

合鍵を使って勝手に入ってきたのは、阿散井恋次だった。

「恋次、こっちだ」

「あ、白哉さん」

「これをやる」

「まさか、バレンタインチョコっすか?」

「そうだ。何か文句でもあるか」

白哉は頬を若干赤くしながら、チョコを渡すと恋次を連れ出そうとする。

「ほら、あやかし退治の依頼がきているのであろうが。私もいくから、さっさといくぞ」

白哉は、チョコレートをもらって嬉しそうな恋次を引きずって、行ってしまった。

「京楽。そういえば、俺たちもあやかし退治の依頼、きてたな?」

「ああ。でも、子供河童のいたずらだよ。退治じゃなくて説得と保護か移住かかな」

「ふむ」

河童は悪戯好きで人間を困らることはおおいが、人を食ったり、酷い害を与える者はいない。

「まぁ、また今度でいいか。それより、牛鬼の知り合いが‥‥」

「牛鬼だって!?あの人を食べることで有名な強いあやかしでしょ?」

「普通の牛鬼はな。俺の知り合いの牛鬼は名前を藤(ふじ)と言って、ベジタリアンなんだ。肉類は一切食わず、いつもは坊さんに化けて、寺でお経唱えてる」

「うへあ、牛鬼のお坊さん‥‥」

「供養する亡骸が他のあやかしに食べられて、牛鬼ということがばれて退治されそうになっているんだそうだ。早急に手を打ちたい。今日の午後にでも向かえるか?」

「あ、あ、うん大丈夫だよ。河童の子供は後回しだね。それより、君とそのベジタリアンの牛鬼の馴れ初めが聞きたいくらいだね」

京楽が、興味をもったようだった。

「妖力があるって、あろうことか俺の桜の花を枝ごと食いやがたんだ。ボッコボコにしたら、人間を一度も食べていないので妖力が弱くなって、野垂れ死にしかけていたらしい。見捨てるのもなんだから、藤という名前を与えて妖力を分けてやり、俺の桜の大樹の見張り役を任せていた。大分古くからの知り合いだな」

「友人じゃないんだ」

「藤は、夜刀神が嫌いでな。その友である俺とは、友人にはなりたくないのだそうだ」

「浮竹と友達になりたくないだなんて、わがままだねぇ」

「まぁ、俺もあやかしの友は夜刀神くらいでいい」

浮竹と京楽は、その日の午後、異界渡りをして藤という牛鬼が住み込みで働いている寺にいき、関係者や亡骸を失った遺族たちから、藤が牛鬼であるという記憶を消した。

「ありがとう、桜鬼」

「その名はやめろ。今の俺は桜の王と呼ばれている」

「分かった。桜の王、ありがとう。少ないが、謝礼金だ」

藤は、50万ばかり入った封筒を浮竹に渡す。

「坊さんってもうかるのか?」

「けっこう。お経あげて供養するだけで金がもらえるから楽だ。他の牛鬼は人を食べて退治されているが、俺が退治されそうになったのは今回がはじめてだ」

「そりゃ、牛鬼の見た目も人食うことも、怖いからな」

「はははは。今じゃ見ての通り、ただの坊さんだ。近いうちに、人化の術を使おうと思う」

「人化の術を使うと、老いがくるぞ」

「ああ。それでいいんだ。俺は、人として生きて、人として死にたい」

その言葉は、京楽を感動させた。

「人として生きたいあやかしも、いるんだね」

「こいつは「春」じゃないな。誰だ」

「京楽春水。「春」の生まれ変わりで、「春」と魂が融合した者だよ」

「半妖の気配がする。妖力が漏れている。きちんと、妖力のコントロールの仕方を覚えないと、俺みたいに人間に退治されそうになるぞ。簡単な方法でいいなら、俺が教えてやろう」

藤は、半妖の気配をまとう京楽に、妖力のコントロールの仕方を教えた。

「すまん、藤。本来なら俺の役割だったんだろうな。京楽の気配に慣れすぎて、妖力が少し漏れているのに気づかなかった」

「こっちは助けてもらった恩があるからな。どうってことない」

そのまま藤と別れ、浮竹と京楽は帰宅した。

家では、白哉がもう帰っており、恋次の姿もあった。

「あ、お邪魔してます、浮竹さん京楽さん。白哉さんを、祓い屋の俺の家に行かせることができないので、こっちにお邪魔することにしました」

「ああ、わかめ大使でも食べて、待っていてくれ。夕飯を作る。食べていけ」

「浮竹の作る料理は、とてもうまいのだ」

「白哉さんがそう言うなら、相当おいしんでしょうね。楽しみっす」

「ああ‥‥また居候もどきというかが増えた。浮竹と二人っきりになれる時間はいずこへ?」

京楽は、賑やかなのはいいことだが、浮竹と二人でいちゃつけないので、浮竹の手料理を食べてから、ふて寝するのであった。




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