それいけ一護君 年明け
年が明けた。
貴族への挨拶回りを終わらせた白哉とルキアはともかく、無理やり連れていかれた一護はくたくだになっていた。
4大貴族の集まる会場で、一護は嫌気があったせいでこれでもかというほど飲んで、潰れた。
「全く、世話のかかる!」
「うへへへ、ルキアかわいいなぁ」
「しっかりせぬか一護!」
会場から朽木家へ、仕方なしに瞬歩で帰った。
「ルキアかわいいーーー」
ルキアのべったりと張り付いて、どうあっても離れなかったので、そのままルキアと一緒に一護は与えられていた寝室に放り込まれた。
「ルキア、かわいい」
そればかりを繰り返す、酔っぱらった夫を抱き締めて、布団の中に入ると、互いの体温がきもちよかったのか、一護はルキアから離れて寝てしまった。
「全く・・・そのような台詞は、素面の時に言ってくれ」
ルキアは、夕食をとるために食堂に向かった。
一護は、結局次の朝までずっと眠っていた。
朝になり、少し痛む頭に顔をしかめる。
「俺、どうしたんだ?」
「貴様、会場で浴びるほど酒をのんで、酔っぱらって潰れたのだ。覚えていないのか」
「なんも覚えてねぇ」
「私のことをかわいいかわいいと連呼していたぞ」
「ああ、なんかふわふわしてて・・・ルキアが俺を誘ってきてた」
「たわけ!誘ってなぞおらぬわ!」
頭をはたかれた。
「ルキア、かわいい」
「う」
「なぁ、こっちを見てくれよ」
「なんだ」
「ルキア、すっげーかわいい」
ルキアを抱き締めて、キスをする。
真っ赤になるルキアが余計に愛らしく見えた。
「ルキア・・・・・・」
「一護・・・・・・」
見つめ合う二人を、じーっと見ている視線があった。
「おう、邪魔してるぞ」
「恋次!お前、いつからいた!」
「一護、てめぇがルキアのことかわいいとか言い出した場面から」
「ほとんど見てたんじゃねーか!夫婦の時間を邪魔するな!」
一護が本気で怒りだす。
「って言われてもなぁ。俺は隊長に呼び出しくらっちまって」
「白哉が?」
「毎年恒例だよ。お年玉ってやつ」
「はぁ!?」
一護は、父親からお年玉をもたっていたのは中学までだ。高校に進む、バイトができるだろうともらえなくなった。
「白哉が恋次にお年玉・・・・?」
「言っとくが、ルキアもだぞ。毎年お年玉をもらっていた。今年は一護、てめぇの分もあるんじゃねーか?」
絶対、俺の分はないに決まっている。
そう思っていると、恋次もルキアも一護も、白哉に呼ばれた。
「あけましておめでとうございます、兄様」
「あけましておめでとうございます、隊長」
「あけおめことよろ、白哉」
最後の略した、一護のどうでもよさそうな言葉に、白哉は柳眉を顰めた。
「あけましておめでとう、ルキア、恋次、ゴミ」
「おい、今ゴミつったな?」
「気のせいだ」
はっきりと聞こえた。ゴミか・・・空気とどっちがましなんだろう。
「おい、空気」
「なんだよ」
「空気にも、ちゃんとお年玉を用意してある」
「まじかよ!」
4大貴族の朽木家のお年玉。
小切手とかだったらどうしよう。
いや、白哉に限って一護にそんなに渡すわけがない。ルキアとの手切れ金としてなら渡しそうだけど。
まず、恋次にお年玉を渡した。
10万入っていた。
次にルキア。
分厚い札束で、100万入っていた。
最後に一護。
チャリン。
10円玉が2枚入っていた。
「ふ、こんなことだろうと思ったぜ」
最初から期待していなかったので、ショックも何もなかった。
「これもやろう」
手書きの、何かの券だった。
「何々・・・・・卍解、千本桜景厳にめっためたにされる券・・・・こんなのいるかああああ!」
「これもやろう」
「何々・・・・肩を揉んであげる券!?俺が白哉の肩を揉むのかよ!」
「そうだ。嬉しいであろう。名誉と思え」
「こんなもんいるかああああ!」
びりびりに破り捨てた。
「仕方ない。これをやろう」
美味い棒を10本渡された。
それをもぐもぐと食べながら、100万ももらってもルキアには使い道がないだろうなと思った。ルキアの欲しがるものはどんな高価なものでも、大抵白哉が買い与えている。
「隊長、ありがとうございます!近所のガキ共に、お年玉あげてからけっこう金とんでいっちまって・・・・・京楽総隊長に言って、給料前借りするところでした」
恋次は心の底から喜んでいたし、ルキアもこれでチャッピーの超レアの等身大人形が買えると喜んでいた。
「20円、ありがたくいただいていく」
「おい、ちょっと待て、一護!」
「なんだよ」
「その十円玉・・・・・純金じゃねーか!」
「へ?」
「尸魂界で、護廷13隊発足500年記念に作られた、純金でできた10円玉の形をしたコインだ。間違いねぇ・・・1枚100万のプレミア価値がある。それが2枚ってことは、200万か!?」
「おい、どういうことだ白哉・・・・・って、いねぇ」
「隊長は、隊長なりに一護のこと気に入ってるんだぜ。今頃照れて顔を洗ってるぜ」
「そういうもんなのか?まぁいい、記念ものなら売るわけにいかねーし、金に困ってるわけでもないし、大事にとっとくか」
白哉は、恋次が言った通り冷たい水で顔を洗っていた。
自分のいる場所では、気づかれないと思っていたのだ。
白哉は、別に一護のことを嫌いなわけではない。ルキアの夫、義弟としてそれなりに思っている。
「はぁ・・・あのような場でばれるとは。どのような顔をして一護と接すればよいのだ」
「兄様、普通でいいのです!」
白哉を心配して、やってきたルキアが、顔を洗ったばっかりの白哉にタオルを差し出した。
「一護は、何か言っていたか」
「記念品なので売ることもできないから、大事にとっておくと申しておりました」
「そうか・・・・・」
それから数日の間は、一護と白哉はぎこちなかったが、すぐにいつもの日常に戻っていった。
「ルキア、かわいい・・・・」
「ふふ、くすぐったい」
ルキアの膝枕の上で、一護はルキアと戯れていた。
「かわいい」
「貴様は、かっこいいぞ」
「お前のかわいさには負ける」
ルキアを抱き締めて、唇に触れるだけのキスを繰り返す。
「随分甘えん坊なのだな、一護」
「この正月、ルキアとあまり触れあえなかった」
「仕方なかろう。年始は忙しいのだ」
「ルキア成分が不足してる・・・・補充していいか?」
耳を甘噛みしてやると、ルキアの体がはねた。
「ひゃう!」
「耳、敏感なのか?」
「こ、こらやめぬか一護」
耳朶をやわやわと触られて、耳に舌が入ってきた。
「きゃう!」
「ルキア、かわいい・・・・・」
閉じ込めて、もう誰にも見せたくない。そう思った。
「あ、兄様からメールだ」
伝令神機がなり、ルキアは一護に膝枕をしてそれを読んだ。
「7日から、通常通り仕事が始まるそうだ。今年は去年に比べて1日休みがおおいな」
「そうか。7日までなら、あと4日あるな。もっといちゃいちゃしようぜ」
「仕方ないな・・・・・・」
一護に、ルキアも甘い。
砂糖菓子のように甘い時間を二人で過ごした。
夕刻になり、実に3日ぶりの朽木家での夕食だった。それまで、挨拶回りで外で食べていたのだ。
伊勢海老がこれでもかというほどいた。
「うわ、豪華だな・・・・・・」
茹でたカニの足もあった。
「本来なら、年始から祝うべきであったのだが、貴族への挨拶回りで遅れた。ルキア、一護、よくぞ朽木家の者として立ち振る舞った。見事であった」
一護の場合、ルキアの影に隠れて、ただ立って飲食をしていただけだったのだが、それでも朽木一護という名はでかかった。
尸魂界を二度の救った英雄を、朽木家に迎え入ることに最初は反対の声もあったのだが、今ではこちら側が婿に欲しい、と言ってくる始末だった。
「一護、貴様は次期当主だ。貴族であることに、早く慣れろ」
「いやいやいや。俺に当主とか絶対無理!それよか、俺とルキアの間の子を当主にしてくれよ」
「貴様の願い、しかと聞き届けた」
白哉は、薄く微笑んだ。
「え?俺なんか変なこと言ったか?」
「たわけ!まだ子などできておらぬであろうが!」
ルキアに頭を思い切りはたかれた。ルキアは真っ赤になっていた。
でも、そんなところも本当にかわいくて。
「ルキア、かわいい・・・」
そう言うと。
「兄様の前だぞ!」
そう言われてお尻をつねられた。
「よい。ルキアと一護は新婚だ。甘い雰囲気を出すこともあるだろう。私がいても、構うことない」
「だってよ、ルキア。これからはもっと堂々といちゃつけるな」
「恥ずかしいであろう!兄様、一護などめっためたのぎったぎったにしてくれてよいのです」
「そうか・・・散れ、千本桜・・・・」
「おい、ルキア何言ってるんだよ!白哉も真に受けるな!」
危うく千本桜に襲いかかられそうになって、やっぱ白哉って俺のこと嫌いじゃないのかと思う一護がいた。
貴族への挨拶回りを終わらせた白哉とルキアはともかく、無理やり連れていかれた一護はくたくだになっていた。
4大貴族の集まる会場で、一護は嫌気があったせいでこれでもかというほど飲んで、潰れた。
「全く、世話のかかる!」
「うへへへ、ルキアかわいいなぁ」
「しっかりせぬか一護!」
会場から朽木家へ、仕方なしに瞬歩で帰った。
「ルキアかわいいーーー」
ルキアのべったりと張り付いて、どうあっても離れなかったので、そのままルキアと一緒に一護は与えられていた寝室に放り込まれた。
「ルキア、かわいい」
そればかりを繰り返す、酔っぱらった夫を抱き締めて、布団の中に入ると、互いの体温がきもちよかったのか、一護はルキアから離れて寝てしまった。
「全く・・・そのような台詞は、素面の時に言ってくれ」
ルキアは、夕食をとるために食堂に向かった。
一護は、結局次の朝までずっと眠っていた。
朝になり、少し痛む頭に顔をしかめる。
「俺、どうしたんだ?」
「貴様、会場で浴びるほど酒をのんで、酔っぱらって潰れたのだ。覚えていないのか」
「なんも覚えてねぇ」
「私のことをかわいいかわいいと連呼していたぞ」
「ああ、なんかふわふわしてて・・・ルキアが俺を誘ってきてた」
「たわけ!誘ってなぞおらぬわ!」
頭をはたかれた。
「ルキア、かわいい」
「う」
「なぁ、こっちを見てくれよ」
「なんだ」
「ルキア、すっげーかわいい」
ルキアを抱き締めて、キスをする。
真っ赤になるルキアが余計に愛らしく見えた。
「ルキア・・・・・・」
「一護・・・・・・」
見つめ合う二人を、じーっと見ている視線があった。
「おう、邪魔してるぞ」
「恋次!お前、いつからいた!」
「一護、てめぇがルキアのことかわいいとか言い出した場面から」
「ほとんど見てたんじゃねーか!夫婦の時間を邪魔するな!」
一護が本気で怒りだす。
「って言われてもなぁ。俺は隊長に呼び出しくらっちまって」
「白哉が?」
「毎年恒例だよ。お年玉ってやつ」
「はぁ!?」
一護は、父親からお年玉をもたっていたのは中学までだ。高校に進む、バイトができるだろうともらえなくなった。
「白哉が恋次にお年玉・・・・?」
「言っとくが、ルキアもだぞ。毎年お年玉をもらっていた。今年は一護、てめぇの分もあるんじゃねーか?」
絶対、俺の分はないに決まっている。
そう思っていると、恋次もルキアも一護も、白哉に呼ばれた。
「あけましておめでとうございます、兄様」
「あけましておめでとうございます、隊長」
「あけおめことよろ、白哉」
最後の略した、一護のどうでもよさそうな言葉に、白哉は柳眉を顰めた。
「あけましておめでとう、ルキア、恋次、ゴミ」
「おい、今ゴミつったな?」
「気のせいだ」
はっきりと聞こえた。ゴミか・・・空気とどっちがましなんだろう。
「おい、空気」
「なんだよ」
「空気にも、ちゃんとお年玉を用意してある」
「まじかよ!」
4大貴族の朽木家のお年玉。
小切手とかだったらどうしよう。
いや、白哉に限って一護にそんなに渡すわけがない。ルキアとの手切れ金としてなら渡しそうだけど。
まず、恋次にお年玉を渡した。
10万入っていた。
次にルキア。
分厚い札束で、100万入っていた。
最後に一護。
チャリン。
10円玉が2枚入っていた。
「ふ、こんなことだろうと思ったぜ」
最初から期待していなかったので、ショックも何もなかった。
「これもやろう」
手書きの、何かの券だった。
「何々・・・・・卍解、千本桜景厳にめっためたにされる券・・・・こんなのいるかああああ!」
「これもやろう」
「何々・・・・肩を揉んであげる券!?俺が白哉の肩を揉むのかよ!」
「そうだ。嬉しいであろう。名誉と思え」
「こんなもんいるかああああ!」
びりびりに破り捨てた。
「仕方ない。これをやろう」
美味い棒を10本渡された。
それをもぐもぐと食べながら、100万ももらってもルキアには使い道がないだろうなと思った。ルキアの欲しがるものはどんな高価なものでも、大抵白哉が買い与えている。
「隊長、ありがとうございます!近所のガキ共に、お年玉あげてからけっこう金とんでいっちまって・・・・・京楽総隊長に言って、給料前借りするところでした」
恋次は心の底から喜んでいたし、ルキアもこれでチャッピーの超レアの等身大人形が買えると喜んでいた。
「20円、ありがたくいただいていく」
「おい、ちょっと待て、一護!」
「なんだよ」
「その十円玉・・・・・純金じゃねーか!」
「へ?」
「尸魂界で、護廷13隊発足500年記念に作られた、純金でできた10円玉の形をしたコインだ。間違いねぇ・・・1枚100万のプレミア価値がある。それが2枚ってことは、200万か!?」
「おい、どういうことだ白哉・・・・・って、いねぇ」
「隊長は、隊長なりに一護のこと気に入ってるんだぜ。今頃照れて顔を洗ってるぜ」
「そういうもんなのか?まぁいい、記念ものなら売るわけにいかねーし、金に困ってるわけでもないし、大事にとっとくか」
白哉は、恋次が言った通り冷たい水で顔を洗っていた。
自分のいる場所では、気づかれないと思っていたのだ。
白哉は、別に一護のことを嫌いなわけではない。ルキアの夫、義弟としてそれなりに思っている。
「はぁ・・・あのような場でばれるとは。どのような顔をして一護と接すればよいのだ」
「兄様、普通でいいのです!」
白哉を心配して、やってきたルキアが、顔を洗ったばっかりの白哉にタオルを差し出した。
「一護は、何か言っていたか」
「記念品なので売ることもできないから、大事にとっておくと申しておりました」
「そうか・・・・・」
それから数日の間は、一護と白哉はぎこちなかったが、すぐにいつもの日常に戻っていった。
「ルキア、かわいい・・・・」
「ふふ、くすぐったい」
ルキアの膝枕の上で、一護はルキアと戯れていた。
「かわいい」
「貴様は、かっこいいぞ」
「お前のかわいさには負ける」
ルキアを抱き締めて、唇に触れるだけのキスを繰り返す。
「随分甘えん坊なのだな、一護」
「この正月、ルキアとあまり触れあえなかった」
「仕方なかろう。年始は忙しいのだ」
「ルキア成分が不足してる・・・・補充していいか?」
耳を甘噛みしてやると、ルキアの体がはねた。
「ひゃう!」
「耳、敏感なのか?」
「こ、こらやめぬか一護」
耳朶をやわやわと触られて、耳に舌が入ってきた。
「きゃう!」
「ルキア、かわいい・・・・・」
閉じ込めて、もう誰にも見せたくない。そう思った。
「あ、兄様からメールだ」
伝令神機がなり、ルキアは一護に膝枕をしてそれを読んだ。
「7日から、通常通り仕事が始まるそうだ。今年は去年に比べて1日休みがおおいな」
「そうか。7日までなら、あと4日あるな。もっといちゃいちゃしようぜ」
「仕方ないな・・・・・・」
一護に、ルキアも甘い。
砂糖菓子のように甘い時間を二人で過ごした。
夕刻になり、実に3日ぶりの朽木家での夕食だった。それまで、挨拶回りで外で食べていたのだ。
伊勢海老がこれでもかというほどいた。
「うわ、豪華だな・・・・・・」
茹でたカニの足もあった。
「本来なら、年始から祝うべきであったのだが、貴族への挨拶回りで遅れた。ルキア、一護、よくぞ朽木家の者として立ち振る舞った。見事であった」
一護の場合、ルキアの影に隠れて、ただ立って飲食をしていただけだったのだが、それでも朽木一護という名はでかかった。
尸魂界を二度の救った英雄を、朽木家に迎え入ることに最初は反対の声もあったのだが、今ではこちら側が婿に欲しい、と言ってくる始末だった。
「一護、貴様は次期当主だ。貴族であることに、早く慣れろ」
「いやいやいや。俺に当主とか絶対無理!それよか、俺とルキアの間の子を当主にしてくれよ」
「貴様の願い、しかと聞き届けた」
白哉は、薄く微笑んだ。
「え?俺なんか変なこと言ったか?」
「たわけ!まだ子などできておらぬであろうが!」
ルキアに頭を思い切りはたかれた。ルキアは真っ赤になっていた。
でも、そんなところも本当にかわいくて。
「ルキア、かわいい・・・」
そう言うと。
「兄様の前だぞ!」
そう言われてお尻をつねられた。
「よい。ルキアと一護は新婚だ。甘い雰囲気を出すこともあるだろう。私がいても、構うことない」
「だってよ、ルキア。これからはもっと堂々といちゃつけるな」
「恥ずかしいであろう!兄様、一護などめっためたのぎったぎったにしてくれてよいのです」
「そうか・・・散れ、千本桜・・・・」
「おい、ルキア何言ってるんだよ!白哉も真に受けるな!」
危うく千本桜に襲いかかられそうになって、やっぱ白哉って俺のこと嫌いじゃないのかと思う一護がいた。
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