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それいけ一護君 年末年始

12月の終わり。

今年もあと数日で終わりだ。

今年もいろんなことがあった。

13番隊の副隊長になってから、一護はお盆の日以来のまとまった休みをもらった。

それはルキアも同じで、いちゃいちゃできると思っていたのに、白哉も同じく休みだった。

「ルキア、好きだぜ」

「貴様はそれしか言えんのか!邪魔だどけ、大掃除をするぞ」

「えー」

「えー、じゃない!」

その日、朽木家では大掃除が行われた。主に雇っている女中がしてくれるのだが、寝室はルキアと一護が、白哉の部屋は白哉本人が掃除するらしかった。

「白哉が掃除?掃除なんかできるのか、あいつ」

「大半は清家がやってくれる」

「やっぱ一人じゃできねーんじゃねーか」

そういうルキアも、ちよが大掃除を手伝ってくれていた。

「あ、ちよさんすまねぇな」

「いえ、私はルキア様のお世話をするためにいるので」

きっと、白哉もこんな調子で清家に面倒を見てもらっているのだろう。

大掃除が終わり、ピカピカになった寝室で横になった。

「なぁ。年末年始って、することねーんだけど。店とか閉まってし」

「たわけ!朽木家は4大貴族だぞ!貴族同士の挨拶に・・・・・」

「あ、俺パスな。そういうの向いてないから」

「ずるいぞ一護!私とて、好き好んで貴族の交流をしたいわけではないのだぞ!」

そんなルキアを抱き締めて、口づけをしていくと、段々とルキアが大人しくなってくる。

「するのか?」

「していいのか?」

「しないのなら、知らん!」

「するする!」

ルキアをしいた布団に押し倒して、二人は体を重ねた。


年末も終わろうとしていた。

白哉は、現世のテレビでDVDをかりて見ていた。

「貞子が・・・・・・」

またか。

白哉はホラーものが嫌いなくせに、よくホラームービーを見た。

「エクソシストが・・・・あああああ」

ぶんぶんと頭を振って、怖いことを考えないようにしている白夜の前にきて、ハンニバルのDVDを渡した。

「怖くないから」

大嘘だ。レクター博士のカニバリズムのホラームービーだ。

ハンニバルを見た後、白哉は10分ほど意識を飛ばしていた。

「人間が人間を食う・・・・・なんとおぞましい・・・・」

そりゃ、レクター博士だからな。

「一護、貴様私に怖くないなどといって、このような恐怖の映画を見せるとは、私の当主の座を狙っているということだな!?」

え、なんで!?

「いや、飛躍させすぎだろ!」

「私が恐怖のあまり心臓が止まるのを狙っているのであろう!?私は、まだ当主の座を渡すつもりはないからな!」

「いや、頼まれてもいらねーよ!」

4大貴族、朽木家の当主。響きからして重圧しか感じない。

その日は、焼肉だった。

「う、肉は・・・・・・」

ハンニバルで、カニバリズム、つまりは人間が人間を食べるシーンを見てしまった白哉は、食欲をなくして狐うどんを食べていた。

唐辛子がいっぱいかかっていた。

その日、白哉はルキアと一護の寝室にやってきた。

「どうしたんだよ、白哉」

「貞子が・・・・エクソシストが・・・レクター博士が・・・・」

「怖くて一人で寝れないなら、はっきりそう言えよ」

「怖くなどない!ただ・・・・夢に出てきそうで・・・」

そんなことをいう白哉を、かわいいと思ってしまった。

「幸いなことに部屋は広いし、予備の布団もある」

「ルキア、一緒に眠るぞ」

「はい、兄様!」

ルキアの隣の布団は一護のものなのだが、そこを白哉が占領してしまった。

「おい、お前の布団はこっち・・・・・・」

よほど怖かったのか、白哉は安堵してそのまま眠りについてしまった。

「あーもう。ルキア?」

見ると、ルキアも眠ってしまっていた。

「俺、全然眠くないんだけど・・・・昼間寝すぎた」

仕方なしに、食堂にきてテレビをつけて、DVDプレイヤーにエクソシストを入れてみた。

「エクソシストが・・・・・」

次の日、そんなことを口にしてカタカタ震えている一護の姿があった。

それ見たことかと、白哉がハンニバルの映画を見せた一護に、塩をふりかけた。

「悪魔を体内からださねば」

ばっさばっさと塩をかけられて、寺から高層が呼ばれてやってきた。

「黒崎一護に悪魔が乗り移っている。お祓いを」

本当なら神父を呼ぶべきだろうなのが、尸魂界に教会はほとんどなく、神父もいない。

「はぁ~なむなむなむ」

ぼっさばっさと神聖だという木の枝で、一護は叩かれた。

「いい加減にしやがれ!」

「悪魔だ!悪魔が入っている!」

高僧はそういって、一護にお清めの聖水をぶっかけた。

ピキピキピキ。

一護の額にいくつもの血管マークが浮く。

「白哉にも悪魔が乗り移っているんだ。俺が呪った」

「お祓いじゃあああああ」

白哉にも塩がまかれ、聖水をぶっかけられた。

「一護、貴様・・・・」

「一緒にお祓いされようぜ~白哉義兄様~~~~」

二人は、仲良く高僧のお祓いを受けた。効果なんてなにもなかったのだが、白哉は安堵していた。

「これでもう、エクソシストの悪魔も去っただろう」

その日の夜、白哉の部屋を訪ねて、一護はエクソシストの悪魔がとりついたようにカサカサと動いてやった。

白哉は、悲鳴もあげずに気絶した。

「まだまだだな、白哉義兄様」

次の日の朝、一護は木の枝にくくりつけられていた。

「なんだこれ!?」

「清めねば・・・・・・」

ぱちぱちと火の爆ぜる音がする。

「ま、まさか火あぶりか!?」

「たわけ、兄様はそのようなことはせぬ」

「ルキア、助けてくれ!」

「悪魔にとり憑かれておる」

煙で、これでもかというほどいぶされて、流石の一護も謝った。

「悪魔がとり憑いたとか全部嘘だから!」

「何、嘘だと?では、あの高僧の言った言葉は・・・・・」

「全部、口からの出まかせだろ」

「むう、許せぬ」

一護は、ルキアに木の枝から解放してもらった。

「お清めの聖水と塩をこんなに買ってしまった」

白哉は、勿体ないと一護にお清めの聖水をばっしゃばっしゃとかけて、塩をまいた。

「白哉義兄様・・・・・お前もくらえ!」

お清めの聖水を手に、白哉にもかけていく。塩もかけあって、二人ともびしゃびしゃになった。

「兄様、一護、こんな寒い時期に楽しそうに水浴びしても、風邪をひいてしまいます!」

二人して、別々の湯殿に追い立てられて、暖かいお湯に浸かって冷えた体を温めた。

「なあ白哉。年末年始くらい、一時休戦といこうぜ」

「よかろう。年があけると、貴族への挨拶回りで忙しくなる。一護、貴様もくるのだぞ」

「やだ!」

「やだではない。朽木家に名を列ねるからには、出席しもらう」

こうして、年始明けには嫌がる一護をずるずると引きずって、貴族への挨拶回りにでかける白哉とルキアの姿があった。

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