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それから(泥酔と告白の続き)

泥酔したルキアにキスされて、告白しあった。1週間の滞在期間の間、一度だけ体を重ねた。

付き合いだして、まだ1か月も経っていない頃、また現世の任務でこちらの世界にきたルキアと会った。今回は、3日いられるらしい。

「やっぱ、白哉に会いに行くべきか?妹さんと付き合っていますって」

「兄様に殺されるから、やめておけ」

ルキアは、現世にくるのが楽しくて楽しくて仕方ないようだった。

一護も、ルキアと会える日を心待ちにしていた。

尸魂界も、大戦からやっと復興を始めていた。本当なら、ルキアは尸魂界で13番隊隊長代理として働かねばならないのだが、何かに理由をつけて現世にきていた。

「大丈夫なのか?こんなにほいほい現世にきて。尸魂界は今大戦からの復興中で忙しいんじゃないのか?」

「忙しいに決まっておろう!目が回る忙しさだ!でも、私の想いに気づいてくださった京楽総隊長が、特別に私に現世の虚退治の任務をくださるのだ」

「へえ、京楽さんがね」

「今日は特別だぞ!私が料理を作ってやろう!」

「え。なんか不安しかねぇんだけど」

「失礼なやつだな!私だって、料理くらいできる・・・・気がする・・・・・・」

過去を思い出す。兄様に食べてもらうために、白玉いりのお汁粉を、カレーを、最終的には明太子ののった白粥になってしまったが、他の料理を食べた者たちからはけっこういけるといわれた。

「それは、一護が作るほど美味しくないかもしれないが・・・・」

どんどん言葉と一緒に消極的になってきた。

「不安なんて嘘だって。お前が作ったものなら、激マズでも食うよ」

「激マズは余計だ!」

さて。冷蔵庫や野菜の入った棚を見る。人参、ジャガイモ、玉ねぎ。冷凍室には、むき海老をはじめとしたシーフードミックス。

ふと、冷蔵庫の横をみるとカレーのルーがあった。

「今日はシーフードカレーだ!」

「でた、小学生でも作れるカレー!」

「たわけ、貴様そんなことばっかり言っておると、食べさせてやらぬぞ」

「冗談だって。そんなにかっかするなよ」

一護は、ルキアを後ろから抱き締めた。

「ひゃあ」

耳元に息を吹き込まれて、変な声がでた。

「こら、一護!」

一護は笑ってTVをつけた。

つまらない番組ばかり流れていたので、適当にニュースを流す。

茶虎がボクシングの世界チャンピオンに挑むとの特集があり、ルキアも料理の手を止めて一緒にニュースを見た。

「茶虎は、我らの中で一番の有名人になってしまったな」

「ああ、凄いよな。世界チャンピオンか。きっと、茶虎ならなれるさ」

茶虎は、大学入学と共に本格的にボクシングを始めた。石田も医者を目指して医療大学に進んだし、井上はまだはっきりとした夢はないが、花屋や幼稚園の先生になりたいと言っていた気がする。

一護だけが、なんの夢も抱かずに大学に進学した。

尸魂界を守ることで終わった高校時代。全てが終われば、もう尸魂界とは関係のない現世をただ歩く。途方もなく広い世界を、一人で何をしたいかも分からぬまま。

ただ、ルキアと付き合いだして、ぼんやりと浮かんできた。

ルキアと一緒にいても、恥のない職を得ようと思った。できれば翻訳家になりたいと思い、語学の道を進みだそうとしていた。

ルキアが13番隊副隊長になったように、一護も変わろうとしていた。

「野菜を炒めて、玉ねぎが飴色になったら・・・鍋に放り込んで、シーフードスペシャルを適量いれて、湯をたして最後にカレーのルーを・・・ぬおおおお、入れすぎた。お湯をたして・・・ぬおおおおお、ふきこぼれる!別の鍋も出そう」

「大丈夫かよ、ルキアのやつ・・・・・」

一護は、心配になってきた。

「できたぞ、一護!」

「おー。見た目はましだな・・・って、こんなにいっぱい作ってどうするつもりだーー!!」

大鍋2つ分のカレーを指さす。

「朝昼夜毎日カレーを2,3日続ければどうってことはない!」

「毎日毎食カレーかよ!勘弁してくれ」

「むう。勿体ないが、捨てるか?」

「せっかくルキアが作ってくれたんだ。根性で食べる。残った分は腐らないように冷蔵庫にいれとけば、2~3日ならもつだろ。だからルキア、お前も責任をもって食べろ!」

「わ、分かった・・・」

「んー。味は悪くねぇな」

「美味いか?」

「ああ、けっこう美味いぜ」

おっしゃと、ルキアはガッツポーズをとった。

料理の腕では一護に適わないが、その一護に美味いといわせたのだ。やれなできるじゃないか自分と思いながら、自分の分のカレーも食べた。

「少し、辛いな」

「俺はこれくらいがちょうどいいけどな」

「確か、蜂蜜があったな。あれを少しいれたい」

「自分の分だけにしろよ」

「分かっておる」

結局、蜂蜜をかけすぎて、甘くて全然カレーの味のしないものを食べる羽目になるルキアであった。

おまけにカレーをこぼして、ワンピースにシミがついた。お気に入りのワンピースだったのに。

一護が、シミ抜きをして綺麗に洗えるからと、後のことは一護に託した。

湯あみをすませると、着る服がなくて、一護のスウェットの上下を借りた。

「だぼだぼだ」

それを見た一護は、いろいろと我慢していた。

「あーもう、お前はかわいいな」

「そうか?それより前に預けておいたワンピースはこの部屋に残しておるな?」

マーメイドワンピースを経費で何着かかって、一護の部屋のクローゼットに入れておいたのだ。

「ああちゃんと残してあるぜ」

「それならよいのだ」

その日は、久しぶりだったので貪りあうように体を重ねた。


次の日は、あいにくの雨だった。

「むう。布団を干そうと思っていたのだが」

綺麗に染み抜きされた、お気に入りのワンピースは室内で干された。もう、半袖のワンピースの季節は過ぎて、長袖のワンピースの上に上着を羽織っていた。これも経費というか、白哉から経費としてもたされた現金から買った。

一護は大学で、ルキアもついていった。

「お、また彼女連れじゃん」

友人が、ルキアを見て手を振る。

ルキアは、見た目だけなら深窓の令嬢で通るような、美少女だ。少しはねた黒い髪に、アメジスト色の瞳が特徴的だった。

「ルキアちゃんだっけ。何処住んでるの?」

「尸魂界」

「そう・・・・?外国?」

「ルキア、行くぞ」

授業が終わり、いつもなら歓迎なのだが、今回はルキアを連れているので他の友人に来てほしくなかった。

ルキアを独り占めしたい。そんな気持ちでいっぱいだった。

できれば家に置いてきたかったが、ルキアが暇でつまらないし、一護の傍にいたいというので、前回来た時のように大学に連れてきた。

「おはよう黒崎君・・・朽木さん、また現世にこれたんだ」

バチバチバチ。ルキアと井上は、目線で争いあっていた。

「一護は渡さぬぞ!」

「朽木さんがいない間、黒崎君を独り占めするからいいもん!」

「ぐぬぬぬぬ」

「むむむむむ」

「ほらほら、二人ともあほなことやってないで、昼飯食いに食堂にいくぞ」

そんな3人の姿を見ていた一護の友人たちは、両手に花で羨ましいと、見ているのだった。

「最近、伝令神機で出たと言われる虚を退治しにくと、全く虚が出現しないのだが、何かあるのだろうか」

「いや、平和なんだからいいんじゃね?」

「それが・・・・伝令神機には確かに出たと出るのだ」

「伝令神機の故障じゃね?」

「うーむ」

井上が、天ぷら丼を手に帰ってきた。

「ほら、朽木さんの分」

「すまぬ、金はこれで足りるか?」

1万円札を3枚出したルキアの頭をはたく一護。

「たわけ、何をするのだ!痛いではないか」

「相変わらず、金銭感覚麻痺してやがんな。千円札1枚もあれば十分なんだよ。500円玉でも十分だ」

天ぷら丼は、370円だった。

「ふうむ。兄様に、何事も1万円札なるものをさしだせば万事解決と言われたのだが」

「白哉の教育が間違ってるな」

「兄様は悪くない!悪いのは、この現世だ」

「うわーすごいブラコン」

一護が引くと、ルキアは真っ赤になった。

「ブ、ブラコンで悪いか!私は兄様が貴様と同じくらい好きなのだ!」

「誰も悪いなんていってねーだろ」

「あはははは」

井上が笑い出した。

「黒崎君と朽木さんって、面白い」

「一護は渡さぬぞ」

「むむっ」

「いいから、食べ終われ。昼休みが終わっちまう」

次の授業は、少人数制のためにルキアは一緒に授業を受けれず、大学の校内で、ぶらぶらしていた。あいにくと、井上も授業だった。

「ねぇ、君、見かけない顔だけど・・・・」

「はい?」

見知らぬ男にからまれた。なんだかんだと言いくるめられて、車に乗せられそうになったところに、一護がかけつけてきた。

「てめぇ!」

「うわ、黒崎だ!やべぇ、逃げろ!」

男の一人を殴った。

「ひい、助けて!」

「てめぇら、ルキアに何しようとしてた!」

「な、何もしてません!」

「てめぇら、前は井上に同じことしようとしてたな。この野郎、ふざけやがって!」

取り残された男は二人だった。運転しようとしていた男と、ルキアを乗せようとしていた男。

「やめぬか、一護!」

「お前、もう少し自分の身の心配をしろ!こいつら、女の子連れ去って、悪戯するって有名な屑やろうどもだぞ!」

ルキアと言い争っている間に、男たちは逃げて行った。

「一護、私は死神だ。自分の身を守る術くらい、心得ておる」

「それでも、心配になるだろうが!」

「すまぬ。私が悪かった・・・・もう、見知らぬ男にはついてゆかぬ」

「約束だぞ」

「ああ」

ルキアを抱き締めた。騒ぎが大きくなる前に、撤退する。井上にも注意するように説明して、その日は帰った。

「今日はなんと!カレーうどんだ!」

「カレーにはかわりねぇ」

「作りすぎたのだ、仕方なかろう!」

「俺とお前でカレー食い終わったら、しばらくカレーはなしにしようぜ」

「同意見だ」

結局、ルキアが滞在できる3日間はすぐに過ぎてしまった。

「また必ずくる!だから、井上と浮気などするなよ!」

穿界門が開けられる。

「そういうお前も、恋次と浮気するなよ!」

伝令神機でメールのやりとりをしだすことにした。

(またな)

(またくる、一護。愛している)

(俺も愛してる、ルキア)

言えなかった言葉をメールで伝えた。


世界は廻る。

時は流れる。

偽りと真実と。生と死と。人間と死神と。

決して混じり合わぬものが、混じり合おうとしていた。




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