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それでも勇者。

新勇者は、パーティーメンバーに置いてけぼりにされた。

町の外にあるスラム街で、浮浪児になっていた。

勇者の力を使い、モンスターを討伐していたが、報酬金はワイバーンを退治にいったパーティーメンバーに支払われるようになっていて、金に困り、勇者教でしばらく世話になったあと、町の外でモンスターを狩って、素材を無法で売っていた。

「ああ‥‥‥俺の仲間はどこへ。いい加減、風呂にも入りたいし、魔王城にでもいくか」

浮浪児をしていたので、1か月風呂に入っていなかった。

魔王城にいくと、鼻をつまんだ京楽に、風呂場に連れていかれて、湯に突き落とされた。

「くさいよ、君。仕方ないから、替えの服とか用意してあげるから、綺麗になってから浮竹と会ってね?」

「久しぶりの風呂だああああ!やっほう!」

はしゃぐ新勇者を見て、京楽はため息をついた。

「パーティーメンバーのリーダーで要なのに、どうしたら置いていかれるのかな?」

女僧侶から、事前に新勇者がくるかもしれないが、適当に相手をしてやってくれと言われれていた。

時刻は夕刻で、京楽は浮竹と一緒に、シェフが調理した料理を食べていた。

新勇者は、それを見て盛大に腹を鳴らすので、浮竹は猫まんまをあげた。

「うまい!久しぶりの、残飯じゃない食事だ!」

嫌がらせのつもりもあったのだが、新勇者は猫まんまを喜んで食べた。

「ねえ、君なにしたの?」

「ん?パーティーメンバーの金を着服して、新しい鎧を買っただけだぞ?」

「あー。そいうことするから、置いてけぼりにされるんだよ」

「新勇者である俺のために、金はあるんだ!」

「だめだこりゃ」

京楽は、新勇者の猫まんまのおかわりをあげた。

「今日は、俺の誕生日なんだ」

新勇者は、寂しそうにしていた。

「祝ってやろう」

浮竹の言葉に、新勇者の目が輝く。

「プレゼントは、ミスリルの籠手でいいぞ」

「チュールをやろう」

「俺は猫じゃない‥‥‥でも、チュール美味。もっとちょうだい」

新勇者は、自分が人間であることを放棄しかけていた。

「魔王、俺を飼ってくれ」

「いやだ」

「そう言わず」

「だって、新勇者変態だから」

「う、それは否定できない」

新勇者は、自分が変態であることを理解していた。それに驚いたのは、浮竹と京楽だった。

「自覚あったんだ」

「自覚あるのに直さないとは、相当なものだね」

「にゃーにゃー。チュールもっとくれーーーー」

猫になりきった新勇者は、新スキル「憑依」を使って猫の霊を憑依させる。

浮竹にすり寄って、浮竹は鳥肌を立てながら、新勇者を蹴った。

「にゃおおおおおおおおん」

「どうなっているんだ?」

「鑑定してみるね‥‥猫の浮遊霊を、憑依させたみたいだよ」

「祓えないのか?」

「祓えるけど、このままのほうが平和じゃない?」

「それもそうだな」

こうして、新勇者は猫のまま半月を過ごした。

戻ってきた新勇者のパーティーメンバーは、すっかり猫になってしまった新勇者を殴り倒して、猫の霊を追い払う。

「はっ!俺は、今まで猫に!?」

「キャラがかぶるから、一緒はいやなのにゃ」

獣人盗賊がそう言った。

「世話になった、魔王浮竹、勇者京楽。世話になっ礼に、裸踊りでも‥‥」

「新勇者パーティー。今度から、新勇者を放置しないでね。しわ寄せがくるのはこっちなんだから」

京楽がため息を零す。

「分かったにゃ。奴隷として、連れていくにゃ!」

「俺はパーティーリーダーだぞおおお」

「あ、それ俺が新しいパーティーリーダになったから」

少年魔法使いが、衝撃の事実を新勇者に明かす。

「俺は新勇者だ!勇者だぞ!?」

「勇者でも、生理的に無理なのよねぇ」

女僧侶は、新勇者から距離をとる。

「まぁ、諦めて新しいこのパーティーの戦闘奴隷になるにゃん」

獣人盗賊は、チュールを手に新勇者を誘惑する。

新勇者はチュール中毒になっていた。

「チュールがもらえるなら。(*´Д`)ハァハァ」

「にぎゃああああああ!!!」

獣人盗賊に襲い掛かる新勇者を、少年魔法使いが燃やす。

「あああああ!!!気持ちE--------!!!」

「魔王浮竹、勇者京楽。このまま、新勇者を引き取る気はないか?」

二人は、首を左右に振った。

「猫になってた間、いろいろ調度品壊すし、チュールは1日30本は食うし、キャットフードは高級なものしか食べないし。かろうじで許せるのは、自分でトイレいったり、風呂に入れたからだね。でも、新勇者だからかわいくないし」

「京楽ばかりになついて、俺をひっかいてくるしな」

「よく、新勇者を追放しなかったのにゃん?」

「パーティーメンバーのお前たちがいないからだ。勇者教の者に渡そうとしたら、思いっきり野糞して、勇者教の者に投げていた」

「猫になってても、変態なのにゃん。困ったのにゃん」

「困ったのはこっちだよ。預かっている間にかかった金貨300枚、どうしてくれるの」

「し、知らないわよ!

「そうなのにゃん」

「お前たちが飼っていたんだろう。自腹にしろ」

「そ、それがいいと思うっす」

パーティーメンバーたちの声に、京楽も浮竹も、顔を見合わせて。

「そこに立って。新勇者も」

「チュールくれるか?」

「あとであげるから」

白い紐を、浮竹が引っ張る。

がこん。

音がして、新勇者とそのパーティーは、落ちていく。

「のわああああ、牛糞があああ」

「いやああ、この服買ったばかりなのにいいい」

そんな悲鳴を聞きながら、今度は京楽が赤い紐をひっぱる。

ゴゴゴゴゴゴ。

水が流れてきて、新勇者達は、水洗トイレのように流されていくのであった。



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