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それ行け一護君 バレンタインとかあった

その日はバレンタインで、ルキアは一護、白哉、恋次の3人の分のチョコレートを用意していた。白夜のチョコは限りなく砂糖のないカカオベースの苦いやつにしておいた。

白哉は甘い物が好きだし、この前現世のブラックコーヒーを飲んで美味しいといっていたので、苦い味もいけるだろう。

「おはよう、ルキア」

「ああ、おはよう」

「お、チョコじゃねーか。俺の分か?」

「これは兄様の分で、こっちは恋次の分だ。こっちのいっぱいあるのが貴様用だ」

「ちょっと食べていいか?」

ホワイトチョコと普通のチョコをハート型に固めて、ルキアの手作りチョコを一護は口にした。

「甘くて美味いな」

「よかった・・・一度、湯せんの方法を忘れて鍋にそのままいれて焦がしてだな・・・・」

「うわぁ、そのチョコもったいねぇ」

「食べるか?何気にあるのだが」

「何かに使えそうだ。もらっとく。そういえば、白哉は平気なのか、チョコレート。甘いもの嫌いなんだろ?」

一護が首を傾げるが、ルキアは自信満々にこう言った。

「カカオ80%の苦いチョコレートを用意したのだ。甘い味がだめな兄様でも、苦いのなら平気であろう」

「うわー、カカオ80%ってまずそう・・・・」

「貴様は、自分のチョコレートを食べておけ!」

口の中に、ハート形のホワイトチョコをつっこまれた。

「あんま食うと、朝食食えなくなるからここまでな」

「ああ、そうだな」

食堂にいくと、白哉が待っていた。

「遅いぞ」

「すみません、兄様」

「よお、白哉おはよう」

一護の朝の挨拶を無視して、朝食がテーブルの上に並びだした。

味噌汁に数種類の焼いた魚、ご飯、コーンポタージュスープと、多分温室育ちの苺がメニューだった。

普通のメニューを皆で食べ終わり、デザートの苺を食べだす。

「この苺は、どこかの誰かと違ってできがいいな」

白哉の毒舌に、一護は苺をフォークでぶっさしながら、笑顔で聞いていた。

「ほんと、この苺は甘いなぁ。大粒で、まるでどこかの誰かのようにできがいい」

自分を自分で褒めていた。

「それにしても、白哉は甘い物嫌いなのに、果物は食うんだな」

「悪いか」

「いーえー。ちっともー」

何か言いたげに、棒読み状態だった。

「一護、朝から今日は兄様と喧嘩しないのだな。偉いぞ」

ルキアに頭を撫でられて、ちらりと白哉を見た。

「ルキア、こちらにこい」

「はい、兄様!」

ルキアは、とたんに一護を放りだして、白哉の方に行ってしまった。

「最近、現世ではコロナという病気が流行っているぞうだ。こうやって、アルコールで消毒するのだ」

一護の頭を撫でた手を、白哉はアルコール消毒させた。

「おお、そうですか」

「それから、一護に触った後も消毒するといい」

「分かりました、兄様!」

ぴきっ。

一護の額に血管マークが浮かんだ。

「俺も手を消毒しなきゃなぁ・・・おっと、手が滑ったああああ」

アルコールの消毒液を、噴射させて思いっきり白哉に浴びせた。

「悪いなぁ、白哉。なんか、病原菌がここらへんからきてるみたいで」

「そうか。手が滑った」

アルコール消毒液を、白哉は一護に向かって噴射した。

「きーーーーー」

「ふん」

二人は互いにそっぽを向けてしまった。

「もう、兄様も一護も仲よくしてください!」

ルキアは額に手をあてていた。

死神業務が始まる前の時間になって、それぞれ13番隊と6番隊に別れて行こうとするときに、ルキアが想い出したかのように、白哉にチョコレートを渡した。

「兄様、これは甘くないチョコレートです。これなら兄様も食べれると思って。後これは恋次の分です。渡しておいてください」

「わかった。ルキア、いつもすまぬ」

「いいえ」

「ルキア、行くぞー」

一護は、白夜としゃべている途中のルキアを引きずって、13番隊の隊舎に向かった。

「一護、なんなのだ!まさか、兄様に嫉妬しているのか?」

ニヤリと笑んできたルキアに、一護は真っ赤になって否定する。

「そんなんじゃねぇ!」

「あやしい」

「違うったら違う!白哉のやつ、俺を邪険に扱うから、その対抗策をだな」

「兄様は、本気で嫌った相手には口を聞いたりせぬものだぞ」

「そうなのか?」

「顔も見たくないといって、後は空気のように扱うお方だ」

「うーむ。懐柔作戦でもとってみるか。明太子美味い店ないか?」

「あるぞ。帰りに寄っていこう」

今日の業務が終わり、帰り道に明太子を買った。さらに現世にいき、スパゲッティの麺をかってきた。あとバターと、めんつゆとマヨネーズ。

その日の夕食は、一護が作った。明太子パスタを作ったのだ。たっぷりかかった明太子の上にバターとを乗せて、テーブルに置くと、白哉は口をへの字に曲げた。

「これはなんだ?」

「俺様特製明太子パスタだ」

「ルキア、先に食べて感想を聞かせろ」

「はい兄様・・・・・んむ、これは・・・うまい!明太子の辛さを、バターのまろやかさが包み込んで・・・・・」

その言葉を聞き、白哉も食べた。

「こ、これは・・・今までにない味だ。一護、料理人にレシピを教えてこい」

「へいへい。好評なようで俺は嬉しいぜ」

そのまま料理人に、あまっためんつゆとバター、スパゲッティ、マヨネーズを渡す。

料理人にレシピを教えてると、一護の分をその料理人は見事に作ってくれた。

食堂でそれを食べた。

「ああ、やっぱ作る人によって微妙に味が変わるな・・・・・・」

まろやかさを出すために、マヨネーズを少し多めにいれたみたいだった。

「まぁ、これはこれで美味しいからいいけど・・・・」

その日は、白哉は至極ご機嫌で、一護が明太子が好きだと聞いて、少し好感をもったようだった。

辛い物がすきな白哉のために、明日は明太子のおにぎりをつくってやろうと思った。

翌日になり、明太子いりのおにぎりを皿にいれて手渡すと、白哉は迷いもなく口にした。

「美味いな・・・一護、死神を辞めて我が家の料理人になる気はないか」

「そこまで評価してくれてうれしいけど、おれは死神のほうが性に合ってるから」

「そうか」

白哉はどこか残念そうだった。

「ま、現世にまた買い物にいくついでに、新しいメニュー仕入れてくるよ。できれば辛いやつな」

次の日、一護はキムチチャーハンを作った。

それも白哉とルキアには好評で、レシピを料理人に伝えた。もっとも、キムチは現世にいかないとあまり売っていないが。

しばらくは平和な日が続いたが、ある日ルキアを一日中独り占めしていたら、風呂に入ろうとすると湯がなかった。

シャワーがついていたのでよかったが、冬場なので寒い思いをした。

朽木家には、湯殿が3つほどある。

白哉が風呂に入ろうとした瞬間に湯を流して、仕返ししてやった。

「むう・・・・・・」

白哉も、シャワーで済ませた。一護と同じく寒い思いをして。

白哉と一護は、歩み寄ったり離れたりで、本当によくわからない仲だった。

「ルキア」

「なんだ、一護」

「お前の兄様は、ほんとによく分からないやつだな」

ごろりとルキアの膝に寝っ転がった。

耳かきをしてもらった。

「兄様にも、いろいろと私たちのことで考えることがあるのだろう」

「そうか?複雑に絡んでもつれた糸みたいだと思った」

「んー。ルキア、大好きだーーーー!」

耳かきをやめさせて、ルキアに抱き着いた。

「こら、一護」

「寝室なら、流石に白哉も手が出ないだろうし」

久し振りに、体を重ねた。

次の日、「子はまだか?」と言ってきた白哉に、一護もルキアも真っ赤になって、固まるのであった。

声、きかれてた!

恥ずかしい!

ルキアは特に恥ずかしがって、しばらくの間抱かせてくれなかった。

「別に、盗み聞きしたわけではないぞ。部屋の前を通りかかると、声が漏れていたのだ」

恥ずかしい!

ルキアは小さくなっていく。

「あーもぅ、そういうこといちいち言うな!」

「何故だ?」

「あんたも、緋真さんとの睦み事を人に聞かれたらいやだろう」

「ふむ、それもそうだな・・・・すまなかった」

白哉が謝罪したので、行き場を失った怒りは、プスプスと心の中で焦げた。

本当に、よく分からない関係だ。

ルキアは、それから半月は抱かせてくれなかった。











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