バレンタインだから
ルキアは、台所をチョコまみれにしていた。
せっかくのバレンタインなのだ。
一護に渡して、好きだと告白しようと決めた。
一護の家の台所を使ってしまえばばれるために、尸魂界の朽木家の台所を借りた。
もうすぐ高校も卒業だ。ずっと一緒にいられなくなってしまう前に、なんとかそのハートを射止めたいと思った。
一護は色恋沙汰に疎く、毎日同じベッドで眠っても何も感じていない。ルキア一人だけが、毎日ドキドキしながら眠りについていた。
一護はもてる。目下のライバルは井上に、たつきあたりだろうか。
井上はすでに告白して一度振られている。大戦のさなかで、今はそれどころではないと一蹴されたと言っていた。
他に好きな者がいると言われて、振られたらルキアもその好きな人が誰か気になるが、今のところ一護に意中の人はいないと見た。
一護はチョコレートが好きだ。
好物だし、きっと振られても今の仲は変わらない。
いかんいかん。告白する前から、振られること前提など、いかん。
考え直して、市販の普通のチョコを溶かして、ハート形の型にいれて冷やし、ホワイトチョコでで好きだとでかでかと書いた。
「ふふふふ。名付けて一護のチョコ大好きドキドキ手作りポロリもあるよチョコ作戦だ」
何がポロリなのかというと、一護の心の中身がポロリするのだ。
一応、白哉の分と恋次の分も作った。義理チョコなので、小さめだ。白哉は甘いものを好まないため、食べてくれるか不安だったが、渡すと淡い笑顔で目の前で食べてくれた。
白哉大好きのルキアは、鼻血をだした。
「兄様、その笑顔はけしからんです」
「ルキア・・・・何をしている」
「いえ、ちょっと兄様の笑顔が眩しくて・・・・」
ルキアは、恋次の家に出かけると、恋次にもチョコを渡した。
「お、ありがとな。でもこのかんじだと義理かー」
「本命は他にいるのだ!」
「知ってるよ。一護だろ」
「な、な、な、何故知っているのだ!」
狼狽するルキアに、恋次はデコピンをした。
「ばーか。あれだけ一護の話ばっかしてると、丸分かりだ」
「ぐぬぬぬ・・・・ともあれ、私は現世にいく!振られたら、恋次の鳩尾と股間を蹴る!」
「なんでだよ!」
「八つ当たりだ!」
穿界門が開く。
ルキアに聞こえないように、恋次は言った。
「一護のやつもお前しか目がないようだから、結末は見えてるけどな」
「一護!」
現世に戻って、一護に会いにいくと、一護はいっぱいバレンタインチョコを受け取っていた。
「その中に・・・・意中の人はいるのか?」
消沈気味に聞くと、いないと言われて顔をあげた。
「私もチョコをつくったのだ!とりあえず食え!」
一護の口にチョコをつっこんだ。
「もがががが」
一護はひとかじりしてから、チョコに書かれた文字を見る。
「好きだ?」
「そ、そ、そうだ!私は貴様のことが好きなのだ!」
「ありがと。すっげー嬉しい」
「そうか・・・・・」
ポロポロと涙が溢れて止まらなかった。
「嬉しいだけか・・・・」
「ばーか。俺もお前のことが好きだぜ、ルキア」
「え。もぅ一度言ってくれ」
「何度でも言ってやるよ。俺はルキアが好きだ。恋愛感情で。ルキアもこのチョコ見る限り、俺のこと恋愛感情で好きなんだろ?」
「あ、当たり前だ。そうでなくては、貴様にチョコなど渡さん。わざわざ好きだと書いたチョコなど」
ぽふっと、一護の胸に顔が埋まった。
「大好きだぜ、ルキア。付き合おう」
「あ、ああ・・・・」
チョコレート作戦は、大成功に終わった。
その日の夜、いつものようにルキアを胸に抱いて眠ろうとすると、ルキアが顔を真っ赤にした。
「一護、貴様は私が好きだからこのように寝ていたのか?」
「んー。それもあるけど、お前がここにいるっていう安堵感が欲しかったから」
大戦を経験した者たち特有の、消失感の存在。
一護にとっても、亡くなった隊長・・・・特に浮竹とは交流があっただけに、悲しかった。
「私はいなくなったりしない。安心しろ、一護」
「でも、卒業したら尸魂界に戻るんだろう?」
「戻っても、定期的に遊びにくるさ。何せ今は、私と貴様はここここここ恋人同士なのであろう?」
「こここここ恋人同士だな」
「たわけ、真似をするな!」
ぽかぽかを殴ってくるルキアの拳を受けて、一護は笑っていた。柔らかな微笑みだった。
「今日、井上から告白されたんだ」
「え」
「お前が好きだからって、きっぱり断った。泣かせちまったけど」
「そうか・・・・・」
たとえ、一護が井上を好きだったとしても、振り向かせてみせようと思っていた。
杞憂に終わったが。
「貴様はもてるな。もらったチョコの数、20はこえていたであろう。まぁ、見た目はかっこいいから仕方ないか」
「いくつか本命チョコもまじって、下級生とかにも告白されたけど、全部断った」
「当たり前だ!私のことが好きなのであろう!」
「だから、断ったっていってるじゃねーか」
「私の一護に手を出す不届きものは、頭にパンツ被りの刑だ!」
「何それ、えぐい・・・・・・」
一護が引いたので、「こ、これは物の例えだ」と言っておいた。
「卒業まで、あと3週間もないのか・・・・・」
「一日中ずっといられるのも、もう終わりだな」
「ちゃんと定期的に遊びにくるからな!浮気するなよ!」
「お前こそ、恋次と浮気するなよ!」
同じベッドで、一護はいつものように胸にルキアを抱いて、その細い華奢な体を自分のほうに抱き寄せて、そのまま一護は目を閉じた。
「い、一護、近いぞ!」
「いつものことだろ。気にすんな」
「私はすごいドキドキしているのだが・・・一護の鼓動も早いな」
「明日も授業あるんだから、もうねろ。今日は無断欠席扱いになってたし」
「尸魂界でチョコを作っていたのだ!連絡しそびれただけだ」
「高校は、普通にいかずにさぼる奴も多いから、誰も気にしてねーよ。せいせい井上が、どうしたのかなって言ってたくらいだ」
「一護」
「なんだ?」
「私の前では、今後井上の話はやめろ」
「分かった」
井上には悪いが、一護は私がもらっていく。そう心に決めたのだ。
バレンタインだから、チョコレートで告白してみた。
バレンタインならではだ。
現世の習慣も、たまにはいいこともあるなと、ルキアは思うのだった。
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せっかくのバレンタインなのだ。
一護に渡して、好きだと告白しようと決めた。
一護の家の台所を使ってしまえばばれるために、尸魂界の朽木家の台所を借りた。
もうすぐ高校も卒業だ。ずっと一緒にいられなくなってしまう前に、なんとかそのハートを射止めたいと思った。
一護は色恋沙汰に疎く、毎日同じベッドで眠っても何も感じていない。ルキア一人だけが、毎日ドキドキしながら眠りについていた。
一護はもてる。目下のライバルは井上に、たつきあたりだろうか。
井上はすでに告白して一度振られている。大戦のさなかで、今はそれどころではないと一蹴されたと言っていた。
他に好きな者がいると言われて、振られたらルキアもその好きな人が誰か気になるが、今のところ一護に意中の人はいないと見た。
一護はチョコレートが好きだ。
好物だし、きっと振られても今の仲は変わらない。
いかんいかん。告白する前から、振られること前提など、いかん。
考え直して、市販の普通のチョコを溶かして、ハート形の型にいれて冷やし、ホワイトチョコでで好きだとでかでかと書いた。
「ふふふふ。名付けて一護のチョコ大好きドキドキ手作りポロリもあるよチョコ作戦だ」
何がポロリなのかというと、一護の心の中身がポロリするのだ。
一応、白哉の分と恋次の分も作った。義理チョコなので、小さめだ。白哉は甘いものを好まないため、食べてくれるか不安だったが、渡すと淡い笑顔で目の前で食べてくれた。
白哉大好きのルキアは、鼻血をだした。
「兄様、その笑顔はけしからんです」
「ルキア・・・・何をしている」
「いえ、ちょっと兄様の笑顔が眩しくて・・・・」
ルキアは、恋次の家に出かけると、恋次にもチョコを渡した。
「お、ありがとな。でもこのかんじだと義理かー」
「本命は他にいるのだ!」
「知ってるよ。一護だろ」
「な、な、な、何故知っているのだ!」
狼狽するルキアに、恋次はデコピンをした。
「ばーか。あれだけ一護の話ばっかしてると、丸分かりだ」
「ぐぬぬぬ・・・・ともあれ、私は現世にいく!振られたら、恋次の鳩尾と股間を蹴る!」
「なんでだよ!」
「八つ当たりだ!」
穿界門が開く。
ルキアに聞こえないように、恋次は言った。
「一護のやつもお前しか目がないようだから、結末は見えてるけどな」
「一護!」
現世に戻って、一護に会いにいくと、一護はいっぱいバレンタインチョコを受け取っていた。
「その中に・・・・意中の人はいるのか?」
消沈気味に聞くと、いないと言われて顔をあげた。
「私もチョコをつくったのだ!とりあえず食え!」
一護の口にチョコをつっこんだ。
「もがががが」
一護はひとかじりしてから、チョコに書かれた文字を見る。
「好きだ?」
「そ、そ、そうだ!私は貴様のことが好きなのだ!」
「ありがと。すっげー嬉しい」
「そうか・・・・・」
ポロポロと涙が溢れて止まらなかった。
「嬉しいだけか・・・・」
「ばーか。俺もお前のことが好きだぜ、ルキア」
「え。もぅ一度言ってくれ」
「何度でも言ってやるよ。俺はルキアが好きだ。恋愛感情で。ルキアもこのチョコ見る限り、俺のこと恋愛感情で好きなんだろ?」
「あ、当たり前だ。そうでなくては、貴様にチョコなど渡さん。わざわざ好きだと書いたチョコなど」
ぽふっと、一護の胸に顔が埋まった。
「大好きだぜ、ルキア。付き合おう」
「あ、ああ・・・・」
チョコレート作戦は、大成功に終わった。
その日の夜、いつものようにルキアを胸に抱いて眠ろうとすると、ルキアが顔を真っ赤にした。
「一護、貴様は私が好きだからこのように寝ていたのか?」
「んー。それもあるけど、お前がここにいるっていう安堵感が欲しかったから」
大戦を経験した者たち特有の、消失感の存在。
一護にとっても、亡くなった隊長・・・・特に浮竹とは交流があっただけに、悲しかった。
「私はいなくなったりしない。安心しろ、一護」
「でも、卒業したら尸魂界に戻るんだろう?」
「戻っても、定期的に遊びにくるさ。何せ今は、私と貴様はここここここ恋人同士なのであろう?」
「こここここ恋人同士だな」
「たわけ、真似をするな!」
ぽかぽかを殴ってくるルキアの拳を受けて、一護は笑っていた。柔らかな微笑みだった。
「今日、井上から告白されたんだ」
「え」
「お前が好きだからって、きっぱり断った。泣かせちまったけど」
「そうか・・・・・」
たとえ、一護が井上を好きだったとしても、振り向かせてみせようと思っていた。
杞憂に終わったが。
「貴様はもてるな。もらったチョコの数、20はこえていたであろう。まぁ、見た目はかっこいいから仕方ないか」
「いくつか本命チョコもまじって、下級生とかにも告白されたけど、全部断った」
「当たり前だ!私のことが好きなのであろう!」
「だから、断ったっていってるじゃねーか」
「私の一護に手を出す不届きものは、頭にパンツ被りの刑だ!」
「何それ、えぐい・・・・・・」
一護が引いたので、「こ、これは物の例えだ」と言っておいた。
「卒業まで、あと3週間もないのか・・・・・」
「一日中ずっといられるのも、もう終わりだな」
「ちゃんと定期的に遊びにくるからな!浮気するなよ!」
「お前こそ、恋次と浮気するなよ!」
同じベッドで、一護はいつものように胸にルキアを抱いて、その細い華奢な体を自分のほうに抱き寄せて、そのまま一護は目を閉じた。
「い、一護、近いぞ!」
「いつものことだろ。気にすんな」
「私はすごいドキドキしているのだが・・・一護の鼓動も早いな」
「明日も授業あるんだから、もうねろ。今日は無断欠席扱いになってたし」
「尸魂界でチョコを作っていたのだ!連絡しそびれただけだ」
「高校は、普通にいかずにさぼる奴も多いから、誰も気にしてねーよ。せいせい井上が、どうしたのかなって言ってたくらいだ」
「一護」
「なんだ?」
「私の前では、今後井上の話はやめろ」
「分かった」
井上には悪いが、一護は私がもらっていく。そう心に決めたのだ。
バレンタインだから、チョコレートで告白してみた。
バレンタインならではだ。
現世の習慣も、たまにはいいこともあるなと、ルキアは思うのだった。
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