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バレンタイン(恋白)

「あー。そういや、もうすぐバレンタインかー。隊長甘い物嫌いだしなぁ」

恋次は、一度まだ白哉と深い仲になる前に、友チョコとしてチョコレートを渡そうとしたら、甘い物は嫌いだと一蹴されたことを思い出す。

「そうだ」

伝令神機で検索すると、甘くないチョコレートというのが出てきた。

カカオたっぷりのやつだ。

それを1人前注文して、バレンタインの前日に届いた。

1つ味見をしてみた。

「にげぇ・・・でもこれなら・・・・・」

丁寧にラッピングして、バレンタインの日に白哉に渡した。

「恋次、これは?」

「バレンタインチョコです」

「甘いものは好まぬ」

「そう思って、甘くないチョコレート買ったんです」

「甘くないチョコレート?」

白哉が首を傾げた。

黒絹の髪が、さらさらと音を立てて零れていく。

「騙されたと思って、1つ食べてみてください」

白哉は、1つ口にした。

「ほろ苦いな。これはよい」

おっしゃ。

恋次は心の中でガッツポーズをした。

「どうせ、ホワイトバレンタインの日に、私が欲しいと言い出すのであろう」

ぐ。

ばれてた。

「そ、そんなこと言いませんよ!」

「去年、甘いチョコレートを無理やり渡して、お返しくれと襲ってきたのは、どこのどいつであろうな」

「ほんと、どこのどいつかなー」

冷や汗をかきながら、口笛など吹いてみた。

「まぁよい。これはもらっておこう」

1時間に1個ってかんじで食べていくと、1日でなくなってしまった。

「ふむ。もう終わりか」

「そんなに気に入ったんですか?」

「ほろ苦い中にまろやかさがある。気に入った」

「このサイトから購入できます」

伝令神機でサイトを表示すると、白哉も自分の伝令神機でネットにつなげて、そのページを開けた。

「とりあえず、5個と・・・・」

ネットで注文する。

「少し眠い・・・・隊首室で仮眠してから帰る・・・・」

「俺も傍についています」

隊首室は、恋次の部屋にもなっていて、少しごちゃごちゃしていたが、ベッドは普通に置いてあった。

そこに横になると、白哉は直に眠ってしまった。

「ここ最近、激務でしたからね・・・」

白哉のあどけない寝顔を見ていると、恋次まで眠くなってきた。

白哉と同じベッドに横になり、眠った。

起きると、朝になっていた。

白哉の姿はなく、隊長羽織が恋次の体にかけられていた。

「隊長?帰ったのか・・・・・」

かけられていた隊長羽織の匂いをかぐと、白哉の匂いがした。

少し甘い、シャンプーとかの匂いだった。

9時前になり、白哉が姿を現す。

「恋次、朝まで眠っていたのか」

「はい」

「激務はお互いだが、ちゃんと自宅にも帰れ」

「はぁ・・・・」

帰っても、一人なのでたまに人を雇って、掃除や庭の面倒などを見てもらうくらいで、風呂と寝るために、たまに帰る。

隊首室に泊まることの方が多かった。風呂は、大浴場を使っていた。

「あと、隊首室をもう少し片付けろ。私用に使ってもいいが、せめて整頓して掃除をかかせるな。私もたまに使いたいからな」

「はい!」

恋次は目を輝かせた。

本当にたまに、逢瀬の時にも使う部屋だった。

「隊長、今日のシャンプー変えたんですか?」

「何故わかる」

「この隊長羽織についてた匂いと、違う匂いがしたから」

「犬か、お前は・・・・・」

恋次にかけておいた隊長羽織を受け取った。

「朝からなんですが、愛してます」

「本当に、朝からなんなのかわからぬな」

クスリと、白哉が小さな笑みを零した。

その表情と仕草がかわいくて、白哉を抱き締める。

「隊長、俺だけのものだ・・・」

「お前以外に、欲しがるやつなどおらぬ」

「そんなことありません」

「そうか?」

「虫よけも大変なんですから!」

同じ匂いをつけていたり、うなじにキスマークを残したり。

何はともあれ、バレンタインの日は過ぎた。

また、来年も同じようなチョコレートを渡そう。そして、ホワイトバレンタインには、隊長をもらいおうとニマニマする恋次だった。



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