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ただのアホ

「好きだ、京楽」

「やっと思いが通じたんだね!ボクも好きだよ、浮竹」

「お前に抱かれたい。俺をめちゃくちゃにしてくれ」

「鼻血でちゃうじゃない!君を天国に連れてってあげる」

京楽は、本当に鼻血を出していた。

その光景を、浮竹は冷めた視線で見ていた。

「何しとるんだ、お前は」

「あ、浮竹!手人形つくってみたから、一人遊びしてたの」

「それで、俺がお前に抱かれたい?めちゃくちゃにしてくれだと?」

ハリセンを手に、浮竹が京楽との距離を縮める。

京楽は、手人形で謝った。

「ごめんなさい、調子にのってました」

「分かればいい」

あれ?

浮竹が怒ってこない。

京楽は不思議に思って、浮竹のほうを見た。

浮竹は、ごほごほと咳をしていた。まさか発作かと思って、浮竹の背を撫でる。

「あんまり近づくな。インフルエンザになった。京楽、お前はしばらく違う空き部屋で過ごしてくれ」

「嫌だよ。誰が君の看病をするの」

「一人でなんとかする‥‥」

浮竹は、ふらついて京楽の腕の中に倒れこむ。

「わぁ、すごい熱じゃない。今すぐ、氷枕作るから、浮竹は大人しくベッドで寝ていて?」

「すまん」

熱があるせいか、素直な浮竹に京楽はこう言ってみた。

「将来、ボクと結婚してくれるよね」

「何を言っている。あほか」

いつもと同じ反応に、京楽は少し残念に思った。

「熱がある時くらい、ボクにつきあってよ~」

「既成事実作るとか言って、襲ってきそうだから嫌だ」

「そんな、病気の時とか具合が悪い時はボクは何もしないでしょう?」

「そうだが、元気になったら襲ってくるだろうが」

「そうだけど」

いつでも元気な京楽は、具合がよくなって全快して元気になった浮竹を襲って、縄で縛られて布団ですまきにされてベランダによく放置されていた。

「でも、ボクは君が好きだよ?」

「俺は好きじゃない。友人としてなら好きだが、恋愛感情は抱いていない」

「もう、ここは素直に、ボクも好きだって言ってよ」

「そう言って、肉体関係に陥ったら、このシリーズが終わる」

「そ、それもそうだね」

京楽は、氷枕をつくり、浮竹をベッドに寝かせた。

「解熱剤飲むよね?」

「ああ。何か食べないといけないな。でも、食欲がない」

「みかんの缶詰あるから、それを少しでもいいから食べて?」

京楽はみかんの缶詰をあげて、スプーンで浮竹の口元に運ぶ。

少しだけ食べて、浮竹はもういらないと言った。

「じゃあ、解熱剤とってくるから、おとなしくしててね?」

「こんな熱じゃ、お前をしばくのもなかなかできなくて苦労する」

「ボクをしばかなくていいからね!?」

京楽は、キッチンに行って、浮竹の薬箱をあけると、解熱剤をとりだして、コップに水を入れてもってくる。

「ほら、解熱剤。飲める?」

「一人で飲める」

浮竹は、高熱を出すのに慣れているので、自力で解熱剤を飲んだ。

「病院には行った?」

「朝のうちに行った。熱があって、インフルエンザと診断された。京楽、もしもうつったなら、すまない」

「浮竹に看病してもらうからいいよ」

「俺のインフルエンザが完治しなくとも、熱が下がって身動きできる程度までにならないと、看病はできないぞ」

「ボクを看病するときはナース服を着てね?」

「アホ。誰がそんな変態のコスプレするか」

ごほごほと咳こんで、浮竹は苦しそうにしていたが、薬が効いてきたのか、次第にうつらうつらと眠りはじめる。

「早くよくなりますように」

浮竹の額にキスをして、京楽は浮竹のために薬局に行き、冷えピタシートを買った。

眠っている浮竹の額にはると、浮竹がぼんやりと目をあける。

「‥‥‥好きだ」

「え?まじで?」

やっと浮竹が自分のことを好きだと言ってくれた。そう思ったら。

「‥‥‥みかんの缶詰が好きだ。京楽、買ってきてくれ」

そう言うものだから、京楽はコレクションの浮竹のパンツをすーはすーはして、頭にかぶり、インフルエンザが早く治るように快癒の踊りを踊る。

はたから見れば、ただのアホだった。

いや、京楽の場合存在自体がただのアホである。

でも、京楽は素直にみかんの缶詰を買いに行ったり、変態だけど優しいところもきちんとあるのであった。


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