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アイスバーズ京浮2

世界には、アイスとジュースなる者が存在する。

アイスはやや病弱で体温が低く、ジュースと結ばれると溶けて死んでしまう。

浮竹はずっとアイスだった。

そして、京楽は本人は気づいていないが、ジュースだった。

院生時代によく体温が冷たいねとは言われていたが、誰が浮竹がアイスだと思うだろうか。

アイスとジュースとして、意識せずとも京楽は浮竹に惹かれ、浮竹もまた京楽に惹かれていった。

隊長までのぼりつめて、数百年の時を過ごした。

お互いを好きだと言わず、ただ想いを殺して。

やがて、大戦の勃発。

浮竹は、世界の存続のために神掛を行い、ミミハギ様を解放することを決意する。

それは、すなわち浮竹の死であった。

「浮竹、どうしても神掛をするのかい」

「当たり前だ。霊王に何かあったら、俺が代わりになる」

「そうかい。決意はかたいんだね」

「お前に、最後にお願いがある」

「なんだい」

浮竹は、やや言いにくそうに京楽を見る。

「俺は、アイスなんだ。そして、お前はジュースだ」

「え」

とんでもない事実を知って、京楽は浮竹に告白しないでよかったと思うことにした。

「そうなの。それで、最後のお願いってまさか・・・・」

「俺の命の灯が消えそうになった時、愛していると言ってくれ。おれは、アイスとしてお前の腕の中で溶けて死にたい」

「浮竹・・・・そんなの、残酷だよ。残ったジュースのボクはどうすればいいの」

「お前は強い。俺がいなくても、生きていける」

「いやだよ。死なないで」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

体温は、相変わらず冷たく、ひんやりしていた。

京楽は涙を流していた。

想いを告げたら、浮竹は死ぬ。でも、何もしなくても神掛で死ぬ。

「約束だぞ。神掛をした後、俺はしばらく動けない。最期の時に、会いにきてくれ」


ユーハバッハの手により、霊王が殺された。

浮竹は、言っていた通り神掛をする。

大戦は終了し、浮竹はまさに死の淵にいた。

「浮竹、生きてるかい」

「ああ、かろうじで。もうすぐ、死ぬ」

「いやだ・・・・君を、失いたくない」

「もう、俺には時間が残されていない。お願いだ、京楽。お前の腕の中で、お前の言葉で死にたい」

「浮竹・・・・・」

「もう、あと数分もない。俺の命は尽きる。それでも、言ってくれないのか」

「ああ・・・・君って卑怯だね。根は素直なのに」

浮竹は、動かない体を無理やり動かし、京楽の腕の中にいた。

京楽は涙を流しながら、冷たい浮竹の体を抱きしめた。

「愛しているよ、浮竹」

「ああ、俺も愛してる、京楽・・・・これで、もう思い残すことはない。俺は、霊子に還っていく」

「浮竹、だめだ、まだ逝かないで!君に伝えたいことがいっぱいあるんだ!」

「京楽、お別れだ。愛してる」

浮竹は、触れるだけのキスを京楽とした。

京楽は驚いて目を見開いたが、唇をあけて、互いに舌が絡むキスをする。

「んっ・・・・」

「浮竹、綺麗だよ。どうか、次の世界で会う時は、アイスやジュースでなくって、普通の死神か人間になろう」

「ああ、お別れだ、京楽」

浮竹は、京楽の腕の中でとろとろと溶けてく。

京楽は、水になってしまった浮竹を、最後まで抱いていた。

隊長羽織が水でぬれたが、浮竹の名残なので哀しさしかなかった。

「いつかまた、会えるといいね。浮竹・・・・・・・」
















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2千年の時が経った。

浮竹は死神に生まれ変わっていた。

同時に、京楽も。

お互い、前世の記憶をもっていた。


「あ、そこの君」

「あ、そこのお前」

「浮竹十四郎だった子だね?」

「そういうお前こそ、京楽春水だった者だな?」

時をこえて、巡り合う。

お互い、見た目は少年で、浮竹は黒髪黒目で、以前のような浮竹とは違う、穏やかな顔つきの少年だった。

一方の京楽は、褐色の肌をもつ、黒髪の少年だった。

「愛してる京楽」

「ボクも愛してるよ、浮竹」

「俺の今の名前は----------------------」

「ボクの今名前は-----------------------」

アイスでもジュースでもなく。

二人は、新しい人生を、互い補いあいながら、今度こそ結ばれて生きていくのだった。



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