アイスバーズ恋白
アイスバーズというものがある。
アイスとジュースという存在がいて、アイスは病弱で体温が冷たく、ジュースという存在に愛を告白され思いが通じあうと、アイスはジュースの腕の中で溶けてしまう。
冷凍庫から出したアイスにように。
ジュースは自分がジュースであると、検査しなければわかりにくく、だがアイスは自分がアイスであることをたいてい知っていた。
唐突だが、恋次はジュースであった。
そして、白哉はアイスだった。
恋次は、白哉が好きだった。
出会った頃から、ずっとずっと。
でも、相手にされなくて愛を告白する機会もなくて、すれ違ってばっかりだった。
「隊長!」
「なんだ、騒々しい」
「今日の帰り、飲んで帰りませんか」
「ならば私の屋敷にこい。そこらの店よりは上等な酒と食事を用意しよう」
「いや、違うんすよ。隊長と二人きりで飲みにいきたいんです」
白哉は、恋次を見た。
大型犬が尻尾を振っているように見えた。
断ることもできたが、なんだかいつも誘ってそれを断ってばかりで、さすがに哀れにかんじはじめて、一緒に飲みにいくことになった。
「でね、ルキアのやつ一護にこう言ったんすよ。貴様のような軟弱な男は女子高に通えって」
「女子高?」
「あ、ああ、現世の学校のことで、女生徒のみの学校っす」
「ふむ」
白哉は現世にあまり興味がない。
恋次は現世組として何度か現世に赴いているが、白哉が現世にいったことはまだ数えるほどしかなかった。
白哉ほどの霊圧の者を、現世に送り込むにも骨が折れるのだ。
破面との戦いが終わり、ユーハバッハも打ち取られて、尸魂界は静かに復興をはじめていた。
一面焼け野原だった場所にまた店が並び、古くからの飲み屋も復活していた。
古くからの馴染みの店に入ったのだが、店舗自体は新しいものに変わっていた。
「隊長、隊長?」
「ん、ああ、すまぬ。少し頭痛がしただけだ」
「隊長、熱でもあるんすか?」
伸びてきた恋次の手が、白哉の額に触れる。
「つめたっ」
「ふふ、私は体温が氷のように冷たいのだ」
「なんか、病気っすか?」
「いや、生まれつきのものだ」
体温の話はそれで切り上げて、白哉は自分がアイスだと悟られないようにした。
恋次がジュースであることには気づいていた。
だが、ジュースである恋次を、白哉は密かに想っていた。
長く続く命。
もうそろそろ、終わりが見えてきてもいいかもしれないと、白哉はかんじはじめていた。
愛しいルキアは一護と結ばれて、白哉は愛しかった緋真においていかれて、その分ルキアを愛した。
貴族であるからと、処刑を止めることもなく受け入れたが、確かに愛していた。
無論、義妹としての家族の愛であるが。
恋次は、出会った頃から白哉に憧れて、あの手この手で気をひこうとする。
だけど、隊長副隊長としての仲はとてもよくなったが、恋次が描いている恋とは遠いものだった。
居酒屋で深酒をしすぎて、泥酔した恋次を連れて、朽木家に戻ると、現世から戻ってきていたルキアに驚かれた。
「どうしたのですか、兄様!」
「恋次が、酒を飲みすぎてつぶれた。さすがにがたいがいいだけあって、私一人では支えるのがやっとだ」
「こちらに寝かせてください」
「うむ」
ルキアの手をかりて、酔いつぶれた恋次を客間に寝かせた。
「恋次のやつ、いまだに言っておらぬのですか」
「何をだ」
「い、いえ、なんでもないのです」
ルキアは、白哉がアイスだと気づいていない。
恋次が白哉を好きだということは知っていた。
今度告白するといっておいて、このざまだ。
「今日はもう遅い。ルキアも早く寝るように」
「兄様は?」
「私は、少し散歩をしてくる。さすがに私も酒を飲みすぎた。酔い覚ましをしてくる」
「お気をつけて・・・・・」
ルキアは、白哉を見送った。
「そろそろ、限界なのかもしれぬな・・・・・・・」
アイスであることを隠すのも、恋次への思いを封印することも。
「明日・・・・・」
世間では、クリスマスイブだのどうだの、ああだこうだしている時期だ。
もう、溶けてしまってもいい。
明日、想いをうちあけて、恋次の想いも聞こう。
翌日になり、白哉は目覚めた恋次を抱きしめた。
「え、隊長?どうしたんすか」
「貴様が好きだ、恋次」
「隊長!お、俺も隊長のことがずっとずっと好きでした」
「愛している」
「俺も愛してます」
「最初で最後だ」
白哉は、恋次に自ら触れるだけのキスをした。
「隊長!」
押し倒してくる恋次をおさえつけて、告白する。
「私はアイスだ。そして、貴様はジュースだ」
「え」
「アイスである私は、貴様に想いを告げ、想いを告げられたことで溶ける」
「ちょ、冗談ですよね、隊長!そんな別れ方、いやですよ!」
「私は満足だ。ようやく、貴様の心の声を聞けた」
「いやです、隊長、溶けてなくなったりしないでください!」
じょじょに、白哉の輪郭があやふやになっていく。
白哉は太陽の下のアイスみたいに、溶けだした。
「隊長!!!!」
「恋次・・・・貴様を愛せて、よかった」
「隊長ーーー!!」
白哉は、そのまま溶けて水になってしまった。
「嘘だ、こんなの・・・・・・・」
恋次は、残された衣服をかき集めて、いつまでもいつまでも泣いていた。
白哉は、満足して溶けていった。
恋次がそれを受け入れることができるのは、数年先の話だった。
今はただ、白哉がいなくなった悲しみに身を任せるのであった。
アイスとジュースという存在がいて、アイスは病弱で体温が冷たく、ジュースという存在に愛を告白され思いが通じあうと、アイスはジュースの腕の中で溶けてしまう。
冷凍庫から出したアイスにように。
ジュースは自分がジュースであると、検査しなければわかりにくく、だがアイスは自分がアイスであることをたいてい知っていた。
唐突だが、恋次はジュースであった。
そして、白哉はアイスだった。
恋次は、白哉が好きだった。
出会った頃から、ずっとずっと。
でも、相手にされなくて愛を告白する機会もなくて、すれ違ってばっかりだった。
「隊長!」
「なんだ、騒々しい」
「今日の帰り、飲んで帰りませんか」
「ならば私の屋敷にこい。そこらの店よりは上等な酒と食事を用意しよう」
「いや、違うんすよ。隊長と二人きりで飲みにいきたいんです」
白哉は、恋次を見た。
大型犬が尻尾を振っているように見えた。
断ることもできたが、なんだかいつも誘ってそれを断ってばかりで、さすがに哀れにかんじはじめて、一緒に飲みにいくことになった。
「でね、ルキアのやつ一護にこう言ったんすよ。貴様のような軟弱な男は女子高に通えって」
「女子高?」
「あ、ああ、現世の学校のことで、女生徒のみの学校っす」
「ふむ」
白哉は現世にあまり興味がない。
恋次は現世組として何度か現世に赴いているが、白哉が現世にいったことはまだ数えるほどしかなかった。
白哉ほどの霊圧の者を、現世に送り込むにも骨が折れるのだ。
破面との戦いが終わり、ユーハバッハも打ち取られて、尸魂界は静かに復興をはじめていた。
一面焼け野原だった場所にまた店が並び、古くからの飲み屋も復活していた。
古くからの馴染みの店に入ったのだが、店舗自体は新しいものに変わっていた。
「隊長、隊長?」
「ん、ああ、すまぬ。少し頭痛がしただけだ」
「隊長、熱でもあるんすか?」
伸びてきた恋次の手が、白哉の額に触れる。
「つめたっ」
「ふふ、私は体温が氷のように冷たいのだ」
「なんか、病気っすか?」
「いや、生まれつきのものだ」
体温の話はそれで切り上げて、白哉は自分がアイスだと悟られないようにした。
恋次がジュースであることには気づいていた。
だが、ジュースである恋次を、白哉は密かに想っていた。
長く続く命。
もうそろそろ、終わりが見えてきてもいいかもしれないと、白哉はかんじはじめていた。
愛しいルキアは一護と結ばれて、白哉は愛しかった緋真においていかれて、その分ルキアを愛した。
貴族であるからと、処刑を止めることもなく受け入れたが、確かに愛していた。
無論、義妹としての家族の愛であるが。
恋次は、出会った頃から白哉に憧れて、あの手この手で気をひこうとする。
だけど、隊長副隊長としての仲はとてもよくなったが、恋次が描いている恋とは遠いものだった。
居酒屋で深酒をしすぎて、泥酔した恋次を連れて、朽木家に戻ると、現世から戻ってきていたルキアに驚かれた。
「どうしたのですか、兄様!」
「恋次が、酒を飲みすぎてつぶれた。さすがにがたいがいいだけあって、私一人では支えるのがやっとだ」
「こちらに寝かせてください」
「うむ」
ルキアの手をかりて、酔いつぶれた恋次を客間に寝かせた。
「恋次のやつ、いまだに言っておらぬのですか」
「何をだ」
「い、いえ、なんでもないのです」
ルキアは、白哉がアイスだと気づいていない。
恋次が白哉を好きだということは知っていた。
今度告白するといっておいて、このざまだ。
「今日はもう遅い。ルキアも早く寝るように」
「兄様は?」
「私は、少し散歩をしてくる。さすがに私も酒を飲みすぎた。酔い覚ましをしてくる」
「お気をつけて・・・・・」
ルキアは、白哉を見送った。
「そろそろ、限界なのかもしれぬな・・・・・・・」
アイスであることを隠すのも、恋次への思いを封印することも。
「明日・・・・・」
世間では、クリスマスイブだのどうだの、ああだこうだしている時期だ。
もう、溶けてしまってもいい。
明日、想いをうちあけて、恋次の想いも聞こう。
翌日になり、白哉は目覚めた恋次を抱きしめた。
「え、隊長?どうしたんすか」
「貴様が好きだ、恋次」
「隊長!お、俺も隊長のことがずっとずっと好きでした」
「愛している」
「俺も愛してます」
「最初で最後だ」
白哉は、恋次に自ら触れるだけのキスをした。
「隊長!」
押し倒してくる恋次をおさえつけて、告白する。
「私はアイスだ。そして、貴様はジュースだ」
「え」
「アイスである私は、貴様に想いを告げ、想いを告げられたことで溶ける」
「ちょ、冗談ですよね、隊長!そんな別れ方、いやですよ!」
「私は満足だ。ようやく、貴様の心の声を聞けた」
「いやです、隊長、溶けてなくなったりしないでください!」
じょじょに、白哉の輪郭があやふやになっていく。
白哉は太陽の下のアイスみたいに、溶けだした。
「隊長!!!!」
「恋次・・・・貴様を愛せて、よかった」
「隊長ーーー!!」
白哉は、そのまま溶けて水になってしまった。
「嘘だ、こんなの・・・・・・・」
恋次は、残された衣服をかき集めて、いつまでもいつまでも泣いていた。
白哉は、満足して溶けていった。
恋次がそれを受け入れることができるのは、数年先の話だった。
今はただ、白哉がいなくなった悲しみに身を任せるのであった。
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