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インフルエンザ

ある日、白哉がインフルエンザにかかった。

原因は、席官がかかっていたのがうつったのだ。

「ごほっごほっ・・・恋次、あまり近よるな。うつる」

「俺、インフルエンザの予防接種受けたから大丈夫です」

「そのような問題ではない。ワクチンを打ったとしても、かかる可能性があるのだ。私のことはよいから、下がれ」

朽木邸の寝室で、寝たきりになっている白哉の傍に、恋次はいた。

確かに、ワクチンを打っていても万能ではない。インフルエンザにかかる可能性があることは、否定できない。

それでも、白哉の傍にいたかった。

「水、飲みますか?」

「ああ・・・」

白哉も、一向に去ろうとしない恋次を諦めて、好きなようにさせた。

「熱ありますね。風呂は入れてないから気持ち悪いでしょう。体ふきますよ」

恋次に蒸したタオルでふいてもらい、氷枕を用意されて、薬を飲んで大人しく横になった。

「6番隊は大丈夫なのか。隊長の私が抜けて、恋次、お前までここにいるということは、隊長副隊長不在であろう」

「大丈夫ですよ。今までも何度もそんなことあったじゃないですか。うちの隊は、隊長副隊長が欠席していても、通常通りです」

そうは言うが、席官が仕事をする羽目になる。あまり無理はさせたくなかった。

「恋次、お前は明日から業務に戻れ」

「ああ、そのつもりです。今日は隊長の様子見に、昼から欠席しましたけど、今日の分の仕事は隊長がやらなきゃいけない重要書類以外は、片付けてきましたから」

恋次は、戦いに熱くなりやすいタイプであるが、書類仕事もちゃんとできた。

そうじゃないと、副官なんてやっていけない。

白哉は、熱があがってきたのか苦しそうだった。

「恋次・・・・傍に、いろ」

「はい、隊長」

白哉の黒髪を撫でた。

今は死覇装ではなく、白い夜着を着ていた。

「恋次が傍にいると、安心するのだ」

熱のせいで、いつもより素直に甘えてくる。

「恋次、手を握ってくれ」

言われた通りにすると、白哉は幸せそうに微笑んだ。

「お前の存在が、私にとってどれだけ大切であるか・・・お前には、理解できまい」

「理解、ちゃんとしてますよ。俺も隊長がいなきゃ、生きていけないくらい好きで愛していて、依存してますから」

「私も、愛している----------------------」

白哉がインフルエンザでなかったら、押し倒していただろう。

素直な白哉はどこか幼く、愛らしかった。

この綺麗な人は、熱にうなされても、やはり綺麗なままなのだ。潤んだ瞳と熱のせいで上気した肌が、とにかく色っぽかったけど、相手は病人なのだと言い聞かせる。

「今夜は、泊まっていきます」

「恋次・・・・・」

インフルエンザがうつるかもしれないのに、恋次は引こうとしない。

そのまま、白哉の部屋で布団をもってきてもらい、眠りについた。

次の日。

恋次も、インフルエンザでダウンした。

「だから言ったであろう。うつると」

「いや、あんたからうつったものだから、別にいいです」

二人一緒に、白哉の部屋で療養生活を続けた。

結局6番隊はしばらくの間隊長副隊長不在で、忙しいことになっていた。

4日ほどが経ち、白哉のインフルエンザが治った。

白哉は、早々に職場に復帰して、溜まっていた書類を片付けた。

「恋次、茶を・・・・・・ああ、いないのであったな」

いつも傍にいる恋次がいないだけで、こんなに寂しい思いになるのかと思った。

恋次は、一人暮らしであったため、自分の面倒が見れないと困るということで、治るまで白哉の部屋で療養を続けた。

白哉から遅れること3日。

恋次もインフルエンザが治り、職場に復帰していた。

「お前のいないこの3日、寂しかった」

白哉に抱き着かれて、恋次は白哉を抱き上げて隊首室に向かった。

「恋次?」

「大人しく、抱かれてください。あんたを抱きたいの、ずっと我慢してたんです」

「館まで、もたぬのか?」

「無理です」

一言ですまされて、白哉も恋次の首に抱き着いた。

「大浴場を、貸し切りにしておけ」

なんとか、白哉の権限で、大浴場を貸し切りにした。

「んう・・・」

舌が絡まる。

隊首室のベッドに、白哉は押し倒されていた。

隊長羽織を脱がされて、銀白風花紗をとられて、死覇装も脱がされた。牽星箝を外されてはらりと肩まである黒髪が頬にかかる。

「は・・・ああ・・・あぁっ」

薄い胸の筋肉をマッサージするように触られて、先端を口に含まれ、もう片方をかりかりとひっかかれた。

恋次の手が、脇腹を撫であげる。

「んん・・・・」

また、舌が絡まる口づけを交わした。

隊首室は、恋次の私室にもなっていたので、潤滑油が置いてあった。

それを指につけて、白哉の体内に指を埋めこんでいく。

「ああ!」

いいところを触られて、ビクンと白哉の体がはねた。

前立腺ばかり刺激されて、白哉の花茎はとろとろと蜜を零していた。それに手をそえられて、しごかれるとあっという間に白哉は熱を放っていた。

「あああ!・・・・ううん」

恋次の指が、生き物のように白哉の中で動く。

やがて指が引き抜かれて、怒張したものが宛がわれた。潤滑油で濡れ、その場所を解されているとはいえ、そういうことに使う器官ではないので、引き裂かれると痛みで、涙が零れた。

「んああああああ!ひあ!」

「すんません・・・痛いですよね。ちょっと我慢しててくださいね」

涙を恋次が唇で吸い取った。

前をいじってくる。

「ああ・・・・そんな・・やめっ」

前立腺を突き上げながら、恋次は白哉のものを手でしごく。

ぬちゃぬちゃと音がした。

結合部は、ぐちゅりと音をたてて、恋次は前立腺をすりあげる。

「あああ・・・・・んああああ・・あっ!」

白哉は、二度目になる熱を放っていた。

月に2回の逢瀬が、最近4回まで増えていた。お互い、まだ若い。

迸らせる熱を感じながら、恋次が白哉の中に放った。腹の奥でじんわりと広がる熱に、白哉は目を閉じた。

「愛してます、隊長・・・・・・」

「私も、愛している・・・」

お互いの思いを確認し合いながら、睦みあう。

ズチュンと奥を突かれて、白哉の体が痙攣する。

「あ、あ、いや・・・・もう、いや」

何度目になるかも分からない絶頂を、もう吐き出すものがないのでドライのオーガズムで達していた。

最後に恋次が、白哉の腹の奥で射精する。

引き抜くと、とろりと白い液体が溢れてきた。

濡れたタオルでそれをふきとって、なんとか死覇装だけを着させて大浴場に瞬歩で向かう。

白哉は、恋次の腕に抱きかかえられていた。

行為後は、必ず風呂に入って清める白哉のために、大浴場を貸し切りにしていた。

「よい。自分で歩ける」

恋次が中に注いだものをかきだされる。

「あっ・・・・」

声が漏れて、白哉は己の口を手で閉じた。

「隊長、声聞かせて・・・」

「んう・・・」

舌が絡むキスを何度か繰り返して、離れた。

「これ以上は、もういらぬ」

恋次は反応しかけていた下肢のものを、自分でしごいて抜いた。

「お互い、若いですからね」

若いといっても、白哉は恋次より50以上は年上だ。それでも、白哉はまだまだ若かった。

互いの髪と体を洗って、湯に浸かる。

「今日のお前は、切羽詰まっていたな。隊首室で私を抱くなど・・・・・」

「すみません。館まで耐えれそうになかったんで」

「よい。どのみち、夜には館に呼ぶ予定だった」

まだ仕事の時間なので、大浴場は貸し切りでなくとも人は入ってこないだろう。

仕事は少し溜まっていたが、二人が本気になると今日の残り時間で片付くだろう。

湯からあがり、着ていた死覇装とは別の、真新しい死覇装をきた。

着ていたものは、体液で汚れてしまっている。

「隊首室でなど・・・・昔の私であったら、許していないであろうな」

白哉も変わった。

緋真だけを愛していたのに、恋次を愛していると気づき、思いを口にした。

恋次は、隊長は俺だけのものだと豪語する。

それもまた、よいかもしれないと思う白哉がいた。

「牽星箝・・・一人ではつけられぬのだ。いつも清家に手伝ってもらっている」

「俺が手伝いますよ」

恋次は、四苦八苦しながら、白哉の髪を乾かして、牽星箝をつけた。

いつも通りの隊長の姿になる。

睦みあった痕跡など、胸のあたりから臍にかけて残したキスマークだけで、はたから見ればいつもの白哉だった。

「お前は、意外に器用なのだな」

牽星箝をつけたことに対して言っているのだろう。

「いや、滅茶苦茶難しかったです」

「そうか・・・やはり、清家でないとだめか」

「その清家さん・・・いつも隊長の支度を?」

「ああ。手伝ってもらっている」

白哉おつきの者だ。嫉妬しても仕方ないが、恋次は軽い嫉妬を覚えた。

「清家に嫉妬しているのか?あれは、私の使用人だ」

「そうですけど・・・隊長と一つ屋根の下で暮らしているのも、納得いきません」

「清家は、使用人のための別宅で暮らしておる。一緒に住んでいるのは、ルキアと一護だ」

ルキアの婿入りをしてきた一護は、今は朽木一護と名前を変えて、貴族になっている。

「一護も奴も、羨ましい・・・・」

「そんなに我が屋敷に泊まりたいなら、たまにであれば、泊めてやろう」

「まじですか」

恋次は食いついた。

インフルエンザの時のような理由もなく、白哉の隣にずっといれるなら、それは理想だ。

「ただし、盛るなよ」

「う・・・・」

痛いところを突かれたが、恋次は結局次の日には早速朽木家の泊まりにいくのであった。






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