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エリュシオンの歌声5-1

滅んだカール公国の唯一生き残った機関である神殿は、エリュシオンの歌声を持つ者の資格である、白い翼を失った浮竹を、それでもなお欲しようとした。

魔法の癒しが絶大なのだ。

死者さえ、場合によっては生き返らせてしまうほどに。

けれど、ソウル帝国とカール公国は戦争をして、ソウル帝国の勝利で終わり、カール公国の神殿はソウル帝国の聖神殿と統合された。

それでも、世界は浮竹の歌声と魔法の才を欲した。

それを抑止したのは、浮竹の実の父親である現ソウル帝国の皇帝だった。

浮竹を自由に。

一時は、浮竹の首に懸賞金をかけていたが、ルキアにエリュシオンの歌声が宿ったことでそれを撤回した。

だが、ルキアは一時宿っただけで、またエリュシオンの歌声は浮竹の元に戻ってしまった。

でも、皇帝はもう浮竹を追わなかった。

愛した亡き皇后との間にできた、双子だった。

貴族や皇族に双子は禁忌。片方を殺さなければいけない。嘆き悲しんだ皇帝と皇后であったが、背にエリュシオンの歌声をもつ者の証である小さな白い翼を見つけて、喜びあった。

けれど、禁忌は禁忌。

浮竹を、皇后の姓である朽木でも、皇帝の姓でもない亡き祖先の姓である「浮竹」を与え、当時ですでに14人目の子であったから、十四郎と名付けた。

そして、隣国でもある小国のカール公国の神殿に預けた。

その神殿で、浮竹はほぼ幽閉されて育ち、毎日癒し手として、1日1回の奇跡を使っていた。

目も見えず、耳も聞こえず、歌を歌うしか口は許されず、歩くこともできない。神子はその能力が高ければ高いほど、反作用で肉体に欠損がでる。

浮竹は、まさに奇跡を起こすために生まれてきた神子であった。

エリュシオンの歌声があるせいで、神子としての能力は歴代でも類を見ないほどになり、浮竹は神殿の奥に幽閉された。

それを、はじめは殺すためにやってきた、風の魂の盗賊団の首領である京楽が、攫って行った。

あげくに、神子を汚した。

神子は汚されて、神の御業を失ったと、ソウル帝国の皇帝は触れ回った。

実際は、京楽に抱かれはしたが、魔法の才もエリュシオンの歌声も健在だった。


浮竹と京楽は、今はソウル帝国の反対側に位置する大陸、ガリア大陸のイリア王国を訪れていた。

国王の后が、重篤な病で、癒せる者に賞金を与えるというその賞金の額に、京楽が釣られてしまったせいでもあった。

「エリュシオンの扉は開かれる」

それは歌声。でも、呪文として形を成して、国王の后を癒した。

国王は目の色を変えて喜び、少しずつ生気を取り戻していく后のために、浮竹を王宮に滞在させた。無論、連れである京楽も一緒に。

病が重篤すぎて、一度では全快に至らなかったのだ。

何度か日をおいて、后に魔法をかける。后は点滴で生きていたが、果物なら喉が通るほどに回復した。

報酬金ももらい、イリア王国を出ようとした時、その癒しの腕に魅了された国王は、浮竹を奪おうとした。

京楽がそれを阻み、浮竹を連れ去って早馬で王宮を去ってしまった。

「ああ・・・なんということだ。あの奇跡の治癒の腕を活かさないなど・・・なんたることだ」

イリア王国の国王は、浮竹を見つけたら、保護するようにと国中に触れをだした。

そんな国にはいられないと、浮竹と京楽は、隣国サルアに移り、山深い里でひっそりと診療所を開いた。

重篤な場合以外、なるべく自然治癒を促す魔法に切り替えたが、それでも浮竹の治癒の腕は近隣でも有名になった。

「ここも、そろそろ無理かなぁ」

「ねぇ、やっぱ診療所なんて開かないほうがよかったんじゃない?」

「でも、苦しんでる人を放っておくわけにはいかない。このサルアは、イリア王国と何度か戦争していて、優秀な癒し手は王都にいるからな」

最後の客を魔法で癒して、その日の診察は終了となった。


「ねぇ・・・」

「んっ」

同じベッドで眠っていると、久方ぶりに、京楽が浮竹を欲した。

明日は診察が休みだ。

もう10日も浮竹にあまり触れていない。

我慢の限界がきて、京楽は浮竹を押し倒していた。

「あっ・・・・・」

すでに、声も耳も目も足も治った浮竹にとって、京楽と睦み合うのは一種の毒に近かった。

だるくなって疲れるのに、病みつきになる。

「んあっ」

背後から抱かれ、口の中に指をつっこまれた。

その指に舌を絡めると、京楽はくつくつと笑った。

「先生が、こんな淫乱だと知ったら、患者さんはどう思うだろうね」

「京楽が・・・・そうさせているんだろうがっ」

仕返しだと、京楽のほうを向いて、肩に噛みついてやった。

「いてて」

「ふん・・・・・あ、あ」

京楽の手が、慣れた手つきで浮竹の衣服を脱がしていく。

「ふあ・・・・・」

舌が絡みあう深い口づけを繰り返して、京楽は浮竹を全裸にしてしまった。

「やっ・・・見るな」

「どうして。もう何度も抱かれてるし、今更恥ずかしがる必要なんてないじゃない」

「それでも、恥ずかしいものは・・・・あうっ」

胸の先端をかじられて、体全体に雷の電撃が走ったような、ぴりっとした感覚を覚える。

すっかり性感帯にされた部分をいじられながら、京楽は浮竹の花茎に手を忍ばせた。

「あう!」

ぎゅっと、上から包み込むように握られた。

それから、全体をしごかれて鈴口に爪を立てられて、浮竹はあっけなく精を放ってしまった。

「ひあ!」

京楽は、潤滑油を手にとると、人肌で温めてから、浮竹の蕾に指を入れる。

「んう」

キスをされながら、指がくにくにと、蕾の周囲を刺激する。

「んっ・・・・」

つぷりと入ってきた指に、眉を顰めながら、浮竹はもうどうにでもなれと、全身の力を抜いた。

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