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エンシェントエルフとダークエルフ17

その依頼は、神隠しにあった子供たちの調査というものだった。

ハーメルンの笛吹と名乗る人物が通って行った後には、12歳以下の子供がいなくなるのだという。

進路からして、次に狙われるのはイアラ帝国の隣のアスピラ王国のロトスという村だった。

緊急クエストだったので、浮竹と京楽の他にも、Bランク6名、Aランク3名が、派遣された。

やがて、笛の音がしてきた。

ハーメルンの笛吹だった。

青年は、一見するとただの人間に見えた。

でも、エルフの浮竹と京楽には分かった。

「正体は、魔女だ!このまま、後をつけるぞ」

魔女を倒す適正はSランクだ。

Bランク冒険者は援軍を呼ぶために冒険者ギルドに戻ってもらい、Aランク冒険者3人と一緒に行動を開始した。

「さぁ、いい子だからこの洞窟の中にお入り」

そこは、暗くて深い洞窟だった。

気づかれないように、音を立てずに後をついていく。

洞窟の奥は牢になっており、これまで行方不明になっていた子供たちもみんな揃っていた。

「さて、次の町は・・・・・」

「そこまでだ!」

京楽がライトの光で洞窟を照らし、浮竹が剣でハーメルンの笛吹の喉もとに剣を突きつける。

「なんですか、あなたたちは!」

「それはこっちの台詞だ!」

「私はただ、迷子の子供たちを保護しただけで」

「正体はばればれなんだよ、この魔女が!」

Aランクの剣士の一人が、ハーメルンの笛吹に剣を向けるて切りかかると、浮竹の剣を振り払い、Aランクの剣士の剣を叩き折った。

「ふん、人間風情が。用があるのは、子供だけだ。他は、皆殺しにしてくれる」

「エアプレッシャー」

「ファイアランス!」

「てやあああ!!」

他の3人のAランク冒険者は攻撃をしかけるが、魔法を易々と弾いて、切りかかっていた剣士のサブの剣を身に受けるが、少し切られただけだった。

「エアプリズン」

魔女は、空気の檻を作り、そこから空気をぬいてAランク冒険者たちを酸欠にさせる。

「僕の存在を忘れないでほしいね!ウォータープリズン!」

「ちっ、エルフか!」

エルフは、人間の魔法よりも魔法に優れている。特にダークエルフの京楽は上級魔法を軽々と使いこなす。

「こっちもだぞ!」

浮竹が、正体を現した魔女の右足を剣で貫いた。

「ブルン、Aランク冒険者たちに回復魔法を!」

「くくるーー!!」

ブルンは白く光ると、酸欠で倒れていた3人のAランク冒険者にヒールの魔法を使った。

「ありがとうございます!」

「私たちも、まだまだ戦えるわ!」

「俺も魔法で援護します!」

「ええい、まとめて死ね!ゴッドエクスプロージョン!!!」

洞窟に穴があくほどの威力だった。

幸いにも、牢屋の中の子供たちには落石は起きなかったようで、無事だった。

浮竹と京楽は、マジックバリアを4重に起動させて、3人のAランク冒険者を守った。

「すみません」

「アイシクルランス」

「ウォータースラッシャー!」

浮竹と京楽も、魔法を唱える。

「エアリアルエッジ」

「フレイムランス!」

洞窟の中だったので、大規模な魔法は使えなかった。

魔女は最初はシールドを出して防いでいたが、4人も魔法を使える者がいて、次々に魔法を唱えるものだから、シールドをはるだけで精一杯で、浮竹がミスリルの剣をAランクの剣士に貸したことなど、知らなかた。

「もらった!」

剣士は、魔女の体を袈裟懸けに斬り裂いた。

「ぎゃあああああ!!!」

「サイレンス!」

魔法を唱えられないように、すかざす京楽が沈黙の魔法をかける。
「魔法が使えない!おのれえええ」
魔女は衣服をやぶいて、巨大な獣になった。
「全員、食ってやる!」

「フレアフィールド」

「あ、熱い!」

足を火傷した魔女であった獣は、見せかけだけで、ただの魔女に戻った。

「おのれええ。呪い殺してくれる・・・・ガハッ」

剣士からミスリルの剣を返してもらった浮竹が、魔女の心臓を貫いた。

「こんなところで、私が死ぬはずが・・・・」

心臓を貫いてもまだ生きていたので、浮竹は首を刎ねた。

魔女は、そのまま動かなくなり、魔石を残して灰となった。

Aランクの冒険者3人と、浮竹と京楽はハイタッチを交わした。

「子供たちを解放しよう」

「鍵がないようね」

「俺に任せてくれ」

浮竹は、アイテムポケットから針金を取り出して、カチャカチャと何度かいじって、鍵を開けた。

「うわああああん!!」

「わああああん!!」

子供たちは、洗脳が解けて泣きだした。

応援のSランク冒険者もかけつけてくれて、神隠しにあった子供は、一人残らず保護された。


「さて、今回の報酬金の話だが」

浮竹が、報酬金金貨300枚を手に、Aランク冒険者に金貨70枚ずつを3人に、残りの金貨90枚を、わざわざ援護として駆けつけてくれたSランク冒険者3人に、30枚ずつ分けた。

「これじゃあ、浮竹さんと京楽さんの取り分がないじゃないか」

「いや、とある筋からかなりの金をもらったことがあるので、今回は魔石の代金だけをいただくよ」

「俺達は大丈夫だから、遠慮しないでくれ」

「じゃあ・・・・」

Aランクもランクの冒険者たちも、ありがとうといって、金貨を振り分けた通りに受け取っていった。

「さて、魔女の魔石だけど。いくらになるかな?銀貨5枚だとかだと笑えるね」

受付嬢に魔石を鑑定してもらい、買取り金額をきくと、銀貨3枚と銅貨6枚だった。

「その、魔女の魔石は大変な粗悪品が多いものでして・・・すみません」

「よし、今日はこの銀貨3枚と銅貨6枚分の食事をレストランでとろう」

あまり高級なレストランには入れなかったので、ちょっと廃れたレストランで、ちょうど銀貨3枚と銅貨6枚になるように注文して、食べて飲んだ。

「たまには、質素なのもいいよね」

「そうだな。節約するのもいい」

白金貨千枚をまるまる貯金している。

生活にかかるお金は、休日に決めた土日以外の毎日で依頼を受けて、その分で賄っていた。

1日の依頼で金貨300枚がたまることがある。

少し贅沢をしているので、二人で月にかかるお金は金貨200枚だった。

銀貨3枚銅貨6枚なんて、駆け出しの冒険者をやっていた頃を思い出す。

「僕らも、立派になったものだよね。はじめはFランク冒険者だったのに」

「そうだな。時間はかかったが、今ではAランクだ」

そもそも、エルフは成人するのに100年くらいかかる。

12歳の容姿になるまで、80年かかった。

それまでは、冒険者登録はできずに、成人するまでの間に依頼をスローペースでこなしていき、今に至る。

成人した時にCランクの冒険者となり、エルフの森を飛び出した。

今や、マイホームをもち、豪邸を買えるようなお金持ちだ。

「貯金、楽しいよね」

「ああ、そうだな」

銀行に白金貨千枚はまるまる預けていた。

利子だけで、年間に白金貨50枚はいきそうだった。

「まぁ、これからも貯金していこう」

「そうだね。次は別荘でも買おうか」

「お、いいな。ただし、稼いだ金でだぞ」

「うん、当たり前だよ」

そうこう言ってるうちに、すぐに別荘がもてるようになるまで、金が貯まるのであった。


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