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エンシェントエルフとダークエルフ21

それは、Bランクの退治依頼であった。

Dランクのダンジョンの15階層に、ミノタウロスが複数姿を現して、その先にいけないのだそうだ。

Dランクは駆け出しの冒険者から一皮むけて、冒険者らしくなってくる階級だ。

そのDランクダンジョンにミノタウロスとは。

浮竹と京楽は、昔一度来たことがあるので、京楽の空間転移魔法でDランクのダンジョンの前まで飛んだ。

空間転移魔法は、一度行ったことのある場所なら、結界を張られていない限り、行き来が可能だたが、消費魔力が大きいので、そう連打することはできない。

すでにブルンにヒールをしてもらい、魔力回復をしていた。

ダンジョンは階層ごとにフィールドがかわるタイプで、上級呪文も使えそうだった。

雑魚は適当に倒して放置しておこうとしたのだが、浮竹がわざわざ魔石を集めるので、仕方なく遭遇して倒した敵の魔石は拾って集めた。

15階層にくると、ミノタウロスがいたが、普通のミノタウロスより牛に近かった。

「MOOOOOOOO!!」

まるで牛のような雄叫びをあげて、襲い掛かってくるので、火の魔法を使う。

「フレイムロンド!」

「ファイアサークル!」

「MOOOO!!!」

こんがりと、焼かれたミノタウロスは、いい匂いをがした。

「まだいるぞ」

「ファイアフェニックス!」

火の魔法でこんがり焼かれたミノタウロスは、いい匂いがした。

駄目だと分かっているのだが、ミスリルの剣で肉を切り出すと、皿を取り出して炎で焼いた。

ミノタウロスのステーキだった。

「食べても大丈夫かな?」

「レストランでも、ミノタウロスのカルビってメニューがあるくらいだぞ。高級食材だ」

浮竹と京楽は、倒したミノタウロスの1体の肉を斬って焼いて食べてを繰り返した。

「ああ、おいしかった」

「ただだと思うと、余計おいしくかんじるね」

ブルンは、ミノタウロスの骨を消化してもらった。あと、食べれない部位とか。

残ったミノタウロスは、アイテムポケットに入れて持ち帰ることにした。すでに焼かれている状態ではあるが、ステーキとして需要があるので、別に構わないだろう。

空間転移して、冒険者ギルドまで戻ってくると、皆そのスピードの速さに驚いていた。

依頼を受注して、2時間とかかっていなかった。

魔石はちゃんと回収しておいた。

「あらん、春ちゃんいるの間に空間転移の魔法なんて覚えたの?このキャシーと、いけないことをするために、覚えたのね?」

「うるさい、青髭オカマ!近寄らないでよ」

「酷い、春ちゃん酷いわああああ!!!」

キャサリンは、浮竹に抱きついて尻を揉んできた。

「尻を揉むなこの変態オカマ!」

ミスリルの剣の鞘でオカマのギルドマスターを叩くと、キャサリンは涙を流してくねくねしていた。

「13体の討伐の確認をしました。魔石は金貨39枚で、依頼料の報酬は金貨180枚となります。あと、雑魚の魔石の買取り額は、金貨2枚と銀貨3枚になります。

「その、ミノタウロスの買取りを頼みたいんだけど」

「それなら、解体場へどうぞ」

解体工房で、ミノタウロスの遺体を12体分提出する。

「火で焼かれていますが、肉の需要としては問題ありません。1体金貨30枚、しめて金貨360枚になります。魔石とミノタウロスの数が足りませんが、1体食べましたね?」

「え、あ、うん、まぁね」

「ミノタウロスの肉は高級食材ですが、素人が料理すると食中毒が怒る確率はゼロではありません。なるべく、解体工房に提出してから、食べる分の肉を受け取ってください」

「うん、分かったよ」

「わかった」

浮竹と京楽は、匂いにつられてダンジョン内でステーキを食べたことを反省した。

「それより、味はどうでした?とれたてはやっぱりおいしかったですか?」

「うん、すごくおいしかった。できれば塩コショウで味付けしたかったね。そしたら、余計においしくなると思うよ」

「魔法の火で焼いたんだが、うまいことミディアムレアになってな。調味料はなかったが、最高にうまかった」

じゅるりと、受付嬢が涎を垂らしそうになっていた。

「決めました!今月の給料の3分の1になるけど、ミノタウロスのシャトーブリアンの部位を、4食分ほどください!」

「「おおーーー」」

大盤振る舞いにミノタウロスの最上位部位のシャトーブリアンを頼む受付嬢に、浮竹と京楽は感激した。

ギルドの受付嬢の給料は悪くないが、それでもBランク以上の冒険者の月に稼ぐ額には届かない。

それなのに、給料の3分の1も費やして、食べようとするその根性が気に入った。

「いいレストランを知っているんだ。そこで、焼いてもらおう」

ギルドの受付嬢マーサは、浮竹と京楽もついでにシャトーブリアンの部位を1食分買い取って、
一緒に高級レストランに入り、厨房でステーキを調理してもらうことにした。

ちなみに。調理するのにも金貨1枚が必要で、マーサも浮竹も京楽も、それぞれ金貨1枚ずつ払った。

「お待たせしました。ミノタウロスのシャトーブリアンミディアムレア焼きのポテト添えでございます」

焼かれてもってこられたステーキは、最高においしそうだった。

ナイフとフォークを入れて、切って食べていく。

3人とも、涙を流した。

「うまい」

「うまいわ」

「うますぎる」

一匹放置された、ブルンが抗議する。

「くくるーーー」

僕にも美味しいの食べさせて。

「ああ、すまないがゴミ箱にこのブルンというスライムを入れてやってくれないか。ゴミを食べるんだ」

「本当ですか。ゴミがいっぱいで、困ってたんです」

客の食べこぼしとかもゴミとして捨てられる。

それも消化したので、いつものゴミより美味しいと、ブルンは後で語ってくれた。

夕飯を食べて帰ってくると、ボルがいた。

「どうしたんだ、ボル」

「いやなぁ、こっちの大陸のコーラのほうがうまくて、買ってきてくれね?金なら渡すから。何処で売ってるのかしらねーんだよ」

「いつも僕たちがいるわけじゃあないからね。ついておいで。売ってる店紹介してあげる」

「あーもう、なんでわかんねーかなー。俺は、遊びにきたんだよ!」

「コーラは?」

「あ、やっぱコーラは買いに行く」

京楽と飲み物を専門に置いてある店で、2ダースコーラを買って、銀貨8枚払った。

ボルが、自分のアイテムポケットにコーラを入れた。

「こっちの物価って安いんだな」

「そうかい?魔大陸は高いの?」

「あの量のコーラなら、金貨2枚はする」

「ウッドガルド大陸の約3倍だね。値段にすると」

京楽とボルは、浮竹の待つマイホームに戻ってきた。

「なんだよ、今日は料理ねぇの?」

「特別だよ。明日にしようと思ってた海鮮シーフードピザ作ってあげる」

1時間経って、ボルは他の四天王の悪口をいいながら、コーラを飲みまくり、そして9時なると眠いといってゲストルームで寝てしまった。

「何しにきたんだろうね?」

「ただ、おしゃべりにきたんじゃないか?」

「そういうもんなの?」

「友達だと思われてるんじゃないか」

「魔族の四天王の友達ねぇ。悪くはないね」

「まぁな。きっと明日の6時には叩き起こされる。俺たちも、早めに就寝しよう」

結局ボルの来た意図は分からず、朝の8時になると空間転移の魔法で、魔王城まで帰ってしまうのであった。

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