エンシェントエルフとダークエルフ20
京楽と浮竹の元に、奇妙な客人がきていた。
アークデーモンに捕らわれていた少女ユンと、その兄と名乗る、魔王ヴェルが四天王の一人、電撃のボルであった。
「よう、勝手にあらがせてもらってるぜ」
「お兄ちゃん、やはり勝手はびっくりさせちゃうんじゃないですか?」
「はぁ。まぁ、人生長く生きてたらこんなことも起こるね」
そう言いながら、京楽はバタンと倒れた。
「はははは、魔王の四天王、電撃のボル」
浮竹は、笑ってからバタンと倒れた。
「どうしよう、お兄ちゃん!」
「あー、ほっとけ。すぐ目をさまずだろうさ」
その通り、5分ほどで意識を取り戻した二人は、自分の家なのに窮屈そうにしていた。
「今、紅茶をいれてくる」
「コーラいれてくんねぇか」
「は?」
「俺はコーラがいいつってんだよ。なかったら、買いに行け」
「お兄ちゃん、お礼を言いに来たんでしょう?」
「あ、ああそうだったな」
「この前飲み会した時に、未成年用にコーラ買っておいたの残ってた。はい、どうぞ」
京楽からコーラをもらって、ボルはまるで命の水のように飲んでいった。
「オレは、このしゅわしゅわした感覚がたまらねーんだよな。飲み物は全部コーラ。好きな食べ物はなしでとにかくコーラだぜ!」
「それより、お兄ちゃん」
「あ、ああ、そうだな。前回は、俺の妹のユンを助けてくれて、すまねーな」
「いや、こちらも白金貨千枚ももらったし・・・・」
この前、式で大金貨100枚を宗教組織の人身売買で行方不明だったものが魔大陸で見つかったことを、イアラ帝国の騎士団に情報伝達する小遣いとしてつけられたのだが、ただ言伝するだけで大金貨100枚はありえないと、式に金をもたせて帰らせた。
とにかく、依頼以外で金が舞い込んでくることが多いのだ。
「なんなら、白金貨千枚をお返ししようか?」
「いらねぇよ。ユンを助けてくれた感謝の金だ。受け取っときな」
ボルはぶっきらぼうだったが、根は優しい青年だと分かった。
「その、ウッドガルド大陸では魔族は生きにくいからな。ユンは、魔大陸に連れていく。だが、その前に助けてもらったあんたらに会いたいっていうんで、わざわざ俺らから会いにきてやったってわけよ」
「そうか。ユンちゃん、魔大陸に帰るんだね」
「うん。おじいさんももう歳だし、一緒に魔大陸のお兄ちゃんの庇護下の元に居ることに決めたの」
「ユンちゃんとちゃんとした場面で会うのはじめてだったな」
浮竹が微笑むと、ユンはほのかに頬を赤くした。
「おいてめぇ、ユンに何しやがった!」
「な、何もしていない」
「違うの、お兄ちゃん!ただ、綺麗なエルフだなぁと思っただけだから」
「お、おう、そうか。すまねーな。オレ、こんな性格だからいつも先走っちまう」
「うん、別にいいけどね。君の性格にも慣れてきたよ。ほら、おかわりのコーラ」
「お、気が利くじゃねぇか」
ボルは、コーラを一気飲みして、げふーっとげっぷをした。
「やだあ、お兄ちゃんげっぷしないでよ」
「でるもんはでるんだから、仕方ねーだろうが」
「まぁまぁ。ああ、そうだ、ユンちゃんから預かってたこのペンダントだけど、返すよ」
「お、それは俺がユン誕生日にあげた、紋章入りのペンダントじゃねぇか!」
「ごめんなさい、お兄ちゃん。他に渡すものがなくって、魔族絡みならこれでどうにかなると思って渡してしまったの」
「返して、くれるのかよ?」
「うん、返すよ。僕らが魔族に関わることなんて、今回はあったけど、今後はないだろうし」
京楽の言葉に、ボルはペンダントを受け取って、ユンの首にかけてやった。
「まぁ、礼を言いに来ただけだ。泊まってやってもいいんだぜ」
「はいはい。じゃあ、夕食の用意するから、この部屋で寛いでて。浮竹はコーラとワインと今から書いていくメモの中身の買い出しを頼むよ」
「ああ、分かった京楽」
Aランク冒険者だ。
貧しい暮らしをしていると思われたら、また白金貨を渡されそうなので、今日は特に豪華にすることにした。
七面鳥を丸焼きにして、フォアグラやキャビア、トリュフなどを使った贅沢な料理を出してふるまった。
「お、すっげ―いいもん食ってんじゃんか。オレ、ここんちの子になろうかな」
浮竹と京楽は首を横に振った。
こんな大きな子供いりませんと。
「まぁ、冗談だ。今日は遅いし、泊まって行っていいか?」
「ああ、上の階に僕らの寝室の他にゲストルームが2つある。そこを使ってくれて構わないよ。ただ風呂場とトイレは一つだから、そこは気をつけてね」
ユンとボルは、先に風呂をかりて、寝間着に着替えてえボルはまたコーラを飲んでいた。
「そんなにコーラばっかり飲んでて、虫歯にならないのか?」
浮竹がふとした疑問を口にすると、ボルは笑った。
「今時、どこもゼロカロリーコーラだぜ。第一、虫歯になんて魔族はなんねーよ」
「そ、そうなのか。そういえばエルフの俺たちも、虫歯になったことはないな。ちゃんと歯を磨いてるせいだろうか」
「虫歯は、人間種族の病気だぜ。他種族がなるには、粘膜感染だ」
「つまり、人間とキスしない限り、他種族は虫歯にならないと?」
「そうだぜ。そんな当たり前のことも知らねーのかよ」
「すまない。何分、エルフなもので、人間世界にも魔族側にも事情が疎いからな」
「今から知っていきゃいいんだよ」
ボルは、魔王のことた四天王のことをいろいろ教えてくれた。
くそメガネと言われる四天王の時には、笑い合った。
「灼熱のシャイターンは、あんたを捨てたこと、くやんでるぜ」
「え」
「愛してなんかいないって、何度も否定しやがんだ。ほんとに捨てて興味なかったら、話題にのぼっただけで怒って出ていっちまう」
「そっか・・シャイターンが」
「よかったな、京楽」
「うん」
「おっし、眠くなってきたから寝る」
「まだ、9時だぞ?」
「魔族は早寝早起きが基本なんだよ。9時には寝て、6時に起きる」
「そ、それは健康的だな」
「お兄ちゃんは先に寝てて。浮竹さん、ちょっと話あるんだけどいいですか?」
「ああ、なんだろう?」
「す、好きなんです!」
京楽が後ろにいる場所で、ユンは浮竹に告白をした。
「もちろん、無理なのは分かってます。私は魔族で、あはたはエルフ」
「いや、そういう以前に俺にはすでに伴侶がいるんだ。後ろで固まってる、あいつだよ」
「あ、そうだったんですか」
ユンは、しゅんとなったが、すぐに顔をあげた。
「あー、告白して振られてすっきりした―。私も寝ますね」
「ああうん、おやすみ」
「台風みたいな兄妹だね」
「まぁ、そうだな。それより、この残った料理、俺らでは食べきれないな。冷蔵庫に入れておこうか」
「うん、そうしよう」
次の日の朝、6時に叩き起こされた。
「朝食まだかよ?」
「ああ、はいはい、今起きて作るよ」
寝ぼけ眼で、京楽はトーストを4枚焼いて、浮竹を起こして、スクランブルエッグを4人分用意して、ダイニングテーブルの椅子に座った。
「「いただきます」」
ユンとボルは・・・・ユンは分かるが、ボルは言葉遣いは乱暴だが、礼儀はわきまえてあるらしかった。
浮竹と京楽も、言葉に出さないがいただきますと心の中で言って、食べていく。
「「ごちそうさま」」
ユンが、朝ごはんの片付けを手伝ってくれた。
「ユンちゃん、いいお嫁さんになれるよ」
「本当?じゃあ京楽さんが夫になって」
「んだとこらぁ、ユンの夫になるだって?」
「違う違う、冗談だよ。ね、ユンちゃん?」
「半分本気なんだけどな。シャイターンの捨て子白いダークエルフだったって有名じゃない。京楽さんのことでしょ?」
「そうだけど、僕には浮竹がいるからね」
「なんだ、そうだったのか。水くせぇな。そうならそうと言ってくれりゃあいいのに」
「いや、ボル君に、いきなりできてますなんていう勇気はないよ」
「ボル君、いつ出発するんだ?」
「あー、8時くらいかな。空間転移で帰るから」
「じゃあ、ユンちゃもお別れだね。元気でね」
「はい。浮竹さんも京楽さんもお元気で」
「じいさんを、町の宿屋で待たせてあるから、ちょっくらとってくるぜ」
ボルは、凄まじいスピードで宿屋があるほうに走っていき、すぐ帰ってきた。
ボルの右手には、魔族のおじいさんがいた。
「やあ、はじめまして、エルフの方々。ユンとボルの祖父です」
「じいちゃん、そんな話はもういいから、魔大陸に戻るぞ」
「ユン、ちゃんと気持ちは伝えかい?」
「はい、おじいちゃん。でも、振られちゃいました」
「そうかそうか。人生は長い。そういうときもある」
「じいちゃん、それにユン、俺の手を離すなよ」
空間転移の魔法陣が起動しはじめる。
次の瞬間には、ボルもユンもその祖父もいなくなっていた。
「ああ、今日は濃い一日の始まりだねぇ。今日は休みにしようか。昨日は心配で夜もまともに眠れなかったし、6時に叩き起こされたせいで、寝不足気味だし」
「ああ、俺も眠い。二度寝をしよう」
「「あ」」
二人してハモる。
師匠である剣士京楽の家に、ブルンを遊びにいかせたままだった。
京楽は、つい最近空間転移の魔法を覚えた。
「寝る前に、僕が迎えにいってくるよ」
「ああ、頼んだ」
浮竹は、一足早く眠ってしまった。
京楽は、空間転移の魔法でロスピア王国の剣士京楽の家の前までくると、呼び鈴を鳴らした。
『はーい』
「ああごめん、ブルンを引き取りにきた」
『ああ、奥の部屋にいるから、とりあえずあがりなよ』
「おじゃまします」
『あ、エルフの京楽。ちょうど、ブルンが寂しがっていたとこなんだ』
「くくるーー!!」
ブルンは、プルンと遊んでいたがエルフの京楽の姿を見て、顔に体当たりしてきた。
「ブルン、痛いから」
「くくる!」
「え、浮竹?家で寝てるよ。電撃のボルが家におしかけてきてね」
『電撃のボルだと?何もされなかっただろうね?』
『大丈夫だろう。中立を守っているようだし』
「ああ、戦闘には至らなかったよ。妹のユンちゃんとおじいさんを魔大陸に送るついでに、礼をしに僕らの家に寄っただけみたい」
『それなら、いいんだけど』
「浮竹はまだ寝てるし、僕も正直凄く眠いんだ。ボルのせいでほとんど寝れなかったから」
『そうか。じゃあエルフの浮竹にもよろしくと言っておいてくれ』
「うん、じゃあ、僕も戻って寝るね」
部屋の中で、空間転移の魔法陣を描き、エルフの京楽とブルンは消えてしまった。
『今度は、エルフの京楽まで空間転移の魔法を覚えたのか。プルンといい、便利そうだな』
「ププゥ~~~」
プルンは、ブルンと別れたことを哀しんで青くなっていたが、りんご10個をさしだされて、黄色になるのであった。
アークデーモンに捕らわれていた少女ユンと、その兄と名乗る、魔王ヴェルが四天王の一人、電撃のボルであった。
「よう、勝手にあらがせてもらってるぜ」
「お兄ちゃん、やはり勝手はびっくりさせちゃうんじゃないですか?」
「はぁ。まぁ、人生長く生きてたらこんなことも起こるね」
そう言いながら、京楽はバタンと倒れた。
「はははは、魔王の四天王、電撃のボル」
浮竹は、笑ってからバタンと倒れた。
「どうしよう、お兄ちゃん!」
「あー、ほっとけ。すぐ目をさまずだろうさ」
その通り、5分ほどで意識を取り戻した二人は、自分の家なのに窮屈そうにしていた。
「今、紅茶をいれてくる」
「コーラいれてくんねぇか」
「は?」
「俺はコーラがいいつってんだよ。なかったら、買いに行け」
「お兄ちゃん、お礼を言いに来たんでしょう?」
「あ、ああそうだったな」
「この前飲み会した時に、未成年用にコーラ買っておいたの残ってた。はい、どうぞ」
京楽からコーラをもらって、ボルはまるで命の水のように飲んでいった。
「オレは、このしゅわしゅわした感覚がたまらねーんだよな。飲み物は全部コーラ。好きな食べ物はなしでとにかくコーラだぜ!」
「それより、お兄ちゃん」
「あ、ああ、そうだな。前回は、俺の妹のユンを助けてくれて、すまねーな」
「いや、こちらも白金貨千枚ももらったし・・・・」
この前、式で大金貨100枚を宗教組織の人身売買で行方不明だったものが魔大陸で見つかったことを、イアラ帝国の騎士団に情報伝達する小遣いとしてつけられたのだが、ただ言伝するだけで大金貨100枚はありえないと、式に金をもたせて帰らせた。
とにかく、依頼以外で金が舞い込んでくることが多いのだ。
「なんなら、白金貨千枚をお返ししようか?」
「いらねぇよ。ユンを助けてくれた感謝の金だ。受け取っときな」
ボルはぶっきらぼうだったが、根は優しい青年だと分かった。
「その、ウッドガルド大陸では魔族は生きにくいからな。ユンは、魔大陸に連れていく。だが、その前に助けてもらったあんたらに会いたいっていうんで、わざわざ俺らから会いにきてやったってわけよ」
「そうか。ユンちゃん、魔大陸に帰るんだね」
「うん。おじいさんももう歳だし、一緒に魔大陸のお兄ちゃんの庇護下の元に居ることに決めたの」
「ユンちゃんとちゃんとした場面で会うのはじめてだったな」
浮竹が微笑むと、ユンはほのかに頬を赤くした。
「おいてめぇ、ユンに何しやがった!」
「な、何もしていない」
「違うの、お兄ちゃん!ただ、綺麗なエルフだなぁと思っただけだから」
「お、おう、そうか。すまねーな。オレ、こんな性格だからいつも先走っちまう」
「うん、別にいいけどね。君の性格にも慣れてきたよ。ほら、おかわりのコーラ」
「お、気が利くじゃねぇか」
ボルは、コーラを一気飲みして、げふーっとげっぷをした。
「やだあ、お兄ちゃんげっぷしないでよ」
「でるもんはでるんだから、仕方ねーだろうが」
「まぁまぁ。ああ、そうだ、ユンちゃんから預かってたこのペンダントだけど、返すよ」
「お、それは俺がユン誕生日にあげた、紋章入りのペンダントじゃねぇか!」
「ごめんなさい、お兄ちゃん。他に渡すものがなくって、魔族絡みならこれでどうにかなると思って渡してしまったの」
「返して、くれるのかよ?」
「うん、返すよ。僕らが魔族に関わることなんて、今回はあったけど、今後はないだろうし」
京楽の言葉に、ボルはペンダントを受け取って、ユンの首にかけてやった。
「まぁ、礼を言いに来ただけだ。泊まってやってもいいんだぜ」
「はいはい。じゃあ、夕食の用意するから、この部屋で寛いでて。浮竹はコーラとワインと今から書いていくメモの中身の買い出しを頼むよ」
「ああ、分かった京楽」
Aランク冒険者だ。
貧しい暮らしをしていると思われたら、また白金貨を渡されそうなので、今日は特に豪華にすることにした。
七面鳥を丸焼きにして、フォアグラやキャビア、トリュフなどを使った贅沢な料理を出してふるまった。
「お、すっげ―いいもん食ってんじゃんか。オレ、ここんちの子になろうかな」
浮竹と京楽は首を横に振った。
こんな大きな子供いりませんと。
「まぁ、冗談だ。今日は遅いし、泊まって行っていいか?」
「ああ、上の階に僕らの寝室の他にゲストルームが2つある。そこを使ってくれて構わないよ。ただ風呂場とトイレは一つだから、そこは気をつけてね」
ユンとボルは、先に風呂をかりて、寝間着に着替えてえボルはまたコーラを飲んでいた。
「そんなにコーラばっかり飲んでて、虫歯にならないのか?」
浮竹がふとした疑問を口にすると、ボルは笑った。
「今時、どこもゼロカロリーコーラだぜ。第一、虫歯になんて魔族はなんねーよ」
「そ、そうなのか。そういえばエルフの俺たちも、虫歯になったことはないな。ちゃんと歯を磨いてるせいだろうか」
「虫歯は、人間種族の病気だぜ。他種族がなるには、粘膜感染だ」
「つまり、人間とキスしない限り、他種族は虫歯にならないと?」
「そうだぜ。そんな当たり前のことも知らねーのかよ」
「すまない。何分、エルフなもので、人間世界にも魔族側にも事情が疎いからな」
「今から知っていきゃいいんだよ」
ボルは、魔王のことた四天王のことをいろいろ教えてくれた。
くそメガネと言われる四天王の時には、笑い合った。
「灼熱のシャイターンは、あんたを捨てたこと、くやんでるぜ」
「え」
「愛してなんかいないって、何度も否定しやがんだ。ほんとに捨てて興味なかったら、話題にのぼっただけで怒って出ていっちまう」
「そっか・・シャイターンが」
「よかったな、京楽」
「うん」
「おっし、眠くなってきたから寝る」
「まだ、9時だぞ?」
「魔族は早寝早起きが基本なんだよ。9時には寝て、6時に起きる」
「そ、それは健康的だな」
「お兄ちゃんは先に寝てて。浮竹さん、ちょっと話あるんだけどいいですか?」
「ああ、なんだろう?」
「す、好きなんです!」
京楽が後ろにいる場所で、ユンは浮竹に告白をした。
「もちろん、無理なのは分かってます。私は魔族で、あはたはエルフ」
「いや、そういう以前に俺にはすでに伴侶がいるんだ。後ろで固まってる、あいつだよ」
「あ、そうだったんですか」
ユンは、しゅんとなったが、すぐに顔をあげた。
「あー、告白して振られてすっきりした―。私も寝ますね」
「ああうん、おやすみ」
「台風みたいな兄妹だね」
「まぁ、そうだな。それより、この残った料理、俺らでは食べきれないな。冷蔵庫に入れておこうか」
「うん、そうしよう」
次の日の朝、6時に叩き起こされた。
「朝食まだかよ?」
「ああ、はいはい、今起きて作るよ」
寝ぼけ眼で、京楽はトーストを4枚焼いて、浮竹を起こして、スクランブルエッグを4人分用意して、ダイニングテーブルの椅子に座った。
「「いただきます」」
ユンとボルは・・・・ユンは分かるが、ボルは言葉遣いは乱暴だが、礼儀はわきまえてあるらしかった。
浮竹と京楽も、言葉に出さないがいただきますと心の中で言って、食べていく。
「「ごちそうさま」」
ユンが、朝ごはんの片付けを手伝ってくれた。
「ユンちゃん、いいお嫁さんになれるよ」
「本当?じゃあ京楽さんが夫になって」
「んだとこらぁ、ユンの夫になるだって?」
「違う違う、冗談だよ。ね、ユンちゃん?」
「半分本気なんだけどな。シャイターンの捨て子白いダークエルフだったって有名じゃない。京楽さんのことでしょ?」
「そうだけど、僕には浮竹がいるからね」
「なんだ、そうだったのか。水くせぇな。そうならそうと言ってくれりゃあいいのに」
「いや、ボル君に、いきなりできてますなんていう勇気はないよ」
「ボル君、いつ出発するんだ?」
「あー、8時くらいかな。空間転移で帰るから」
「じゃあ、ユンちゃもお別れだね。元気でね」
「はい。浮竹さんも京楽さんもお元気で」
「じいさんを、町の宿屋で待たせてあるから、ちょっくらとってくるぜ」
ボルは、凄まじいスピードで宿屋があるほうに走っていき、すぐ帰ってきた。
ボルの右手には、魔族のおじいさんがいた。
「やあ、はじめまして、エルフの方々。ユンとボルの祖父です」
「じいちゃん、そんな話はもういいから、魔大陸に戻るぞ」
「ユン、ちゃんと気持ちは伝えかい?」
「はい、おじいちゃん。でも、振られちゃいました」
「そうかそうか。人生は長い。そういうときもある」
「じいちゃん、それにユン、俺の手を離すなよ」
空間転移の魔法陣が起動しはじめる。
次の瞬間には、ボルもユンもその祖父もいなくなっていた。
「ああ、今日は濃い一日の始まりだねぇ。今日は休みにしようか。昨日は心配で夜もまともに眠れなかったし、6時に叩き起こされたせいで、寝不足気味だし」
「ああ、俺も眠い。二度寝をしよう」
「「あ」」
二人してハモる。
師匠である剣士京楽の家に、ブルンを遊びにいかせたままだった。
京楽は、つい最近空間転移の魔法を覚えた。
「寝る前に、僕が迎えにいってくるよ」
「ああ、頼んだ」
浮竹は、一足早く眠ってしまった。
京楽は、空間転移の魔法でロスピア王国の剣士京楽の家の前までくると、呼び鈴を鳴らした。
『はーい』
「ああごめん、ブルンを引き取りにきた」
『ああ、奥の部屋にいるから、とりあえずあがりなよ』
「おじゃまします」
『あ、エルフの京楽。ちょうど、ブルンが寂しがっていたとこなんだ』
「くくるーー!!」
ブルンは、プルンと遊んでいたがエルフの京楽の姿を見て、顔に体当たりしてきた。
「ブルン、痛いから」
「くくる!」
「え、浮竹?家で寝てるよ。電撃のボルが家におしかけてきてね」
『電撃のボルだと?何もされなかっただろうね?』
『大丈夫だろう。中立を守っているようだし』
「ああ、戦闘には至らなかったよ。妹のユンちゃんとおじいさんを魔大陸に送るついでに、礼をしに僕らの家に寄っただけみたい」
『それなら、いいんだけど』
「浮竹はまだ寝てるし、僕も正直凄く眠いんだ。ボルのせいでほとんど寝れなかったから」
『そうか。じゃあエルフの浮竹にもよろしくと言っておいてくれ』
「うん、じゃあ、僕も戻って寝るね」
部屋の中で、空間転移の魔法陣を描き、エルフの京楽とブルンは消えてしまった。
『今度は、エルフの京楽まで空間転移の魔法を覚えたのか。プルンといい、便利そうだな』
「ププゥ~~~」
プルンは、ブルンと別れたことを哀しんで青くなっていたが、りんご10個をさしだされて、黄色になるのであった。
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