オメガバース京浮シリーズ「山じいの苦悩」
ヒートを起こす度に、浮竹と京楽は授業を欠席した。
ヒート休暇が認められているせいで、欠席した分の補習があった。
京楽と浮竹は運命の番になった。
山本総隊長も驚いていた。
世話を頼むといっておいたが、まさか番になるとは思っていなかったのだ。
山本総隊長は、Ωの子を庇護してきた経験がないが、Ωがどういう人生を辿るかを知っていた。
今は法律で禁止されているが、売られるのだ。流魂街などでは、法律など関係なくΩは売られていく。
春を売るのに、Ωは最適だった。
だから、花街には今でもΩが多い。
番に飽きられたΩも売られていく。一部は合法だ。
山本総隊長は、京楽を呼び出した。
「どうしたの、急に呼び出したりして」
「十四郎の件じゃ」
「ああ・・・うん、仲良くやってるよ」
「ばかもん!」
ごつんと、流刃若火の杖で頭を思い切り小突かれた。
「痛い!」
「十四郎を任すとは言うた。確かにヒートをおさえるには交わるしかないのかもしれぬ。だが、番になるなど聞いておらぬぞ!」
「僕は浮竹のことが好きだよ。もう運命の番になっているし、僕の伴侶だ」
「まだ、死神統学院の3回生じゃろうが・・・・」
「年齢をいってたら、いつまでも浮竹を狼の群れに子羊を与えるような環境で暮らせっていうの?」
「お主なら、もっとうまく十四郎を守ると思っておった」
「守ろうとしたよ。でも、毎日毎日行動を監視するわけにもいかないし、いつ強姦されるかも分からない環境でいるより、番を得て、Ωとして落ち着いた状態になったら、もう強姦される可能性もないでしょ」
「ふうむ・・・・」
京楽の言葉にも一理ある。
「じゃが、成り行きで番になったようなものじゃろう」
「山じい、怒るよ。僕は本気で浮竹のことを好きだし愛してる。運命の番にしたことを後悔していない」
「重四郎を、死ぬまで愛せると誓えるか?Ωの番になった者の中には、複数のΩを囲っている者もおる。正妻がおりながら、Ωを側室や愛人に迎えるケースも多い」
「僕は、浮竹以外いらない。妻として娶るとすれば浮竹だよ。浮竹はΩだから、男性だけど結婚できるし」
「ふうむ・・・・・・」
山じいは、苦悩した。
京楽に浮竹のことを任せたのが悪かったのか良かったのか、判断がつかない。
だが、京楽の真剣さから、ちゃんと責任をとって浮竹を運命の番のまま、結婚するのだろうと思った。
「春水の意見は分かった。次は重四郎に問うので、連れてきなさい」
「浮竹を、傷つけないでね」
「ばかもん、かわいい弟子を傷つけるものか!」
京楽に言われて、浮竹は山じいのところにやってきた。
首筋に浮竹を所有する証の噛み傷は、治ることはないだろう。
「十四郎、今幸せか?春水と運命の番になって、幸せか?」
「はい、先生。幸せです」
「もしも、この先春水が妻を娶ったりしても、幸せのままでいられるかのう?」
「京楽が、妻を・・・・・・?」
「春水は、いずれ、上流階級の姫と婚姻するかもしれん。家のために」
「それでも、俺は京楽の傍にいます。京楽は、俺を愛してくれる。きっと、その妻になった者のほうから、京楽なんてΩである俺に夢中になってやってられないと、離縁されると思います」
大した自信であった。
「俺は俺の意思で京楽を選びました。今に自分に、文句はありません」
浮竹なら・・・・Ωであるが、将来隊長になるかもしれぬと、思った。
霊圧の桁が、他の死神と違う。京楽と同じく、隊長となるべくして生まれ、育てられてきた子に思えた。
「お主が幸せならいいのじゃ。春水にはちぃとばかしきついことを言ったが、十四郎が選んだ選択じゃ。もはや何も言うまいて。ただし、結婚はするのじゃぞ。わしを呼ぶことも忘れぬように」
浮竹は、真っ赤になった。
運命の番にはなったが、結婚などこれっぽっちも考えていなかったのだ。
--------------------------------------------
「京楽、先生から結婚をちゃんとしろと言われたのだが・・・・・」
赤くなった顔で、ちらちらと京楽の方を見る浮竹。
「そうだね。学院を卒業したら、結婚しよう」
約束だよと、翡翠の髪飾りを渡された。
「こんな高価なもの、受け取れない」
「結婚式の時につけてね」
クスクス笑う京楽は、浮竹を抱きしめた。
「在学中に結婚してもいいんだけど、親のすねをかじってる身分で結婚なんて嫌だし。まぁ、僕は金だけ渡されて放置されてるわけなんだけど」
「俺も、仕送りの金でいろいろ賄っているし・・・卒業して死神になったら、結婚しよう」
浮竹は、安いビーズ細工でできた指輪を、京楽の手にはめた。
「金もないし、俺にはこんなものくらいしか渡せないが・・・・・」
小金を手に入れるために、浮竹はたまにビーズのアクセサリー作りの内職をしていた。
「浮竹からプロポーズされちゃった!明日、みんなにこの指輪見せびらかそっと」
「わあ、そんなことするなら返せ」
「嘘だよ。大事にするね」
「死神になって、ちゃんと自分でお金を稼げるようになったら、もっとちゃんとしたものを贈る」
「それ、僕の役目だと思うんだけど」
「俺はお前の嫁になる気はない。結婚するとしても、新郎と新郎だ」
浮竹は、すでに未来図を描いていた。
死神になって、京楽と結婚して、何人か子供を産んで・・・・。
いずれ、隊長になろう。
そう思った。
ヒート休暇が認められているせいで、欠席した分の補習があった。
京楽と浮竹は運命の番になった。
山本総隊長も驚いていた。
世話を頼むといっておいたが、まさか番になるとは思っていなかったのだ。
山本総隊長は、Ωの子を庇護してきた経験がないが、Ωがどういう人生を辿るかを知っていた。
今は法律で禁止されているが、売られるのだ。流魂街などでは、法律など関係なくΩは売られていく。
春を売るのに、Ωは最適だった。
だから、花街には今でもΩが多い。
番に飽きられたΩも売られていく。一部は合法だ。
山本総隊長は、京楽を呼び出した。
「どうしたの、急に呼び出したりして」
「十四郎の件じゃ」
「ああ・・・うん、仲良くやってるよ」
「ばかもん!」
ごつんと、流刃若火の杖で頭を思い切り小突かれた。
「痛い!」
「十四郎を任すとは言うた。確かにヒートをおさえるには交わるしかないのかもしれぬ。だが、番になるなど聞いておらぬぞ!」
「僕は浮竹のことが好きだよ。もう運命の番になっているし、僕の伴侶だ」
「まだ、死神統学院の3回生じゃろうが・・・・」
「年齢をいってたら、いつまでも浮竹を狼の群れに子羊を与えるような環境で暮らせっていうの?」
「お主なら、もっとうまく十四郎を守ると思っておった」
「守ろうとしたよ。でも、毎日毎日行動を監視するわけにもいかないし、いつ強姦されるかも分からない環境でいるより、番を得て、Ωとして落ち着いた状態になったら、もう強姦される可能性もないでしょ」
「ふうむ・・・・」
京楽の言葉にも一理ある。
「じゃが、成り行きで番になったようなものじゃろう」
「山じい、怒るよ。僕は本気で浮竹のことを好きだし愛してる。運命の番にしたことを後悔していない」
「重四郎を、死ぬまで愛せると誓えるか?Ωの番になった者の中には、複数のΩを囲っている者もおる。正妻がおりながら、Ωを側室や愛人に迎えるケースも多い」
「僕は、浮竹以外いらない。妻として娶るとすれば浮竹だよ。浮竹はΩだから、男性だけど結婚できるし」
「ふうむ・・・・・・」
山じいは、苦悩した。
京楽に浮竹のことを任せたのが悪かったのか良かったのか、判断がつかない。
だが、京楽の真剣さから、ちゃんと責任をとって浮竹を運命の番のまま、結婚するのだろうと思った。
「春水の意見は分かった。次は重四郎に問うので、連れてきなさい」
「浮竹を、傷つけないでね」
「ばかもん、かわいい弟子を傷つけるものか!」
京楽に言われて、浮竹は山じいのところにやってきた。
首筋に浮竹を所有する証の噛み傷は、治ることはないだろう。
「十四郎、今幸せか?春水と運命の番になって、幸せか?」
「はい、先生。幸せです」
「もしも、この先春水が妻を娶ったりしても、幸せのままでいられるかのう?」
「京楽が、妻を・・・・・・?」
「春水は、いずれ、上流階級の姫と婚姻するかもしれん。家のために」
「それでも、俺は京楽の傍にいます。京楽は、俺を愛してくれる。きっと、その妻になった者のほうから、京楽なんてΩである俺に夢中になってやってられないと、離縁されると思います」
大した自信であった。
「俺は俺の意思で京楽を選びました。今に自分に、文句はありません」
浮竹なら・・・・Ωであるが、将来隊長になるかもしれぬと、思った。
霊圧の桁が、他の死神と違う。京楽と同じく、隊長となるべくして生まれ、育てられてきた子に思えた。
「お主が幸せならいいのじゃ。春水にはちぃとばかしきついことを言ったが、十四郎が選んだ選択じゃ。もはや何も言うまいて。ただし、結婚はするのじゃぞ。わしを呼ぶことも忘れぬように」
浮竹は、真っ赤になった。
運命の番にはなったが、結婚などこれっぽっちも考えていなかったのだ。
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「京楽、先生から結婚をちゃんとしろと言われたのだが・・・・・」
赤くなった顔で、ちらちらと京楽の方を見る浮竹。
「そうだね。学院を卒業したら、結婚しよう」
約束だよと、翡翠の髪飾りを渡された。
「こんな高価なもの、受け取れない」
「結婚式の時につけてね」
クスクス笑う京楽は、浮竹を抱きしめた。
「在学中に結婚してもいいんだけど、親のすねをかじってる身分で結婚なんて嫌だし。まぁ、僕は金だけ渡されて放置されてるわけなんだけど」
「俺も、仕送りの金でいろいろ賄っているし・・・卒業して死神になったら、結婚しよう」
浮竹は、安いビーズ細工でできた指輪を、京楽の手にはめた。
「金もないし、俺にはこんなものくらいしか渡せないが・・・・・」
小金を手に入れるために、浮竹はたまにビーズのアクセサリー作りの内職をしていた。
「浮竹からプロポーズされちゃった!明日、みんなにこの指輪見せびらかそっと」
「わあ、そんなことするなら返せ」
「嘘だよ。大事にするね」
「死神になって、ちゃんと自分でお金を稼げるようになったら、もっとちゃんとしたものを贈る」
「それ、僕の役目だと思うんだけど」
「俺はお前の嫁になる気はない。結婚するとしても、新郎と新郎だ」
浮竹は、すでに未来図を描いていた。
死神になって、京楽と結婚して、何人か子供を産んで・・・・。
いずれ、隊長になろう。
そう思った。
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