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オメガバース京浮短編5

浮竹は、自分をずっとベータだと思っていた。

だって、今まで検査でベータと言われ、オメガのヒートもきたことはないし、オメガのフェロモンにあてられるようなアルファでもなかったので。

それは、突然だった。

ある日、熱を出した。

ただの熱ならよかったのだが、体中が熱くて、自分が性的欲求をおこしているのだと知った。こんな姿、とても4番隊に診てもらう状況じゃなくて、浮竹は熱にうなされながら、どうにかするために、地獄蝶を飛ばして京楽に助けを求めた。

京楽は上流階級出身として当たり前のように、アルファだった。

浮竹には、今自分が抱えている熱がオメガのヒートであるなど、分かる由もなかった。

「どうしたの、浮竹・・・・うううっ」

雨乾堂にやってきた京楽は、その猛烈なオメガのフェロモンに当てられて、ドクリと鼓動が高鳴るのを感じつつ、冷や汗を出した。

「浮竹・・・君、オメガだったの?」

「あ、京楽、助けてくれ。熱くて体が疼くんだ・・・・・」

「これ、ヒートだよ。浮竹、ベータじゃなかったの・・・・」

京楽は、浮竹のオメガ独特のヒートのフェロモンに当てられて、正常な思考を維持するのがやっとだった。

「だめだよ。僕じゃ、浮竹を助けられない」

「じゃあ・・・白哉を呼ぶ」

その言葉に、京楽は首を振った。

「だめだよ、浮竹。君はオメガだ。朽木隊長はアルファだ」

「じゃあ、どうしろって・・いうんだ」

「僕もアルファだ。責任はちゃんととるから。僕に任せて」

「あ、京楽・・・この、高ぶりを沈めてくれるのか?」

まさか、ベータと言われていた浮竹が、オメガだったなんて。

浮竹とは、親友以上であるが、恋人というわけではなかった。

たまにハグはするけれど、キスをしたこともなかった。

浮竹は、熱にうなされていた。

京楽は地獄蝶を4番隊に飛ばして、オメガのヒート抑制剤を持ってくるように頼んだ。

雨乾堂に届けてほしい。決して、中には入るな。

そう地獄蝶に託して、京楽は女物の着物を脱ぐと、隊長羽織を脱ぎ捨てた。

浮竹から出るフェロモンに当てられて、思考が麻痺していく。

それでも、京楽はなんとか己を保って、浮竹の隣にきた。

「今から、君を抱くよ。責任をもって番にするから」

「あ・・・・」

オメガは、アルファの番になることが多いのだと、浮竹は熱にうなされながら思った。

「きょう・・・らく。お前をまきこんで、すまない」

「緊急事態だよ。後天的にオメガになる子は、零ではないからね」

はじめはアルファやベータでも、後天的にオメガになる場合が、本当に極稀にあった。

浮竹は、きっとそうなのだろう。

ベータであったことは事実。でも、今はオメガだ。

浮竹の隊長羽織と死覇装を脱がしていく。

薄いが、ちゃんと筋肉のついた体に、京楽は今まで心の奥底にいた、欲の塊がにじみ出てくるのを感じていた。

浮竹の隣で、親友として一緒に過ごせるなら、それだけでよかった。

恋人になりたかったけれど、振られるのが怖くて、その想いは封印していた。

「今更だけどね、浮竹。僕は、君を好きだったよ。君をこうしたいと、考えたこともあった」

浮竹の薄い胸を撫でながら、京楽は告白をしていた。

「浮竹・・・こんな、君を、僕のものにする僕を、許してほしい」

「あ、京楽・・いいから、もう・・・きて」

浮竹は、自分から京楽を迎えた。

「んんっ」

啄むようなキスを何度も繰り返す。

「やっ、焦らさないで・・・・」

「君、初めてでしょ?優しくしたいんだよ・・・・」

「京楽・・・・・」

「春水って呼んで。僕も十四郎って呼ぶから」

「あ、春水・・・・」

「好きだよ十四郎」

「俺も、好き・・・・・」

「本当に?」

鎖骨を甘噛みして、胸の先端をひっかいていると、浮竹の言葉に京楽は浮竹を見つめた。

「十四郎、本当に僕のこと好きなの?」

「あ・・・・昔から、好き、だった。優しいから、恋人だと錯覚してしまいそうだった」

「それは僕もだよ」

「好きでもない相手と、ハグしたり、しない・・・・」

親友以上恋人未満。

そんな関係を数百年続けていた。

浮竹は、熱が鎮まるならと、京楽に隠していた本心を打ち明けた。

京楽は、喜びに打ち震えた。

「なんだ、僕たち相思相愛だったんだね。なのに、ずっと友達以上恋人未満を続けて」

京楽の唇が、浮竹のものを含んだ。

「あ!」

浮竹は、体を震わせえて、京楽の黒髪をひっぱった。

「やぁ、そんな・・・・」

「一度出しておかないと、つらいでしょ?」

「でも」

浮竹のものを舐めあげながら、手で扱く。

先端の鈴口を指でぐりぐりすると、浮竹は先走りの蜜を零したあと、吐精した。

それを、京楽は舐めとってしまった。

「春水・・・あ・・あああ・・・・」

「濡れてるね・・・・」

オメガのそこは、男でも女のように濡れると、聞いたことがある。

濡れてぐしょぐしょになった蕾は、すぐに京楽の指をすんなりと受け入れた。

「やわらかい。もしかして、自分でいじってた?」

ぶんぶんと、浮竹が首を横に振る。涙を滲ませていた。

「ごめん、意地悪なこと言っちゃたね」

蕾は、たやすく3本の指を飲みこんだ。

それをひきぬいて、京楽は浮竹の耳元で囁く。

「番にするから。君は、僕のものだ」

「あ、春水・・・・ああああ!」

凄く熱くて質量のある熱が入ってくる。

ズズズっと、中に侵入してくる熱を、浮竹は締め付けていた。

「く、ちょっと、君の中すごい。一度出すよ」

「あ、あ、中で?俺の中でいって、春水」

入り口付近で、ビュルビュルと濃い精子をまき散らせて、京楽は硬さのなえない己で、浮竹を貫いた。

「あああ!」

びくんと浮竹が背を仰け反らせる。

前立腺をすりあげて、奥にきた熱は、ぱちゅんと音を立てた。

「ひあ、あ・・・春水が、中で、俺の中で・・・・」

「うなじ、噛むよ。番にするからね」

京楽は、浮竹と交わりながら、その首に噛みついた。

電撃が走り、互いに番になったのだと分かった。

「これで、君は僕のものだ。もう誰にも渡さない」

京楽は、微笑んだ。

浮竹は、京楽にキスをねだった。

「春水、キスしてくれ」

「いいよ」

何度啄むように、そして舌を絡め合わせたりして、何度もキスを繰り返した。

今までハグだけして、キスをしていなかった分を取り戻すかのように。

「ああ、君の中はすごいね。もう一度いくよ」

「ひあっ」

一度引き抜かれて、背後から貫かれた。

「あ、あ、あ、あ!」

ぱちゅんぱちゅんと音を立てながら出入りする京楽のものは、大きかった。

「や、出る、出ちゃう!」

「好きなだけいっていいよ」

「やああああ」

前立腺を突き上げられ、子宮にまで入り込んできた京楽の雄をしめつけながら、浮竹は射精していた。

同時に、中でもいくことを覚えた。

2重にいっていて、浮竹は思考が真っ白になる。

「うあ、や、中でも、外でも、いってる、ああああ、変になるぅ」

「大丈夫、すぐ慣れるよ」

今後、浮竹のヒートが来るたびに抱くつもりである京楽は、浮竹が孕んでしまうことを考えていた。

「十四郎、僕の子なら、産んでくれる?」

「や・・・やぁ」

浮竹は、熱に思考を麻痺させられて、会話が成り立たないでいた。

「十四郎、僕の精子で、僕の子を孕んで」

「あ、あ、あ・・・・・」

ごりごりっと、最奥を抉られて、浮竹は全身を痙攣させながら、また吐精していた。

「ああああーーーー!!!」

ぐったりと弛緩した浮竹の体を抱きながら、京楽もまた浮竹の中にまた精子をぶちまけた。

避妊はしていなかった。

オメガのヒートは、子を成すための期間である。

初めての京楽とのセックスで、浮竹は妊娠した。



「ねぇ、本当にいいの?堕胎してもいいんだよ。君の負担になる」

「俺と京楽の、愛の結晶だ。産むよ」

帝王切開になるが、浮竹の体が妊娠に耐えれるか分からなかった。

何度も4番隊の卯ノ花隊長の世話になりながら、ひましに大きくなっていく腹を撫でながら、浮竹は京楽との子供を産もうとしていた。

「性別は男の子だそうだ」

「名前、考えないとね」

京楽と浮竹は、番になったことを周囲に公表して、結婚した。

浮竹の子供は、正式に京楽家の跡取りとなることが決まっている。成人するまでは手放さないが、いずれ上流貴族の波にもまれるであろう。

京楽の両親は、どこの馬の骨とも分からぬ、オメガの浮竹を睥睨した目で見ていた。

それに怒った京楽が、ブチ切れた。

京楽の両親は、震えながら、自分の子がオメガ結婚することをしぶしぶ受け入れた。

「僕の兄が健在だったらねぇ。後継ぎ問題なんて、なかったんだけど」

京楽の兄は、すでに他界していた。

京楽を当主に添えたいが、京楽は頑なに拒んで、首を縦に振ったことはない。

オメガの男と結婚するなんて。そう蔑まれたが、浮竹が京楽の子を妊娠していると分かって、その子が男子であると分かり、両親は手の平を返したかのように、京楽と浮竹に接するようになった。

「まぁ、成人するまでは俺たちで育てるからな。成人してから、後はこの子の意思に任せればいい」

少し大きくなったお腹をさすって、浮竹は京楽と手を握りあった。

「子供は多い方はいいね」

「俺は、あまり多いのは嫌だぞ。子育てが大変だ」

なまじ、8人兄弟の長兄として生まれたせいで、両親に代わって、弟や妹の面倒を見てきたことがある。

子供も世話は、とにかく大変なのだ。

「隊長、辞めないでしょ?」

「当たり前だ」

「じゃあ、念のために乳母を雇おうか」

「産休はあるんだろう?」

「あるけど、ずっとっていうわけにはいかないでしょ。普段の子供の世話は乳母に任せればいい。僕の乳母は、いい人だったよ。彼女に頼もう」

「ああ、京楽の乳母なら安心だな」

未来を、描いていく。

京楽と共に。



浮竹は、ヒートの度に京楽と共に休暇をとり、一緒に過ごした。

二人目を作ると決めた日以外は、ずっと避妊していた。

京楽は、浮竹とならヒート期間以外でも睦み合った。

夫婦なので、別におかしいことではなかった。

「子供は、二人まででいい」

上の子が8歳になったとき、二人目の子を産んだ。

浮竹は、もうそれ以上子供を作りたくないようで、京楽もそれに従った。

成人すれば京楽家の人間になると分かっているから、少し甘やかして育ててしまい、ちょっと上の子は我儘になった。

逆に下の子は甘えたがりで、よく上の子に泣かされていた。

それを仲裁しつつ、二人は二人の子供に恵まれて、その子たちが成人するまで手元で育てるのであった。

隊長として忙しい時期は、京楽の乳母であった女性が、子供たちの面倒を見てくれた。

本当にいい人で、浮竹も安心して子供を任せた。

「京楽、今日の夜、いいかい?」

耳元で囁いてきた、愛する夫である男に、浮竹は少し赤くなりながら、頷いた。

「離れの屋敷で、過ごそう」

京楽と浮竹は、仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれるのであった。


















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