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浮竹と京楽が入れ替わった件

ゴン。

「あ」

「あ」

浮竹は、京楽と顔を見合わせあう。

もう、経験で分かった。

何度目かになるかもわからい、頭を打ったことによる人格の入れ違いがやっぱり起きていた。

「ひゃっほう!花街にいってくる!」

京楽の姿で、花街にいくと言い出た浮竹を、浮竹の姿の京楽が止める。

「浮気!?」

「お前もこっそり通っていただろう!」

浮竹が不満をもらすと、京楽は立ち眩みを起こす。

体は浮竹のものなのだ。

「浮竹、具合悪かったんだね」

「ああ、立ち眩みか。いつものことだ。ってことで、京楽の金で花街いってくる。心配しなくても遊女に手を出したりして浮気はしない」

「待って、浮竹!君じゃあ、花街は!」

京楽に止めらるが、浮竹は大金を握り締めて花街に出かけてしまった。


花街の、一番人気のある店を選んだ。

浮竹は、京楽の姿なので花街にくると、京楽の旦那様と呼ばれて、ああ、自分のことなのだと遅まきに気づきながら、一番人気の廓を選んだ。

酒も料理も豪華で、特に酒は浮竹は自分の体だとすぐに酔いつぶれてしまうのだが、体は京楽なので、たくさん飲んだ。

「酒がこんなにおいしいとは」

「おや、京楽のだんな、どうしたのでありんす?」

花魁が、浮竹を褥に誘う。

浮竹は、そんな気できたんじゃなかったのだが、酒を飲みすぎていつの間にか眠ってしまっていた。

朝起きると、浮竹も花魁も裸だった。

「や、やってしまった?」

「京楽のだんな、子ができたのでありんす.あちきを身請けしてほしいでありんす」

「俺、京楽じゃないから。じゃあ、そういうことで」

金を大量に払って帰ると、ちょうど入れ替わりが元に戻った。

「浮竹ええええええ」

「もぎゃあああああああ!?」

京楽は、白粉と酒の匂いをぷんぷんさせる自分の体を見て、悲し気に浮竹を見る。

「花魁と寝たの?」

「寝てない。いや、多分。酒で最後べろんべろんになって‥‥朝起きたら、お互い裸だった」

「それ、きっともられただけだから。ボクは花街に行っても、遊女と寝ないからね」

「でもその遊女、お前の子ができたとか言っていた」

「戯言だよ。身請けしてほしいから、そんな言葉で甘えてくる」

「なんか、花街は思っていたより面白くなかった」

「その割には、楽しんだ顔をしてるけど?」

「酒も料理もうまかったからな!」

浮竹は、酒をあれほど飲めるのは、もうまた京楽の体になった時くらいだろうと思った。

「さぁ、浮気者には罰をあげないとね?」

「へ?」

京楽に楽々と肩に担がれて、人払いしておいた雨乾堂の布団の上に、京楽は浮竹を押し倒す。

「ちょ、京楽?」

「二度と、花街に行けない体にしてあげる。ボクなしじゃあ、生きていけない体に」

「もぎゃあああああああああああああああああ」

合掌。


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