忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 25 26 27 28 29 30 12

オメガバース京浮短編6

浮竹はオメガだった。

浮竹には許嫁がいた。上流貴族の男だった。

オメガの男は、子を産むことができる。死神の隊長にまで上りつめた浮竹の子は、霊圧が高くてきっと将来隊長になるだろうと、望まれての縁談だった。アルファの子を産めば、その子供のほとんどがアルファになった。

浮竹の婚約者は、アルファだった。


浮竹は、京楽のことが好きだった。

ずっと、学院時代から。

でも、自分は違う男と結婚するのだと、すでに諦めていた。

始めてヒートになった学院時代、浮竹は京楽に抱かれた。京楽はアルファだった。

ヒート抑制剤を飲んでいたが、ヒートは収まらず、京楽に助けを求めて抱かれた。

京楽との関係は、不思議なものだった。

恋人というわけでもなく、けれど親友以上で。

浮竹は、婚姻を何かと理由をつけて先延ばしにしていた。

ヒート期間に京楽に抱かれるたびに、アフターピルを飲んだ。


そんな浮竹も、婚約相手が雨乾堂までやってくるようになって、京楽のことを諦めて嫁ぐ覚悟を決めた。

結婚式は盛大に行われた。

初夜で、浮竹が初めてではないと知った夫は、怒りはしなかった。

優しかった。

それが、辛かった。

首筋をかまれて、番となった。

ああ、俺はこの男を愛するのだ。

愛さなければ。

けれど、心は京楽を愛していた。

結婚して日にちが経つたびに、けれど夫のことも愛するようになっていた。

「愛している、十四郎」

「俺も、愛している」

夫のことは、嫌いではなかった。

逢瀬を重ねるたびに、京楽に抱かれ慣れていた体は、やがて夫の色に染まるようになっていた。

京楽は、長い間遠征に出ていた。

帰ってきた時、浮竹は上流階級の男に嫁いだ後だった。


身を引き裂かれる思いを抱いた。

京楽は、浮竹を奪おう。

そう心に決めた。


浮竹は、妊娠していた。

大切にされて、幸せだった。

その幸せを全部ぶち壊すかのように、現れた京楽は、浮竹を有無を言わせず攫った。

「京楽、どういう真似だ!」

「君が、僕以外の男のものになるのが許せない」

「俺が婚約相手を持っていると、知っていただろう!」

「まさか、本当に結婚するなんて思ってなかった」

「俺はもう、結婚してあの男の番で妻で、子を妊娠しているんだ」

びくりと、京楽の体が強張った。

「じゃあ、そのお腹の子は僕の子ってことにする」

そう言いだす京楽に、浮竹は恍惚となった。

ああ、俺は京楽に愛されている。

「君を愛している、浮竹」

「俺も、お前を愛している」

夫も愛しているが、それよりも京楽を愛し続けていた。

「僕はばかだ。もっと早くに君を番にすればよかった」

「俺は、夫の番だ。どうするつもりなんだ」

「金があれば、番を解消させる薬なんかも手に入れられるんだよ。これだ」

透明な薬を見せられた。

雨乾堂に連れてこられて、布団をしいてその上に横たえられた。

「ねぇ、浮竹。僕だけのものになって」

「京楽・・・・俺は、もう、お前のものじゃない」

「じゃあ、体に教えてあげる」

透明な薬を京楽は口に含み、浮竹に口移しで飲ませた。

「あ、あああ!?」

ズクリと。

体が熱くなった。

番の印である噛み傷の痕が消えていた。

そして、浮竹は強制的なヒートになっていた。

「熱い。体が熱い。助けてくれ、京楽」

夫の名は口にしなかった。

遠い昔から、京楽を愛していた。夫も愛するようにと心がけて、やっと愛せるようになったのに。

その矢先の出来事。

まさか、京楽がこんな強硬手段に出るとは思っていなかった。

「大好きだ、浮竹。こんなことになるなら、学院時代に君を番にすればよった」

「あ、俺はもう何度も夫に抱かれて・・・・」

「そんなの関係ない。君は僕のものだ。僕のものであるべきだ」

京楽は、独占欲の塊になっていた。

愛しい相手が、遠征から帰ってきたら他の男の妻になっていた。

そんなこと、耐えられるはずがない。

たとえ上流貴族同士のいざこざが起きても、もう浮竹を手放すつもりはなかった。

死覇装を脱がされて、浮竹は学院時代に戻った錯覚を覚えていた。

この浅ましい体は、ヒート期間京楽に抱かれたことをきちんと覚えていた。

「抱くよ。そして、僕の番にする」

「あ、番にしてくれ、京楽。お前以外、もう何もいらない」

浮竹は妊娠していた。

そんなこともお構いなしに、やや乱暴に口づけた。

「んう」

舌と舌を絡みあわせて、どちらのものかもしれない唾液が顎を伝った。

「かわいいね、十四郎」

すでに浮竹のものは、とろとろと先走りの蜜を零していた。

「あ!」

それを、京楽が口に含んだ。

根元を手でしごきながら、鈴口を舌で突かれて、浮竹は京楽の口の中に精を吐き出していた。

「薄いね。君の夫は、何度君を抱いたの」

「あ、昨日、抱かれた。何度になるか、数えたことはない」

「君を、再び僕色に染めないと。僕だけのものだって、体に刻まないと」

そういって、京楽は服を脱いだ。

「あ、春水、春水」

学院時代のヒート期間に戻ったかのようだった。

浮竹はただ京楽を求め、京楽もまた浮竹を求めた。

薄い胸板を撫でて、先端をつまみあげて、もう片方を舌で転がした。

「春水、はやく、きてくれ」

「指で慣らさないと」

「そんなのいいから!どうせオメガの俺は濡れる。だから、だから!」

求めてくる浮竹に応えて、京楽は己のもので浮竹を貫いた。

「ああああああ!!!」

同時に噛みつかれた。

番になった証が、右の首筋にくっきりと浮かび上がる。

電流が体中を走り回った。

「あ、番になった・・・・俺は、夫をもちながら、京楽の番に・・・・」

どちゅんと最奥の子宮口を貫かれて、浮竹は背を弓ぞりにしならせた。

「あああ!」

「ここ、好きだよね。奥でぐりぐりされるの」

「や、だめ、赤ちゃんが、赤ちゃんが」

「君の赤ちゃんも、僕の精液が欲しいっていってるよ。ここきゅきゅうしめつけてくる」

「あ、や、春水」

前立腺ばかりを突かれて、京楽はは勃ちあがった浮竹のものを手でこすった。

「あ、やぁ、変になる!やぁぁ、や!」

「中でもいけるでしょ。外も一緒にいけばいい」

「やああああああ!!」

ドライのオーガズムでいかされながら、射精していた。

二重にいかされて、浮竹はびくんと体をしならせた。

「ああ・・あ・あ」

何度も、京楽のもので突き上げられ、揺さぶられ、抉られた。

京楽が満足して、浮竹の子宮口にびゅるびゅると、濃い精液を注ぎ込む頃には、浮竹はぐったりしていた。

「大丈夫?」

「も、無理・・・・・・」

「まだ、僕は一回しかいってないよ。最後まで、付き合ってね」

「やっ」

内部の熱は、高まって硬いままで、浮竹は口では嫌といいながら、体は浅ましくもっともっとと求めていた。

「胎の奥で、もっと出してくれ。赤ちゃんが、お前の子供になるように」

「うん、いっぱい注いであげる」

京楽は、浮竹の妊娠していることに、気遣うこともなく抱いた。

流産するなら、すればいい。

自分の子供ではないのだ。

その日、浮竹は京楽に激しく抱かれ、次の日熱を出した。

「ごめんね、浮竹。久しぶりすぎて、加減できなかった」

「お前の気持ちを確かめもせずに、嫁いだ俺も悪い」

「そうだね。僕のこと好きなら、婚約破棄してくれればよかったのに」

「相手は上流貴族だ。下級貴族の俺に決定権はない」

「その上流貴族で、元君の夫であった死神と、今日話つけてくるから」


京楽は、浮竹を寝かしつけて、浮竹の夫である死神の元に向かった。

話は、浮竹がまだ京楽のことを好きで、番を解消させて、自分と番になったことを話すと、夫であった男は諦めたかのようにため息をついた。

浮竹と番になるのを認め、離婚を承諾した。

代わりに、浮竹の子は、後継ぎとしてもらう、ということで話は解決した。


それから数カ月が経ち、浮竹は男児を出産した。帝王切開で子を産み、双子だった。

浮竹の意識が戻らないうちに、双子の子は、浮竹の元夫であった者の手に落ちていった。

意識を取り戻した浮竹は、子供を一度も抱くことなく取り上げられたことを悲しんでいたが、京楽が耳元で囁いた。

「退院したら、君を強制的にヒートにして抱くよ。僕の子を孕んでもらう」

ヒートは、薬である程度コントロール可能だった。

なくすことはできないが、ヒートにさせたり、遅らせたりすることはできた。

「京楽!」

真っ赤になる浮竹が愛しくて、京楽は笑っていた。

「結婚式を挙げよう。君が挙げた結婚式よりも派手で、もっと華やかなやつを」

「いや、身内だけでいい」

「だめ。君が僕のものであるって証をみんなに見せないと」

結局、京楽の言う通り、派手な結婚式を挙げた。

オメガの浮竹が短期間で二度も結婚式を挙げたもので、瀞霊廷ではささやか噂になっていた。

あの上流階級の京楽が、なんでも嫁に行った浮竹に懸想して、無理やり奪っていったと。

実はその通りなので、京楽も浮竹も、噂を聞いても何も言わなかった。

やがて、浮竹は女児を妊娠した。

ちゃんとした京楽との間の子で、浮竹も京楽も、生まれてきた我が子をこれでもかというほどにかわいがり、少し我儘でおませな子に成長してしまった。

「ねぇ、今夜二人目作ろうよ」

「でも、明日は隊首会だ」

「一回で終わらせるから。いいでしょ?ああ、それともヒートになる薬を使おうか。そうしよう。そしたら、君は休暇を認められて、夫である僕も休暇を認められるから」

「ちょ、京楽!」

京楽は有無をいわせず、金で買いあさった裏マーケットの品に手を出した。

浮竹に飲ませると、浮竹はヒートを起こした。

既に前のヒートから2カ月半が経っていたので、ヒートがきてもおかしくない時期だった。

「あ、あ・・・・熱い。苦しい・・・京楽が欲しい。京楽の子種を、奥でいっぱい出してほしい。京楽、助けて・・・・・・」

弱弱しく抱き着いてくる浮竹を抱きあげて、京楽は過ごしている自分の屋敷の離れに移動した。

生まれた女児は、乳母が面倒を見てくれていた。

隊長として忙しい二人は、なるべく子育ても自分たちでするようにしていたが、隊長だけにいつも傍にいられるわけではなかった。

「今、熱を鎮めてあげるから」

浮竹に口づけながら、京楽は完全に自分のものになってしまった浮竹に、うっとりとしていた。

「あ、早く!」

急かしてくる浮竹を宥めて、抱いた。

その日、浮竹は4人目の子を懐妊した。

始めに違う男の双子を、次に京楽の子である女児を、その次もまた京楽の子を。

京楽は、番である噛み後をなぞるように、浮竹の首を噛んだ。

「あ!」

浮竹は全身を震わせて、いっていた。

「浮竹、次は男の子がいいな。避妊はしないでね」

「あああ!」

京楽の声は遠く浮竹の元に響いていた。結局その日はアフターピルを飲まなかった。

それなのに、その一夜だけで懐妊した。

オメガは、アルファの子を産む相手として見られがちで、元浮竹の夫であった男も、アルファで浮竹にアルファの子供を出産してもらおうとしていた。

その目論見は成功し、浮竹の元夫は、双子のアルファの男児を手に入れた。

噂では、ベータの女性と結婚したらしい。

ベータの子は、ベータになるのが基本だ。アルファの跡取りがいるので、気楽だろう。


京楽は、生まれてきた男児を、上の女児と同じぐらい可愛がった。

「京楽、もう俺はお前の子は産まんぞ。二人で手一杯だ」

京楽の番にされて、十年以上の時が過ぎようとしていた。


変わらず京楽は浮竹が好きだったし、浮竹もまた京楽が好きだった。

まだ若いので、ヒート期間になると屋敷の離れで睦みあった。

もう、お互いを離さないと、心に決める二人であった。












拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/22)
(11/21)
(11/21)
(11/21)
(11/21)
"ココはカウンター設置場所"