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オメガバース京浮読み切り短編2

生まれつき、体が虚弱だった。

両親は精一杯金をかせでい、薬代にしてくれたが、借金を重ねてついにはどうすることもできなくなった。

泣く泣く、体の弱い浮竹は色子として、借金のかたに売られていった。

売られたのは7歳の時。

13で客をとるようになった。

ただ、体の弱い浮竹を何故、高い金を出して薬を飲ませで色子をさせているのかというと、浮竹がオメガだったからだ。

オメガの色子は貴重だ。

当時は妊娠せぬように、ヒート期間はまだきてなかったが、行為の後は念入りに手入れをしてアフターピルを飲まされた。

「自由になりたい・・・・・・」

17になった浮竹は、体の調子のいい時に客を取りながら、そう思うようになっていた。

15の時にはじめてヒートを迎えた。

番をつくることはしなかった。

首筋にかみつかれるのを防止するために、首を覆う首輪をつけさせられた。

オメガの色子が、番をもってしまったら、もう客はとれないから。

「はぁ・・・母上と父上と妹と弟たちは元気でやっているだろうか」

色子として浮竹が売られていった当時、弟と妹が一人ずついた。赤子だったり3歳だったり、幼すぎて、浮竹が色子として売られていった。

自分の身が不幸と思ったことはない。

色子として客はとらされるが、客はみんな優しい相手ばかりで、ヒートになった浮竹を抱くのと一緒に見舞いにきてくれたりした。

客はベータがほとんどだった。

たまにヒート期間中ではない時に、アルファに抱かれたことがある。

店の主人は、浮竹に番ができるのを嫌がって、ヒート期間中は仕事を休むかベータの相手をするようにと言われていた。

ヒート期間を一人で過ごすにはつらいが、フェロモンでつられたアルファのおもちゃになるよりはましだった。

「十四郎、次の客が決まった。なんと上流貴族の坊ちゃんだ。しぼれるだけしぼって、薬代を稼ぎなさい」

「はい」

浮竹の薬代は高い。色子として春を売るが、半額は薬代で消えてしまう。

そこから親への仕送りをしたりして、手元に残る金はわずかだ。

こんな状況では、年季があけるまで色子として働かねばならないだろう。

どうせ、25歳くらいで色子は終わる。

年季が明けるのもそのくらいだ。


貴族は今までにきたことはあったが、上流貴族はさすがにいなくて、念入りに体を洗って前準備をして、浮竹はその上流貴族とやらの客を待った。

「やぁ、はじめまして。浮竹十四郎くんでいいのかな?」

やってきた上流貴族は、名を京楽といい、浮竹と同じ17歳だった。

「初めて君を見かけて一目ぼれしてしまってね。こうやって、会いにきたんだ」

「酒は飲むか?それとも料理を?俺を抱くのは最後になるが」

「君、オメガなんでしょ。僕、アルファなんだ」

「アルファの客はなるべくとっていない。ヒート期間がきたら・・・・・・」

ズクリ。

熱に一気に体が支配される。

「な・・・・・・・」

「君、抑制剤飲んでないの!?すごいフェロモンの香り・・・・頭がどうにかなりそうだ」

京楽は、必死でヒート期間が訪れてしまったオメガの浮竹を、襲うまいと我慢していた。

「抑制剤・・・褥の傍にある。すまないが、持ってきてくれないだろうか。熱に体が支配されて身動きがとれそうにない」

浮竹は、熱に支配されるのにある程度慣れているので、ヒート期間を男なしか自虐なしでいられることはできなかったが、冷静な判断はまだ下せた。

「ほら、抑制剤と、水」

水の入ったコップと一緒に、抑制剤を飲んだ。

少し熱はおさまったが、ヒートで頭がぼんやりとする。アルファの京楽に抱かれたくて、仕方なかった。

「俺は・・・番になれないが、抱いてくれるか。ヒート期間は我慢がなかなかできない。いつもはベータに抱いてもらっているのだが、あいにく今は客がお前しかいない」

「いいのかい?といっても、君を抱くつもりで買ったんだから、まぁ仕方ないよね」

「色子は、もしかして初めてか?」

「どうしてそう思うの」

「白粉の匂いがする。女物の」

「ああ・・・風呂にはいったんだけど、その後遊女にからまれてね。抱いてくれとうるさかったけど、好みじゃなかったんで、金をもたせて去ったよ」

「お前の好みは、俺みたいな色子なのか?」

「言ったじゃない。一目ぼれって。でも、遊びじゃない。君を身請けしたい」

「はっ・・・・俺の身請け金はかなり高いぞ。やめておけ」

「上流貴族だから、金はいくらでも使えるよ」

しぼれるだけしぼって。

廓の主人言葉を思い出す。

「俺は、高いぞ」

「とにかく、君も苦しそうだし、僕も君の出すフェロモンでどうにかなりそうなので、抱くよ」

「ん・・・・・・」

触れるだけの口づけを受ける。

もっと京楽が欲しくなって、浮竹は自分から唇を開いた。

ぬるりとした舌が入ってくる。

ぞくぞくと、体がしびれる。

「キスだけで、ばてばてだね」

「ヒートなんだ・・・子種を俺の中に注げ」

浮竹は、自分から衣服をぬいで、京楽の服も脱がせた。

京楽の狂暴なまでにでかい一物を手でしごき、おずおずと舌でなめとった。

「ああ、いいね。そこ、一番かんじるよ」

色子として4年も働いてきたので、男の感じる部分は分かっていた。

「君を身請けしたら、結婚しよう」

「何をばかな・・・・・・こんな、いろんな男に抱かれて汚い俺を身請けするより、上流貴族の姫君でも娶ればいいんじゃないのか?」

「君がいいんだよ」

「わ!」

我慢できなくなった子種が、びゅるびゅると吐き出されて、浮竹の顔にかかった。

「ああ、ごめん!」

ティッシュで拭われて、不思議な気持ちになった。

ヒート期間以外で抱いてくるアルファは、意地が悪くてみんな浮竹を屈服して支配しようとする。

番にされそうになったことも、一度や二度ではないが、首輪をつけているので、なんとかなった。

「抱くよ、いいかい?」

「俺を買ったのはお前だ。好きなようにするといい」

「優しくするから・・・・痛かったら、言ってね」

「色子になって何度も抱かれた。大丈夫だ」

深い口づけを受けて、浮竹はヒートの熱が高まっていくのを感じていた。抑制剤など、アルファとのセックスではあまり意味がない。

「んっ」

薄い胸板を撫でられ、舌を這わされて、声がもれた。

首筋、鎖骨、胸と赤い花びらが散っていく。

「あっ」

胸の先端が硬くなった部分をかじられて、もう一方は指でつままれた。

4年も色子をしてきたので、完全に性感帯になっていた。

「あ、あ、あ、早く!」

「でも、一度出しておかないと辛いでしょ?」

「そんなこと、いいから!アルファにヒート期間に抱かれるのは初めてだが、我慢がきかない」

浮竹は、自分から足を開いて、京楽を誘った。

その淫靡な姿に、京楽がごくりと唾を飲みこむ。

京楽は、すでに濡れている蕾に舌を這わせた。

「やん!」

「しっかり、濡らして解しておかないとね」

「や、そんなことしなくても、俺はオメガだ。自然に濡れる」

「でも、君を少しでも傷つけたくないから」

舌が入ってきて、それから指を埋め込まれた。

全身の輪郭を愛撫して、口づけを何度も受けながら、指で解されていくのを他人事のように感じていた。熱に支配されて、意識が飛びそうになる。

「あ!」

前立腺をコリコリと刺激されて、浮竹は精を放っていた。

「きもちよかった?」

聞かれて、こくこくと頷いた。

「あ、くれ。お前の子種を・・・・・俺の胎の奥に」

「仕方ない子だねぇ」

京楽は、浮竹が今まで受け入れてきた男の中でも一番でかいやつを挿入されることに、少しの恐怖感を抱いた。

京楽にぎゅっと抱き着いた。

「かわいい、十四郎」

「あ・・・京楽」

「春水って呼んで」

「春水、早く来い」

「いくよ」

「あああああ!!!!!」

一気に貫かれて、濡れているとはいえ、少し痛みを感じた。

幸い、血は出なかった。

「しばらく、このままでいるね」

浮竹の中に自身を埋め込んで、その大きさに慣れるまで、京楽はじっとしていた。

「あ、あ、あ、動け。俺をめちゃくちゃにしてくれ」

オメガ故のあさましい欲望。

浮竹はそれが嫌いだった。けれど、求めずにはいられない。

「動くよ」

「ああ!」

ズッズッと、京楽のものが浮竹の中を拓いていく。

「んあ!」

ごりっと、前立腺を刺激されて、浮竹はびくりと体を跳ねさせた。

「君はここが気持ちいいんだね」

「やああああ、そこばっか攻めるな。いやだ、もっと奥にこい」

京楽は、浮竹の言葉通り最奥までずるりと侵入した。

「あ、ああ・・・・」

子宮口まで犯されて、浮竹は熱に狂った。それは京楽も同じことだった。

「一度出すよ」

「んっ・・・・」

最奥でどくどくと京楽の体液が弾けるのをかんじて、浮竹は涙を零した。

きもちいい。

頭が真っ白になる。

「僕、まだ満足してないからね。君もヒート期間中だし、1回じゃ足りないでしょ」

体位を変えて、背後から抱かれた。

「んあ、あ、あ、ひあああ」

獣同士が交わるように、交じりあった。

「あ、いってしまう。春水、春水!」

「僕もいくよ。一緒にいこう、十四郎」

浮竹の前立腺を抉りすりあげ、口づけをしてから、最奥に叩きこむ。

「んあっ」

「くっ・・・・・・」

ドクドクと、生暖かいものが、もう何度目になるか分からないが、弾けて、浮竹は意識を失った。

「十四郎?」

動かなくなった浮竹が、死んだのはないのかと焦って息を確かめるが、静かに眠っているだけだった。

「ごめんね、十四郎。手加減できなかった」

濡れたタオルで浮竹の全身を清め、できる範囲で中にだしたものをかき出した。

子宮の中にもたっぷり注いだので、このままでは浮竹は妊娠してしまうだろう。

薬箱を探し、アフターピルを見つけると、浮竹に口移しでのませた。


「君を身請けにきたよ」

ヒート期間の間中、京楽は浮竹を抱いた。

それから、ぱったりと京楽はこなくなった。

身請け話など、やはりただの冗談だったかと諦めていたが、大量の黄金や宝石をもってきた京楽に、浮竹は言葉を口にした。

「お前はばかか。こんな病人の色子をそんなに金を払って身請けするなど。

「バカでけっこう。君は僕のものだ。番になりたい」

「なっ」

浮竹は赤くなった。

首輪に手をやって、自分の首がかまれていなかったことを思い出す。

その気になれば、ヒート期間中に交わりながら首を噛めば、番になれたのだ。

京楽は、あくまで浮竹の感情を先に考える。

「本当に、俺でいいのか。俺は色子だ。オメガだからお前の子は産んでやれるが、女のような柔らかさもない」

「いや、君最高だったから。今まで抱いてきたどの遊女より、きもちよかった」

「ば、ばか!」

京楽は、店の主人に黄金や宝石の他に紙幣を払った。

主人はにこにこして。

「幸せになれよ、十四郎」

そう言って、廓の中に去っていった。

「お前は、俺を番にするのか?」

「そのつもりだよ」

「物好きなやつ」

「恋をしたのは初めてんなんだよ。君を一度抱くだけでおさまるかと思ったけど、無理だった」

「そりゃ、お前はアルファだからな」

「アルファもオメガも関係ない。君だから必要なんだ、十四郎」

「・・・・・恥ずかしいやつ」

浮竹を抱き上げて、京楽は馬車に乗り込むと、浮竹の荷物を2台目の馬車につみこんで、出発した。

「京楽十四郎。近いうちに、そう名乗るようになるから、慣れていてね」

「な、結婚するつもりか!俺と!」

「そうだよ。妾なんかにはしない。妻にする」

「もう、どうでも好きにしてくれ・・・・・・・」

浮竹は頭を抱え込みながら、それでも京楽のくれるぬくもりに感謝するのだった。


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