カナリア「渦巻く絶望」
「はぁ、はぁ」
乱れた呼吸で、ティエリアは破かれた衣服のまま、立ち尽くす。
周りを取り囲む男たちは、そんなティエリアに息を呑む。
「殺す・・・・」
まるで、それだけが絶対的な目的であるように、ティエリアは呟く。
目の前の敵を、排除せよ。
バーチャル装置での戦闘訓練のように。
けれど、これは現実のことだ。
負傷率は62%。75%までなら、まだ戦える。
まだ、戦える。
「まだ、戦える・・・・」
再び、痛みに対する神経を遮断する。
目の前に立つリーダーを蹴り上げようとして、こめかみに銃があてられた。
動きが止まる。
目を瞑る。
ごめんなさい、ロックオン。
「・・・・・・殺せ」
青空は、どこまでも青かった。
「面白いな。逃げ出さないように、手足の腱を切れ」
残酷に、リーダーが命令する。
「でも、これ以上血を流させると死ぬかもしれませんぜ?」
「構わん。死んだら河に投げ捨てる」
リーダーの命令に、鋭いナイフを取り出す男。
そのまま、両手両足の腱を切られた。
すでに、ティエリアの意識はなかった。
-----------------------------------------------------------
「どういうことだ、刹那!」
「ティエリアが・・・・死んだ」
「そんなバカなことがあるか!」
トレミーに帰還した刹那は、緊急会議を開き、自分とティエリアの身に起こった出来事を語る。
ティエリアと刹那は場数を踏んでいる。へまはしないはずであった。
下調べを頼んだのは独断ではなく、ミス・スメラギの命令でもあった。
彼らならやり遂げる。
そう判断しての命令だった。
今までだって、何回も同じようなことを経験した。一度もミスはなかった。なのに、今回に限ってティエリアが死んだという。
「俺を逃がすために、ティエリアは・・・・・・うううう」
刹那は、堪えきれずに嗚咽を零した。
「ティエリアが殺されたところを目撃したわけじゃないんだね?」
アレルヤが、なんとか落ち着いた声を出して刹那に問う。
コクンと、刹那は顔を歪め、目に涙をためながらも呟いた。
「どう思いますか、スメラギさん」
「死んだとまだ判断するのは早すぎるわ」
「ティエリアは、絶対に死んでなんかいない!」
「でも、生きてるとしていても敵に捕らわれている可能性が高いわね」
「助け出そう!今すぐに!!」
「だめよ!」
「なぜなんだ!」
ロックオンが、ミス・スメラギに声を荒げる。
「落ち着きなさい、ロックオン。今いってどうなるの?敵がどこにいるのかも分からないじゃないの。ちゃんと情報を入手してからよ」
「それじゃ遅すぎる!」
「最悪、死という可能性もありえるわ。覚悟はしていてちょうだい」
「できるかよ!!」
ロックオンが、会議室の壁を素手で殴った。何度も。血が滲むくらいに。
「落ち着いて、ロックオン」
「俺を庇ったりしなければ・・・・」
刹那が声を落とす。
「いや、ティエリアは生きてる」
刹那が、首を振って顔をあげる。
そうだ。
あのティエリアが、そんなに簡単に死ぬはずがない。
肉体を使った戦闘訓練では驚異的な数値をたたき出すティエリアだ。
特に、銃の腕はロックオンよりも上だ。
あのティエリアが、死ぬはずなんてない。
逃げ延びて、生きているはずだ。
そんな仲間たちの願いも虚しく、ティエリアが帰ってくることはなかった。
乱れた呼吸で、ティエリアは破かれた衣服のまま、立ち尽くす。
周りを取り囲む男たちは、そんなティエリアに息を呑む。
「殺す・・・・」
まるで、それだけが絶対的な目的であるように、ティエリアは呟く。
目の前の敵を、排除せよ。
バーチャル装置での戦闘訓練のように。
けれど、これは現実のことだ。
負傷率は62%。75%までなら、まだ戦える。
まだ、戦える。
「まだ、戦える・・・・」
再び、痛みに対する神経を遮断する。
目の前に立つリーダーを蹴り上げようとして、こめかみに銃があてられた。
動きが止まる。
目を瞑る。
ごめんなさい、ロックオン。
「・・・・・・殺せ」
青空は、どこまでも青かった。
「面白いな。逃げ出さないように、手足の腱を切れ」
残酷に、リーダーが命令する。
「でも、これ以上血を流させると死ぬかもしれませんぜ?」
「構わん。死んだら河に投げ捨てる」
リーダーの命令に、鋭いナイフを取り出す男。
そのまま、両手両足の腱を切られた。
すでに、ティエリアの意識はなかった。
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「どういうことだ、刹那!」
「ティエリアが・・・・死んだ」
「そんなバカなことがあるか!」
トレミーに帰還した刹那は、緊急会議を開き、自分とティエリアの身に起こった出来事を語る。
ティエリアと刹那は場数を踏んでいる。へまはしないはずであった。
下調べを頼んだのは独断ではなく、ミス・スメラギの命令でもあった。
彼らならやり遂げる。
そう判断しての命令だった。
今までだって、何回も同じようなことを経験した。一度もミスはなかった。なのに、今回に限ってティエリアが死んだという。
「俺を逃がすために、ティエリアは・・・・・・うううう」
刹那は、堪えきれずに嗚咽を零した。
「ティエリアが殺されたところを目撃したわけじゃないんだね?」
アレルヤが、なんとか落ち着いた声を出して刹那に問う。
コクンと、刹那は顔を歪め、目に涙をためながらも呟いた。
「どう思いますか、スメラギさん」
「死んだとまだ判断するのは早すぎるわ」
「ティエリアは、絶対に死んでなんかいない!」
「でも、生きてるとしていても敵に捕らわれている可能性が高いわね」
「助け出そう!今すぐに!!」
「だめよ!」
「なぜなんだ!」
ロックオンが、ミス・スメラギに声を荒げる。
「落ち着きなさい、ロックオン。今いってどうなるの?敵がどこにいるのかも分からないじゃないの。ちゃんと情報を入手してからよ」
「それじゃ遅すぎる!」
「最悪、死という可能性もありえるわ。覚悟はしていてちょうだい」
「できるかよ!!」
ロックオンが、会議室の壁を素手で殴った。何度も。血が滲むくらいに。
「落ち着いて、ロックオン」
「俺を庇ったりしなければ・・・・」
刹那が声を落とす。
「いや、ティエリアは生きてる」
刹那が、首を振って顔をあげる。
そうだ。
あのティエリアが、そんなに簡単に死ぬはずがない。
肉体を使った戦闘訓練では驚異的な数値をたたき出すティエリアだ。
特に、銃の腕はロックオンよりも上だ。
あのティエリアが、死ぬはずなんてない。
逃げ延びて、生きているはずだ。
そんな仲間たちの願いも虚しく、ティエリアが帰ってくることはなかった。
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