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キス

「京楽が浮気したんだ」

10番隊の執務室にきてそうそう、浮竹はそう口にした、

「ああそうか」

日番谷は、毎度のことなので適当に受け流して、お茶をすすり、大好物である甘納豆を口にした。

「日番谷隊長~なぐさめてくれ~」

「だああああああ!重い!」

浮竹が、素っ気のない日番谷に、伸し掛かってくる。頭の上に浮竹の上半身がある形になって、日番谷は鬱陶しそうに浮竹の体を退けた。

「京楽が・・・・・」

「気のせいだろ」

「でも、キスしてた」

「まぁ、いいんじゃないか」

キスくらいで、ぐちぐちと。
別に他の相手と寝たわけじゃあないだろうと聞くと、目をうるうるさせて浮竹が抱き着いてきた。

「日番谷隊長~なぐさめてくれ~」

「だああああああ!抱きついてくるな!」

浮竹は、見た目は細いのに、何処にそんな力があるのか、時折凄い怪力を出す。

びくともしない浮竹に、日番谷は少し焦った。

「松本おおお!何写真とってやがる!」

「やぁん隊長!すごくいいです。(*´Д`)ハァハァ」

松本は腐っていた。腐女子なので、男性同士の恋愛とかに興味津々だ。

「わかったから、浮竹、離れろ。こんな場面、京楽のおっさんに見られたら、何をいわれるか・・・・・・」

「すでにいるよ」

にこにこしながら、でも額には血管マークを浮かべて、京楽が浮竹の背後にきた。

「浮竹、浮気はだめだよ?」

「うるさい!京楽、お前が浮気したんだから、俺も浮気してやる!日番谷隊長と浮気してやる~~~~」

なぜそこで、今ここにいる異性の松本の名が浮かばないのか、日番谷には謎だった。昔いた副官の海燕といい、黒崎一護といい。浮竹が浮気をしただの、気があるだのもめてくるのはいつも男だった。

「キスしてるところ、見てたんだとよ」

「ああ。リサのことか」

「やっぱり浮気してた」

「違うよ。あの子は姪っ子さ」

「姪っ子でも浮気だ!」

「あのねぇ、浮竹」

浮竹と日番谷を離す。かなり苦労した。浮竹の力に、京楽も呆れ気味だった。

「姪っ子は家族だよ。家族としてのキスだよ。あの子、現世でアメリカなる外国にいって、その文化にかぶれてるんだ」

「アメリカ?聞いたことはあるが、その文化って?」

浮竹が小首を傾げた。

ああ。おっさんなのに、可愛いと思ってしまう俺も目が腐ってるのかもな・・・・日番谷は、そう思った。

「家族や親しい人間にキスするんだよ。主にほっぺと額。リサのキスは唇に近かったけど、一応ほっぺだよ」

「そんなことで騙されるとでも・・・・・・んう」

「キスは、こういうのをいうの」

舌が絡み合うディープキスをして、京楽は浮竹を抱き上げた。

「やけに日番谷隊長に絡むと思ったら、熱あるね」

「まじか」

日番谷が驚く。

熱があるようには、全然見えなかった。

「ほら」

日番谷の身長でも触れれるように、抱き上げた浮竹の腕の位置を下す。

浮竹の額に、日番谷が手を当てた。

「すげぇ熱じゃねぇか!京楽、さっさともっていけ!」

「俺はものじゃないぞ・・・・」

渋々な様子の浮竹に、京楽はまたキスをした。

「いいから、いくよ。雨乾堂で横になろう」

瞬歩で、京楽は走り出す。

京楽の腕の中で、浮竹は意識を失った。


「はぁ?俺が日番谷隊長と浮気しそうにしてた?なんの話だ」

「やっぱり覚えてない・・・・」

浮竹は、高熱をだすとたまに記憶を飛ばすことがあった。

「それより、お前浮気してただろう」

また最初から説明する羽目になった。

でも、相手が日番谷隊長でよかったと思う。まだお子様だし、何より日番谷隊長には雛森という想い人がすでにいる。

もしも、浮竹が浮気するといって、その気になる者には、いろいろと後悔を覚えるようにしてやろうと思う京楽だった。

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