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ドッキリ

「え」

朝起きると、そこは雨乾堂ではなかった。見知らぬ部屋だった。

隣を見る。服を着てはいたが、乱れた衣服の日番谷の姿があった。

首筋とかに、キスマークがついていた。

「ええっ!」

あまりのことにパニックを起こす。

確か、昨日の飲み屋で京楽を見かけて、声をかけて。
それから、えーと。
日番谷がやってきて、京楽が日番谷をお子様扱いして、酒も飲めないといいだして「俺も酒くらい飲める」と怒りだしして。
それから、えーと。

日番谷が、いつも京楽が飲んでいるきつい日本酒を飲み干した。ついでに浮竹もそれを飲んでべとんべろんに酔っぱらった。

「あーーーーーー」

これはやらかしてしまったかな?

「ん・・・・・」

日番谷が目を覚ますと、そこには土下座している浮竹の姿があった。

「はあ?」

部屋を見てみる。
自分の屋敷だった。なぜ、そんな場所で浮竹が土下座しているのか分からなくて、浮竹を見つめる。

「すまない、日番谷隊長。一晩の誤りとはいえ、この浮竹十四郎、責任はとる。どうか俺のお嫁さんになってくれ」

「はぁ?」

頭がずきずきと痛かった。

確か、京楽の酒を飲んで、浮竹も酒を飲んで、二人でべろんべろんに酔っぱらって・・・。

体は軽いし、何処にも違和感はない。でも、衣服はやばい方向に乱れているし、何よりベッドの下に脱ぎ散らかされた隊長羽織と死覇装があった。
いつの間にか、パジャマを着ていた。

浮竹は、頬を赤くして、こっちを見てきた。

「本当にすまない。俺が全て責任をとる。お嫁にきてくれ」

「責任ってなんのだよ」

「俺は、どうやら日番谷隊長の初めてをもらってしまったらしい。記憶はないんだが・・・・その、首とかにキスマークが」

「はぁ!?」

鏡をの前に出る。本当に、首とかにキスマークが残っていた。

でも、何処も痛くないし。最後までしてないと、思いたい。

「いや、何処も痛くねぇし、多分未遂だと・・・・・」

「未遂でも、責任はとる。お嫁さんに・・・・」

「うるせぇ!」

浮竹を蹴り飛ばした。

「なんで俺が嫁なんだよ。結婚するなら、お前が嫁になれ!」

「ええっ!」

上気した頬で、潤んだ瞳で見つめてくる浮竹のほうが、よほどお嫁さんになりそうで、日番谷は
浮竹に嫁にこいといいだした。

「嫁にくるのは、日番谷隊長のほうだ」

「いいや、嫁にくるならお前のほうだ!」

何度か言い争いをしていると、扉があいて松本と京楽がやってきた。

「ジャーーン!ドッキリでしたーーー!」

浮竹も日番谷も、口をぽかんと開けていた。

「松本おおおおおおおお!」

「京楽ーーーーーーーー!」


二人の怒号が、響きあっていた。


怒った日番谷と浮竹に叱られまくって、頭をなぐられてたんこぶを作った二人は、10番隊の執務室で土下座をさせられていた。

「うわーーーんただのドッキリなのにーーー」

松本は泣いていた。

京楽はというと、日番谷をお嫁に迎えるという浮竹の発言にすねていた。

「京楽、すねてないで少しは謝罪の気持ちを見せろ」

「ふーんだ。僕がいなかったら、浮竹は日番谷隊長とできてたんだね」

「そんな仮想で!」

「もういい。二人ともぉ、覚悟ができてるんだろうな?」

ゆらりと、日番谷の霊圧があがる。

「下がってろ、浮竹」

浮竹は、日番谷の後ろに隠れた。

「ちょ、ちょっとまって隊長!話せばわかるから!」

「日番谷隊長、冗談でしょ?」


「卍解、大紅蓮氷輪丸ーーーーーー!」


「「ぎゃああああああああああああああ」」

10番隊の執務室は、全壊になった。

松本と京楽は、氷漬けにされてやっと謝罪の意思表示をした。

それでも足りなくて、日番谷は松本には減給、それから京楽からしばらく浮竹をとりあげたそうな。

それはまた、別のお話。

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