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禁忌という名の(番外編)

昔、京楽春水という名の総隊長がいた。愛する者のために、全てを捨てた男。総隊長でありながら、その責務と責任を放棄して、違う世界へ渡った者。


「まってよ十四郎」

「いやだ。ここまできてみろ、春水」

その双子は、十四郎と春水と名付けられた。


兄が十四郎。珍しい白い髪に、翡翠色の瞳の少年。

弟が春水。黒い髪に、黒い瞳の少年。


双子が生まれた時、双子は小さな翡翠の石を持って生まれてきた。

特別な双子として、神の愛児として可愛がられた。


神の名は、花の神。椿の狂い咲きの王。
地方で祭られていたが、流魂街でももう名を知らぬ者はいないほど有名な創造神の一柱だ。

花の神は、たまに人の姿をして降臨する。

その神子(みこ)に、二人の幼い双子が選ばれた。


昔、この世界に、浮竹十四郎と京楽春水という、それぞれ護廷13場隊の隊長であった者たちがいた。

その者たちは愛し合い、そして一人は命を散らし、一人は生き残った。でも、生き残ったほうの春水が、十四郎に恋い焦がれて、花の神に新しい十四郎を与えられた。

二人は1年という短い時間を共に生き・・・・・・その後、行方知れずとなったという。

双子の十四郎と春水はいつも一緒だった。

まるで、かの浮竹十四郎と京楽春水のように。常に二人一緒だった。


力を取り戻した花の神は、二人の神子に、愛児の魂を授けていた。

十四郎と春水は、時折記憶をよみがえらせながらも、笑顔を絶やさず生きる。



この世界に、再び芽生えた命として。





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