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タイムカプセル

君がいなくって、3年が経った。

ある時、君とタイムカプセルを埋めたのだと思い出して、学院の桜の木の下にきていた。

この桜の木の下で、告白されると思いが成就されるといわれていて、僕もこの桜の下で君に告白をした。

君は真っ赤になって、「俺も好きだ」と言ってくれた。

もう、400年以上は昔のことだ。

タイムカプセルは、今から100年ほど前に埋めたものだ。

スコップを手に、ざくざくと深く穴を掘っていくと、固い金属で覆われたタイムカプセルを見つけた。

早速中をあけてみる。

入っていたのは、僕が入れた親指サイズの翡翠の石と、君が書いたと思われる手紙。

僕は、君の手紙を読んでいく。

涙が、溢れて零れ落ちていった。

ただ、僕を愛しているという内容の手紙だったけれど、隣に君がいるのが前提の手紙で、僕はまた涙を流した。

今、僕の隣に君はいない。

望んでも、もう声も聴けない。

(一緒に引退して、爺さん同士になっても仲良くやっていこう。その頃には、お前も盆栽をはじめるといい。何、俺が教えてやるさ)

「無理だよ・・・もう、君はいないのに」

(いつも傍にいる。置いていったりしない)

「嘘つき・・・・・」

鬼道で、その手紙を燃やした。

こんな思いをするくらいなら、手紙なんて読まなければよかった。

もう、君のことで泣くまいと思っていたのに。

ああ。

君を、僕はまだ愛している。

この想いは、死ぬまで僕と在り続けるだろう。

「浮竹、大好きだよ」

翡翠の石を握りしめて、僕は君の名を呼ぶ。

ふと、意識が遠くなった。

なんだろう。

眠くて、どうにもならない。

僕は、地面に倒れた。


ふわふわと、何処かを漂っている感触だった。

目を開けると、君がいた。

「浮竹!?」

「よお、京楽。言っとくが、これは夢だ。この世界にない、地獄の神に頼み込んでこうやって話をしている」

「浮竹、浮竹、浮竹!」

僕は、涙をいっぱい零しながら、細い君の体に抱き着いた。

感触が、ちゃんとあって、僕は驚いた。

「お前、俺が死んでから元気がないよな。俺の死を乗り越えてくれ。俺はもう、お前の隣にはいれない」

「浮竹、僕は君がいないと----------------」

「京楽、俺がいなくても、この3年間やっていけただろう?大丈夫、みんなが、仲間がいる。お前は一人じゃない」

「それでも僕は、君に生きていて欲しかった・・・・」

「神掛は、後悔していない。俺は自分の死を無駄だとは思っていない。この世界は、崩壊することなくこんなにも輝いている」

「浮竹大好きだよ。愛してる」

ふわりと。

君は笑った。

「俺も愛している、京楽。大好きだ」

「ねぇ、僕も連れて行って」

「だめだ。お前はあと千年は生きる予定なんだから」

「千年!?君がいない世界で、千年も?」

「お前なら、生きていける。俺のことは心の中だけに留めておけ。泣くなとは言わない。でも、強くなれ。俺がいなくても、この世界を生きていけるように」

触れるだけの口づけに、僕は夢中になった。

「もう時間がない。俺は去る。いいか、京楽、お前は一人じゃない。みんなついてる。みんなの総隊長だろう!じゃあな!」

「浮竹、待って!」

ふわふわと。

霞のように、君が消えていく。




「待って!!」

「京楽隊長!気が付いたんですか!」

「あれ、七緒ちゃん?ここは?」

「1番隊の隊首室です。学院の桜の木の下で倒れているところを発見されて、運び込まれたんです。4番隊に見てもらいましたが、ただ眠っているだけと・・・でも、いつ目覚めるか分からないと言われて-------------」

七緒は、泣いていた、

「七緒ちゃん、泣かないで」

「あなたがいないと、私は------------------」

ああ。

一人じゃないんだ。

本当に、僕を思って泣いてくれる人がいる。

「京楽隊長が目を覚ましました!」

起き上がると、執務室には護廷13隊の隊長副隊長が揃っていた。

ああ。

本当に、一人じゃないんだ。

僕には、仲間がいる。大切な友人もいる。

ここに、君はいないけれど。

「やあ、心配かけてごめんね。僕はこの通り、元気だからみんな隊舎に戻っていいよ」


死神達が去っていき、僕は七緒ちゃんと二人きりになった。

「浮竹がね・・・夢の中で、会いにきてくれたんだ。なんかふわふわした世界だった」

「京楽隊長・・・・・・」

「僕はもう大丈夫だから」

君に夢の中で出会い、言葉を交わせてよかった。


君を、僕はまだ愛してる。

きっと、死んでも愛し続ける。


でも、もう泣かない。

泣き言は言わない。



僕は京楽春水。


1番隊隊長にして、総隊長、京楽春水。







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