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チョコレイト。

2月がやってきた。

恒例のバレンタインの日には、男子も女子もそわそわする。

一護は、いつものように下駄箱をあけると、どさどさとチョコレートが入った箱が入れられていた。

「もてるな、黒崎」

生徒会長でもある石田が、たまたま通りかかっていてそう言ったが、石田は紙袋いっぱいにチョコレートの入った包みやら箱やらを手にしていた。

「お前ほどじゃねーよ」

「僕は将来医者になるって決めてるから、きっといい物件として見られているんだろうさ」

チョコレートをたくさんもらっているのに、少しも嬉しくなさそうだった。

「まぁ、俺は医者になる気はねーけど」

黒崎医院を継ぐつもりはなかった。

将来の夢は、翻訳家だ。

英語の成績はTOPクラスだ。

すでに、ドイツ語を習っている。いつか、ドイツ語の翻訳家になりたいと思っていた。

進学後の大学も国際系統を選び、第2学語にドイツ語を選択するつもりであった。

もうすにで、受験には受かっており、後は高校を卒業して、大学に進学するだけ。

でも、そこにぽっかりと穴ができる。

高校を卒業したら、ルキアは尸魂界に帰ってしまうのだ。

こちらから尸魂界に行くこともできるが、頻繁にいっては迷惑がかかってしまうだろう。おまけにルキアは13番隊の副官で、隊長代理である。

大戦の復旧で忙しいこの時期に、現世にいられるのは、尸魂界にとって大恩人である黒崎一護の我儘だった。

ルキアを、高校卒業まで現世で暮らしてほしいという。

それも、あと1カ月もすれば終わりだ。

まだ、一護はルキアに好きと言っていない。

いつか言おうと思っていたが、ついにバレンタインの日まできてしまった。

教室につき、席についてぼーっとしていると、いつの間にか授業が始まっていた。

もう大学には合格しているので、授業をちゃんと聞いていなくても問題はない。自主休校する生徒も目立つし、授業中にスマホをいじっている生徒も目立つが、教師はあえて何も言わない。

ブー。

一護のスマホが振動した。

教科書を一応盾代わりにして、メール画面を開く。

(貴様に渡したいものがある。放課後、保健室までこい)

(なんだよ、渡したいものって)

(たわけ。この季節になら決まっておろう)

ああ、なんだ。

義理チョコか。

ルキアからもらえるなら、義理チョコでも嬉しい。

気分が高揚して、ついついメールを何度も見てしまった。

やがて放課後になり、言われた通りに保健室にやってきた。

今日は保健室の先生は休みで、ベッドで眠っている生徒もいない。

ルキアは、ベッドに腰かけて、足をぶらぶらとさせていた。

「来たぜ」

「う、うむ」

ぶらぶら。

一護も、ルキアの隣に座って、ベッドが軋んだ。

ルキアは、まだ足をぶらぶらさせていた。

緊張しているようで、一護はルキアの頭を撫でた。

「な、何をするか!」

「何がじゃねーよ。そんなに緊張してどうした?」

「貴様に渡したいものが・・・・・」

「ああ、義理チョコだろ」

「違う!」

「え?」

「あ・・・・えっと・・・・・」

「まさか、本命?」

ドクンと、一護の心臓が高鳴る。

期待、していいのだろうか。

ルキアが好きだ。

ルキアも、自分のことが好きだと、期待していいのだろうか。

「やる。これを機様にやる」

ハート形にラッピングされたチョコレートを渡された。

「い、言っておくが、ほ、本命・・・・・義理じゃ、ない・・・・・・・」

顔を真っ赤にして、エンストしたルキアを抱きしめていた。

「すっげー嬉しい。俺のこと、好き?」

「貴様!す、す、すきやき・・・・・」

「好きだと思って、いいんだな?」

「う、うむ・・・貴様が、大学に進学したら、私は尸魂界に戻る。でも、週1程度なら、現世にいってよいと、総隊長と兄様が・・・・・」

「ルキア、好きだ。結婚を視野に、付き合ってくれ」

「けけけけ、こけっこー!」

真っ赤になったルキアは、またエンストを起こしていた。

「熱あるのか?」

「ち、違う。ただ、いきなりでビックリしただけだ」

「好きだ、ルキア。ルキアは?」

「あーもう!貴様のことが、ずっと好きだった!私を尸魂界に救いに来てくれた時くらいから、ずっと好きだった!」

「俺は出会った頃から好きだった」

「でも、私は死神で、貴様は人間で・・・住む世界が違うから、その・・・・好きだと言えなくて、今まで・・・・・」

「俺は、住む世界が違っても、ルキアが好きだ」

「それは私もだ!」

ルキアは、スマホの代わりに伝令神機を持っていた。それで、一護とメールのやりとりをしたり、ルキアが尸魂界に戻った時なんかに通話をしていたりした。

空白の17カ月。

ルキアも一護も、最大の試練だった。

霊圧を失った一護は、霊圧を取り戻し、大戦を経験してまた大人になった。

ルキアも、いろんなものを失ったが、生きて一護の傍にいれた。

ただそれだけで、十分なのに。

もっともっとと、欲張ってしまう。

だから、ルキアは正直に総隊長と義兄である白哉に想いを告げて、1週間に一度、休暇の日に現世にいくことを許してもらった。

「貴様のことが好きだ、一護。これからも、隣にいたい」

一護は、ルキアをベッドに押し倒していた。

そして、ルキアの唇を奪っていた。

「んっ・・・・・」

「すっげーかわいい」

「茶化すな」

ルキアは両手で顔を隠してしまった。

その手に口づける。

「貴様、経験があるのか?なんか手慣れていないか?」

「いや、京楽さんに連れられて、ちょっと花街にな。遊女は抱いてないぞ!ルキアが好きだから」

「花街・・・・私などより、よほど美人がいたのであろう」

「どんなに美人でも、ルキアじゃねーと意味ねぇんだよ」

「信じていいのか?」

「俺はルキアだけが好きだ」

ちゅっと、額にキスを落とすと、ルキアは顔を覆っていた手をのろのろと外した。

「私も、貴様だけが好きだ」

ルキアは、ぺろりと唇をなめて、一護を押し倒していた。

「ルキア?」

「結界を張った。しばらくは誰もこないし、音も漏れない」

ごくりと、妖艶になるルキアに、一護は唾を飲みこんだ。

「一護、貴様が欲しい。今すぐに」

「ルキア・・・初めてだろ?いいのか、こんな場所で」

「家に帰ったら、できないであろう!」

「確かにそうだな」

黒崎家に居候しているルキアは、一護の部屋に頻繁に訪れて、時折一緒に寝ることはあれど、そういった行為は一切してないなかった。

キスも、今日が始めてだというのに、なんだろうこのかわいくて妖艶な生き物は。

「貴様の、初めてを、もらう」

ルキアは、一護の制服を脱がしていく。

一護も、ルキアの制服に手をかけた。

どちらともなしに肌着になり、一護がルキアを押し倒していた。

「怖いか?」

「少し・・・・でも、貴様となら、大丈夫だ」

ルキアの薄い胸を、触る。

「あっ」

「声、もっと聞かせて?」

やわやわともみしだき、ショーツに手をかけた。ブラジャーはもう外されていた。

「濡れてる」

「や、言うな・・・・・」

ルキアの秘所に手をはわせると、濡れていた。

「指、入れるぞ?」

「ん・・・・」

ゆっくりと、解すように秘所に指をはわせて、かりかりと天井部分をひっかくと、びくんとルキアが反応した。

「ここ、いい?」

「や、なんか、なんか・・・」

くちゅりと音をたてて、一護はルキアを攻め立てた。

「あ!」

ルキアは、いってしまった。

ぜぇぜぇと息をして、そんなルキアにちゅっとリップ音をたててキスをして、一護はすでにたってしまっていた己を取り出して、ゆっくりと秘所にあてがった。

「痛いかもしんねーけど、優しくするから」

「痛くてもいいい。貴様と、一つになりたい」

ルキアの煽る言葉と、唇を舐める仕草に、我慢の限界にきた一護が、ルキアの中に侵入した。

ズッと、音をたてて中を裂いていくと、プチンと、処女膜が千切れる音がした。

秘所から、血が伝い、シーツに染みを作った。

「痛いか?」

「大丈夫だ。動いていいぞ」

ルキアは、一護を煽る。自ら足を開き、一護の唇に唇を重ねた。

「んう」

舌を絡ませあいながら、ゆっくりと交わった。

「そろそろ限界だ・・・・中に出すわけにもいかねーし、どうするかな・・・」

「や、中に出せ。子種を注げ。どうせただの義骸だ、孕むことはない」

「中に出すぞ」

「うむ」

一護の動きが早くなり、じゅぷじゅぷと水音を立てて、秘所を出入りしていたものは、ルキアの子宮口にズルリと侵入してきて、ドクドクと射精した。

「あ、あ、あ!私も、いく!」

「一緒に、いこう」

快感で真っ白になった世界で、息を整えた。

「ごめん、初めてなのに、ちょっと手荒かったか?俺も初めてだから、加減がわからなくて」

「いや、いい。私もきもちよかったし。それより、シーツの染み、どうしよう・・・・・」

「洗濯機に放り込んどけばいいんじゃね?」

保健室には、洗濯機もあった。

「うむ、そうだな」

「ちょっと待ってろ」

一護は服を着て、タオルをお湯で濡らして戻ってきた。

「中にだしたから、きっと垂れてくる。綺麗にしないと」

「あ・・・・そんなの、自分でできる」

「ルキアは休んでろ」

一護は、ルキアの中に出したものが、とろりとルキアの細い太ももを伝う姿に、また欲情を覚えたが、我慢した。

「お互い初めてだったから、うまくいったかわかんないけど、好きだぜ、ルキア」

「貴様に初めてを奪われるとは・・・・・ふふふ」

「なんだよ」

「嬉しいのだ。朽木家に養子になったからには、上流貴族と婚姻せねばなるまいと思っていたのだが、兄様が、一護が好きなら、一護と一緒になってもいいと・・・・・・・」

「あの白哉がか」

「そうだ。許可をもらったのだ」

「ルキア、俺と結婚してくれるよな?」

「ああ」

たとえ、寿命が違っても。

一護が先に死んでも、また死の果てに死神となり、未来はある。

永劫の時を、ルキアと過ごすことを、一護は誓った。

かりっと、指を噛んで、血をにじませると、ルキアも自分の指を噛んで、血をにじませた。

「血の誓いだ。未来永劫、私は貴様と共にある」

「血の誓いを。未来永劫、俺はルキアを愛する」

血の滲む親指を重ね合わあせて、唇を重ねあった。

服を着て、ルキアは結界を解いた。

体液でべとべとになってしまったシーツは、洗濯機にいれて洗濯した。

ルキアが、一護に手を差し出す。

「行こう、私たちの未来へ」

「ああ」

一護は、ルキアからもらったチョコを大切そうに鞄にしまって、他にもらったチョコは処分して、帰路についた。

「ふふ、なんだか不思議だな。結ばれたけれど、まだ付き合い始めたばかりだというのに、貴様の家に帰るのは、なんだがむず痒い」

「だからって、尸魂界に戻るなよ。現世にいてくれ」

「ああ、分かっている。できるだけ、現世にくるようにする」

ルキアと一護の物語は、まだ始まったばかり。

チョコレートから始まった、甘い関係は、甘いまま続いていくのであった。




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