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ネオンテトラ(京浮)

ペットショップで、ネオンテトラを見ていた。

まるで、瞬くイルミネーションのようだ。

「欲しいの?」

「あ、いやそんなわけじゃ・・・・」

物欲しそうに見ていた浮竹に、京楽が声をかけた。

「ヒーターあるから、飼えるよ?」

「え、本当なのか!」

熱帯魚は金魚や鯉のように、寒い水温では生きられない。死んでしまう。

ヒーターが必須だった。

「確か、前に金魚飼ってた時に使ってた水槽とヒーターがそのまま置いてある。濾過機もあるし、飼えるよ?」

「じゃあ、買ってもいいのか!?」

浮竹の嬉しそうな顔に、京楽は苦笑する。

「でも雨乾堂には大きな自家発電機ないから、僕のいる8番隊の執務室になるけど、それでいいなら」

「水槽はでかいか?」

「ああ、大きいよ」

浮竹は、ペットショップの店員を呼んで、ネオンテトラ20匹、グッピーペア10匹、掃除屋にシュリンプ5匹と、プレコ1匹、あとはプラティ5匹にバルーンモーリーを3匹。

「そんなに入るかな・・・確かに大きな水槽だけど」

熱帯魚の入った袋に酸素を入れてもらい、水温が下がる前にと、8番隊の執務室の物置にあった水槽を出してくる。

かなり大きかった。

二人で掃除して、じゃり石をいれて水草をはやして、水を入れヒーターを入れる。濾過機をセットして、買ってきた熱帯魚を袋のまま水槽にいれた。

水温が同じになった頃を見計らって、袋から出してやると、色鮮やかな魚たちは水槽の中を自由に泳ぎまわった。

エサをやると、人が近づくと餌をもらえると思っているのか、面白いほど寄ってきた。

「綺麗なだけじゃなくって、かわいいんだな」

「このバルーンモーリーっていうの、ふっくらとしてて本当に風船みたいでかわいいね」

「俺は断然ネオンテトラだな・・・・」

「グッピーも綺麗だと思うけどね」

「グッピーは、卵生だけど子供を孵化させて産むんだぞ。知っていたか?」

「え、そうなの」

京楽が、驚いた顔をする。卵で産まない魚なんて、珍しい。

「妊娠したメスを隔離する水槽を用意しないとな。グッピーは、産んだ子を親や他のグッピーが食べてしまうから」

「綺麗なのに、残酷なんだね」

まるで、浮竹のようだ。

綺麗なのに、不用心に他人が触ると痛い目を見る。

「あーいいなぁ。和むなぁ。しばらくの間、8番隊で泊まってもいいか?」

「勿論!」

雨乾堂でもいいのだが、たまには8番隊で一緒に朝を迎えたい。

数日して、妊娠していたグッピーが子供を産んだ。

食べられないように水草に隠れているのを、網ですくって、小さめの水槽に移す。

「食べられなくてよかった・・・・」

その次の日には、また違うグッピーが子供を産んだ。

8番隊の執務室に水槽が増えていく。

「ここはペットショップじゃありませんよ?」

七緒の冷たい言葉に、京楽が困ったようにいう。

「今ベビーラッシュなんだよ。ある程度大きくなったら、ペットショップに引き取ってもらうから、この水槽の山、しばらく我慢してよ七緒ちゃん」

「まぁ、綺麗なんですけどね・・・・・・」

七緒も悠々自適に水槽の中を泳ぐ熱帯魚を見ていると、夢中になってはりついた。

「七緒ちゃんも、餌やってみる?」

「け、けっこうです!」

ツーンとそっけない態度がまたかわいいと思う京楽だった。

「餌をやりにきたぞー」

「あ、浮竹、またグッピーが子供を産んだんだ」

「またか!?5回目だろう!」

「10ペアも飼育してるからね・・・・・」

8番隊の執務室の棚の上やらテーブルの上は、水槽でいっぱいだった。

「ちょっと増えすぎたな。でも、分けようにもヒーターのある水槽をもっているところなんて・・・・ああそうだ、白哉がいた!」

白哉は、一時期海月にはまって、ヒーターと水槽を用意して飼っていた。

「白哉なら、もらってくれそうだ」

伝令神機で白哉に連絡をとると、了承してくれた。

グッピーをたくさんもって、二人は朽木家を訪れた。朽木家には大きな発電機があり、それで湯をわかしたり冷蔵庫を冷やしたりしていた。

尸魂界ではまだ珍しいエアコンがあり、電気毛布まである。

水槽はすでに用意されており、グッピーだけでは寂しいからと、カラフルな魚たちが泳いでいた。

グッピーをその中に混ぜていく。

まるで踊る宝石。

じゃりのかわりに色硝子が沈められていて、光も明滅するようになっていた。

「今までみてきた水槽の中で、一番綺麗だ・・・・・」

「当たり前であろう」

白哉の自信たっぷりな声に、京楽も頷く。

「流石4大貴族朽木家」

「浮竹、兄に渡したいものがある」

「なんだ、白哉」

「今年の冬は冷えるから、これを」

電気毛布だった。

雨乾堂にも、小さいが発電機がある。

「ああ、高そうだからと買わなくて欲しいと言ってたの、覚えててくれたのか」

「そうだ」

二人のかもしだす空気に、京楽が割って入る。

「例え朽木隊長でも、うちの子はあげませんからね!」

「兄は・・・・あほうだな」

「キーーーー」

「ほら、京楽、行くぞ」

京楽を引きずっていく浮竹。

「あほっていうほうがあほなんだよこの大アホ!」

「見ているこっちが恥ずかしくなるから止めてくれ!」

浮竹は、京楽の頭を殴って黙らせると、朽木邸を後にするのであった。





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