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夜一と砕蜂

「はっくしょん。夜一、頼むから猫の姿のままは止めてくれ!」

猫アレルギーの京楽は、美しい黒猫姿の夜一にくしゃみをしていた。

「こんなに美しのにのう。猫は美しくかわいい」

「そうだぞ、京楽!」

夜一を思いっきりもふりながら、浮竹がいう。

「猫はかわいい!」

「浮竹、お主は分かっているようじゃの。猫のよさを・・・・ごろごろ」

喉を撫でると、夜一はゴロゴロと鳴いた。

「ほれほれ」

猫じゃらしを見せつけると、夜一の体が反応する。

「またたびはどうだ?」

「あ、やめろ、またたびはだめじゃ!」

「ほれほれ」

「はっくしょん」

大きなくしゃみをして、夜一は人間に姿になった。

「夜一、服、服を着ろ!」

浮竹も京楽も真っ赤になった。

「うーむ、服を用意するを忘れておったわ」

「俺の服でいいから着ろ!」

雨乾堂で、夜一は浮竹の死覇装を着た。

「うーむ。さすがにぶかぶかじゃの」

彼氏のシャツみたいなことになっていて、まともに夜一を見れないでいた。

「夜一様、ここにおられましたか・・・・その恰好は!?」

愛しの夜一の霊圧をたどり、雨乾堂まできた砕蜂は、もっていた暗器を浮竹と京楽に向けた。

「貴様ら!美しすぎる夜一様の裸を見たな!」

「いや、ほとんど目をつぶってたし!」

「そうそう」

「問答無用!」

暗器を手に襲ってくる砕蜂から逃げるために、雨乾堂で追いかけっこがはじまる。

「砕蜂、やめよ。騒々しいぞ」

「は、夜一様!」

すぐに砕蜂は大人しくなった。

「砕蜂隊長は、本当に夜一が好きなんだねぇ」

「貴様如きが、夜一様を呼び捨てにするなど!」

「よい、やめよ砕蜂」

「はい、夜一様!」

その繰り返しだった。

どうも、夜一は砕蜂が怒る様を頼んでいるようで、性質が悪かった。

「砕蜂隊長、ここにまたたびがあるのだが」

「またたび!」

「こら、京楽!」

夜一は、人間の姿でもまたたびに弱いのだ。

そのままたびを放ってよこされて、砕蜂はにじりにじりと夜一に近づきだす。

「夜一様・・・・・・♡」

「あ、こら、やめぬか!ぎゃああああああああああ!」

そんな夜一と砕蜂をぺっと、雨乾堂から追い出して、京楽は茶をすすった。

「はぁ。平和だね」

「砕蜂隊長は、夜一のこととなると人が変わるからなぁ」

同じように、茶をすする浮竹。

腹が減ったと押し寄せてきた夜一に、二人分の夕餉は平らげられてしまった。

夜一は大食漢だ。甘味物を食べる浮竹以上に。

夜一はお替りばかりを所望して、10人分は平らげただろうか。それでもまだ足りないと、隠しておいた浮竹のおやつも食べられてしまった。

「しばらく夜一には来てほしくないな。食費がかさみすぎる」

「まぁ、あんだけ食ったらね」

外では、まだ夜一と砕蜂が追いかけっこをしているらしかった。

「ああ、夜一様!もう一度、先ほどの顔を!」

「ええい、しつこいぞ砕蜂!またたびをもって追いかけ回すな!」

「無理です、夜一様!さっきのお姿をもう一度拝見するまで、この砕蜂去りません!」

「だあああああああああ!!!」


「夜一も夜一で、慕ってくれる相手がいるのはいいことだけど、大変そうだね」

「京楽に、ちょっと似てるな」

「ええ、僕はあそこまで酷くないと思うんだけど!」

「その代わり、盛るだろう!」

「う・・・・・」

「その点では、砕蜂隊長のほうがましだな」

「そんなこと言わないでよ、浮竹」

そっと、背後から京楽が抱き締めてくる。

自然と、唇が重なった。

「ん・・・・・・・」

舌が絡まるキスを繰り返し、死覇装をはだけさせる。

さぁ続きをというところで、二人の腹がぐ~と鳴った。

夕餉を、夜一にとられてしまったのだ。

お互い苦笑しながら、13番隊の食堂へ行く。

夜一が10人分も食べたせいで、ろくなものが残っていなかったが、とりあえず果物類やらを大量に食ったので、おなかはまんぷくになった。

雨乾堂の前にくると、真っ赤になって失神した砕蜂と、猫の姿の夜一がいた。

「はっくしょん!僕、先に雨乾堂に帰っておくから」

そそくさと逃げ出すように、京楽が雨乾堂に消える。

「またたび・・・・人間の姿でもきくのか」

「く、それを言うな」

「砕蜂隊長はこのままか?」

「人になるとまた着る物がない。すまぬが、13番隊のあいている隊室にでもねかせておいてくれ」

むんずと、猫の夜一を掴む。

「お前も一緒にいろ。砕蜂隊長が起きて騒ぎだすと困る」

「仕方ないのお」

猫の姿の夜一は、浮竹が抱き上げた砕蜂を見ながら、その肩の上で大きな欠伸をした。

「よく食べ、運動した後は眠いのう」

「夜一、しばらく雨乾堂にくるなよ」

「何故じゃ」

「食費がかさむ!」

「ふーむ。大前田のいる、砕蜂の隊では何も言われぬのじゃがのう」

「大前田は金持ちだからな。夜一がたくさん食っても、何も言わないだろうさ」

「大前田のよなカスが砕蜂の副隊長というのもどうかと思うのだがのう」

「まぁ、カスはカスなりに頑張っているさ」

何気に、浮竹も辛口なのであった。


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